「始めるって言ったって、何から始めるんだ」

葉月に冷静に聞かれて、姫条はギクっとした。

「そ、そやな・・・とりあえずは御堂の近所の人に聞き込みか・・・?」

「何故俺に聞く」

「お前の方が頭ええからやん」

「・・・・」

「お、怒りなさんな。聞き込みは大事やで?思いもよらん情報持ってる奴がいたりするからな」

「・・・御堂より、被害者の共通点を探したほうがいい。狙われた理由があるのか、それともたまたまなのか」

「お、そやな。でも共通点ゆうても女ってことだけやなー。後は佐伯に情報もらわんと分からん。とりあえず現場行ってみるか?」

「・・・そうだな」


被害者は5人。

殺された現場はバラバラだが、どれも同じ町内だった。

とりあえず、一番近い公園に行ってみる。

「こりゃ夜やったら、襲ってくださいゆうてるもんやな」

今は昼だから遊んでいる子供たちがちらほらいるが、街灯の数が少なく、夜はほとんど闇だろう。

「・・・ここが帰り道だったんだろ」

「にしても深夜に出歩くのもなぁ・・・あれ?」

周りを物色していた姫条が、若い男の姿を見つけた。

片隅に花を置いている。

「関係者か・・・?」

「話を聞くチャンスだ」

二人が近寄ると、花を供えていた男が顔をあげた。

「すいませんが、ここで殺された人のお知り合いですか?」

「キミたちは・・・?」

胡散臭げに聞かれる。

「俺らは捜査に協力してるんです。できればお話を聞かせていただきたいのですが」

葉月が捜査に協力、という単語を出すと、男は警戒心を解いた。

「仕事仲間でね。僕はバーテンだったんだけど、この子はお店で働いてたんだ」

「失礼ですがお仕事は・・・?」

「ああ、簡単に言えば水商売だよ。ホステスだったんだ。いい子だったんだけどなぁ・・・」

「道理で帰りが遅いわけや・・・」

「お客さんとトラブルを抱えてたとかはないですか?」

「それはないね。うちの店じゃ仕事とプライベートはきっちり分けてるんだ。店の外で会うことはない。まったくどうして二人も・・・」

バーテンが漏らしたため息に、姫条がピクリと眉を動かす。

「二人?もう一人殺された人がいるんですか?」

「そうだよ。違う場所でもう一人。他の殺された子も、近所の店の子達だよ。ニュースでは言ってなかったけどね」

「!」

「そうですか。ご協力ありがとうございました」

「いいや。でも、犯人は捕まったんだろ?どうして今更?」

「・・・・確認の為です」

「そう。まぁ頑張ってよ」


男から離れた後。

「被害者はみんな水商売・・・・。こりゃなんやありそうやな」

「でもたまたまかもしれない。深夜に帰宅する職業は決まってるからな」

「・・・・。とりあえず第一段階は終了や。今日はもう遅いし、明日にしよう」


犯人はまだ見えてこない。