教えてください
私に何が足りないのですか?
忍は何も敵を暗殺するだけが仕事じゃない。
戦力になったり、敵地に忍び込んで情報を入手したり。
後者は忍耐力との勝負だ。
ずっと同じ体勢で何日も潜んでいることだってある。
もっと積極的に情報を手に入れる仕事もあるんだけど・・・
今日の仕事は、それだった。
待ち合わせ場所に行くと、相手はもう来ていた。
面識のない女が一人。
カカシはいない。
男がいては困るのだ。
女はを一瞥すると、ボソっと呟いた。
「よろしく。・・・・今日のターゲットはロリコンなのかしら?」
「は?」
「こっちの話よ。さ、行きましょ。着替えなきゃいけないし」
遊女のフリをして、諜報活動をする・・・これが任務だった。
くノ一にはよくある仕事だ。
も何回かやったことがある。
幻術、といよりは催眠術に近い術をかけ、相手に必要なことを喋らせるのだ。
目がさめた時には相手は何も覚えていない・・・
オリジナルの技だった。
労力的には簡単な仕事だったが、あまり好きではない。
遊女と言えば赤い長襦袢と相場が決まっている。
しかもギリギリまではだけさせなければいけない。
カカシ以外の男に、必要以上に肌を見せたくなかった。
男は見るからに神経質そうだった。
絶えず辺りを見回し、無意識に爪を噛む。
命の不安でもあるのだろうか。
その不安を隠すかのように、酒を煽る。
赤い顔をしながらに絡んできた。
「随分若い娘だなぁ〜。売られてきたの?可愛いから俺が買い取ってやろうか?」
言いながら太ももを撫でる。
肌が粟立った。
駄目だ。我慢しろ。
殺したら意味がない。
は必死で我慢し、ふいに腕をあげて男の眉間を突いた。
そのまま素早く印を結ぶ。
男はくたりと首を折った。
「いつもそうやってるの?」
全てを聞きだした後、女が尋ねてきた。
「そうだよ」
「さっき触られて動揺したでしょ?相手殺すんじゃないかってヒヤヒヤしたわ」
「・・・・・」
「ねェ。何のためにこんな恰好してると思ってるの?」
「敵を欺くためでしょ?」
「違うわ。最大限に利用するためよ」
「何を?」
「自分の体を」
この女は、こんなに妖艶だったろうか?
誘うような目。
濡れた唇。
匂い立つような色香。
女は言い放つ。
「あんた忍としては優秀だけど、くノ一としては駄目ね。男なら良かったのにね」
「ただいま・・・」
部屋の奥から、ひょこっとカカシが顔を出す。
「おかえり。早かったな」
「諜報だったから」
「諜報?ちゃんとできたのか?」
多分カカシはからかったのだろう。
でもにはそんな余裕はなかった。
先生も、私に何かが足りないと思ってるんだ・・・
何がいけない?
何が足りないのだ?
カカシは荷物持ちの為に、紅と歩いていた。
詰め所に置いておくものの買い出しだ。
普段ならアスマがつきあうのだが、今日は任務でいなかった。
「何か機嫌悪くない?」
「そんなことないわよ」
そう答える紅の言葉は刺々しい。
やはり機嫌が悪いのだろう。
触らぬ神に祟りなし。
カカシは放っておくことにした。
荷物を抱え直して前方を見やると、見知った人間がいる。
「?」
「何、知り合い?」
「俺の・・・チームの奴」
も二人に気づいたのか、こちらに向かって歩いてくる。
「お前、何やって・・・」
しかしはカカシを無視し、紅に向かって深々とお辞儀をした。
そのままにっこりと笑う。
「紅上忍、はじめまして!と言います。お姉さまって呼んでもいいですか?」
紅は荷物を落としていた。