最近購入
2003
とにかく、最近買ったレコードです。性懲りもなく買い続ける気狂い男の購入記録。本当に暇な方、読んでいって、そして、戒めにするべき。とりあえずBNもあるでよ

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boads of canada / geogaddi \840 45 |
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いわゆるベッドルームミュージック、もしくは、エレクトロニカ。ハードテクノではエイフェックスは別格として、それ程までにはのめり込めないが、80年代のテクノポップの洗礼を受けている僕にとっては、エレクトロニカ系のポップなバンドは肌に合う。どこかアコースティックな響きと、近頃は進歩どころか、どこまでが技術的な物かさえ分かりにくくなったサンプリング。その二つが合わさったものは、かなり好物である。一時夢中になったドイツのカラオケカークの名作wunderにも近い、このバンドの2nd。イメージを強く誘発するサウンド処理に、独特の丸いリズムが絡み合って、聞いている内に様々なイメージが湧いて来る作風は好みだ。@やGは特に良い。このアコースティックな手触りは何だろう?意図的に挿入されたノイズも効果的だし、音の使い方が繊細で、テクノにありがちな冷たい感触が無くて良い。イギリスはエディンバラのバンドとかで、一度行った事があるが、駅前にデデンと城が居座る、どこまでもアナログな街だったのを覚えている。少なからず、そんな土地柄が影響しているのだろうか?とにもかくにも、テクノも捉え切れない程細分化されているだけに、こうやって自分好みの作品に出会えると、もっとテクノも掘り下げたいとも思う。 |
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センティピード/セプトーバー・エナジー \3000 |
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実験性の高い音楽は、困りものだ。時として実験が目標のようになってしまうものがある。これが一番いけない。サルのオナニーレベルとも思え、なんだか中途半端な疎外感にさいなまれたりする。買った俺は相当馬鹿みたいな。ただし、その実験がなかなか理解出来ないとか、時代から何歩も先へ行き過ぎたというのもあるから困るのだ。分らなかった俺が馬鹿みたいな。どちらにせよ、実験性の高い音楽は、困りものだ。キース・ティペットの即興音楽集団のアルバムをロバート・フィリップがプロデュース。これだけで、ちょっと文句が付けられない空気が、知る者としてある。迂闊にけなせば、馬鹿扱いみたいな。そんな不安に苛まれつつ、買ってはみたが、これは凄い。総勢50人の参加メンバー。中にはズート・マネーやカール(アディエマス)ジェンキンスの名前まであるが、ある種の力技的迫力と、綿密に構成された展開が萌える。渋さ知らズにも共通するホーンの乱れ吹きもさる事ながら、ストラヴィンスキーにも似た、クラシカルな凶暴さ。(意外に好きなのね、俺は)闇雲に音楽的カタルシスを追い求めると、頭数を揃え、凶暴に、繊細に右往左往する、そんな音楽の典型と言おうか。ライナーによれば、この集団でライブもかなりこなしていたらしく、だからこそ実験と言いながらリスニングに十分耐えられる作品に仕上がっているのだろう。このアルバムは、様々な音楽を詰め込んでやるという強い意志が感じられる。サントラ?ビックバンド?きちがいオーケストラ?どれでも良い。どれか一つが好きな人だったら聞いてみて欲しい。恐らく萌えること間違いなしである。 |
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ゆらゆら帝国/ゆらゆら帝国。 \1380 |
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いいバンドだなあ。つくづく思う。3ピースのバンドにして、この表現力。一聴シンプル。聞き込めば豊穣。こういうバンドは、息が長いか、突然分解するにちがいない。別に目新しい事をしている訳でもない。曲調にしても限りなく削ぎ落としたメロディでありながら、いつまでも聞いていたい感が強くするのもナイスである。いやあ、これでライブバンドなんだから大したものである。このアルバムが、このバンドのキャリアの中でポップなのかどうなのかは知らないが、十分ポップだ。アングラなのはボーカルの顔にちがいない。ここの所、やたらと情報量ばかりの多い音楽を聞いて興奮していた気がするが、このバンドも十分情報量が高い。3ピースだからって単純だと思ったら大間違いなのだ。ゆらゆらから滲み出る音楽的知識の豊富さは、ちょっと凄いんじゃないだろうか。様々なスタイルの音楽をアルバムにちりばめながら、これだけ遊べるバンド。このスタイルで十数年やってもらって、その果てに、誰にも真似出来ない凄みと蓄積が備わったら、そん時は、ニヤニヤしながらゆらゆらのライブに行ってみたいものだ。 |
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ROXY MUSIC/THRILL OF IT ALL(BOX) \3980 |
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そう、中ニの時、スタジャンにGパンの僕は、あらゆる世界の興奮という興奮を抱え込んだ気分で武道館へ行ったのだ。「プレイリーローズ」を合唱したい。そんな事を考えていた記憶がある。そう、ロキシーの武道館公演に行ったのだ。あの頃、僕のアイドルは、B・フェリーと吉永小百合で、アバロンのダンディさやサイレンのエロ具合に胸ときめかせる希有な中学生だった。その頃の僕は、ロキシーが格好良いバンドとは思っていたが、前衛的なポップバンドだとは思っていなかった。というか、ポップなバンドを沢山知っていた訳じゃないから、前衛も王道もなかったのである。つくづく無知だから、B・ディランは完全にロックだったしね。好きと嫌いしか判断の基準がなかった。そうそう、ウィングスの「死ぬのは奴らだ」と映画「コンボイ」のテーマ曲をオンエアでチェックして、並べて聴いて興奮したりもしてた。知らない事の強みもあった。偏見の不毛地帯。母が聴く布施明や井上陽水、フランク永井も、全部が音楽でしかなかったのである。その頃の方が、えらいロックだったのかもしれないなんて思ったりして。さて、ロキシーのボックスである。もう装丁だけで、かなりいってしまいそうだが、そこはそこ。「ジェラスガイ」にも燃えるし、初期のアヴァンギャルドな楽曲はもちろん、ドラマチックなバラードにも燃える。改めて聴いてみて、恐ろしく奇妙なバンドな事に気付く。いやメロディ自体がメロディになっていないというか、初期のロキシーは、相当アヴァンギャルドだったと思う。「マザー・オブ・パール」や「ドゥ・ザ・ストランド」の恐ろしく不条理なメロディは、改めて聴いてみると驚く程だ。演奏も下手馬というかなんというか。実に効果的で、それでいて普通じゃない。ギターのフィル・マンザネラが実はディス・ヒートのチャールズ・ヘイワードとクワイエット・サンをやっていたり、フェリーにしてもクリムゾンのオーディションに落ちた経験があったり、B・イーノが居たり。やっぱり普通のバンドではなかったのだろう。中学生で、これにのめり込んだ自分の感性を誉めてやりたいような不気味なような感じである。 |
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APHEX TWIN/26MIXES FOR CASH \2400 |
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最早混沌か完璧なまでに構築された細工の細かい音楽でしか高揚感を感じない体質といっても良い、ある種の不感症に陥っている僕ではあるが、本気でエイフェックスのリミックスは聞いていて燃えた。なんだろう?この興奮は?エイフェックスは、僕が好きな饒舌なインストとも違う、ある種の興奮がある。それぞれが分裂した一つ一つの断片を掻き集めて一曲が出来上がるような感じ。強いて言えば、P・マッカートニーやコステロを聞いていてありがちな、おいおい、一曲で五曲くらい出来るぐらい、良質なメロディてんこ盛りじゃないか、と思う類の音楽である。エイフェックスの楽曲は、様々な表情を持ち、曲が転調する度に、その楽曲の空気も色合いも劇的に変化してしまう。その変わり様に興奮するのだ。この作品にしても、ギャビン・ブライアーズからバクチクまで。何だ、このジャンルを越境するというより、ニヤニヤしながら反復横飛びを延々繰り替えしたようなアーティストの並びは?そう、エイフェックスは、とんでもないひねくれ者の底力を見せつける。結局リミックス活動にしても、聴く側を裏切る事しか念頭にない。あらゆる「当たり前」の秩序から外れていく究極の生きるエントロピー、エイフェックス。活動が、そうだから当然リミックスされた楽曲も裏切りなら、曲の進行も全てが裏切り。そこに全精力をかけている故の凄みがある。裏切りをエイフェックスの予定調和ととるならば、それさえも裏切るエイフェックスだからこそ、その実力は、他を圧倒しているとも言える。凄い。 |
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MILES DAVIS / BLACK BEAUTY \1200 40 |
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特価で手に入れたマイルスの二枚組。このアルバムに関して言えば、好きな曲とそうでもない曲が、かなり差がある。何だかむき出しというか、統一感がないような。マイルス迷走の時代だったのか?エレクトリックマイルスの作品は、時に凄い刺激的なのだが、時にリズムが単調だなあと思う事がある。ジャズにしては単調だなあ、と。でもって凄いのは、そんなリズムをうっちゃる混沌や弾けがあったりする。このアルバムは、比較的前者なのかな。ただ、エレクトリックマイルスの作品の中でも自由度が高いというか、聞いていて、何でもありな雰囲気が伝わって来るのは確か。ただ、ライブ・アット・フィルモアのように、時々引っ張り出して聞くかどうかは、不安が残る作品か。 |
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BOOM BOOM SATELLITES/PHOTON \1600 |
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独自の世界を行くテクノユニットというのが正しいだろう。突然、生演奏のライブをしたり、かなり柔軟性の高いユニットでもある。むしろ、テクノ方面での認知が高過ぎるが、もっと広く評価されても良いだろう。この二人の音楽は、結構シビアで、この作品の発売に際しても、日本バッシングを連発していた(彼等はロンドン在住)。いわゆるテクノからは、かなり離れて行ったか。本作では、ジャズ、テクノなどを超越した、いわゆる狂気の音楽に近付いた強さがある。生演奏でしか出せないリアルな熱さとサンプリングの妙。こういうスタイルは、個人的には大好き。なんでもアリの状態でキャラを立てていくのは大変なのだ。一時期、クラブ方面ではエレクトリック・マイルスが、もてはやされた時期があったが、この作品も、かなりマイルスの近くに位置する音楽と言える気がする。速効性のバックトラックに粘着質に後をひくミュートトランペットの響きなどは、重苦しさと快楽が複合した、今の空気にぴったり来る音楽と言える。ブンブンは、かなり同時代性の高いアーティストに成長しているようだ。 |
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RICHIE HAWTIN&SVEN VATH/THE SOUND OF THE THIRD SEASON \980 |
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デトロイトテクノと言えば、リッチーとURというくらい知られた彼と、ドイツの重鎮のスヴァンが組んだリミックスアルバム。ディープテクノは比較的苦手、という僕でも、ちょっとこれは凄いかも、と思ったくらいの作品。元々がレイヴの故郷イビサで共演した実況録音盤とあって、かなりバキバキのパーティーモードなのだが、やはり頂きを極めた者達の説得力というのは違う。確かにリズム主体の、いわゆるダンスチューンであるが、リズムの構成の仕方、聞かせ方は、凡百のテクノとは一線を画す凄みが感じられる。後半、ドイツ系のストイックな曲調になってしまい、個人的には受け付けないものがあるが、前半、恐らくリッチーが主導権を握っていると思われる展開は、凄い。アンダーワールドの凄さを、もっとシンプルに職人芸で聞かせるといった趣き。時間空間をゆがめるテクノの妙を、じっくりと味わえる強力な一枚と言える。 |
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ザ・ミュージック/ザ・ミュージック \980 |
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この値段だから聞いてみた的な所もなきにしもあらずだが、まあ今どきをちゃんと聞いておくかな、と買ったCD。ここ数年元気のないイギリス勢にしては元気という印象もあるが、それでもねえ、なんだか直線なんだよな、これが。最近の中では良いとは思うが。勢いでは、もう聞けないな、と改めて思うというか、先が読めてしまうのだ。突如、予想を遥かに越えた音や衝撃があるのではなく、ただひたすらに一直線というか、深みがない。確かに新人バンドとしては、実力があるとは思う。昨年のフジの映像を見て、ちょっと興味がそそられた位だから。ただ、それだけでは、最早満足出来ないのね、こちとら大分音楽経験積んでしまっているから。ただ、今後化けそうな予感はある。確かに。 |
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UA/閃光 \100 |
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宇多田もそうだが、光というのは、この御時世、なにげに重要な言葉なのかもしれない。「もっと光を!」じゃないが、今もっとも求められているのが、あらゆる意味での「光」なのかもしれない。ただ、UAである。そうそう希望とばかりには歌わない。閃光である。一瞬の光は、信用出来ないね。さてさて、本作の注目は、なんと言ってもレイ・ハラカミである。あらゆる予定調和を許さない彼のバックトラックは、多くの人が戸惑ったみたいだが、いつかは、この演奏がメインストリームを席巻するのは間違いないと思う。基本的にはドラムンベースの変化球であるが、その変化球を聞き易くしているのが凄い。と言っても、まだまだ抵抗のある人は多いと思うけれどね、今の所。僕には、レイ・ハラカミの方法論は、テクノをポップミュージックに本当の意味で発展させる可能性を十分に孕んでいると思っている。事実、このシングルに収録されたカラオケバージョンというか、インストバージョンは、未だインストに理解のない人でも楽しめると思う。音が多彩に重なり合い、しかもアヴァンギャルドになる事なく奇跡的に成功している。素晴らしい。これだけで買いだろう。 |
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宇多田ヒカル/DEEP RIVER \1200 35 |
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このアルバムを聞きたかったのには一つの理由があって、元スパンク・ハッピーの河野伸がプロデュースした「SAKURAドロップ」が収録されているからだった。タイトな演奏が非常に印象的で、う〜ん彼女も天才の一人だなあ、などと思っていたのだが、クレジットを見ると、アレンジはKAWANO KEIとなっている。名前を変えたのか?それとも別人か?ちょっと気になる。しかし、宇多田は、円熟期を既に迎えつつある。本当に楽曲のクオリティは高いし、歌詞も、なかなか奥深い。いまや敵なしか。売り上げでは浜崎と争っているみたいだが、クオリティは断然上だな、こっちの方が。特にCの表題曲は良い。あらゆるサウンドをリズム化可能にしたのが、サンプラーの革命とすれば、この曲も一つの例として上げる事が可能と言えるか。アコースティックのリズムと伏し目伏し目で印象的に繰り返される「吐息」リズムは、耳にこびりついて離れない。もちろん、シングルカットした曲も素晴らしいが、タイトルにもなったこの曲と、ライナーに付けられた力強い握り拳と神妙な表情に、宇多田が本作に込めたメッセージがあると言って良いかも。ラストの「光」のキュートさも含めて、現時点での最高傑作なのだろう。 |
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YMO/テクノデリック \2200 |
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発売当初、友人に聞かせてもらって、えらい妙な音楽だなあ、などと思ったのを覚えている。当時は、面白いと思いつつも、誰彼かから借りれる事もあって、余り熱を入れる事もなかったが、細野のキャリアを中心に聞いて来て、もう一度YMOに向き合ってみると実に興味深いものがある。いやいや、やっぱり凄いね、と思うのである。こてこてテクノへ飛んで行ってしまう事なく、ポップスとして辛うじて成立させる辺りは、やはり細野のプロデューサーとしての視点がしっかりあるからかなあ、と思うし、それでいて先駆的なサウンドは、世界中からリスペクトされて当たり前である。坂本の力が強かったと言われる事の多い本作においても、細野の自己主張は、そこかしこに見えて来る。それを聞きながらニンマリしたりして。 |
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フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション/アブソリュートリー・フリー ¥1500 |
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マザーズ2作目となる本作は、どこかガレージパンクっぽい独特の匂いを漂わせつつも、ザッパらしいインプロチックな演奏が興味深い。演奏をじっくり聞くと分かるのだが、この頃のギターソロは、それこそ後の延々と続くバイオリンソロや、キーボードを主体としたロックオーケストラの趣きさえある驚愕の演奏を頭に描いたギターソロという気がする。ザッパの頭の中には、恐らく先の先。自分が目指す地平が、明確に見えていたという事なのだろう。やっぱり天才だったのか。意地になって、どうにもザッパが分からないなんて言うんじゃなかった。口先だけでも、ああ、天才だよね。くらい言っておくべきだったのかな。しかし、一旦飲み込めば、このザッパワールドは強烈な中毒性がある。安易に好きにならなくて良かった。今ならば、この途方もない情報量を飲み尽くした音楽の数々を、吟味する事ができる。恐るべしザッパ。当分、聞くな、これは。 |
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フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション/バーント・ウィーニー・サンドウィッチ ¥1700 |
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ザッパ熱未だ冷めず。今聞かないでどうするって位、盛り上がっている状態で、更にザッパを喰らう。これまた、凄い。いやあ、一度つかみ所をキチンと掴めば、このザッパの癖のある味は、極上の味わいを持つ。サウンド面での好みなど、呆気無く放り投げられ、もうザッパの世界へ深く沈み込むばかりである。本作の聞き所は、Fのシュガー・ケイン・ハリスのソロだろう。いやあ、粘っこくて、じわじわ効いてくるロングプレイ。いや、本当に何度聞いてもいいというか飽きがこない。音楽的知識が要求されるのがザッパ。そういうのは、簡単だし、事実、僕にとってザッパは、ある種の熟成期間が必要だったらしい。渋さ知らズやジャムバンドを経て、音楽の聞き取り方が広がった分だけ、ザッパの作品から溢れ出る音楽的な情報をしっかり受け止められるようになった。この作品にしても、現代音楽からロック、ジャズと縦横無尽に駆け抜ける演奏の振り幅は、驚くべき程で、一聴して好きになるのは、「音楽的嗜好」であって、これを本気で楽しもうとしたら、やっぱり音楽的鍛練が必要に思う。だからこそ、ザッパは色褪せる事なく、その刺激は持続的なのだ。ドラッグと同じである。モノに依存するのではなく、己の中にあるものを味わい尽くす。これが快楽を持続させるポイント。ザッパがドラッグ嫌いだったのも頷ける。 |
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RORO/BOAT \1100 |
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兄から聞かせて貰った時以来、Rで聞き倒して来たが、いざレコード屋で「モノ」を見れば、これは買っておかねばならぬ、と買ってしまった作品。はっきり言って、数年早過ぎたよ、この作品は。今出たら、それこそ大絶賛浴びてたかもしれない。いや、それくらいのパワーをこの作品は持っている。世界中の全ての音楽が一所に集約していったら、この作品がポコリと生まれてきそうな、そんな奇跡的な作品である。これ以上のカタルシス作れって方が無理かも、と思う程で、なるほど、バンドも解散か活動休止状態。ギターバンドとして、やることやった感があったとしても僕は、彼等を責めない。印象的にはスマパンに近いかもしれないが、この美しさは尋常ではない。最近の持論だが、飛び抜けたインストナンバーは、歌詞よりも雄弁に物事を語る。これは間違いない。フィッシュマンズの佐藤が、良い歌詞を書けないと思った分、サウンドに集中したように、このバンドもサウンドで何かを語ろうとしている。そして、その聞こえない言葉の数々が、この作品からは響いて来る。金属板に刻まれた忘れてはいけない美しい言葉の数々。ただ綺麗なだけではなく、ただ刹那的だったり、無闇に殺伐とするのでもない。ああ、この作品を言語化したい。そうしたら絶対に世界は美しく見える。疾走するギターと哀愁を帯びるキーボード。乱れ打つドラム。もう、この作品は、ある境地に辿り着いている。どれが良いなどとは言えない。全てを聞け、と言いたくなる作品。 |
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ソングス・フォー・ジェントルメン/小島麻由美 \1800 30 |
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僕はライブ盤が好きだ。どこか不完全で、勢いだけはレコードに負けていない。熱があるライブ盤は、緻密に作られたスタジオ盤以上の面白さがあると思っている。小島麻由美の本作も、スタジオ盤以上に淫らで、そそる。特に、この作品のバックの演奏は、ちょっとどうかと思うくらいに格好良い。シンプルかつつぼを押しまくった演奏。飄々とした小島の歌声を活かしつつ、自己主張するバックバンドの演奏に拍手だ。それに、楽曲もスタジオ盤のスマートさからは想像が出来ない位に激しく、腰に来る。わざと粗雑にアレンジを施した楽曲など、小島麻由美に欠けていた激しさを上手く伝える効果があり、ちょっと歌謡っぽい小島がちょっと、と思っている人は、この作品をお勧めする。実は、小島麻由美は歌謡曲なんかより、ロカビリーが好きな人だと聞いて驚いたもんだが、この作品を聞くと結構頷けたりする。奥深し、小島。 |
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日本少年/あがた森魚 \2300 |
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あがた森魚は、凄い。バックに細野やムーンライダースを従えながらも、全く動じる事なくあがたワールドを築き上げている。少年時代の少々退屈な夏休みといった雰囲気が色濃く漂う作品は、じわりじわりと味が出る。特に、細野のプロデュースが素晴らしいのか、音の一粒一粒が非常に印象的で、さすがムーンライダースと感心する。ライナーも非常に凝っていて、グリコのおまけ風の雰囲気で、音楽だけでなく、非常に多角的に楽しめる配慮がなされていて、あがたの面目躍如か。この作品が「佐藤先生〜」に繋がる一節があり、感慨深いものがあり、本当に作品を作るのに、全精力をつぎ込む彼の熱意がびっしびし伝わってくる好盤。 |
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ティンゼル・タウン・リベリオン/フランク・ザッパ \1500 |
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いきなりポップである。ふん、ザッパらしくもない。とも思うが、いや何処か変なのだ。声も変だが、演奏も変である。だがだ!B以降の展開。これは一体何だ?!正に種々雑派。転調などと言う生易しいものではない。ザッパにしか出来ない、いやザッパしかやらない究極のダイジェスト一大叙事詩。プロ野球ニュースの「今日のホームラン」どころか、一瞬にして「野球史上全てのホームラン」を見せられたような横暴さと満腹感。これがライブだなんて信じられない、というか信じたくない。メンバーがそれぞれ勝手に演奏するのではなく、指揮者が勝手にスコアを次々と変え、気侭に楽曲を変えるのに、凄腕のメンバーが黙々と指示通りの仕事をこなしているかのような壮絶な演奏。DCPRGの菊池成孔が、「軍隊に入ってみたら指揮官が狂っていたみたいな演奏」と言ったのは、正にこのアルバムを表現するのにうってつけの言葉だ。しかも、歌詞カードを見れば、このアルバムは「愛」についてを表現した作品のようでもある。そんな作品を、ここまで傍若無人にしてしまうザッパって、やはり天才である。いやいや、愛とは随分と傍若無人なのは確かなのだから。 |
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ランピィ・グレイヴィ/フランク・ザッパ \1500 |
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「大人だろ、勇気を出せよ」と歌ったのは忌野清志郎である。彼らしい言い方である。何かを知る事は、何かに臆病になるという事でもある。何かを沢山知る事は、何かを知らない事に臆病になるという事でもある。私にとって、ザッパは何時も分からない。だからこそ、聞いてしまう。妙な事になっている。人々は、ザッパを手放しで天才と称し、絶賛するのだ。こちとら音楽を聞き始めて数十年。ザッパを知りたいという気持ちは、年を追うごとに増している。いや、嫌いというのではない。「ホット・ラッツ」は、大好きな一枚だ。ただ、どうも音が嫌いなのだ。どこかチープで、妙ちくりんなキーボードの音色が苦手なのである。ところが、この作品は、面白いと思ったぞ。嬉しい。サーフィン系のギターの音から、オーケストラまで、どうにも捉え切れない全体像もザッパっぽいし。あいもかわらず捉え所がない。ただ、分からない面白さがある。何をしようとしてるんだ、これは!的な面白さ。赤ちゃんの行動が、どう出るか分からないからこそ目を離せないような不可思議な面白さ。分からないと困り果てるのではなく、わからねえぞ、こいつ的なドキドキ感が、ここにはある。もちろん、オーケストラアレンジ等は、怪獣映画みたいで良い感じ。ん〜、こうやってザッパ地獄に落とし入れられるのだろうか?ワクワクする。 |
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ROLAND KIRK / 溢れ出る涙 \1100 |
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情愛のこもった荒々しい作品。こんな作品があるとしたら、正にこの作品は、その一つと言えよう。ジャズでは、奇人扱いされる事が多い彼だが、このアルバムはタイトルが示す通り、幾ら鼻でサックスを吹こうが、ジャズという枠組みに収まらない芸能チックな演奏だろうが、洗練さばかりが耳に届く「いわゆるジャズ的な作品」以上に、高貴で美しい作品だ。自信を持って言う。Aの愛娘の声から始る愛おしい楽曲。Bでは、循環呼吸で吹き捲くり、洗練を一つの美とするのは、結構簡単だ。ピチカートしかり、フリッパーズしかり。ただ、自身をさらけ出し、それを美にするのは大変だ。この作品は、ありのままの美しさを美にする真の強さがある。僕は、そんな姿に無条件で感動する。僕のジャズへの興味を駆り立てたのは、渋さ知らズとM・ペトルチアーニと彼だ。この三つに共通するのは、気取りがない事だと思う。ただ湧き出る感情をさらけ出す音楽。僕が好きなのは、そういうものなのだろう。彼は盲目であり、容姿もエキセントリックだ。ハナ肇がレゲエのおじさんに扮装したというのが近いだろうか。ただ、彼は、そんな周囲の奇異な視線とは全く違う次元で音を鳴らす。その音は、ある種の際どさと妖しさとを含んでいる。ただ、それが彼自身であり、それを美に昇華したような作品が、これだ。時折挿入される奇怪な音も、演奏も含めて美しい。だからこそ、この作品は、多くの人に愛されるにちがいない。正に彼そのもの、といったアルバム。美しい。飾りなしで美しいから、本当に美しいのだ。 |
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KAZUTOKI'UMEZU' KIKI BAND / LAND DIZZY \1500 25 |
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おう、これこそプログレ!いや、ジャズ?ロックか?もうどうだって良い。何か笑っちゃう位に時代にマッチした作品。梅津和時という人は、空気を読み取るのが非常に上手い人だから、当然とも思えるが、これはやり過ぎだ。もう、のっけからクリムゾン。鬼怒無月のギター、早川のベースが、梅津のサックスの共振しながら暴走する。何だか目隠ししたまま全力疾走。なのに、訓練してるから、恐ろしい程直線で走り抜けたといった感じの異様さがある。メタリックな質感をサックスの生々しさが緩和しているが、クリムゾン同様、だからこそ生身の怖さがある。辛うじて新井田のドラムが正気を保っている気もしたが、後半は、既に大の男4人で狂い咲きの御様子。クリムゾンの名作「RED」にも近しい暴走感と狂気。いやあ、これこそオヤジの狂気。近寄ったらいけない。こういう大人が、やっぱり一番怖い。今の日本のジャズプレイヤーの多くは、ちょっと怖いし、頼もしい。 |
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THE TONY WILLIAMS LIFETIME/EMERGENCY \2000 |
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マイルスのバックでドラムを叩いていたトニー・ウィリアムスのソロプロジェクトの1st。何で今更だが、このアルバムをXTCのアンディ・パートリッジがフェイバリットで上げているのは知っていたが、今もっとも注目するドラマー、芳垣安洋がソロプロジェクトのアルバムタイトルに同名を使っているのを見て、これは呼ばれていると確信した上で買った次第だ。いや、これは格好良い。ジャズロックとでも言うのか。ドラムもそうなら、ベースもオルガンも炸裂しっぱなし。クールさの欠片もなし。正に渋さ知らズな演奏なのである。これを聞かせて、メデスキの新譜と言ってもファンは信じるかもしれない。それくらいハードで、いけてる。芳垣安洋が、このアルバムが好きで、タイトルに引用したかは分からない。ただ、アルバムの内容は、そんな推測を信じても全然おかしくない、ドラムが叫び回り、他のパートのアーティストを後ろから突き回り、つんのめったように駆け足の、迫力のある演奏をしている。 |
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BOZO/ BOZO 1st \2180 |
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DCPRGで、実に印象的なホーンのリフを楽しませてくれる津上研太のユニット。まあ、DCPRGの場合は、菊池さんの構成もあるのだろうけど。ただ、ハイブラスの時の津上さんは、本当に格好良い。ホーンを率いる中隊長の居住まいは、結構憧れる。さて、そんな津上の作品は、もちろんDCPRGとは違い、どちらかというとしっとりと聞かせる。じわじわと湧いてくる興奮は、バックとの息の合った掛け合いの妙にもあるのかもしれない。ここのところ、ジャズが注目されるが、実はいわゆるジャズとは違った感じの物が多く、嬉しいやら哀しいやらで、この作品は「イワユルジャズ」の形態を取りながらも聞かせる。じっくり聞かなければ見えて来ない良さというか瞬間があらゆる所に配置されているのが嬉しい。バックの外山明、水谷浩章、南博との掛け合いはジャズならでは。もっと耳を澄ませば聞こえて来るものがあるに違いない。じっくりと向き合いたい、そんな作品。 |
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Minami Hiroshi Go There!/Celestial inside \2180 |
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昨年、強烈なインパクトで、日本のジャズの魅力を突き付けてくれた南博。本当に前作は良く聞いたが、今回もやってくれた。まあ、前作よりも抑えたクールな作品だが、それでも前作で感じられた熱さは、より耳を澄まして聞けば感じられる筈だ。当然、前回からの絡みでDCPRGの菊池成孔もプロデューサーで参加。意外と「これか?」と思ったのが南博本人によるプロデュースだったりして、結構気を使ったのかな?とも思うが、意外と菊池成孔も澄んだ音色が好きだったりして、DCPRGもある一面でしかないから、まあクレジットを見て「ふむふむ」などと頷いてみたりもするのだった。それにしても、この南博Go there!は、良い!芳垣安洋のドラムは言わずもがなだが、水谷、竹野との強力な掛け合いは、相当凄いと思う。緩急兼ね備えた、何をやってもこなせる、おやじの奥深さ。良いぞ。おやじ!頑張って欲しい。 |
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エゴ・ラッピン/NIGHT FOOD \1000 |
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大きくなったなあ、というのが正直な感想。ボーカルのパワーも格段に上がって、リズムに合わせた歌いっぷりは、既にベテランの風格と言っても良い。それに加えてバックの演奏が、どっしりと腰が据わっている。前作は、どこかニューウェイヴィーな雰囲気を脱ぎ捨てられない部分が見え隠れしていたけれど、本作は、正にエゴラッピンならではのカラーが色濃く出ている。エゴ=「色彩のブルース」と言う図式も無くはないが、それ以上に貪欲に様々なスタイルを打ち出した、非常に積極的な一枚。特に、リズム、フレーズのループというテクノ、ラップ以降の音楽スタイルさえ飲み込みつつ、それをちゃんと消化しきっている所などは、今後、更に大きくなる予感をはらんでいる。更なる飛躍を期待出来る一枚。 |
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グレイトフル・デッド/イン・ザ・ダーク ¥1300 20 |
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デッドには苦い思い出がある。幼い頃に聞いた「ライブデッド」に失望した瞬間。ある種のトラウマとなった。リベンジって訳でもないが、大ヒットした曲が好きだった事もあったので、聞いてみたが、やはり今一歩の印象を拭えない。いや、悪くないのだ。ただ、じゃあこれを唯一無二と思う事が出来るかと言えば、僕には出来ない。ロックとしての吸収力とか、緩いグルーヴっちゅーのは分かるのだけれどね。デッドはいわゆる精神論じゃないのか?それであれば、まだ納得が行くのになあ。それでもねえ。やっぱりライブを見なければいけなかったのか?デッドの謎は、まだまだ続く。 |
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ソフトマシーン/7 ¥1300 |
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プログレ〜ブリティッシュジャズの系譜が面白い。躍動感とは別の面白みがあるのが面白く、変調を駆使した展開は、また別の趣きがある。この作品は、完全にオリジナルメンバーが消え、今や「アディエマス」で人気者のカール・ジェンキンスを主軸にした作品。プログレ〜ジャズ系でも、結構プログレに偏ったものがあり、本作もそれに近いかも。躍動感より変調に偏った作品。興味深い瞬間はあるが、そそりはしなかった。 |
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キング・クリムゾン/太陽と戦慄 ¥1700 |
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クリムゾンの傑作の誉れ高い一枚。かなりメタリックな路線だが、よりインプロ度が高くなっているせいか、非常に取っ付き難い作品かもしれない。名作「レッド」の方が聞き易いかも。しかし、やはり壮絶な演奏はクリムゾンならではで、他では味わえない独特の空気があり、変え難いものがある。クリムゾンに限っていえば、熱狂的なファンが多いのも頷ける。これだけメタルに近付きながら、それでもメタルにならないのは、ある種の奇跡かも。クリムゾンの中でも、それが境界線に、より近い作品である事は確か。ある種のクリムゾン試金石か? |
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lewis furey/lewis furey \1000 |
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大好きなアルバムと言われれば、このアルバムもその中の一つと言い切れる程偏愛する作品の一つ。レナード・コーエンとの親交も厚い異色シンガーの1st。何よりも、殆ど無視されているのも偏愛する一つの理由とも言えるのだけれど、この作品の神経症とも言える繊細さとデカダンスぶりは、ちょっと他に例えるものがない程オリジナリティに溢れている。シャンソンやクルト・ワイルの影響も垣間見えるが、イメージ的には、犯罪が多発している頃のニューヨークのゲイバーっぽいイメージに近いか。ただ、その退廃的な雰囲気の中に、優しさや哀しさも全てをひっくるめた穢くて綺麗なものがキラリと光っているのが、このアルバムの特徴だと思う。ピアノとバイオリンを美しく鳴らし、その繊細で壊れ易い世界を描き出している傑作中の傑作。全曲駄曲なし。デジタルリマスターされ、楽曲の美しさが一層際立っています。 |
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NEW MUSIK/WARP \1000 |
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トニー・マンスフィールドのテクノポップユニット幻の3作目。デビュー作は、これぞテクノポップと言って良い美しい作品だったが、この3作目は、YMOの影響を強く受け、独特のリズムを強めた作品。発売当初は殆ど話題にもならなかったらしいが、今聞くとこれがなかなか斬新というか、今だからこそ受け入れられる作品じゃないだろうか?1STのイメージで聞いても十分楽しめるが、それ以上にトーキングへッズなど、アフリカのリズムに傾倒していった流れと、ライヒなどミニマルミュージックの流れに影響を受けて作ったというだけあって、かなり刺激的な作品になっている。クラフトワークからアフリカ・バンバータ、そしてデトロイトテクノ〜ファンカデリックなど、近頃注目されるダンスミュージックとのミッシングリンクの中の一作品として見ても面白いかもしれない。もちろん電子音楽でありながらエヴァーグリーンな清清しさを感じさせるデビュー作を越える作品と言うつもりはないが、それでもやはりニューミュージック。非常に優れたポップアルバムであり、評価に値する作品である。ビートルズの「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」をカヴァー。オリジナルよりも哀愁と切なさがあり、かなり好き。機械が愛を唱える切なさか?ついつい深読みさせる素晴らしい作品。 |
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CORNERSHOP/HANDCREAM FOR A GENERATION \1200 15 |
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UKエイジアンポップの雄と言えば、このバンド。独特のインド系のグルーヴとブリットポップの風味が微妙なニュアンスが印象的なバンドだった。ところがどっこい、今回のは、そういった特殊なカラーを出す事なく意外にも格好良いと素直に思える作品である。作品全体が有象無象のクラブミュージックを取り込もうとしたかのような野心的な作品と言えば良いのか?R&Bからテクノっぽい曲など、色とりどりで、しかも完成度も相当高い。決して流行りものとして模倣しているのではなく、かなり本格的な作りになっているのに驚く。しかも、シングルカットされた「ロッキーに学べ!」にいたっては、かの有名映画「ロッキー1〜3」を題材に「膨張したゴミのような存在」と言い切るユーモア感覚にも拍手。しかも、この曲がR・ストーンズにも負けないロックンロールナンバーと来たら、ゲラゲラ笑いながらの拍手しかないでしょう。まさか、彼等がこんな痛快な作品を作るとは思わなかった。プライマル・スクリームの「ロックス」以上に痛快。いやあ、結構侮れないバンドかもしれない。 |
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HENRI SALVADOR / PERFORMANCE \1500 |
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小粋な爺さんの、小粋なパフォーマンスといった趣の一枚。何が楽しみと言って、期待のギタリスト、ビレリ・ラグレーンがゲスト参加していること。アンリさんは、フランスでは有名なおじいさんらしく、決して歌が上手いとは言えないが、やはり引きつける熟練の妙がある。シャンソンにも似た、語りに近い歌から、バックに迫力のあるホーンと巧みに絡み合いながら歌う、ビックバンドジャズの醍醐味たっぷりの作品まで。こういうのはライブで見たら楽しいのだろうなあ、という空気がびしびし伝わってくる。肝心のビレリの演奏は、極めて地味ではあるが、それでも楽しめた一枚。 |
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ALBERT AYLER / LIVE IN GREENWICH VILLAGE \1500 |
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インパルスは、一体どれくらいの貴重音源を持っているのだろう?コルトレーンの一連の未発表音源をリリースし、ファンを狂喜させるインパルスから、またもやびっくり作品の登場だ。曲順も全く違い、しかも楽曲が多数追加された興奮の2枚組。アイラーのこのアルバムは、渋さ知らズと非常に近しいものを感じる。恐らく影響を受けていると思うが、何処の国とも分類出来ない、ジャンルも特定出来ない。でも、どこかで聴いた事があるような、郷愁を掻き立てられるような作品である。強いて挙げればチンドン屋に近いかもしれない。リズムもメロディもアナーキーでありながら、聴けば、何故か楽曲として成立している。コルトレーンのラストライブが完全主義者の混沌とすれば、アイラーの本作は、天然に近いフリーさを感じる。どちらも良いです。もう一つ言えば、前者が衝撃ならば、本作は和みます。うん、なんだか知らないけれど、夕方にチャルメラが町の雑踏と被さったような感触。アイラーのアルトサックスの響きがたまりません。 |
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ELIS RESINA/COMO&PORQUE \1500 |
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ブラジルの国民的シンガー、エリスの通称「麦わら帽子」。彼女の代表作にも数えられる一枚だ。ある時はサンバ、ある時はボサノヴァと多種多様のジャンルを歌いこなす彼女だが、この頃の作品はバックも充実していて歌い手としての凄みよりも、作品としての完成度が異様に高い気がする。とにかく楽曲が良い。そして歌が良い。素直で爽快で、歌う事が楽しくてしょうがない、といった彼女の感情がストレートに伝わって来るという意味では、本作も変わりない魅力がある。 |
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RAPHAEL SAADIQ / INSTANT VINTAGE \1500 |
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この前、テレビで「今のアメリカのR&Bは、70年代のサウンドを最新機器で如何に再生、進展させるかが命題になっている気がする」と言っていたが、本当にそうかもしれないと思う。特に、このトニー・トニー・トニーのメンバーであった彼の作品は、70年代のソウル、フィリー辺りを意識しているかもしれない。 |
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EAST BAY RHYTHM / A LITTLE LOVE WILL HELP \1500 10 |
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結局ね、フュージョンっぽいのって駄目なのよ、と改めて実感したのみ。もう少し熱いのが好きなので。 |
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XTC/SKY LARKING \1100 |
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もうXTCは終わったね、などと言いつつも、時折聞いてはポップだなあなどと思う。それにしても久々に聞いた本作の美しさは、びっくりした。いや色褪せないどころか輝きを失っていない。ましてやデジタルリマスタリング盤という事で、彼等の屈折したベースラインやドラミング、それにトット・ラングレンの職人芸があいまって美しい音楽世界が広がっている。いやあ息呑むよ、これは。当時、このアルバムは大事件でポップ界の巨人が共演する夢の企画で、凄い騒ぎだったのだ。その共演は、大喧嘩と決裂という想像通りの結末を迎えるが、その葛藤が想像出来ないくらいの素晴らしい作品となった訳だ。牧歌的で美しく、そして何処にもない桃源郷を思い描く程、美しい音世界。アンディだけでなく、C・ムールディングの楽曲も冴えまくり、駄曲なしの強烈なポップワールド。偏屈な者同士が作ったポップ異世界は、今もじっくり堪能するに値する一枚。是非ともリマスタリング、紙ジャケを買うべし。 |
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PREFAB SPROUT/THE GUNMAN AND OTHER STORIES \1500 |
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プリファブに関しては客観的になれない。80年代のギターポップが持っていた爽快感と繊細さを未だに持っているプリファブは、やっぱり聞けば、この叙情的なメロにやられる。感傷的だろうとなんだろうと、高校時代や大学時代のすっぱい感じが蘇るんだからしょうがない。なんだ、この美しさは!前作「アンドロメダハイツ」もやられたが、とにかく、これだけ今美しい旋律をナチュラルに奏でられる世捨て人パディは、ずっと天然記念物のように汚れなく音楽活動を続けて欲しい。そう祈らずにはいられない。ただ、今回の作品は、アメリカンミュージックを巧みにアレンジしていて、プリファブ色を保ちつつも、ちょっと毛色の違う作品になっている。ちょっとAORっぽい楽曲もあったりして面白い。もちろん、プリファブらしさを損なう事なんてありっこない。繊細で、ちょっと拳が回っていて、その巧みなメロディセンスは相変わらずだ。ああ、胸が締め付けられる!たまりません。 |
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MANO NEGRA /パチンコ地獄 ¥900 |
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個人的な話だが、自覚的な一生懸命が嫌いである。それを表に出してアピールする姿が嫌いと言うと分かってもらえるだろうか?好きなのは、一生懸命を表に出さないで飄々としている人。例えば奥田民生のような人。もしくは一生懸命というのを自覚しないでがむしゃらな人。売れる前の竹中直人のような人。マヌー・チャオ率いるマノネグラは、後者である。いやいや、ほんとに呆れる位にがむしゃらなライブ盤で息付く暇もない。歌い、叫び、暴れ回っているのが音から聞こえてくる。初期のブルー・ハーツもかくやと思う程の3分足らずの楽曲の全力疾走。演奏もパンクにしては本格的で様々なリズムに色とりどりのホーンが素晴らしい。小気味良いとはこういう事で、分別の欠片も感じさせない演奏には、思わず聞いている内に汗が出て来るくらいだ。シニカルになるのもつまらんな、と自然と思える「がむしゃら」の説得力が滲み出る一枚。 |
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SHAKIRA/LAUNDRY SERVICE \1100 |
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ラテン。ねちっこい。下世話。全てこれからは褒め言葉になるかもしれない。とにかく油ギッシュ。オシャレとか洗練というのとは違う、一つの価値観がここにある。そしてもう一つ、哀愁。これである。かつてイギリスの音楽にそれを見つけ憧れ続けた哀愁は、今南米のサウダージの中にある。ライナーにシャキーラがキュアーを聞いていたと語っているのも、あながち偶然ではないのではないか?イギリスの哀愁を感じさせるキュアーが何故南米で人気があるのか不思議でもあったが、通じる感覚があるのかもしれない。何曲かキュアーの片鱗を伺わせる曲があるのも個人的には嬉しい。ロックが下世話な芸能であった時の雰囲気がプンプンしているのも良い。そう、ロックは世界と対峙する前に、皆の周りにある煩わしい現実を蹴散らす力を持っていた筈だ。そのパワーが、今アメリカやイギリス以外のロックを通り抜けたワールドミュージックの中にある気がしてならない。そんな予感を信じれる力が、この作品にはある。 |
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MOEBIUS-PLANK-MEUMEIER/ZERO SET \1600 |
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ドイツの音楽っちゅーのは、よーわからん。これはアメリカやイギリスの音楽に洗脳された多くのロックファンの本音じゃないだろうか?ノイ!などもそうだし、CANなんていうのも、聞き手がきっちりとキャッチできないというのが本音じゃないだろうか?テクノが盛り上がってから、徐々にドイツのポストロック的な作品は、数多く流出する訳だけれど、その中でも、取り分け聞きたかったのが、このアルバム。ケン・イシイや石野卓球も絶賛したアルバムである。正直びびります。83年の作品とは思えぬ突抜け方。こんなもん80年代に聞いても恐らく訳分からなかっただろうと思うし、ドイツのソーセージ野郎達は隠れてこんなもん聞いてたのか!と度胆抜かれる事必至。チープな電子音に、アフリカっぽいリズムといい、これはびびる。音の扱いというか、成り立ちが複雑怪奇であり、世間でいう現代音楽のイメージは、こうじゃないか?と思う。一際輝く一枚とは言わない。ただ、一つの音楽形態として非常に興味をそそられる一枚です。 |
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OST / COWBOY BEBOP VITAMINLESS \300 |
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一時期、アニメ界だけでなく、音楽界をも驚愕させたミュージシャン、菅野よう子のかなりジャジーに迫ったサントラ。注目は、ラストに収録されている菊地成孔が参加した楽曲で、彼の歌心あふれるサックスが楽しめる。ただ、多少遊び心が過ぎているのか、やっぱり珍品の域を出ていないというのが正直な感想。同じ「カウボーイ・ビバップ」の中でも「BLUE」が持っていた衝撃度に比べると、少々落ちる。 |
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FRA LIPPO LIPPI / LIGHT AND SHADE \950 |
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80年代の密やかに咲いたポップ界の日影デュオの作品。実は、この人達の楽曲で凄く好きな曲があるのだけれど、それだけが見つからない。それが残念。ただ、この作品、実はスティーリー・ダンのウォルター・ベッカーがプロデュースというおまけがついていて、彼らの作品にしてはフュージョン色が強い。それがとても残念だったりするのだが、北欧のポップスというのは、実は繊細で良いものが多いというのは、ひょっとしたら彼らから始まっているのでは?などと思った。 |
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PASCAL COMELADE / HAIKUS DE PIANOS \950 |
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おもちゃ箱をひっくり返したみたいな音で、いつも気になるアーティスト、パスカルの作品。この作品ではニーノ・ロータなどの名曲からオリジナルまで、沢山の愛すべき2分弱の楽曲を集めた小品集。だめな人は駄目。気にいる人は気にいるというのが、このアーティストの特徴で、未だに大人になりきれないモラトリアムな人が偏愛するミルハウザーの小説のような世界だ。どこかおかしくて、どこか哀しげ。脳天気なピーカンではなくて、薄ぼんやりとした厚い雲の隙間から差し込む一本の光の筋のようだ。得意のトイピアノの音が非常に印象的で、ラグタイムピアノやトイピアノの音が聞こえてくるだけで、簡単に心の琴線が揺さぶられてしまう僕には、満足が行く作品。こういった音楽的傾向を持っている人は是非、この人の作品を聴いてみて欲しい。 |
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SHARON SHANNON&FRIENDS / THE DIAMOND MOUNTAIN SESSIONS \1250 |
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2003年新年一発目は、八王子でブックオフ巡りで購入。旧譜ではあるが、これは素晴らしい。久々にアイルランド民謡の素晴らしいアルバムに当ったという感じ。シャロン・シャノンはアコーディオン奏者で、美貌も知られた才色兼備のアーティスト。ちょっと前にも来日して評判にもなっていたが、この人、凄く情緒豊かなアルバムを作る。アイリッシュトラッドのアルバムは、何処かストイックな堅苦しい所も感じる時があるが、このアルバムは、むしろその豊かな感情を一杯に詰め込んだ素晴らしいアルバムだ。全体の印象が非常にポップという意味ではアイリッシュ初心者にもお勧めの一枚。ジャクソン・ブラウン、スティーヴ・アール、カルロス・ヌニョス等ゲストを呼んで作られた作品は彩り鮮やかで飽きる事がない。しかも、どこか行儀が悪いというか、楽しんでいる雰囲気が伝わる。歌ものが多いのも嬉しいが、何よりアイリッシュトラッドの楽しい雰囲気が伝わって来る。個人的にはA「ゴールウェイ・ガール」のいなせな感じや、意外にもインストの美しくもポップな作品が楽しめた。 |