ムード歌謡でも歌ってれば・・・

〜ほんと下の世代には迷惑な話。メッセージはメロディのオリジナルラブについて〜

例えば、僕が中学の頃なんてロック好きとヘヴィメタ好きというのは分かれていた。洋楽好きと周囲から見れば同じじゃんと思っても、この二つの嗜好には大きな大きな溝があったものだ。それに日本のオリコンチャートとかとマイナーなバンドの区分けがあった。まあ言ってみれば音楽の冷戦構造があった。でも、やってる事は良く考えれば、殆ど同じだったりしたんだなあ、と思うのである。

ちょっと脱線すれば民主主義も共産主義もやってる事は余り変わらなかったと言う人が居る。そう民主主義で企業がやってた事を、共産主義は国家がやっていただけの話だ。企業の汚職も国会議員の汚職も根本は変わらない。今のアメリカは、対抗勢力がいない事で迷走しているという話もある。

今の音楽もそうである。ヘヴィメタルは自滅し、ロック一つに収斂してしまった感がある。一体自分の気に入った音楽の批判を受ける人がいるのか?高校や大学の時にあった、お前らの音楽はヘナチョコだ、とか、お前らの音楽は笑ってしまう、何で長髪なんだよ。等、そういう批判に晒されながら、何処かで自分の音楽を客観的に見る事が出来たような気もするのだが、それも昔の話である。

所詮対抗馬があることで人は客観的に物事を見れるのかもしれない。ソ連やアメリカと同様、大企業も独裁者も何でも対抗馬が居ない事は不幸な事に違いない。

で、音楽もそうなのである。今のユースカルチャーとしての音楽が大きなうねりを作れないのは対抗馬が居ないからかもしれない。等とオリジナルラブのボックスを聴いていて、ふと思ってしまった。オリラブも10年である。既にベテランに近い活動をしながら、年老いるどころか益々勢いづいている。当然、ロックとか声高に叫んでいるのだから、そうそう年老いる訳にはいかないだろうが、これから出てくるロックバンドにしてみれば良い迷惑なのである。

オリジナルラブも、デビュー時の色男ぶりはすっかり影を潜め、長髪だけがちょっと変なガハガハ笑うハナ肇みたいなキャラになってしまった。以前「モグラネグラ」という番組で「輸入盤って女性器の匂いがするんだよね」とガハガハ笑いながら言って、当時司会者だった鈴木杏樹に嫌な顔されてたのは、すでにその兆候があったけれど。

ただ、ここの所の彼の活動は、ある種の円熟期を向かえている。ロックンロールを追求するんだ、とか言いながら、今まで辿ってきた音楽遍歴の集大成とも言える幅の広い音楽を奏で、表現欲求に忠実なキナ臭い音楽を演っている。

こういう人は性質が悪い。そろそろ落ち着いて来てしっとりムード歌謡のような事をしていた方が音楽全体から見れば良いに違いない。余りにも刺激的で、テクノまで吸収して自分の物にしている彼の活動を、若い人が「オリジナルラブ?彼奴はすっかり年老いてしまったよ。糞だね」とか言えないじゃないか。

大人は大人で対抗勢力になるべきなのかもしれない。じゃないと新しい風はやって来ない気がする。若い奴等が可哀想な気さえするのだ。そんな事を思う程、オリジナルラブは、人気は落ちても凄い事をやっているのだ。