渋さ知らズの人々

 狂っている人、と言うのがいるとすれば(もちろん良い意味での)、僕は、渋さ知らズくらい、そんな人達がいるバンドを見たことがない。ロックの人なんて、真面目な方だと思う。一杯飲み屋でくだをまいているような人が、突如、格好良いサックスソロを吹きまくる瞬間の驚き。そんな感じだろうか?ましてや、40歳も過ぎようか?というような人が、妖しげなライブハウスで、楽しむだけに音楽をやっているということ、それこそ何だか凄い事のような気がする。有名になってやろう、とか、もてたい、と言った普通の音楽をやる動機とは全く別の動機。「気持ちよくなりたい」と言う動機しか見つからないのだ。自らの快楽の為に音楽を貪る人々を紹介するページです。ドンドン増えます。

不破大輔

 渋さ知らズのダンドリスト。であり、ベーシストである方。とにかく、渋さ知らズという大所帯バンドを仕切るのは大変だと思う。40人もいるかというバンドで、しかも、一癖も二癖もあるような人達を束ねていくのですから。それだけでも、大変だろう。

 渋さの椿三十朗!(これだよね、ririkoさん!)

 しかし、この人のベースは凄い事になっている。僕はエレキベースの不破大輔と言うのを、結構楽しみにしていて、普段は大概ウッドベースですが、エレキの不破と言うのも病みつきになる。太い指から出てくる太い音は、決して綺麗な音ではないと思う。しかし、そのノイズの入り具合が、淫靡なのだ。現代タンゴの巨匠アストルピアソラの演奏が、微妙なノイズによって妖しげな魅力を作り出すように、不破大輔のベースも、微妙に入り込むノイズに魅力があると僕は思っている。

片山広明

 渋さ知らズの数多いホーンの中でも、中心にいると言って良いのが、この片山広明。まあ、知らない方にはRCサクセションのバックもやっていた、と言って置くが、そんな前書きはいらない人です。はじめて見たとき、ステージ上で、ほろ酔い気分で、完全に単なる「おっさん」と化していて、ビックリしたのですが、サックスさえ吹き出せば、それこそ屈指のサックスプレイヤーに変身します。清志朗が「こんな人が格好言い音を吹き鳴らす。正に音楽のマジックだ」と言ったのは頷けます。この人がソロを取ると、一気に演奏が締まる。それは正にマジックと言えるでしょう。

大沼志郎

 不破大輔と別ユニット「フェダイン」もやっている名ドラマー。とにかく、JAZZの元締めと言えるリズム隊の土台を堅固なものにしている、渋さ知らズの学級委員長なのではないか?と私は思っている。無表情なのが妖しい。知り合いに言わせると「意外とハンサム」。とにかく、この人の無駄のない、実に効果的な、おかずの入れ方が大好きです。レコードで聴いてみても、ドラムだけ追っかけていくと段々熱くなれます。大オーケストラでは、ドラムが数人いるので、なかなか魅力を初めは実感出来ないかもしれませんが、その実力は「渋さチビズ」や「フェダイン」を見てもらっても良いでしょう。

渋谷毅

 正直な話、僕は、この人がバリバリ演奏しているところを見たことがありません。しかし、存在感は抜群です。特にハモンドオルガンのソロの時の妖しさは、正に渋さ知らズの持つアングラ的イメージを全開にしてくれます。いつも、何か深いことを考えているような感じでステージ横でタバコをくゆらしている。その姿を見ると、何だか渋さを見に来たな、と実感できるのは、この人の存在感故か?渋さ知らズの長老と言う感じ。

 ちなみに小沢健二、小川美潮、木村充輝との共演。自ら渋谷毅オーケストラでも活躍中。

北陽一朗

 私が個人的に支持しているトランペッター。吹きまくる弁護士。「渚の男」という曲などでラテン調のソロなどをやると滅茶苦茶格好良い。不破大輔の指揮の元、サブリーダー的存在として良い仕事をしていると思う。名脇役と言うと失礼だろうか?色々と小技をライブの時は出していて、結構注目して見ると面白い。2本ペットを加えて吹いたり、不破さんのいないときは、ホーンを巧くアレンジしたりしていると、勝手に思っています。

 川下直広

 別ユニット「フェダイン」のサックスプレイヤーでもある。本当に器用な人で、バイオリンをやったりもします。音的には繊細かつダイナミック。片山の豪快さと、林栄一の繊細さを合わせ持つ人と言って良いかもしれない。ライブ中は、正に沈思黙考というか、自らのスタンスを守りつつ、演奏をする姿勢は、正に一般の人が持っているジャズに対する姿勢を持っている。渋さ知らズの哲人と言う感じ。

勝井祐二

 この人のフィールドも広い。エレクトリックバイオリンを操る渋さの浅野忠信。とにかくルックスでは渋さ一だろう。まあ、それは良いにしても、羅針盤での活動、まぼろしの世界、ジムオルークのバック、など活動範囲の広さでも渋さの中でも随一。おとなしそうにステージの端で黙々と演奏する姿は、正に孤高の人と言う感じさえ漂っている。しかし、一端ソロを取ると、その激しさに驚く事請け合い。とにかく、渋さをレンジの広いバンドにしている貢献者の一人である。

太田豊

 僕が見始めた時は、未だ「その他大勢」の中の一人と言う感じだったが、最近メキメキ力を付けて、かなりの腕前になったサックスプレイヤー。正に渋さの「めがねくん」(よく意味が分からないけど)。とにかく場数を踏んだせいかフリーキーな良い音を出すようになってから顔つきも変わって、サックス隊を引っ張れるだけの力が付いたと思う。特にソロでは、完全に自分の世界に入りきるトランス能力に長けているという印象が強い。しかし、それ以外の時は周りに気を配る好青年。(好き勝手言ってる)

早川岳晴

 清志朗などでお馴染みのベーシスト。この人が見れるのは大オーケストラの時だけと言う印象があるが、そうなのだろうか?不破大輔のベースがジャズ的な図太いベースとすると、この人のエレキベースは、やはりロック的な硬質感のある太いベースと言う気がする。とにかく、ベースソロとかを聴くと、その音は確かにロック的な香りが僕にはする。そして、それこそが大オーケストラの時の醍醐味、音楽の雑種天国を作り上げているという気がするのだ。不破大輔には出せない音が、この人にはハッキリとあって、凄く好き。渋さの高僧。

吉田隆一

 正に、現代的なキレルバリトンサックス。この人がソロを取っているときの片山広明の呆気にとられた顔を見るのが、僕は結構好きだ。渋さ位の大人数になると、自己主張したもの勝ちと言うところがあるが、数多い「アクの強い人」達の中でも、3本指に入る存在感だと思う。バリトン独特の重低音を巧みに使った「いっちゃっている」ソロは必聴。その暴れん坊ぶりは見ていて不思議と小気味良い。正に、渋さの暴れん坊将軍、もしくは、バタフライナイフ。

吉岡みどり

 男臭い渋さ知らズにあって、その可憐さによって、場を和ませてくれるサックス兼ボーカリスト。サックスとしての存在感は、やはり女性らしさもあってか、余り無いが、名曲「DA DA DA」(渋さのライブの中で心を和ませてくれる瞬間)でのボーカリストぶりは、意外な魅力。決して巧いとまでは言わないが、その穏やかさは、渋さにあって貴重な存在だと思う。渋さの「掃き溜めの鶴」

反町鬼朗

 渋さのライブで、かなりの見せ場となっている「天城越え」のカヴァーで一躍存在感を倍増させたボーカリスト。元々、存在感はあったのだけれど、「天城越え」によって、その地位を確固たるものにしたと言える。絶唱するときの、正に血管がぶちきれそうな顔は、いちげんさんにはインパクトが強すぎるかもしれないが、時に歌詞を忘れたりプリティな一面を覗かせる。渋さの、その名の通り「鬼」

戻る