楽しみの方程式

 とりあえず、私が、このHPを作るにあたってモットーのようなものを遅ればせながら書きたいと、急に勝手に突然に思ったので書こうと思いました。

 私のモットーは「何でも楽しめ!」です。

 それなりの好奇心と探求心。これさえあればOKです。アニメも落語もジャズもF1も何でも楽しめた方が徳じゃん!と思ったのは大学生の時でした。色々な人に会って、色々な話をしている内に自然と、こう思ったのです。

 で、ここで一つの話をしようと思います。めちゃめちゃ暇な人、読んでね。

 この文章を読んでいる人で、プロレスが好きな人は読んでも余り意味が無いかもしれません。そうでない方。貴方の為に、私はこの文章を書いてます。

 辰吉丈一郎がタイトルマッチの後のインタビューで、こんな事を言ってました。「良い試合を見せられなくてすみません。今度は良い作品を作ります」

 これは、非常に面白い発言です。この言葉は、プロレスラーが口にしそうな話だなあ、と僕は思いました。

 というのも、プロレスは起源が演劇と同じなのです。これが一つ目のポイントです。青山の円形劇場というのがあります。丸いステージと言えば思い浮かぶモノがあるでしょう。そう、ギリシャの円形のコロッセアムですよ。

 これは、とある演劇評論家が言っていたのですが、その人は、ある年の演劇ベスト10で「アジャコング対ブル中野 髪切りデスマッチ」を上げていたのです。私も「ふざけてんのか、この人は」と思いました。

 しかし、これはプロレスと演劇が、ギリシャ時代の本気の殺し合いから始まったことに根拠をおいた真面目な話だったのです。

 もともと、奴隷に殺し合いをやらせて、それを見て楽しむモノだった格闘技は、その後パンクラチオンという純粋な格闘技となります。そして、もう一方で演劇が生まれました。

 要は、演劇が常に安定した面白さを提供するストーリーを作ったのと、格闘技がストーリーを作らず、偶発性に、ある程度まかせた形を作ったと考えると良いかもしれません。(実際、メキシコのルチャリブレというプロレスは、悪役が地主、マスクマンは民衆の味方という暗黙の了解があって、マスクマンが勝つと民衆が喜ぶという非常に演劇のニュアンスが強いモノもあります)

 つまり、見せると言うことを他のスポーツよりも余計に意識したスポーツがプロレスと言えるかもしれません。(野田秀樹の芝居とJrヘヴィーの試合が見た目似ていると思うのは、僕の考え過ぎでしょうか?)

 辰吉の発言はどうでしょう?彼はボクシングで、その「見せる」を実現させようとしていたと言えるのではないでしょうか?基本的にボクシングは、相手の攻撃を受けずに相手を倒すことを主目的にしているにもかかわらず、辰吉は、試合を見せると言う主眼から考えていたのです。これは正にプロレス的発想です。

 二つ目に言えることは、プロレスというのが非常に想像力・記憶力を要するスポーツであると言うことです。先日の前田日明の引退試合でを書いた記事で「プロレスは記憶力のスポーツだ」という発言がありました。これは前田日明という存在が辿った道を振り返りながら、前田の試合を見るという行為は非常に贅沢な楽しみであることを教えてくれます。

 つまり、見ている側が脚本を作り出す。そういう見方をするのがプロレスです。ある程度過去の試合や活動から素材やヒントが与えられます。それを集めて、観客が試合を見ながらストーリーを紡ぎ出す。それこそがプロレスの醍醐味と言えるでしょう。だからこそ「週刊プロレス」のようなプロレス雑誌は売れる。あれこそが見る前に仕入れとくべき情報と素材を提供してくれるからです。

 彼が新日本プロレスに反旗を翻した事。真剣試合を常に求め、プロレスの枠を超えて最強というものを探し求めたこと。その紆余曲折の歩みを振り返りながら見るからこそ、前田日明の技の一つ一つが面白い。

 三つ目は、演劇において演出家がよく「役者の良いところを全て引き出したい」なんて事を聞いた事があるでしょうか?つまりは、演劇の稽古というのも結局は役者の良いところを引き出しつつ、作品を固めていくと言うことなのだと思います。例えば、つかこうへいの作品には戯曲は存在しません。ストーリーとかが決まっていて、役者に指導しながら固めていく。それぞれの役者に合った台詞を稽古の中で固めていくと言うことなのでしょう。

 さて、プロレスを演劇と仮定して、レスラーの良いところを出していくとするなら、それはどういう事でしょうか?

 そう、得意技とかを全部見せることです。

 プロレスというのは面白いもので勝てば良いってもんじゃありません。野球なんかでもPL対日大山形のように大差のついた試合というのは面白くもありません。プロレスは見られると言うことを意識しているスポーツである以上、相手の良いところを引き出して、更に勝つ。これこそが見せるスポーツの最高の勝ち方なのです。

 つまりは相手の技を受けずに勝つというのは、純粋なスポーツでは理想です。しかし、プロレスは、あくまでも相手の技を受けて、なおかつ勝つ、と言うことに意義がある。試合を一つの作品と考えるならば、そうすることで試合は面白くなり、勝ったレスラーは、良い試合を見せる強いレスラーと認識されるのです。

 だからこそ、プロレスを良く知らない人は、相手の技を敢えて受けている所を見て、いかさまだ、と言うのです。

 これで少しは分かったでしょうか?プロレスには楽しみ方があると言うことが。(こういう事は、何もプロレスに限った事ではありません)

 つまり、プロレスの楽しみ方を知っていれば、それを知らない人よりは楽しめる訳です。それは数学で言う方程式のようなモノかもしれません。その方程式を知らなければ答えられない問題があるように、その方程式を知らなければ楽しめない事も多いのです。

 つまりは、この楽しむ為の方程式を探そう、というのが僕の目論見になったのです。それさえ分かれば、色々なものがより楽しめる筈なのです。

 知識は力なり、と言われます。しかし、そうではなくて知識は楽しさだ、と僕は思っています。しょうもないこと、真面目なこと全てが楽しさに変わるのです。

 それはワクワクするような事なのです。そういう方程式が見つかるようなHPを作りたいなあと僕は思っているのです。

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