中絶問題について

 

 先日、朝日新聞で短期連載されている「ネットが変える犯罪」と言う記事に次のような記事が掲載されました。

「ニュルンベルグ・ファイル」人狙うホームページ

 このファイル名は、第二次世界大戦後にドイツの戦犯を裁いた場所の地名でだそうです。で、どういうページかと言うと、1993年以降、妊娠中絶手術を施した医師らの顔写真、住所、車のナンバーなどが載っているらしい。

 これによって、バーネット・スレピアン医師が、去年10月23日、自宅台所に居るところを銃撃され殺されたらしい。随分物騒な話である。

 しかし、中絶問題は、アメリカでは深刻な問題である。日本では「朱美がさあ、出来ちゃってえ、ちょっとカンパ集めてんだけどお」なんて、長いスカートのお姉ちゃんに言われているような簡単な問題ではないのです。(中学の頃は、こういう事って簡単な問題じゃないけど、中絶と言う事に関して言えばね)

 アメリカは、キリスト教の国ですから、とりあえず中絶に関しては、かなり反対の意見もある。

 実際、全米で中絶が法的に認められたのは1973年の事なのです。

 これは意外でしょう。

 「ロウ対ウェイド」と言われる訴訟が、そのきっかけでした。1970年に強姦され、妊娠したジェーンロウさんが、ハルフォード医師の診療所で中絶手術を受けます。ところが、テキサス州法では、1857年に制定された「母体の安全が脅かされる場合以外の中絶を認めない」と言う法を適応し、ハルフォード医師が重罪に処されました。それに対して、ジェーンロウが、ウェイド地方検事を相手取り訴訟を起こしたのです。

 最高裁は、中絶を禁止するテキサス州法を個人の権利を侵害すると言う事で違憲とし、ハルフォード医師は無罪。これが「ロウ対ウェイド」の顛末で、中絶が全米で合法とされる歴史的判決でした。

 当然、中絶反対派というのは、保守派が多いわけで、もちろん選挙があるときには必ずと言って良いほど、この問題は浮上してくる。いわゆる、中絶反対の立場をとる人はプロ・ライフ派といわれ、妊娠した女性が中絶出来る選択を残しておくべきだというプロ・チョイス派が、それに対抗しています。

 さて、問題となっているのは、もちろんプロ・ライフ派の皆さんです。これらの方は、過激な人も多く、中絶を行う病院の前でピケを貼って、入っていく女性達に説得を試みる、と言う随分な方法をとったりしています。入る女性にしてみると随分迷惑な話です。で、最近では過激さを増し、殺傷事件さえ起きています。94年には、ミシシッピー州の中絶医が、マイアミで殺害。同年、マサチューセッツ州の診療所にセミオートライフルを持った男が乱入、2人を殺害。5人に重軽傷を負わせるという事件が起こっています。

 こう言った、中絶実施病院で起こる医師に対する暴力は、1990年には全米で90件、91年には110件、92年には200件、93年には270件と激増してます。犯人が、元長老派の牧師だったというショッキングな事件さえあるのです。

 最近では、中絶実施医院の入り口に、金属探知器を設置したり、警備員を配置したりと言った事が、ごく普通になされている。そういう現状があるそうです。

 さて、この中絶問題を扱うと言うことは、実は、その裏側にキリスト教原理主義があったり、KKKなどの超保守派の過激派がいたりするのですが、これはじっくりと書いていきます。

 そろそろ、大統領選挙の予備選挙が始まります。そうなってくると、保守の動きなどが注目されてくると思います。キーワードは保守と、キリスト教連合。

 その話は、また。