読んだ本を紹介するページです。漫画、小説、なんでもありです。


 「禁じられた死体の世界」 布施英利 著 青春文庫

著者は東京芸大大学院で芸術学を学んだ後、東大医学部の養老孟司研究室で解剖学を学んだ、という経歴の人物。

簡単に言えば、死体に関してのエッセー、なのだが、死体をテーマとした本って世の中にどれぐらいあるんだろうか。

医学部学生向けの本ならいろいろあるのだろうが、一般向けの物はどうだろうか。作者名は忘れたが、角川から

「死体は語る」というタイトルの本がでていたが死体を通して犯罪事件を語るという法医学的内容で、死体そのものを

テーマにした物とは違っていた。医学部学生向けの本も死体そのものをテーマとしているわけじゃないだろうから、

この本みたいな物はあまりないんじゃないだろうか。

人間は、というか生物はいつか必ず死ぬ。そして死体となる。そうすると生物にとって、死体とはある意味

身近な物とも言える。しかし、人間の社会では死体はできるだけ隠されている。僕が実際にこの目で見たことがある

死体は、じいさまとばあさまだけだ。

 

 「六番目の小夜子」 恩田陸 著 新潮文庫

恩田陸のデビュー作であり、日本ファンタジー大賞候補作。なのだが、これは後にでた加筆訂正版。

オリジナルを読んでいないので、具体的にどこがどう変わっているのかはわからない。

舞台は地方の名門高校。この学校には奇妙な伝統があった。それは、「小夜子」と呼ばれ、毎年の三年生に

引き継がれていく。「小夜子」の役目はただ一つ、三年に一度、文化祭の折りに一人芝居をやること。

誰がいつ始めたかわからないこの「小夜子」は様々な伝説を身にまといながら続いていった。

そして六番目の「小夜子」の年、物語は始まる。

とても面白かったが何か変わった小説。ファンタジーっぽくもあり、ホラーっぽくもあり、ミステリーっぽくもあり、

また青春小説っぽくもある。抑制の利いた文体と相まってなんだか中途半端な作品と言えなくもない。

明確なジャンル分けがしづらい作品なので致し方ないが。

あとがきによると、オリジナルの「六番目の小夜子」は衝動的に三週間ばかりで書き上げた物だそうだ。

デビュー作にはその作家のすべてが詰まっていると言うが、こうした経緯を考えるとなおのことこの作品には

恩田陸のすべてが詰まっていると言えそうだ。

 

 「八月の降霊会」 若竹七実 著 角川文庫

若竹作品は「僕のミステリな日常」「幻想迷夢」に続いてこれが三冊目。今の作家の中では割とちゃんとした

ミステリを書く人だと思うのだが、どことなく、あっさりした印象を読後に受けていた。ミステリとしては一ひねり

あるし文体のせいか思っていたのだが、今回のは既読の二冊とは趣が変わっていた。前の二冊は連作短編、今回のは

長編、という違いがあるがそれ以前に作品のタイプが全く違うという感じ。読了後非常にすっきりしない感じを受けた。

自分の認識と作品の間にずれがあり、そのずれに戸惑ったんだろうと思う。推理小説としては首をひねらざるを

得ないが、一つの小説としては悪くないと思う。

 

 「今はもうない」 森博嗣 著 講談社文庫

森作品っていつも読み終わってなんとなく肩すかしの感覚を受けるんだけど、それって、トリック重視の作品ではなく

かといって、物語としてもそれほどの満足感を得られないせいだと思う。この作品もやっぱりそうなのだが、

一ひねりあってその部分はなるほどと思ったが、良く考えてみるとシリーズをある程度読んだからのなるほどであって

この作品が最初の森作品の場合別に対して感心しないのではないかと思われる。まあ、シリーズ物である以上

シリーズをある程度読んでいることが前提っぽい作品もあっても良いが、何かある意味楽屋落ちっぽい感は拭えない。

なんか意匠にこってはいるが、キャラ重視のライトミステリーって感じだ。

今回も第一作目の「全てがFになる」が一番という評価は変わらず。後このシリーズで読んでない物は二作か・・・

まああまり期待せずに読むだろう、そのうち。

 

 「ミード・ガンダム」 シド・ミード 画 講談社

ターンA・ガンダムのデザイン画集。ただのロボット図鑑ではなく、ラフの段階からディスカッションを交えて

デザインが完成していくまでを、シド・ミードのイラスト、コメントとサンライズ側のコメントで綴ったちょっと

変わった本。こういう形式のロボット本って初めてじゃないかな。少なくとも俺は他に知らない。

賛否両論のターン・Aガンダムのデザイン。テレビはほとんど見たこと無いけど、一応動く映像とセル・イラストの

両方見たけどダメだと思っていた。でも、模型の完成品を見て若干考えが変わった。「これが新しいガンダムだ

と言うのには抵抗があるが、ロボットのデザインとしては悪くないのではないか?」という風に。それでは、何故

2Dではピンとこなかったデザインが3Dならピンときたのか。それはシド・ミードのデザインが立体になることを

前提として描かれているからだと思う。基本的にインダストリアルデザイナーだし。もちろんだから2Dではダメと

言うことにはならないが、少なくとも僕の見た物の中にはデザインを魅力的に見せる物はなかった。シド・ミードの

デザインが持っている魅力を模型は完全ではないかもしれないが再現できているのに対して、アニメーションでは

表現できてないのではないか、という気がする。シド・ミードのイラストと模型、この二つを見なければ今でも

ターン・A認めてないかも。でも実際の所は単なる慣れだったりして。

 

 「百鬼夜行-陰」 京極夏彦 著 講談社ノベルス

京極夏彦氏の新刊 10の短編集、なのだが・・・これまで出た作品を読んでない人にはあまり意味がないのでは・・・

今までの登場人物の語られなかった部分が描かれている、のだがあまり面白くなかった。

幻想怪奇的なのだが、自分にはあまり向いてなかったかな・・・そういうのって。

昔、レイ・ブラッドベリの「十月は黄昏の国」を読んで、良くわからない、という感想を抱いた人間だからなぁ

旧作品を再読するきっかけにはなるかな・・・「姑獲鳥」と「魍魎」と「絡新婦」を読み直してしまったから。

一つ解ったこと。俺は京極という作家の作品が好きなのではなく、京極の書く推理小説が好きなだけなのだという事。

推理小説以外の京極の作品には興味がない。

 


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