【strawberry fields forever take 26】
響きがとても美しいし、ストリングスを大胆に導入してきたビートルズもついにここまで来たかと、感慨深く思うチェロの導入。
ペニーレーンの耳に迫るチェロもいいですが、この3本のチェロは音の厚みもあり、take25のバック演奏だけでも独立したトラックとして多くの人を歓ばせることでしょう。take25を聴くのはおすすめです。『アンソロジー』の白眉『2』で、「エリナー〜」とか「ウィズィン・ユー〜」のバッキング・トラックを聴かせるよりはこちらの方が先だと思いませんか。ジョージ・マーティンはなぜこの素晴らしいアレンジを施した名演奏を封印したままでいるのでしょう? これがそのままリリースされても名曲として青盤の頭を飾ったでしょう。
ジョンのボーカルが始まります。オリジナルピッチですから、半音高くテンポが速くなっています。性急なジョンらしい、切迫した歌いっぷりかというと、そんなことはありません。テンポは速いものの、不必要な力の抜けた、それでいて説得力のある不思議なボーカルです。
この曲は、歌が入ると魅力が倍加します。ジョンはボーカルの出来不出来、特に、ライブの出来不出来が甚だしいのですが、ここでのジョンは素晴らしい! ジョンの真骨頂です。このボーカルは、take26のオリジナルスピードの方がいいと思います。このスピードだと、声がとてもいい感じで響くのです。
この曲の先進性が演奏面で顕著に現れているのは、このテイク26の方です。アグレッシブな演奏です。しかし、ビートルズとそのスタッフのおそるべき点は、「この斬新なバージョン」と「メロトロンとバンド演奏によるバージョン」とを無理矢理ひとつにして全く新たな世界を作り出したことです。
ふたつのバージョンを無理矢理つないだ「テープの継ぎ目」は歴然としています。そして後半のバージョンにしても一つの通し演奏ではなく、テープの継ぎ目らしきものが数カ所にわたって露わに存在しています。
実は、この継ぎ目がくせもので、この粗い編集がぶっとんだ「トリップ感」を与えるのです。いやはや おそれいります。