たしかに完成バージョンは優れています。
しかし、このテイク26を聴いてはじめて、この曲のすごさがわかるのです。ビートルズの捨てたテイク26の冒頭部分を聴いてこそ、ビートルズとそのスタッフたちの狙い(もしくはジョンの思いつきが生んだ奇跡)がわかるのです。
テイク26での、ジョンのピッチのはやい説得力のあるボーカルは、半音ピッチがさがり、スピードが落ちたために、トリップして夢見てるような雰囲気を醸し出しています。
「アンソロジー」の登場によって曲の終わりにまでメロトロンが鳴り響く牧歌的なバージョンが公になりましたが、ストリングス・バージョン(take26)がなければ、片手落ちです。
90年代の終わりに僕らは「ペットサウンズ・セッションズ」によって、楽曲が練られていくさまを「目撃」し、その真価を痛いほど思い知りました。「ペット・サウンズ」を認められなかった歴史のあやまちを思い知りました。
「strawberry fields forever」にもそのようなチャンスを与えるべきです。
ポールの「バンド・オン・ザ・ラン〜25周年パッケージ」のようないいかげんなものでは、満足できません。今すぐ、ビートルズ版でアルバム単位の「セッションズ」をリリースすべきです。
かつて、「ウルトラ・レア・トラックス」という信じられない高音質のおそるべき海賊盤が日本のレコード店で販売されたとき、度肝を抜かれたのはロックンロールサーカスの「ヤー・ブルース」とこの「take26」でした。
take26は「ビートルズ全集」を出すときの秘密兵器という噂もありますが……(笑)。その際にはどっかに行っちゃった(笑)という「プリーズ・プリーズ・ミー〜ロイ・オービソンversion」、「Love me do'69」も陽の目を見ることと信じてます。
ところが、「ロング・アンド・ワインディング・プロジェクト」は「アンソロジー」をリリースした段階で頓挫したままです。「sgtペパーズ」の20ビット盤は予約まで取っていたのに急遽発売中止、「メイキング・オブ・SGT」は発売延期が続き、「Let it be」も96年末販売と言っていたのが、はや何年……。アップル・コープスはますます混迷を深めているのでしょう。早くリリースして下さいよぉ!
話を元に戻しましょう。SFFは「ドント・レット・ミー・ダウン」のように曲の構成が変化していきました。初期バージョンは、レノンの起伏の少ないメロディ(Living〜)から始まります。それが、(おそらく)ポールのアイディアで「Let me〜」で始まる完成バージョンになっていきます。この時期になっても、レノン=マッカートニーというソングライティング・チームはいい意味での共作関係が続いているのです(「ミスター・カイト〜アンソロジー・バージョン」でのポールの助言は的を得ているし、それを納得して自分の曲に活かしていくジョンのセンスも素晴らしいと思います)。 もどる