「…ふぅ」
縦縞は、古いアパート(美化しすぎ)の一室に戻ると
深く溜息をついた。
時計はすでに午前2時を回っていた。
東京に出てきてからというもの、ちゃんとした「バンド」で
活動していなかった。
友人・知人とジャムるくらいで、1回せいぜい2時間。
ストレス解消にもなりはしない。
「レギュラーのバンドがない、ってのは初めてだからなぁ…。」
楽器を始めてから、何かしらずっとバンドに在籍していた。
ただの冗談バンド、同級生たちと組んだバンド、1回こっきりのセッションバンド、
とあるメジャーなコンテスト用のバックバンドまで…。
(けっしてカッコイイものではなかったが)
もう半年になるだろうか。
ごろりと狭い部屋に横になり、手近な雑誌をパラパラと見るともなしにめくる。
今夜は、近くに住む友人のアパートでいつもの音楽話などをして過ごした。
いささか好きなジャンルが違うので、バンドを組む相手とは考えていなかったが
手近なところで決めてみようか?
…そんな気持ちにさえなってきそうだ。
「…そろそろ何か始めたいなぁ」
その考えがいつものように浮かぶと、いつものように消えていった。
「でも、何か今までやった事のないようなバンドに挑戦してみたいんだよな…」
上京してからは、いままでにも増して色々な音楽を聴きあさり、
腕はともかく気分的に「新境地」みたいなものを求めるようになっていたのだ。
かつてはインスト・バンドがメインだった為か、
なんとはなしに「次は歌モノ!」と思うようになっていた。
「しかし今更サザンのコピーなんて御免だし…」
*余談だが縦縞はサザンがどうにも好きではなかった。
*しかし この頃まだまだ世間には
*サザンを好きなヤツ、及び
*サザンのコピーバンドがゴロゴロしていたのだ。
*ドラマーがウチの近所に住んでいようが
*ムクちゃんが目黒銀座を歩いていようが
*とにかく好きではない・・・はっきり言うと「嫌い」なのだ。
パラパラと眺め読んでいた雑誌の巻末に、メンバー募集のコーナーがあるのを思い出し
そのページを探す。
とりあえず コピーから始めるにしても
一風変わったヤツがいいなぁ…
「…ネイティブ・サンのコピー、Sax求む…
…本田俊之風のバンドやりたし、ギター&ベース求む!?
…北海道じゃないかー。(はぁ)
なかなか無いもんだね、やっぱり……。」
と、諦めかけたその時
その記事が目にとまったのである。
「…腹切、みかか!?」
…そしてその記事が「伝説への第一歩」であったのだが、
無論そんな事がその時わかろう筈も無かった。(ありがちすぎ
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