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April - August 2012
2003年からレヴューを星の数で評価していますが、かなり基準が独特なので、ご注意!!
なしでも評価が低いわけではありませんのでお願いします。
| 星の数 | CDレヴューの目安 | ライヴ・レヴューの目安 |
| (星なし) | なかなかのレベル(もしくはそれ以下)。 | 手堅いパフォーマンス(もしくはそれ以下)。 |
| かなり良い!!時々取り出しては聴くはず。 | ライヴならではのドライヴがあった! | |
| 素晴らしい!!手元に置いておきたい一枚。 | 突出したスパークが何度もあった!! | |
| 素晴らしい+個人的ツボ!!僕のマストバイCD。 | とにかく踊った!!歌った!!染みた!! | |
| 年間ベストに入るくらいのお気に入り!! | 恐らく年間のハイライトの一つになるだろう!! | |
| オールタイム・ベストに入るくらいのお気に入り!! | 一生忘れないライヴ体験だった!! |
レギュラー・レヴューを書けなかったもの、旧譜、 新譜でちょっぴりしか聴いていないものや、再びよく聴いているものなど を対象にショート・レヴューを行います。 |
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All Things Bright And Beautiful / Owl City ( キラキラ、サラサラ。達者なメロディと電子音の風に乗ったアウル・シティ第2章は、らしさ全開で駆け抜けていく。己らしさが何なのか、ちゃんと知っている人間が、確信的に得意技を連打してくる。このプロジェクト、3枚目で終了、とかだったらもう、天晴れ。引き際まで分かっているとは!となってしまうだろう。 レキツ / レキシ ( レキシのアルバムはこれが初めて聴く作品。いやー笑った笑った。音はちゃんとファンキーなのになあ。歌詞も聴き取れなさそうで、よく聴けば聴き取れる、っというバランスも絶妙。爆笑度はM-8「妹子なう」。歴史に詳しくなくとも、まあこれくらいは知ってるわ、という配慮も助かる。 Black Rainbows / Brett Anderson ( 僕が知る限り、ソロ作ではもっともロック色を感じることが出来る作品になった。ゆったりと落ち着いたブレットの美しいヴォーカルがスケールの大きなサウンドに浮かぶ様はジェイムス辺りを思わせなくもない。スウェードのグググッとくるあのエグさがないので、まあそれが良いところでもあり、足りないところでもあると。いろんな意味で業を背負ってるなあ、と感じた。そしてそれを分かってやってるところが彼の強さでもある。 The Best Imitation Of Myself / Ben Folds ( 全61曲に及ぶベスト選曲、ライヴ音源、デモや未発表曲、そして果てはベン・フォールズ・ファイヴの再結成チューンまで。遠慮なくガンガン詰め込んだ印象だが、実際のところは発掘しては磨き直し、の連続だった模様。個人的にはハンドメイド感満載なデモ音源が新鮮で楽しかった。ベン・フォールズの柔らかさ、勢い、達者ぶり等々、彼の全てを堪能できると言っても過言ではない3枚組!! Voyageur / Kathleen Edwards ( ゴメス山田氏がTwitterでつぶやいていた女性SSWのアルバムを聴いた。上質なメロディと声が、艶やかに響く。もう少し何かが残ればなあ、という惜しさはあるが、繰り返し聴くに値する品格だと思った Hysterical / Clap Your Hands Say Yeah ( まじめにこのバンドの音を聴いたことがなかったのだけれど、結構気に入ったなあという感じ。British Sea Powerのロック色をサイケ色に塗り替えたような、とでも言うか。フニャッとしたヴォーカルはちょっと苦手な部類だが、それを補って余りあるロマンティシズム。白眉はエレガントなふりしてカオスなギターソロが延々続くM-7。 Move Like This / The Cars ( ベテラン・バンドのリユニオン・アルバムは微妙な、もしくは面白くないものが結構多い気がするけれど、このカーズのそれはドッシリしつつも、カーズらしいポップさをキッチリ押し出せている。ウィーザーの活躍が刺激になったのかなあ、とか思ったりもするが、リック・オケイセックの底力をここに存分に聴くことが出来る。ベンジャミン・オールの(逝去による)不在もこっそり泣けるポイントではある。 Who's Feeling Young Now? / Punch Brothers (-) ブルーグラス・ミュージックというものをあまり聴いたことがなかった僕にとってはこのバンジョーの速弾きとリリカルなメロディの取り合わせは何だか珍妙なものに思えた。が、これもまたアメリカの音楽史の一つなのだろう。どちらかというとロック寄りな空気もなくはないので、聴けなくはなかった。"Kid A"のカヴァーが意表。 Rooms Filled With Light / Fanfarlo (-) 一言で例えるなら、ヨレていないパルプ。ゆったり、まったり、でもちゃんと歌って奏でて、なバランス。リラックスしているときなら、アリだね。悪くないけど、僕の心をノックするその音は概して小さめ。 Roses / The Cranberries (-) クランベリーズ再結成後初のアルバム・リリース。ドロレス嬢の歌声はやや丸みを帯び、人生のいろいろを感じさせてくれる。その分、切れ味もやや後退してしまった気もするが、曲が良く出来ていて、雰囲気は結構好きだったりする。ギターポップ然としたサラサラ感が心地良いM-2"Tomorrow"はなかなかのもの。 Scars & Stories / The Fray ( 2002年結成のアメリカン・ロック・バンドが放つサード・アルバム。実に王道アメリカン・ロック的な音で、ひねりを期待、とかいう感じではないが、何だかこういう音を無性に聴きたくなるときがある。例の3EBの系譜。シングアロングっぷりがより増し増しなM-5"The Wind"が大好き。 Go Fly A Kite / Ben Kweller ( 2000年にスタートしたソロ・キャリアも12年目。これが5枚目のアルバム。いきなりカントリー風味が濃厚になった前作には驚かされたが、今回はガッチリとベン・クウェラーらしいパワーポップを聴かせてくれている。もっともM-2"Out The Door"はカントリー・フレイヴァーを巧みに織り交ぜており、曲に深みを持たせてくれている。聴いていて楽しくなる1枚だ。 After Hours / Glenn Frey (-) グレン・フライの新作はジャジーでアダルトなスロウ・ソングス。間違っても"The Heat Is On"の路線は今後もなかなかないとは思うが、ここまでレイドバックするものか。西海岸のおおらかさをめいっぱい詰め込んだ"Part Of Me, Part Of You"な路線を是非一つお願いしたいところ。 Anxiety / Ladyhawke ( Love Psychedelicoを彷彿とさせるグルーヴと気怠さ。アデルほど濃厚な世界観でもなく、アラニス・モリセット的な狂い方もなく、かと言って退屈なわけでもなく。これが悪くないんだよね!という感じだけど、「絶対これ聴け」的なマスト要素はまた薄めで。そういう振れ幅の中をクネクネと、セクシーに歌い抜けて行っちゃうレディホーク。アレンジは細かいところで気が利いているのでそれも聴ける一因。 Born To Die / Lana Del Ray ( Nirvanaに影響を受けた歌姫のメジャー・デビュー作。売れ方も世界同時的な爆発ぶりだった。個人的にはやや縁遠い音だが、その存在感とバックトラックの芯の通し方は、ブレイクにふさわしいスケールとも思えた。悲しみを切り取り歌う、ということ自体に気持ちが向かない個人的嗜好はどうしようも変えられないが、ただ、この音には確かにある種の引力を感じる。 地球の歩き方 / The Collectors ( 「ナーナナー」コーラスが奢られたM-1タイトル・チューンからして超ポップ。ギター・ソロも伸びやかで伝統的だが、何だろうこのフレッシュな空気。おじさんのクセして瑞々しいとか、反則じゃないか。シャレの効いたM-7「マネー」もクスッと笑える走りっぷりだしさ。この年のとらなさは、ハッキリ言って異常。そんなところにロック成分が満ちている一枚。だから悪かろうはずがない。 Cornershop And The Double 'O' Groove Of / Cornershop ( "Brimful of Asha"や'02年のアルバム"Handcream for a Generation"以来、日本で話題になることはなくなってしまっていたが、コーナーショップの独特な味わい深きグルーヴは健在。2011年に発表されたパンジャブのシンガーとのコラボ・アルバム。シンブルでスカスカなんだけど、不思議な揺らぎがいつもそこはかとなく漂っている。インドの偏執狂的な映画やPVとは違った、別の執念的なものを感じる。2012年5月にもオリジナル・アルバムがリリースされる。こちらも是非聴きたいところ。 Everything Changes / Julian Lennon ( ゆったり、スケール大きな、そして柔らかいメロディ。ジョン・レノンの影をどこに、どこまで聞くかはさておくとしても、どうしても"Valotte"や"It's Too Late For Goodbye"の文句なしな名曲ぶりに比べるとインパクトは弱め。M-4"Touch The Sky"のオアシス的なシングアロング感は個人的には気に入っている。 BEST!2004-2011 / 土岐麻子 ( 土岐さんのソロ活動を俯瞰した2枚組ベスト盤。さすがの聴き応えと、しかしそれでいてサラサラと聴けてしまう感じ、さらにその一つ一つが耳を傾けてじっくりと味わいたくなるようなものであることにあらためて感服。これまで多くのアーティストに愛され、コラボレーションしてきた彼女の魅力が十二分に詰まっている。 にじみ / 二階堂和美 ( 広島の誇るアーティストの一人、二階堂和美の5枚目のアルバム。セルフ・プロデュースでまとめられたこのアルバムには、彼女の歌の魅力がより生々しい形でパックされている。まさかの「歌はいらない」で始まるところも意表を突かれるが、名曲「女はつらいよ」、スウィンギングな"PUSH DOWN"など、バラエティ豊かに泣き笑う。 STAR / フジファブリック ( 志村正彦の死去、という大きな悲しみを乗り越え、残ったメンバーで1から作った初めてのアルバム。山内(g,vo)と金澤(key)の奮闘がダイレクトに鼓膜に飛び込んできて勢いを感じさせる。志村の突き刺さるようなリリックがもたらすあのヒリヒリ感には欠けるが、その遺志を継いで走り出すバンドのスタート・ダッシュとしてはなかなかのものではないかと思う。個人的には金澤ダイスケを応援してる。頑張れ!! Anthology 1992-2012 / Underworld ( アンダーワールドが2011年末にリリースした3枚組アンソロジー・ベスト。この類のものとしては"1992-2002"があったが、それから10年経ち、リニューアル・ベストを組んだという趣か。"Monar"はフェイド・アウト版になっているが、その他の代表曲はおおむねフル・ヴァージョン収録。注目は3枚目の未発表曲、レア曲集。ちょっぴり新鮮な感覚で聴くことが出来る。まあ、これが彼らの決定版かと聞かれれば個人的には首を横に振って"Everything Everything"を差し出すだろうけど。 Love Is Live / Triceratops (-) ライヴ一発録りで収録されたアルバム。なかなかシャキッとした音に録音され、仕上げられていてそれなりのドライヴ感を味わうことが出来る。ただ一つ、恋愛ソング(もしくはそれを通して人生を歌うこと)主体のスタイルが僕に響かなってきてしまっていることが個人的致命傷。 Kinshasa One, Two / DRC Music (-) デーモン・アルバーンの呼びかけで集まったコンゴのミュージシャンと著名プロデューサー陣。なかなかに肉体を刺激する音になっている。日頃聴かないタイプの音という意味ではなかなか新鮮な感じ。ヒップホップとも全然違っていて、アフリカの今の音を切り取ることに成功している。 |
ももクロ春の一大事2012
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ももクリ2011で発表された横浜アリーナ2daysがついに現実のものとなった。当日の新横浜駅周辺は右を向いても左を向いてもももクロパーカーばかり、という状況。ダフ屋も音を上げるほどの争奪戦を勝ち抜いたオーディエンスが続々と集結するさまは、開演前からある種異様な雰囲気でもあった。 今年に入り急速にメディア露出が増えたももクロ。その加速度はとどまるところを知らず、連日テレビ、ラジオ、USTで彼女たちの姿を見ることとなった。現在最大最強のアイドル・グループAKB48の対抗馬に一気にのし上がりつつあるその加速度は本物なのか。オールスターズとは色物で終わってしまうのではないか。注目点はいくつもあった。 自身2度目のももクロ・ライヴへ、いよいよ突撃。ライヴの流れはナタリーで詳しく書かれているので割愛し、僕が感じたことだけを中心に書いていく。 20120421 ももクロ★オールスターズ2012 ![]() 定刻から5分遅れでスタートしたライヴ。PV(パブリック・ビューイング)があるためにきっちりとタイム・コースは守られるものとの、ほぼその読みは当たっていた。暗転した会場に「Overture」が響き渡る。12000人の雄叫びが横浜アリーナに目一杯反響する。スタンド席ほぼ正面、という全てが見渡せる座席からの眺めは壮観としか言いようがなかった。サイリウムの海、海…うねる、跳ねる。 開演一発目がモーレツのカップリングである「DNA狂詩曲」だったのには度肝を抜かれた。しかし、今のももクロにはカップリングもタイトル曲もない。音源で聴く以上にスピード感と攻撃性を増した歌いっぷりで「背中押してアゲル 蹴ってアゲル」とぶちかます。いやいや、こういう歌だったのね、とライヴで初めてその威力にひれ伏す。 そしてここからが凄い。「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」、「LOST CHILD」と、冒頭3曲を全て最新シングル収録の3曲でブチ抜くという攻撃的セットリスト。これには興奮しながらも、うならされた。 ソロ・コーナーの先陣を切ったしおりんの「涙目のアリス」は、数々の80年代ポップスの名曲を書いた林哲司と安全地帯のリリックを手がける松井五郎のタッグによるシティ・ポップスの超王道チューン。もちろん個人的好みとはかけ離れているものの、この難易度の高い曲を懸命に歌うしおりんにジワッと涙。続くれにちゃんの演歌っぷりはやはり別格のハマリっぷり。 そしてこの日一番の破壊力を誇ったのはあーりんソロ、「あーりんは反抗期!」。「さーさきっ! おい! さーさきっ! おい!」のコールが脳内リピート間違いなしのユーロ・ビート・ダンス・チューン。あーりん家が完全にネタになっとるがな…という振り方まで含めて、おい一体ももクロはどこまでがネタやねん!と言いたくなってきてしまう。まあ全てが本当で全てがネタ、という懐の深さというか、転んでもただでは起きませんよ的な貪欲さというか。とにかく、この曲聴いて、唖然として、そして大笑いしながら「さーさきっ! おい!」って叫んでる自分がいたということだ。 7番勝負で対戦した在日ファンクとももかの絡みもまた天晴だった。メリッサ(ももか) vs ハマケンのくだりは若干くどかったが、ファンキーなバンド・サウンドに心地よく揺れながらのびのびと歌ってるももかのそのパワーはひょっとしたらメンバー随一なんじゃないかと思わされた。それに比べれば続いて在日ファンクの演奏で聴かせてくれたマス寿司三人前(有安杏果、玉井詩織、高城れに)はオマケ的なものに感じてしまった。 夏菜子のソロ新曲はGSのベテラン・バンド、ザ・ワイルドワンズによる書き下ろし。マイナーコードのヴァースから、一気に開けていくサビ、そして反則の?「ラララ~!」まで、実に楽しそうに歌う夏菜子の、ハッピー&ポジティヴなオーラが場内にしみわたっていくような曲だった。 さらに素人のど自慢的なセットが続く。しおりんのアコーディオン伴奏による「愛ですか」はなかなか趣深かったけれども、デューク・エイセスや青空球児・好児が出てきたりしたくだりは正直、だれてしまった感が否めなかった。リスペクト感は確かにあったと思うし、テレビのバラエティ的に楽しかった、という言い方も出来るが、やはり全力感には欠けた。指原莉乃のサプライズ出演や松崎しげるによる夏のイベント発表も同じ。ももクロちゃんの目一杯さは何処へやら。笑いはしたけども…。この辺りがこの日のモノノフの評価に大きな影響を与えたと思う。 一旦ここで「Chai Maxx」からの「ツヨクツヨク」を投入して引き締めにかかるものの、どこまでも上がっていくあのドライヴ感が今ひとつ来ない。そして再びソロ/ユニット・コーナーで流れは分断。そう、バラエティ仕立ててんこ盛りの演出は、全体の流れにも影を落としているように思えた。 アンコール3曲で何とか帳尻を合わせたものの、ラストもゲスト総出演でほんわかしたハッピーエンド。偉大なる先達に教えられ、感謝!!、というコンセプトはアリなのだろうし、そこまでの存在に彼女たちが成り得たということは喜ぶべきことかもしれない。ただそれはどこか締まらない雰囲気をたたえていたのも事実だ。 楽しかった!とは言えるかもしれないが、彼女たちのキリキリとした切迫感に欠けたショウだったと言わざるを得ない。そして、その足りない部分を2日目に補うに違いないという確信もまた、同時に生まれたのだった。「是が非でも明日は観なければ!!」、という思いを抱いた。 オープニングムービー〜overture「ももいろクローバーZ参上!!」 01. DNA狂詩曲 02. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 03. LOST CHILD 04. BIONIC CHERRY 05. 労働讃歌 06. 涙目のアリス / 玉井詩織 07. 津軽半島龍飛崎 / 高城れに 08. あーりんは反抗期! / 佐々木彩夏 09. 教育 / 有安杏果 with 在日ファンク 10. 恋はあせらず / マス寿司三人前(有安杏果、玉井詩織、高城れに)with 在日ファンク 11. 渚のラララ / 百田夏菜子 with ザ・ワイルドワンズ 12. …愛ですか? / 玉井詩織 with 横森良造 13. 筑波山麓合唱団 / デューク・エイセスと1匹(高城れに)with 青空球児・好児 14. 街の妖怪さん / 高城れに with デューク・エイセス 15. それでも好きだよ / 指原莉乃 〜松崎しげる歌唱「愛のメモリー」「地平を駈ける獅子を見た」〜 16. Chai Maxx 17. ツヨクツヨク 18. 事務所にもっと推され隊 / 事務所に推され隊(有安杏果&高城れに) 19. シングルベッドはせまいのです / ももたまい(百田夏菜子&玉井詩織) 20. だって あーりんなんだもーん☆ / 佐々木彩夏 with ももメイツ 21. ももクロのニッポン万歳! <アンコール> 22. 行くぜっ!怪盗少女 23. 走れ! 24. コノウタ(ももクロ☆オールスターズ Special ver.) 20120422 見渡せば大パノラマ地獄 ![]() 初日とは打って変わって、この日は360度対応のセンターステージを組み、俄然ストイックなまでに「ガチ」。ももいろクローバーZの「全力」にドンピシャのフォーカスしたものとなった。 この日は広島109シネマズでのPV観戦。入場券が余っているのかと思いきや、見事にほぼ満席。オーディエンスの服装も、モノノフ感丸出しな輩が結構居て、開始前からテンションが上がっていた。もっとも、物見がてらの客が居なかったかというとそうでもなくて、終始座ったままで観ている人も居た。そんなある意味カオスな空間ではあったが、結果的にはももクロちゃん達はものの見事に会場を彼女たち色に染め上げたと思う。 フラッグを持った男達がステージ上を駆け回り、そのフラッグにももクロちゃんの映像を次々と映し出していくギミックに、オーディエンスのボルテージは俄然上がる。「Overture」を経ない異形のキックスタートはまさかの「Chai Maxx」。ものの見事に決まる鮮やかな先制攻撃。唖然とするモノノフどもが、あわてて怒号で返す。さらに間髪入れず、この2日間でもっともモノノフどもの評価を高めたとおぼしき「DNA狂詩曲」でたたみかけ、「ピンキージョーンズ」でとどめ。まさに3曲勝負に打って出たというくらいの勢いが場内全体にほとばしっている。 以降も「LOST CHILD」や「天手力男」などの変化球、「キミノアト」や「白い風」などのバラードを巧みに織り交ぜながらも、要所にはキラーチューンを配する盤石のセットリスト。PV会場も大興奮で応戦し、「ココ☆ナツ」ではスクリーン前に大ココナツ・サークルが出現する盛り上がりよう。 この一瞬に心血全てを注ぐももクロちゃんのパフォーマンス。それもただ一生懸命やってるだけでなく、「今、この目の前のあなたと共に」という想いと覚悟をダンスと歌に乗せる彼女たち。 それは夏菜子の凛としていながらも切ない歌声であり、杏果のいたずらっぽい笑顔と荒ぶりであり、しおりんの長い手足から繰り出される絶妙の均整であり、あーりんにしかなし得ない(クスッと笑ってしまうほどの)箱入りアイドル観であり、れにちゃんの完全過剰な振り切れである。 華麗に、だとか、艶やかに、だとかいう言葉が全く思い浮かばないほどの切迫感は、スクリーンを通じても存分に伝わってきた。例えそれが「おとなたち」によって演出されたものだったとしても、これほどまでに共鳴/共振することが出来るという彼女たちに、ある種の奇跡を見せられているような気にさえなってくる。 360°の大パノラマの中、オーディエンスと共にウェーブで楽しみ、そして「走れ!」や「スターダスト・セレナーデ」でゴンドラに乗り、彼女たちは今一度みんなのもとへ進んでいく。感謝を込めて。 彼女たちは走りきった。5人だけで。圧巻の2日目は、期せずして起こった「世界のももクロNo.1!」コールで幕を下ろした。メンバーの目からも、僕の目からも、大粒の涙が流れた。何なんだろうねももクロちゃん。いい歳こいたおじさんを泣かしてさ…。もう、ホントに。…ありがとう!! 企画としては1日目と2日目でセットと考えた方が良かったのだろう。もう少しその辺の具体的なアナウンスがあっても良かったかなって気はする。その辺のところを十分理解できないままに1日目しか観られなかった人も居たろうし。まあその辺は今後の課題ってことで。ただ、この2日間で彼女たちの全方位性がくっきりしたことは間違いない。 もうこれ以上は厳しいんじゃないかなーっていう我々の予想のはるか上行くパフォーマンス。ももいろクローバーZは間違いなくネクスト・ステップへと進む。自信と感謝を胸に。 OPENING FLAG SHOW 01. Chai Maxx 02. DNA狂詩曲 03. ピンキージョーンズ 04. CONTRADICTION 05. LOST CHILD 06. Z伝説〜終わりなき革命〜 07. キミノアト 08. 天手力男 09. BIONIC CHERRY 10. ワニとシャンプー 11. ココ☆ナツ 12. ミライボウル 13. Believe 14. 労働讃歌 15. ももクロのニッポン万歳! 16. オレンジノート 17. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 18. 白い風 19. 走れ! 20. ツヨクツヨク 21. 行くぜっ!怪盗少女 <アンコール> 22. PUSH ※新曲 23. スターダストセレナーデ 24. コノウタ 25. あの空へ向かって |
Z女戦争(EP) / ももいろクローバーZ
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![]() 相対性理論のやくしまるえつこが作詞作曲を手がけ、元ハイポジの近藤研二がアレンジに関わるなど、相変わらず挑戦的な作り手とのタッグで攻め続けるももクロ。 放課後戦う乙女の揺れる心を、ももクロの今に絶妙にシンクロさせてたその曲作りは見事としか言いようがない。メロディに必殺のキャッチーさがあるわけでも何でもなく、多くの展開がグリグリと無理矢理7分の中に詰め込まれたビジーな曲構成。 「ほんとは誰かに優しくされたい」や「淡く色づく畏怖の心」、「もっと青春してたい」といった描写で彼女たちの本音や切なさを込め、しかしそれを振り払って進もうという強き意志を柱に据えたリリック。 聴けば聴くほどに味わいと切なさと強さがない交ぜになってくる佳曲だ。 カップリングのM-2「PUSH」は横浜アリーナでいち早くお披露目された、ももクロらしいハイエナジー・チューン(作詞は元東南西北の久保田洋司!!)。こちらは従来のイメージをキッチリ踏襲していて、安定感抜群。もう1曲のM-3「みてみてこっちっち」はポケモンのEDテーマ。こちらはシンプルだけど弾むような、彼女たちにはありそうでなかったタイプの曲。さすが子供受けは良く、次男はすっかり歌えるようになっていた。 いずれにしてもももクロらしく、挑戦を全面に打ち出したこの作戦、個人的にはウェルカム。精度を高める方向へ舵取りしたPerfumeとはまた違い、何でも食べて大きくなります!的な天真爛漫さを、今はとにかく貫き通していきたい。 |
Ending On A High Note The Final Concert
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![]() ニューロマの盛り上がりが一段落した頃に突然"Take On Me"の超ド・ポップでシーンに登場したa-ha。94年の活動停止、98年の活動再開を経て、2010年12月4日のファイナル・コンサートでその活動に幕を下ろした。 この作品はそのラスト・ライヴをパッケージしたもの。モートンの声が年月を経てもまだ健在なところには驚くが、それと同時に、彼らはまた多くの優れた曲を残したことも、しっかり聴くことが出来る。 "Take On Me"の印象からかちょっとチャラいポップ・バンドのように思われたかもしれないが、セカンド・アルバムではグッと男前に変貌し、以降は深みの増したバンド・サウンドを聴かせるようになってくれた。 2009年のラスト・アルバムではエレポップへの堂々の回帰を果たし、成長を加味したポップネスを大きく鳴らすことに成功。万雷の喝采をもって迎えられたのは記憶に新しい。 出自をしっかりと辿りながらも、軽さの代わりに、年輪を刻み込んだその歌は、宙を自在に舞うような感覚と地に足を付けた感覚を同時に感じさせてくれる。不思議と惜別の涙はなく、どこか元気になるような気さえする。 そう、a-haの音は既に僕の中に刻まれていたのだなと、気付かされた。ありがとう。 |
JPN / Perfume
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![]() 今や押しも押されぬトップ・アーティストの仲間入りを果たした我らがPerfume。4枚目となる久々のフルアルバムは、既発表曲がギッチリ搭載されたものとなり、曲リストを見たときにはちょっと不満だったのだが、実際に聴いてみるとシングル曲も意外と新鮮に聴けたので個人的には(ひいき目に見て、ではあるが)良しとしたい。 中でもM-2「レーザービーム」のあられもないリミックス加減はなかなかのインパクト。終盤の「にーじーいーろの」連打はうちの次男も完全にやられるほど破壊力抜群。そこからシームレスに繋がれていくM-3"GLITTER"もいい具合に上がる。シングルでは控えめだった「グリッタグリッター」の下りもブリブリに連呼されていて良い。遠慮なしなところがね。 未発表曲たちの出来は毎度注目されるところだが、今回は間違いなくM-5"MY COLOR"がキラー・チューンになるだろう。ケータイからブワッと広がる世界観。しかし主体はあくまでキミとワタシ。ポップなメロディとがっつり効かせたベースとがまたキッチリと合わさり、コーラスのカタルシスに直結している。この曲がかかるとうちの車内は大合唱、という辺りもポイント高し(多分に個人的事情ではあるが)。 その後のリミックス加減はやや控えめになるところが惜しいような、それで良いような、ではあるが、既発表曲を軸にして構成されたところは間違いない質を保証してくれる。 週末毎に開催中のアリーナ・ツアーも絶好調のようで、あちこちで絶賛の声が上がっている。確かにアルバム自体の破壊力は前2作に及ばないように思われるが、それでも彼女たちがステップ・アップしている印象が不変なのはそのパフォーマンス故であろう。「ポリリズム」の世界デビューからどのように世界に打って出るかを含め、まだまだPerfumeから目が離せないでいる。 |
Troubled Times / Cast
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![]() 2001年発売の4thアルバム"Beetroot"のセールスが惨敗したのをきっかけに解散となったキャスト。ブリット・ポップ期を生き抜いたバンドが今年、再結成後初の新作をドロップ。 ジョン・パワーの人なつこい濁声ヴォーカルとザクザクしたギター・サウンドがトレードマークで、そいつはこのアルバムでもしっかり踏襲されている。というか、そこに立ち戻ったと言っても良いのかもしれない。 思えばシングアロングに振った3rdアルバム、ファンキーな新境地へ踏み込もうとした4thアルバム、とキャストも決してまっすぐに進んできたわけではなかった。 このアルバムにはデビュー作の瑞々しさはないものの、彼らがキッチリ力を発揮できる形というものを多分に意識したものになっている。「やっぱ僕らこれが好きでしたわ」みたいな開き直りと言うか。でも、それがちゃんと腹落ちする形でパックされたのはファンとしては嬉しかった。 もっとも、「経た時間」も曲の落ち着き具合が示しているのかもしれない。多少演奏がバラツいても、もつれそうになっても、そのままガーッと走って行っちゃってたデビュー作の眩しさを、今一度思い出しながら、じっくりとこのアルバムを楽しむ、と。まあそんな感じで楽しんでいる。 |
A Different Kind Of Fix
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![]() アコースティック・アルバムをセカンド・アルバムにしてしまった。ボンベイ・バイシクル・クラブ。今度はバンド・スタイルでのフル・アルバムで登場。 しっとりした空気をたっぷりと身にまといながらも、決して重くけだるくなってしまわないという辺りは彼らの持ち味がキッチリ出ていると行っても良いだろう。M-2"Bad Timing"の遠くで鳴っている感。それでいてリアル・ワールドにまだちゃんと手が掛かっているその絶妙の臨場感。M-3"Your Eyes"のハンドクラッピングで僕らはちゃんとそこにいることが出来る。 閉塞感を逆に生かしたニュー・ウェイヴとは一味も二味も違ったその「閉じない」足取り。時にはグルーヴィに、時にはサイケデリックに。ボンベイ・バイシクル・クラブは自由に行き交う。そして行き交うその軸がブレていないのが最大の武器と言っても良いのかもしれない。 さて、M-6"Shuffle"は跳ねるようなピアノのシークエンス/グルーヴに支えられ、彩られた激キャッチーな一曲。基本しっとりしたバンドなのに、この跳ねっぷり。この曲に関しては何となく、ギャップ萌えかも。 基本的にはくぐもった感じなのだが、その中に多彩な表情を感じ取ることが出来るという意味で、全く飽きさせることなく聴かせてくれる。万人に響くかどうかは別として、個人的にはその成長に目を細めてしまう感じのアルバムだった。 |
Self Help For Begginers / Autokratz
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![]() アンダーワールドとニュー・オーダーとモービーの3者が追ってったちょうど中間に落ちたようなポテンヒット。オートクラッツのデビュー作を聴いて僕はそんなことを思っていた。 この2ndアルバムでは実際ピーター・フック(ニュー・オーダー)やアンドリュー・イネス(プライマル・スクリーム)をゲストに迎えたりして、もう堂々と渡り合っちゃっている。そう、ポテンヒットなんて言葉は失礼なくらいの勢いと佇まい。 中でもM-4"Last Night"のキレと切なさは、センチメンタルであることも、ポップであることも、何にも恥ずかしがることなく、臆することなく鳴らし切った素晴らしさ。 |
Mylo Xyloto / Coldplay
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![]() "Viva La Vida"で一気にスケールのでかい音を鳴らすようになり、そしてそれを分不相応と思わせないだけの器を作り上げたコールドプレイ。あの、初めてのサマソニで観たいなたい、しかし、どこか高潔な想いを乗せて歌っていた彼らはここにはもういない。どれをどう聴いても、ハズレなしかつスタジアム級な音をガッツリと聴くことが出来るアルバムになった。 器を大きくして皆に届けようと思うと、やはりどこか最大公約数的な展開にもなるのだろうか。どこかU2を思わせる雰囲気に満ちている(特にM-8"Major Minus"はその代表だ)。とは言え、聴けば「ああコールドプレイだな」と認知できるところはさすがと思えるし、実に思慮深く、そしてたくましく作られているアルバムだ。音も一つ一つが細かく作り込まれていて、それでいて全体のバランスにも目配せされている。 つまりは(極論すれば)全世界を真っ当に受け止める覚悟というものを音に込め、磨き上げた作品と言えるのではないか。そこまで腹を括ることが出来た彼らだからこその風格がただ写真を見ていても伝わってくるようになったのも事実だし、何度聴いてもヘタレない耐久力もこの力作ならではというところだろう。 そこかしこでチラチラ拝見するインタビューでもその一端を垣間見ることが出来る。この不思議なタイトルの秘密は結局のところ「何を意味するでもなく、しかし、一人一人にとってその解釈は自由に出来るもの」であるらしいし、じっくり時間をかけられたこのアルバムのレコーディング中、スタジオを宇宙風(?)に意匠替えしてみたりしたとか…。 シングアロングで高揚感も伴うM-7"Every Teardrop Is A Waterfall"をアルバム発売の5ヶ月前に先行シングルとして切り、さらにセカンド・シングルとしてM-3"Paradise"をアルバムに先行させるという、ネット配信時代としてはすっかり見なくなったマーケティング手法を堂々と取ってくるあたりも気合いと自信を感じさせる。 意地でも作り込んでいく、というその気概は、サラサラと作られたアルバムが多くなっている中では、確かに異彩を放っていると言えなくもなかろう。そんな音に圧倒されながら過ごすひとときも悪くない。これぞ非日常体験なのだ。 |