QUIET BOOK
 腹がいたい。
 目の前には開けっ放しのトイレ。もちろんふたは開いたまま。
 トイレまで2歩、ズボンを下ろして座るまでが約5秒。
 だんだんその作業も慣れてきやがるからしゃくだ。
 さっき便器に座りながら、新婚夫婦は夫や妻のこういう姿をのりこえて真の愛を手にするのだろうとふと思ったりした。
 僕にはあてもないけど…

 ところで、パソコンのキーボードをたたく作業というのは、結構腹に響くものでとくに僕は改行のためにEnterキーをおすときに弾みをつける癖があるものだから、そのたびいや〜な差込みがくる。まったくなんでこんななか人のホームページをつくっているのか自分でもよくわからないが。とりあえず自己紹介。
 名前はイシイ。クワギブのメンバーじゃない。ギターのトミーの友人で、クワギブのCD製作やホームページ作成を手伝わされている。それもタダで。(そういや、最初のCD−R代ももらってない)ビジュアルはメンバー二人に坊主、おじいちゃんもしくはメガネと呼ばている、そんな感じの顔。(しかし、書いてる間に腹が立ってきたな)
 
 そんな僕がクワギブとはなんの関連もなく自分の好き勝手なテーマにそって、お勧め本を紹介するのがこのコーナー。(それくらいやらしてもらわんとわりにあわん)ではさっそく1冊目

『ジャコメッティ』 矢内原伊作 みすず書房 4800円

 ジャコメッティっていうのは彫刻家で画家。ほそながーい人間の像を作った人(この人には人間がそう見えたらしい)。抽象画から出発し、のちに写実主義に帰り、晩年は物事をありのまま描くことに命をかけた人。

 この本の著者、哲学者矢内原伊作は、パリで友人ジャコメッティの絵のモデルを軽い気持ちで引き受ける。しかし、いつしかジャコメッティは矢内原の肖像を描くことに夢中になる。夜になりキャンバスも見えなくなる。それでもジャコメッティは書き続ける。完成したと思えば、その顔は再び絵の具に塗り込められ再び書き直される。

「もう少し、ほんのもう少しの勇気さえあったら!欠けているのは勇気だけだ、なぜなら私には君に顔がよく見えているのだから。見えていながらあえてする勇気が私にはない。」
「何をあえてする勇気ですか」 
消すことだ。すでに描いたいっさいの細部を消す勇気だ、その勇気が必要なのだ。しかし細部を消せばなにも残らなくなってしまう、それが恐ろしいのだ、畜生(メールド)!」

 ありのままの矢内原をつかみとろうとするジャコメッティの情熱に矢内原は飛行機を遅らせる。結局、肖像が完成せずに帰るときにも再びパリを訪れる際にはまたモデルとなることを誓う。そしてその関係は5年ものあいだつづく。

 さてこの本については書きたいことが山ほどあるのだが、あんまり多くて1回じゃ書ききれません。

ということで以下次号
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