椎名林檎


自称新宿系自作自演家

 ある夜俺がボケーっと深夜番組を見ているときに、彼女は俺の目の前に現れた。「ここでキスして。」のCMである。そのインパクトたるや忘れられないものであった。圧倒的なその存在感、歌声、個性はアラニス・モリセットやコートニー・ラブ、またあの伝説のジャニス・ジョップリンをも彷彿させるすさまじいものであり、それがあのCM15秒間に詰まっていた。実は俺はこのCM以前から彼女の名前は聞いたことがあり、かなりの実力の持ち主であるというのも聞いていたのだが、あの「椎名林檎」という珍妙な名前のせいで曲を聴く気にならなかった。しかしそんな妙な先入観が今となってはとても恥ずかしい。だから速攻シングル買いました、と言いたいところなんだけどそのときの俺は極貧だったので買えませんでした。ごめんなさい、林檎さん。そのかわりと言っちゃなんだけど、アルバム「無罪モラトリアム」は期待たっぷりで待っていた。その出来は・・・陳腐な表現ではあるが凄いの一言。このアルバムの中には「椎名林檎」が明らかに生きていた。「歌舞伎町の女王」で見せるエグい性のイメージ、「丸の内サディスティック」で見せるベンジー大好きな「椎名林檎」、「ここでキスして。」で見せる「椎名林檎」の恋愛観、どれもこれもが「椎名林檎」でありそこには壁など無かった。すべてをさらけ出した人間が詰まっているアルバムがこの「無罪モラトリアム」なのである。そしてこの一個の人間が今のぬるいシーンに殴り込み、なおかつチャート上位にアルバム、シングルをくい込ませる、なんと痛快な出来事だ。

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