Review
Kinks / Everybody's In Show-Biz
こんなん売れませんよ。レイさん。でも大好きです。 / ★★★★★★★★★☆ (9.5)
A面
Here Comes Yet Another Day
Maximum Consumption
Unreal Reality
Hot Potatoes
Sitting in My Hotel

B面
Motorway
You Don't Know My Name
Supersonic Rocket Ship
Look a Little on the Sunny Side
Celluloid Heroes
C面
Top of the Pops
Brainwashed
Mr. Wonderful
Acute Schizophrenia Paranoia Blues
Holiday

D面
Muswell Hillbilly
Alcohol
Banana Boat Song
Skin & Bone
Baby Face
Lola
70年代のキンクス・・というか、ハッキリ言うとパイ時代でもヴィレッジ・グリーン以降のキンクスってのは
とにかく売れたくネェヨ!コンニャロウ! とでも言いたげな程趣味丸出しで、チャートって何?状態になってくんだけど。
アリスタ期ではアメリカで馬鹿売れしてた時期もあるけども。

そんなまったく売れなかったRCA時代のキンクスの代表的な売れなかった名盤。
この世はすべてショービジネス。

LPでは2枚組になっていて、1枚目がスタジオ、2枚目がライブっていう構成になっている。
前作くらいから、メンバーがやたらよく分からなくなってきて、コーラスまで一応のメンバーっていう。
前作はジャケがパブで音楽はアメリカ中部のカントリーを土台にしたような、
イギリス風ヒネクレサウンドだったワケだけども、今作でもそれは相変わらず。
というか、むしろアメリカかイギリスか。どっちでもいいけど、度田舎のキャバレーで流れてそうな勢いの音楽。

時代は72年。
同じMODSの流れで出た、WHOは71年にWHO’S NEXTをリリースしてスーパーバンドの頂点を極め
同年にはツェッペリンは天国への階段で地位を確固たるものにし、
そして、72年にはストーンズはメインストリートのならず者とか出して。
73年にはピンク・フロイドの狂気。など、ロックが更なる可能性を広げ、そしてそれを消化し
昇華させていった、偉大なるロックンロールエイジ。


キンクスが68年に、ヴィレッジ・グリーンを出した状況も最高に面白かったのだけどもね。
フーがトミーという1大ロックオペラを作り出して、ビートルズはSGTを作ったりして。
つまり、そういう類のコンセプトアルバム全盛期に「田舎の住むその辺の人の生活」みたいな
コンセプトアルバムをフォーキーに作るっていうその辺のひねくれが素晴らしいんだけども。
70年代にはそれが顕著になってるワケで。


時代に置いてかれた上に(というか、意図的に時代を捨ててる感すらある/笑)
売れ線もないので、当然の如くこのアルバム。売れてないし、現在はキンキーマニアには評価が高いものの
一般の認知としては、パイ時代の初期、良くてアーサーまでがキンクスというものなので
もはや無視されてすらいるんだけども。 ハッキリ言いきっちゃいましょう。
コレはキンクスでもベスト5には入るロック史上には残らなくても、その下のコラムには出てくるような
輝かしいような輝かしくないような名盤である。と(笑)



というワケで曲の解説。
へっぽこという単語を乱用しますが、それは最高のほめ言葉として受け取ってください(笑)

どの曲を聴いても、笑わずにはいられない程キャバレー風(パブなんだけども、あえてキャバレーでよろしく)
ホーンが効果的に使われてて、ヤッタネ。キャバレーダネな感じの名曲である1曲目 Here Come〜〜は
最高にへっぽこな最高に疾走感というか、もはや失踪感満点のロックンロール。
おいおい。レイさん。どこに行くんですか? という程趣味丸出し。
その後もそのノリで、「イカニモ」なのにヒネた、そのくせへっぽこキャバレー満点の曲が続いていき
A面は、コレまた名曲Sitting〜〜で幕を閉じるワケだけども。相変わらずへっぽこなのはご愛嬌。

個人的にこのアルバムはB面の方が、笑えるへっぽこ度、キャバレー度、キンクス度ともに高い気がするので
B面の方が好きだったりするんだけども。デイヴの素敵な声も堪能できるし。
Look A Little On The Sunny Sideという、超名曲(個人的に/笑)まで入っている。

あと、この時代のキンクスといえば・・・というホントの名曲。
B面というか、スタジオ盤の方の最後を締めくくる曲、セルロイドの英雄も収録。
まったりとしながらも泣けるバラードで、そのくせ胡散臭い泣ける度ってのが
やっぱりキャバレー風。 やっぱりこのアルバムは、ショービズってかキャバレーっぽい(笑)


2枚目のライブの方だけども。
最初の2.3曲はギンギンなキンクス(この時代としては)が聞けて、1枚目との対比が面白い。
Mr. Wonderfulあたりからやっぱりこの時代風になってくんだけども(笑)
途中のMCが面白かったり、触りだけだったりするけども、
マズウェル・ヒルビリーズが入ってるのは嬉しいし、
もうお遊びとしか思えない、Banana Boat Songとかも最高に楽しい。
Lolaは全部入ってるのか? って期待したら、ほんの数秒っていうへっぽこ感満点のアルバムの
締め方だ。


こんなアルバム作っちゃうなんて。キンクスはやっぱり最高に最高のバンドですな。
音は当然の如くダルさがありながらタイトでカッコイイワケだし。レイのソングライティングのセンスってのは
他にはない独特の素晴らしさを持ってるし。

とにかくコレは聞かなきゃ損なアルバム。最後の星が☆なのは、それもキンクスへの愛って事で(笑)
だって、コレ満点にしたら、立場ないアルバムもあるでしょう(笑)


しかし、最後に書く事になってしまったがこのアルバムのテーマは非常に辛辣だ。
「この世は全てショービジネス」という名前や「誰だってスターなんだ」という歌詞の10曲目を聞いて
ストレートに取れば、「普通の人だって成功出来る可能性がある」という応援アルバムに聞こえなくもないが
実際は、現実や音楽界も映画の中の世界のように虚構の世界になりつつある。と皮肉や批判がテーマなんだと思う。
つまり、ローラあたりとは別視点だけど同じようなテーマ。スターだって結局は人間なワケだし。
RCA期のキンクスのコンセプトアルバムは日常を描いている事が多いが
それは非常に皮肉な事なのである。テーマは実は社会的。

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