[No.059] 風に乗って9月18日(金)。長崎SBより中川イサト『お茶の時間』('73LP→画像)が届き、三宮HBにてOhio Knox『Ohio Knox』('71LP)購入。宝物のようなレコードがいっぺんに(涙)。『お茶の時間』はジャケットとタイトルだけでも既に名盤。吉祥寺のボガという喫茶店で頬杖をついてぼんやり外を眺めるイサトさん。決して男前ではないけれど(失礼)、だからこそ滲み出る黄昏感。レコードから聞こえてくるのも喫茶店のガラス窓に映る街の風景をそのまま切り取ったセピア色の音楽で、もう最高と言うしかない。『お茶の時間』をBGMに好きな人と珈琲でもすすりながらまったりしてみたいものだ。Ohio KnoxはPeter GallwayがFifth Avenue Bandの次に組んだバンド。メンバーは前年のJohn Sebastianの1stソロ『John B. Sebastian』のセッションで集まった人たちで、音楽的にはFABの流れにある洗練されたシティロックではあるのだけれど、さらに泥臭くワイルドでロック度が上昇。FABのレパートリーの再録「Calamity Jane」や「Baby Knox Sox」なんてもうデカイ音で聴いたらバリバリにテンション上がるアガる。とりわけDallas Daylorが叩き出すへヴィーかつシャープなビート!眠っている脳細胞がびっくりして飛び起きた。見た目草食系っぽいが服を脱いだら結構肉食系だったロックンロール。このスピリットは海を渡ってシュガーベイブに受け継がれるわけですな。 9月23日(水)。三宮HBにてJohn Sebastian『John B. Sebastian』('70LP)購入。これはReprise盤。いわくつきのMGM盤を持っていたが音の状態がそんなに良くなくて買い直し。ピチカート・ファイヴがカヴァーした「Magical Connection」も勿論好きだけど、ラヴィン・スプーンフル時代の名曲「You're A Big Boy Now」の弾き語りが何とも味のあるギター演奏でグッとくる。コピーしてみたい。 9月28日(月)。東京HFRよりV.A.『The 1969 Warner/Reprise Songbook』('69LP)が届き、三宮HBにてThe Hans Staymer Band『The Hans Staymer Band』('72LP)購入。前者は聴きたい曲に限って大きなプチノイズが入ってテンションダウン。後者はジャケの雰囲気でジョン・セバスチャンみたいなグッドタイムミュージックなのかなと予想して買ったのだが、実際はブリンブリンのスワンプロック(どうやら幻の名盤らしい)。恐ろしくカッコイイのだけれど、今の気分とは違っていたので後回し。 10月1日(木)。三宮WHPにて、かまやつひろし『MONSIUER』('70LP)購入。全く期待せず冷やかし程度にふらっと訪れたら、ムッシュの1stが!思わず二度見した。もちろん即レジ直行。9月もよく働いたし、神様からのご褒美なのだろうか。ありがたい。『MONSIUER』はご存知ムッシュの一人多重録音アルバム、ひょっとしてポール・マッカートニーよりもやるのが早い!?センスの人ムッシュによるギター、ベース、ドラム、ピアノetcは全てが味ありまくりの演奏でニヤリ、ロックなのだから何も上手けりゃいいってもんではない(笑)。アシッドな匂いのするダウナーなサウンドにムッシュの気だるい歌声が溶け込み、何とも言えない大人のムード。決してジャズをやっているわけではないけれど、匂い立つ空気がとてもジャズっぽい。果たして「ソーロング・サチオ」や「二十歳の頃」よりお洒落な曲なんてあるのだろうか?僕は知らない。そして、やっぱり「ノー・ノー・ボーイ」はどうしたって名曲。福沢エミさんとのデュエットはこれ以上ないくらいハマッていて切なさ倍増。 10月8日(木)。三宮HBにてElvis Costello And The Attractions『Armed Forces』('79LP)購入。像の大群ジャケットのUKオリジナル盤でポストカード4枚、3曲入りライヴEPつき。「Peace, Love And Understanding」は入ってなくとも直枝さんの言うとおり完璧と言うしかない名盤である。時代柄ニューウェーヴな匂いを放ちつつもあくまでもポップ。「Accidents Will Happen」「Oliver's Army」何たる名曲か!オールディーズでモダンなアトラクションズの演奏はノリにノッていて、もはや敵なしだ。特にブルース・トーマスのメロディアスなベースに痺れまくり。 10月13日(火)。東京DFよりThe Youngbloods『Ride The Wind』('71LP)が届く。絶品ライヴ盤、こんなにキモチいいのは初めて。Jesse Colin Young(bass)、Banana(guitar,piano)、Joe Bauer(drum)のたった3人だけの演奏だが、絶妙のコンビネーションでこれ以上の音なんていらない。この演奏を聴いていると心と身体がフワッと軽くなり、まさにタイトルの通り、風に乗ってどこまでも飛んでいけそうな気がする。エンドレスで一日中流していても全く疲れないし、外で聴いてもバッチリだし、無人島に持って行くならこのレコードなのかもしれないな。【'09/10/13 レコ掘り日記】 |
[No.058] 窓に向って 口ずさむ歌9月1日(火)。埼玉GGよりThe Kinks『The Great Lost Kinks Album』('73LP)、Squeeze『Cosi Fan Tutti Frutti』('85LP)が届く。キンクスとスクイーズ、どちらとも僕が最も英国を感じるバンドである。キンクスの方は、ドラマや映画の為に書き下ろされた楽曲やシングルB面曲などを寄せ集めた編集盤、米国盤オンリーでアルバム自体は未CD化。そうそう、直枝さんが一色さんに教えてもらったってレコードね(『宇宙の柳、たましいの下着』P.79参照)。いわゆるB級バンドのB級アルバムという風情だが、これがもう最高で。のっけからヘロヘロ感とほのぼの感漂う酩酊ロックに脱力し、一度もシャキッとすることなく身体フニャフニャのままでアルバム聴き終える。この感じをダルいと思うか素敵と思うかでその人の人生観が見えてくるわけだが、このご時勢まぁ圧倒的に後者は少ないのだろう(笑)。スクイーズの方は、しばらくの活動休止があって再始動1発目のアルバム。それゆえ気合十分、お金をふんだんに注ぎ込んで作り上げたゴージャスな80'sサウンドは賛否両論あるみたいだが、まぁこれも面白いやんというのが僕の感想。サウンドとは裏腹に楽曲自体は意外と地味でスルメ系、そのあたりがスクイーズらしさで僕が好きなところ。「King George Street」なんてとてもポップなんだけど、キャッチーと言う名のストライクゾーンをギリギリかすめる感じがたまらない。そして、グレンとクリスのユニゾンボーカルの不思議な魅力はどんなに派手なサウンドでも負けない。 9月9日(水)。世の中はビートルズだが、我が家には東京PRよりNRBQ『Workshop』('73LP)が届く。一昨年米国でまさかのLP再発、昨年ついに日本でCD化されたずっと幻だった逸品。そのおかげでオリジナル盤を安く入手できた。これはマジで嬉しい(泣)。再発LPを持ってはいたものの何かもうひとつグッとくるものがなかったのだけれど、同じレコードでもオリジナル盤はやはり違う。オリジナル盤には今じゃ出せないあの時代の匂いというのが確実にあり、溝を針がなぞって行くとその匂いがモワモワと立ち込めてきて、たちまち幸せな気分になる。サウンド的にも中低域がふくよかで丸身があって、優しく心地良く染み込んでくる。女性もスレンダーよりちょっとぽちゃっとしている方が好みだし、って関係ないか(笑)。音が良いと当然作品自体もグッと印象が良くなるわけで、このオリジナル盤『Workshop』素晴らしすぎ。心躍るスインギーロックンロールとほっこりするチャーミングなバラードが混ざり合う感じはいつものQだけど、そのバランスがとても良いような気がするし、何より知らぬ間に何度もリピートしてしまうような魔力がある。人懐っこそうな顔して一度足突っ込んだら抜け出せない底なし沼のようなレコード。ついでに、私的には『Scraps』『Workshop』『All Hopped Up』と70年代前半の作品が圧倒的に好き。 9月10日(木)。カーネーションのリリース情報がドバッとアップされる。見た瞬間、頭を抱えた(笑)。いずれにしても一番楽しみなのは新作アルバムでしょう。密かに西村さんが参加してるしね。エレキ弾いてたら嬉しいけど、マンドリンかなぁ。 9月13日(日)。東京HFRよりNRBQ『Howard Johnston's Got His Hojo Workin'/Only You』('72EP)が届く。どちらともアルバム『Scraps』収録曲だが、これはシングルなのでステレオではなくモノラル・ミックス。特にA面「Howard Johnston's〜」はモノラルだと超強力。アルのブリブリ唸るギターとテリーのグリグリ唸るクラヴィネットがごちゃ混ぜになって凶暴さ倍増。テンション上がるアガる。それにしてもアルのギターは最高、鶏のうめき声のようなギターソロは未曾有のカッコ良さ。西村さんや徳武さん然り、どうやら僕はカントリーをルーツに持つギタリストが好きなようだ。 9月16日(水)。長崎SBより小坂忠『ありがとう』('71LP↑画像)が届く。過去最高額、目をつむって勢いでクリックした(なので耳鼻咽喉科のボックスは後回しだ・笑)。重厚な見開きジャケット、WORK'SHOP MU!!による美しいアートワークはレコードサイズでないと伝わらない。部屋で一人マジマジと眺めてニヤけていた。そして、忠さんの人柄が滲み出たこの穏やかな音楽はアナログでないと意味がない。前にも言ったけど、僕は『ほうほう』よりも『ありがとう』の方が好きだ。生粋のソウルシンガーだから力を抜いてフラットに歌っても十分に情感は伝わってくる。和製ジェームス・テイラーとはまさにだけれど、演奏に関しては本家よりイナたくてちょっぴり野暮ったい。でも、それがまた日本の旧き良き田舎の風景を思い出させ日本の田舎もんの僕にはグッとくるんだなぁ。僕の中にあるノスタルジーの源泉のようなレコード。 【'09/09/16 レコ掘り日記】 |
[No.057] Too Shy To Say8月22日(土)。東京HFRよりラストショウ『2』('78LP)が届く。タイツ「テンプテーション・オイル」のライヴバージョン(もぉ最高!)を聴いていると徳武さんのカントリーギターの音色が無性に欲しくなり、ラストショウのレコードを猛烈に探していたら途端にアップされた!念ずれば通ず。今まで買ったレコードの中では最も高額だったが、背に腹は替えられない。ラストショウとは、松田幸一(Blues Harp)、村上律(Steel Guitar)、徳武弘文(Guitar)、島村英二(Drums)、河合徹三(Bass)という名手が集ったカントリーロックバンドで、泉谷しげるのバックバンドがきっかけで結成された(ラストショウというバンド名も泉谷しげるが命名、ピーター・ボグダノヴィッチの映画から取られたそうな)。他にもアグネス・チャンやら鈴木慶一とムーンライダース「髭と口紅とバルコニー」とか様々なアーティストのバッキングで活躍、若者よ70年代はティンパンアレーだけではないのである。で、このレコードはそんなラストショウのセカンドアルバム。歌心と演奏の旨味たっぷりの素晴らしい作品で、楽器の音色とリズムの絡まり合いの豊穣さは歴代の日本のロックバンドの中でも随一ではないだろうか。メンバー全員が曲を書いており、そのどれもが旅の道中で思わず口ずさみたくなる名曲ばかり、それぞれのボーカルもまた味わいがあるし、徳武さんのグルーヴィーなインストもめちゃくちゃイカす。とどめはスペシャルゲストに何とエイモス・ギャレットが!彼の星屑ギターと徳武さんとのギターアンサンブル&バトルに涙し大興奮したのは言うまでも無い。どこを取っても好きな音世界、僕にとっては至福の時間なのである。ちなみに、河合さん作の「バンジョーマン」の詞は一色進さんでございます。 8月25日(火)。元町HBにてStevie Wonder『Fulfillingness' First Finale』('74LP↑画像)、Ace『Time For Another』('75LP)購入。前者はUKオリジナル盤、説明不要問答無用の名作。そりゃもう無敵のスティーヴィー、最初から最後まで神がかっている。終盤戦、ダークなゴスペル「They Won't Go When I Go」で地の底に突き落とされたかと思うと、美しくアッパーな「Bird Of Beauty」〜「Please Don't Go」で一気に天高く放り上げられる瞬間がたまらなく快感。タイトルからしてグッとくるのは「Too Shy To Say」、ペダルスティールの幻想的な響きが生み出すロマンチックな倦怠に包まれる。我が人生を振り返り“Too Shy To Say”のせいでどれだけチャンスを逃してきたかと思うと泣けてくるしかないが、続く能天気な「Boogie On Reggae Woman」でまぁいいやと開き直る(笑)。後者はポール・キャラック率いるUKパブロックバンド、エースの2作目。突出した名曲は無いけれど地味にイイ曲満載、気取りのないロック。日常で聴くにはこれくらいのリラックス感がちょうどいい。僕の中でポール・キャラックと言えば、たまにスクィーズに参加して美味しいところをかっさらって行くズルい人(「Tempted」だもんなぁ・笑)というイメージがあるが、渋くまろやかなブルーアイドソウルボーカルは本当に素敵なのだからしょうがない。このアルバムでもそうだけどメロウな曲を歌わせたら天下一品。 8月26日(水)。元町HBにてLaura Nyro『Smile』('76LP)購入。前作から5年ぶり6枚目のアルバム。“strange”とつぶやいて始まるこの作品、凄腕セッションマンが勢揃いで洗練されたジャジーな演奏ではあるけれど、適当なジャケットからも伺えるように少し肩の力の抜けた感じなのがとてもイイ。ポップスとして気軽に聴ける。ザックリとしたアコギのカッティングがひたすら心地良いモーメンツのカヴァー「Sexy Mama」、エレキギターのメロウな味付けが効いた静かに熱い「Stormy Love」の両面1曲目がとにかく大好き。他にも「Money」はファンキーでカッコイイ(ライヴバージョンはさらにグレイト!)し、タイトル通りの可愛らしい小品「The Cat-Song」も好きだな。ただ、アルバム表題曲に琴を取り入れているのだけは果たしてどうなのか(笑)。 8月27日(木)。NHK教育『LIFE井上陽水〜40年を語る』最終日。第1回目を見事に見逃したが、それ以降の3回は全て見た。何もかもが興味深かった(ディランの影響とか)けれど、見終わった後は謎が解けるどころかますます謎が増したという感じ。またしても煙に巻かれたというか。あと、なんか見た目が長嶋茂雄に似てきたんじゃないかと思ったのは僕だけかもしれないが、まさに日本ポップス界のミスターと呼べる存在だよなぁ。いやはやスゴい人です。 8月28日(金)。愛知HPよりOST『火曜日のあいつ』('76EP)が届く。TBSのテレビドラマで小野寺昭、石橋正次が主演のトラック運転手の物語だそうだが、もちろん番組のことはさっぱり知らない。このサントラの演奏がラストショウということだけで買った。A面「ブルファイト」は、エリアコード615直系のファンキーカントリーグルーヴ炸裂!燃える。レコード店的な言い方だと、ECDもセレクトしたジャパニーズレアグルーヴか。まぁそれはいいけど、とにかくゴキゲンで痛快な演奏で日頃の疲れも吹っ飛んだ。B面「燃えてるあいつ」は主題歌のカラオケかな、哀愁たっぷり黄昏模様。【'09/08/29 レコ掘り日記】 |
[No.056] 雲男8月9日(日)。元町HBにてJohn Hartford『The Iron Mountain Depot』('70LP)、Jimmy Webb『Land's End』('74LP)購入。前者は気狂いバンジョーマン、ジョン・ハートフォードの7thアルバム。バンジョー=カントリーという短絡的な方程式はここでは通用しない、めちゃカラフルなバンジョーポップ(?)。脳天気なのに哀愁漂うバンジョーの響きがひたすら心地好い。ラストのビートルズ「Hey Jude」のカヴァーはやたらにグルーヴィーでバカバカしくて最高。後者はバート・バカラックと並ぶ偉大なポップス作曲家・編曲家ジミー・ウェッブのソロ5作目。ロンドン録音でエルトン・ジョン周辺の人たちやリンゴ・スターも参加したアサイラムらしくウエストコーストっぽい匂いのする作品。これだったらシンプルなバンドアレンジで纏めた方がいいような気もするが、ついストリングスを入れて大袈裟にちゃうのはご愛嬌ということで。「Cloudman」や「Woman Fits Her Blue Jeans」は曲そのものも良いのだけどタイトルが抜群、日本語だと「雲男」「ブルージーンズが似合う女」と言ったところか。いや、「雲男」はないか(笑)。 8月12日(水)。元町WHPにて西岡恭蔵『ディランにて』('72LP)、元町HBにてIan Gomm『The Village Voice』('83LP)購入。ゾウさんのファーストアルバムは文字通りのフォークロック。アコギとベースとドラムと時々ピアノ、ただそれだけ。だからこそ胸にズドンとくる歌。聴く人の心を優しく包み込む大らかさの奥底に滲む孤独感、やるせない。後者はブリンズレー・シュワルツ出身のイアン・ゴムのソロ3作目。何の衒いの無いゴキゲンでキャッチーで甘酸っぱいパワーポップ集、さすがの職人ぶりで安心感あり(「Hearts On Fire」はタイトルからしてダサいが・笑)。痛快なR&R「You Can't Catch Me」を聴いて何かNRBQっぽいなぁと感じていたら、B面でQの名曲「She'll Never Take The Place Of You」のカヴァーをやっていてニヤリ。やっぱりなぁ。 8月14日(金)。昼、おもいっきりDONに原田真二。アコギ弾き語りで「てぃーんずぶるーす」、いい味出てたなぁ。19歳の頃の青春の歌を50歳になって歌っても何の違和感もないしまた違った景色が見える、松本隆の詞は色褪せない。夜は、京都SOLE CAFEで西村哲也&菱沼カンタLIVE。時期が時期だけにお客さん来るのか?とちょっと心配したけれど、SOLE CAFEでは格好のつくくらいの入りでヨカッタ。ジャムセッションのようなライヴという前情報があったのでどんな風になるのか楽しみにしていたのだけど、まさにジャムセッションだった。それは二人の演奏形態だけではなく選曲や演奏する順番なんかもその場その場で思いつきで決めていき、挙句の果てには西村さん「あれ?さっきどの曲やったっけ?」と頭を捻るほど(笑)。西村さんはガットギター、エレキギター+トーキングモジュレーター、シンセサイザーと今まで見たことない楽器演奏ばかりで全てが興味深かった。正直、カンタさんとのセッションは何一つ思い出せない(笑)、でも奇妙な世界の連続で気持ち悪くて気持ち良かったという感触があるのは確か。ただ目の前で起きていることが全て、それが即興演奏の醍醐味なのだろう。そんな不思議セッションの合間に箸休めのように配置された西村さんのガットギター弾き語り。フォークギターに比べガットギターだとロマンチック度がアップするような気がする。ポール・ウィリアムスのカヴァー「Let Me Be The One(あなたの影になりたい)」(また聴けて嬉しい!)や「キャンディ」あたりはその音色と見事に溶け合っていた。観客の心を掴み感動的で深く記憶に刻まれるといった類のものではなく、聴き手のことはほとんど考えず演者自身が好きなことをやってひたすら楽しく演奏している姿が見れるライヴというのもたまにはいいものである。年に一度はやりましょう。※西村さんが歌ったのは、あなたの影になりたい(ポール・ウィリアムス)、キャンディ、子供の歌、ブルー・サーフィン、キッチン・ミュージック、海豚の歌う時、砂のコリン、月の子馬、だったかと。 ※今年の年末12月27日に“西村哲也生誕50周年記念ライヴ”が行われるそうです!ゲストを交えつつソロからバンドまで普段やっていることを全て見せますと仰ってました。お見逃しなく! 8月17日(月)。千葉DRよりTodd Rundgren『Hello It's Me』('74LP↑画像)が届く。これは2枚組アルバムの『Something/Anything?』から美味しい曲だけをピックアップし1枚に編集した日本独自の企画盤、ド派手なアゲハ蝶メイクのトッドがドーンと目に飛び込んでくるジャケットがまた強烈。「無人島レコード2」の中でサエキけんぞうさんが取り上げており、その文章を読んで以来ずーっと探していたレコードだったので手に入ってめちゃくちゃ嬉しい(割と手頃な値段だったし)。サエキさんはオリジナルの『Something/Anything?』よりもこっちの方が素晴らしいと言っていて、聴いてみるとなるほどそうかも知れないと思うところもあって。オリジナルは実験的で変な曲も入っているごった煮的で一貫性が無い(そこがまた好きなのだけど)ので、これだけ名曲ばかり揃えて気持ち良く繋がれるとすいませんと降参するしかない。我が最愛のレコードと言ってもいい『Something/Anything?』だけど、無人島に一枚だけ持って行くとすれば?と問われれば、サエキさんと同じくこれを持って行くかもしれない。収録曲:I Saw The Light(瞳の中の愛)/It Wouldn't Have Made Any Difference(所詮は同じ事)/Cold Morning Light(冷たい朝の光)/Sweeter Memories(甘い想い出)/Little Red Lights(小さな赤い灯)/Hello, It's Me/Dust In The Wind(風に舞うほこり)/Black Maria/One More Day(No Word)/Couldn't I Just Tell You(伝えられずにいられない)【'09/08/17 レコ掘り日記】 |
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[No.055] 青山陽一 the BM's@梅田Rain Dogs 『Guitar=Organ=Drums on the Road』 2009/08/02 19:00〜@大阪・梅田Rain Dogs 青山陽一 the BM's <青山陽一(vo,e.g)/伊藤隆博(organ,cho)/中原由貴(d,cho)> この日神戸一悩める男(シネマ@チキンジョージと被っていた)でしたが、最終的に選んだのは青山陽一 the BM's。ここんとこ心身共にヘヴィーな毎日だったけど、そんな疲れも吹っ飛ぶ最高のライヴを見せてくれましたよ。初っ端から「Smashing My Head」〜「Highnoon」という破竹の勢いに、いやぁさすがに今日は気合い入ってる飛ばしてんなぁと感じていたら、そのまま一切テンション下がることなくあっという間に駆け抜けました。BM'sは目下日本一イカしたロックバンドと信じて疑わない僕ですが、この日のライヴを体験してその想いを更に強くしたのでした。三人の猛者たちの互いが互いに火花を飛び散らした熱いバトル、と同時にクールガイたちなので決して空中分解はしない、そんなギリギリなバランスがBM'sの魅力なのだけど、それにしてもこの日の三人は持ち味を出しまくっていました。青山さんは終始指弾きだったと思うけど、専売特許の太くセクシーな音色は相変わらず強力、細かなニュアンスも豊かで心底キモチ良くニヤニヤしっぱなしでした(歌声も調子が良かったようです)。伊藤さんは涼しい顔して色鮮やかな音の染色と恐ろしくファンキーなベースを同時に弾きこなすマジカルなオルガン使いぶりにますます磨きがかかり、この日の主役と言ってもいいくらいの大活躍でしたね。そして、中原さんはバンドの士気を高めるべく後ろから二人の男たちのケツを蹴り上げる番長ドラムは今宵も炸裂していました(だからこそ余計にキュンとクるキュートなコーラス!)。客席も彼らのあんな演奏あんなグルーヴで攻められちゃあ盛り上がらないわけにはいきませんよね。 ここからは印象に残った曲の話でも(新曲についてはCDレヴューでじっくり)。「回転もしくは上下動」は最初新曲か?と思うほどオリジナルとは全く違う疾走感溢れるアレンジに変わっていて、ファンとしてはこういう驚きが一番嬉しいのかもしれないですね。「Queen Bee」もライヴでは聴いたことないレア曲でなかなか曲名が出てこず・・・あれ?何だっけ?あっ「緑の大群」か、いや何か違う、あぁー「Queen Bee」だ・・・そんな思い出す作業もライヴの醍醐味なのです。「Beautiful Fingers」も珍しいのかな?お店のBGMがやたらとレゲエだったので、妙にハマリましたね。中村まりのカヴァー「Night Owls」では、青山さんはスライドを弾き、伊藤さんのオルガンはいなたくフォークロックなアレンジでまさしく僕のツボでした。2nd set冒頭の「Clyde Wright」〜「罪深きグルーヴィー」という流れは、青山さんと伊藤さんの掛け合いがたまらなく痛快でこの日一番の盛り上がりポイントでしたね。それと伊藤さんのオルガンベースの破壊力に度肝を抜かされたのもこの時でした、もう何がどうなってるかさっぱり分かりません。真っ黒けなアルバム『jaw』の楽曲はこのオルガントリオには最適なのかもしれないですね。「難破船のセイラー」はペダルスティールやスライドギターが無くても、この曲特有の怪しいムードは健在で、静かなのに熱いという謎は深まるばかり。Featuring中原さんな「Blind Touch」に続いて演奏してくれた「Tragic Magic Home」はやたらに大好きな曲なので個人的に燃えました。本編ラストはこれまたまさかの「God Press You」で今ツアーのテーマソングなのかな?締めにふさわしいファンク大会でした。2度のアンコールで最後の最後は「Starlab」、中原さんと伊藤さんの素敵なコーラスで夢見心地まさしく星になってお開きになりました。 5年ぶりのワンマンライヴは大変に充実した素晴らしいパフォーマンスで客席にいた誰もが大満足だったはず、次にアルバムがリリースされた暁にはまた是非関西でワンマン観たいですね!その時はもっとたくさんの人に来てもらって、もっともっと賑やかに盛り上がりたいですね。これほどクオリティーの高いバンドは他にいないんですけどねぇ・・・わかんないのかなぁ。【'09/08/06 ライヴレポ】 Smashing My Head/Highnoon/回転もしくは上下動/Beautiful Fingers/Queen Bee/Night Owls/Just One Note/Clyde Wright/罪深きグルーヴィー/三日月/Freedom/難破船のセイラー/Blind Touch/Tragic Magic Home/God Press You/Can't Find My Way Home/Rainbow/Starlab |
[No.054] 三十歳の子供7月19日(日)。情熱大陸に斉藤和義が出ていた。この人のことはもう随分前から知っているけど、昔は知る人ぞ知る存在だった的な説明に驚いた。斉藤和義で知る人ぞ知るであれば、僕が普段聴いている人たちはどうなるんだ!?何だかしょっぱいねぇ。ヒットして周りが騒がしくなってきた時の気持ちは?と聞かれて、「いや、それはあなたたちが知らなかっただけでしょ?僕はずっと前から歌ってたし、昔から聴いてくれてるファンもいるし。その間、どうせつまらない音楽聴いてたんでしょ?とも思う。」みたいなズバッとした答えっぷりが妙に気持ち良かった。いやホント、彼以外にも知らなきゃあかん人はいっぱいいますぜ。 7月22日(水)。三宮ジュンク堂にて、黒沢進『日本フォーク紀コンプリート』('09BOOK)購入。70's日本フォークを語る上で最も重要なレーベル、URC/Bellwood/ELECのディスコグラフィーが完全網羅されている僕にとっては美味しい本。ジャケットを眺めているだけで涎が出てくる。死ぬまでコツコツと集めていこうと思うが、コンプリートへの道は険しい。取り急ぎ欲しいのは、中川五郎さんのシングル「俺とボビー・マギー/ミスター・ボージャングル」。最高のカップリングだし両面ともアルバム未収録のバージョンというのもあるけど、何より矢吹申彦さんによるジャケットがあまりにも素敵なので。 7月25日(土)。NHK「佐野元春のザ・ソングライターズ」を観る。ゲストはさだまさし。前回も含め、とても面白かった。やっぱりさだまさしは喋りが上手い。大学生たちの詩のアイデアを基に目の前でさらりと曲に仕上げてしまったのには心底驚いた(こんなのいくらだって創れる、とニヤリ)。あと、詩を書く時に心掛けているのは“体温”と言っていたのが印象に残ったな。次回は8月8日(土)でゲストは松本隆、赤丸要チェック。 7月26日(日)。渋谷HFRより中川五郎『また恋してしまったぼく』('78LP↑画像)が届く。ずーっと前から欲しかったレコードがひょこっとアップされたので即注文した。前作『25年目のおっぱい』に続く生々しいラヴソング集、そこにロマンチックな夢見心地なんて無い。思春期に芽生えた女の子に恋する気持ちは女房子供が側にいるようになっても消えないんだ、しょうがないな男ってえのは(笑)。「三十歳の子供」という曲なんてのはまさに自分のことを歌われているみたい(女房子供はいないが)で、“これから人生どうするの”なんて最もキツイ言葉だったりするが、五郎さんが歌うと救われる気分になるのが不思議だ。おお同士よ!と肩を叩かれているようだ。今でも五郎さんはこの曲を歌っているみたいだし、いつになっても定まらないのが人生なのかもしれない。演奏も実に素晴らしく、中川イサトさん周りの関西勢が中心で歌心抜群。ベースの藤井裕さんはファンキーな曲をやっても最高だし、こういうゆったりとした曲をやっても完璧。カッコ良すぎる。「また恋してしまったぼく」ではセンチメンタル・シティ・ロマンスのメンバーが参加し、爽やかな西風を吹かせてくれたりもする。単なるフォークで終わらない、意外とバラエティに富んでいる作品だ。ラストはクリス・クリストファーソンの日本語カヴァー「ミー・アンド・ボビー・マギー」、アコースティックギターと松田幸一さんのブルースハープだけの簡素な演奏だが、だからこそたまらない郷愁。五郎さんが訳した日本語詞も優しく沁み込み、心の隙間を埋めてくれる。墓場でも口ずさんでいたい僕にとっても大切な歌。 自由っていうのは失うものが 何もないことさ いい気持になるのは簡単なこと ボビーがブルース唄えば それだけで俺たちゃごきげん 7月30日(木)。東京DMより加川良&村上律『加川良、ウィズ、村上律。(A LIVE.)』('83LP)が届く。こんな暑苦しい夜だからこそ暑苦しいレコードを。胸がじわんと熱くなる傑作スタジオライヴ盤。加川良さんの歌声とアコースティックギターと村上律さんのラップスティールとの魂の交信とも言えるようなスリリングなセッションに打ち震えるばかり。加川さんの過剰なほど想いの込められた歌は時代とか世代とかを超えて人間なら誰もが涙するに違いない。特に「今晩はお月さん」は30歳孤独な男には堪える。83年という時代にそぐわない、これほどまで泥臭いレコードがひっそり出ていたことに乾杯。【'09/07/30 レコ掘り日記】 |
[No.053] 今日はまるで日曜日7月6日(月)。愛知PLより中川イサト『1970年』('73LP→画像)が届く。70年に密かに宅録していた音源を73年にレコード化という何ともややこしい作品。西岡たかしさんが録音した音は輪郭がぼやけて冷んやりしていて夢見心地。いわゆるアシッドフォークというやつ、気だるい夏に妙にはまる。KINTAさんのペンによる部屋からなかなか出ずにひたすらダラダラしている引きこもり気味の歌詞も何故か心に響く、のは僕だけか(笑)。ほとんどの曲がアコギと歌だけの簡素な演奏で曲調もドラマチックでも何でもないのに、全く飽きさせないイサトさんのギタープレイはさすが名人。その一方で、イサトさんのボーカルの方はお世辞にも名人ではないのだけど(失礼)、その訥々とした歌いぶりと人柄が滲み出たほんわかした声がクセになる。名曲「今日はまるで日曜日」は西岡恭蔵さんの大らかなバージョンも良いけど、しょぼくれ感漂うイサトさんのオリジナルの方が僕にはグッとくるなぁ(カーネーション「市民プール」と並べて聴かれたし!)。ラストは大正琴と琵琶の意味不明なセッション、その最後にイサトさんの謝辞が述べられている。律儀な人だ。 7月10日(金)。東京HFRより小坂忠『機関車から機関車へ』('77LP)が届く。『ありがとう』『もっともっと』『はずかしそうに』『ほうろう』の4枚のアルバムから選曲されたベスト盤。機関車、みちくさ、春を待っている私はこたつの中、大きなけやき、からす、早起き山から/はずかしそうに、今夜だけでも、山は緑、機関車、ゆうがたラブ、しらけちまうぜ。てな感じ、有名曲があれもこれも抜けていて突っ込みどころもあるにはあるが僕はこの並び結構気に入っている。改めてアナログでじっくり聴いてみて、どちらかというと僕は初期のカントリー風味の忠さんの方が好きだなぁと。『ほうろう』は良くも悪くも無理して気張っているように聞こえて、まぁそれはそれでカッコイイんだけど、それ以前の全く力みがなくフラットなジェームス・テイラーしてる歌い方の方が自然と身体に馴染む。中でも「からす」はたまらないねぇ、僕のテーマソングじゃなかろうか。“あまり怒るなよ 仕方ないのさ からす”というフレーズは常に僕の頭の中をグルグル旋回している。 7月14日(火)。東京BRRより斉藤哲夫『僕の古い友達』('75LP)、山下達郎『スプリンクラー』('83EP)が届く。先述の忠さんのベスト盤に入っている「はずかしそうに」は物凄い名曲だなぁとクレジットを見たらアレンジが瀬尾一三さん。瀬尾さんと言えば僕にとってはやはり斉藤哲夫さんとの仕事でしょう、ということで『僕の古い友達』を。『バイバイグッドバイサラバイ』『グッドタイムミュージック』に続くCBSソニー三部作のラストは、少し肩の力の抜けたとびきりポップなアルバム。A面1曲目の「夜空のロックンローラー」冒頭のアカペラコーラスからあっという間にガシッと心掴まれる。前二作の表題曲のようなとんでもない超名曲があるわけではないけれど、魅力的なフックだらけ名佳曲揃いのこれまた名作。フォーキーな下町風情と英国風味の郷愁メロディーとが混ざった哲夫流ポップスは唯一無二、僕は好きで好きで仕方が無い。1曲だけ渡辺勝さんの「あなたの船」のカヴァーあり、これまた泣ける名曲で(そう言えば、前に薄荷はっぱが歌ってたなぁ)。あと、ラスト3曲はトランザムの演奏だけど、それ以外はドラムが林立夫さんというのも無条件にポイント高し(ベースは後藤次利さんだし、松任谷正隆さんも駒沢裕城さんも参加しているので小坂忠さんのフォージョーハーフじゃないか!)。シングル『スプリンクラー』は通販の料金の関係で無理矢理買った(笑)。「スプリンクラー」は繰り返されるヘヴィーなビートがズドンとクる、達郎さんのロック魂が如実に表出した無茶苦茶カッコイイナンバー。カーネーションの「One Day」を思い出したのだけど、後で聴いたらそんなに似ていなかった。 7月17日(金)。元町FOにて友部正人『大阪へやって来た』('72LP)購入。無造作に置いてあったのすぐさま確保。金魚プロペラ機(?)のイラストが印象的なジャケットのデビュー作。針を落とした瞬間から鋭い言葉の速射砲にただ撃たれ死ぬしかないフォークパンク「大阪へやって来た」は今もって圧巻。はっぴいえんどのリズム隊や高田渡さんが参加している「まるで正直者のように」で少しホッとする、バンドの音のおかげで言葉の角が丸くなるから。B面は弾き語りだが割と肩の力の抜けたナンバーが続く。「梅雨どきのブルース」はユーモラスで情けなくて、とても好きだな。梅雨生まれの人間だしね。 レコード買ってから近所のうどん屋でカツ丼と瓶ビール。何か知らんけど幸せな気分だった。【'09/07/17 レコ掘り日記】 |
[No.052] どぎつい6月24日(水)。元町WHPにて、上田正樹『上田正樹』('77LP)購入。急にキー坊の声が聴きたくなったもんで。って、泣きたいんか?俺は。サウス・トゥ・サウス解散後の1stソロ。全く売れへんかったからか未だCD化されてないみたいやけど、なんでやねん?と思いきり頭はたきたくなるくらいのソウルAORの名作ちゃうやろか。良くも悪くも「悲しい色やね」の印象強すぎて、演歌歌手みたいに思てる人も多いかもしれへんけど、キー坊は日本最高のソウルシンガーなんやでホンマ。小坂忠さんもエエけど、キー坊も忘れんといてや。てなことで、このレコードの話。A面1曲目「悲しい日々」からもう泣きまくりの超がつく名曲なんやけど、意外なことにバックが初期ムーンライダーズなんやねぇ。ソウルミュージックと言うよりもザ・バンドみたいな土臭い曲やから、ライダーズの演奏もどっちか言うと“はちみつぱい”的風情やね。他の曲ではフュージョン系のミュージシャン勢揃いでテクニックバリバリな中、鈴木博文さんの朴訥としたベースが何とも言えない郷愁を誘うね(涙)。B面1曲目「感じるままに」〜2曲目「道頓堀の柱時計」の流れは、細野晴臣〜久保田麻琴ラインのエキゾチックファンクで今の若者にも受けそうやな。さすが大阪人、笑いも忘れてへんね。 6月27日(土)。梅田で飲みということで、その前にタワレコで中村まり『Beneath The Buttermilk Sky』('09CD)購入。当たり前のように名盤。相変わらずの浮世離れした音楽と歌声でいつの時代なのか分からなくなるが、でも、しっかり今の音楽だとも感じる。だからさぁ、これが今一番ヒップな音楽じゃないの?と声高に世間に問いたい。何よりほぼ同世代でこういう凄い人がいるのは嬉しい。同僚との飲みは世代バラバラだが昔話楽しく、ついつい飲みすぎ帰宅後撃沈・・・。 6月30日(火)。元町WHPにて、上田正樹とSOUTH TO SOUTH『この熱い魂を伝えたいんや』('75LP)購入。満を持してという感じやね(笑)。言うまでも無く日本最強のライヴ盤(@芦屋ルナホール)。最前列かぶりつきでライヴ観てるようなバリバリの臨場感。黙ってなんて聴いてられへん、思わず立ち上がってノリノリで踊るしかないやろ。“この熱いの分かって欲しいねん、分かるか?”そんなもん分かりすぎるわ(笑)。カヴァーもオリジナルも何演っても最高やけど、なんちゅうても「最終電車」!アホみたいにカッコ良うて、しょんべんチビりそうや。ドファンキーなイントロからの第一声“どぎつい”でノックダウン、開始10秒でKO負けや。このスリリングな一瞬を体験したいが為に、この曲ばっかりもう既に何十回も聴いとんねや。下腹部をブリブリ突き上げる男気ベースプレイもせやけど、この曲を世に生み出した藤井裕さんは偉大や。足向けて寝られへん。【'09/07/04 レコ掘り日記】 |
[No.051] のんびりいくさ6月13日(土)。三沢光晴が・・・なんてこった。レスラーはリング上で死ねたら本望なのかもしれないが、まだまだやり残したことがあっただろうに。46歳どうしたって早過ぎる、無念。僕にとってはタイガーマスクと言うより緑のパンツとエルボー連打、プロレスの王道を貫く渋いレスラーだった。合掌。キリンジの「悪玉」を何度か聴いた。 6月17日(水)。元町WHPにて、伊東きよ子『見知らぬ世界』('68EP)購入。久しぶりの歌謡曲。両面ともに浜口庫之助作詞作曲&クニ河内編曲という私的に相当そそられるコンビ、でもって当然のごとく両面とも超名曲である。A面「見知らぬ世界」ではたおやかでキュートなディス・イズ・ハマクラメロディーを思う存分堪能。一方、B面「星からの便り」はシタールを導入したエキゾチックなナンバーでクニ河内の鬼才ぶりに舌を巻く。ハマクラさんのちょっと変な歌詞も素敵すぎる。完璧なシングル。 6月20日(土)。渋谷HFRからプレゼントが届いた(自分でお金を払っているのだが・笑)。いろいろ物色して我が生誕30周年記念に選んだのは、かまやつひろし『釜田質店』('73LP↑画像)だ。ジャケットはすこぶるロックだが、筒美京平ものやスパイダースナンバーのセルフカヴァーを含む実に味わい深い沁みる作品。何と言っても郷愁の風を軽やかに吹かせるムッシュの歌声が素晴らしくてね、カントリー風の曲調に合うんだなぁこれが。人生のサウンドトラックと言うほど大袈裟ではないが、いざと言う時の非常食のようなレコードになりそうな気がする。僕はムッシュの良いもの面白いものを嗅ぎ取る鋭い嗅覚、アーティスティックなようで下世話なところもあるチャーミングなセンス、遊び心を忘れずシリアスになりすぎることのない飄々とした佇まいに猛烈に憧れている。そんなムッシュは今年で70歳、30なんてまだまだひよっ子だな。【'09/06/20 レコ掘り日記】 |
[No.050] 『30才』 岩井宏6月12日(金)。山形CBRより岩井宏『30才』('73LP)が届き、一日中聴いていた。岩井さんは70年代のフォークシーンを代表するバンジョー奏者で、はっぴいえんどの「春らんまん」のエンディングでかすかに聞こえてくるあのバンジョーは彼の演奏なのだそうだ。当時アート音楽出版で働くサラリーマン(加川良さんの先輩)でもあり、このレコードには入っていないけど「サラリーマンを馬鹿にしちゃ駄目よ」なる歌もあったらしい。そんな彼の唯一のソロアルバムが『30才』。団地の窓辺で息子を抱きかかえて優しく微笑むお父さん、それはもうジャケット通りのひたすら穏やかな音楽である。津田沼の矢作行仁という人の家に録音機材を持ち込んで(これもJT『One Man Dog』の影響か?)、エンジニアは吉野金次さんと野村正樹さんが務め、演奏は岩井さんと加川さんと中川イサトさんと3人だけの完全なるアコースティックで実に素朴な人肌の音。歌われる内容も紙芝居屋のオヤジやら缶蹴りやら子ども時代の古き良き路地裏の世界でほっこりする。そして、ラストのタイトル曲では、彼が30年の時間を経て感じた人生観をささやかに歌っている。 大手を振って歩いてると 思って すごしていても 歩いているうちに 歩く事だけに 歩く事だけの毎日です。 まさにそうだなぁとしみじみ思った僕もあと数日で30才か。【'09/06/12 レコード】 A面:小さな歯車に油をさそう/ほおずき市/Hobo's Lullaby/路地/かみしばい B面:道草/赤ん坊さんよ負けるなよ/屋根裏部屋/春の紡ぎ唄/30才 |