1999/07/25

WARRIOR
WISHBONE ASH (”ARGUS” ’72)

 その日、何とはなしに空を見上げた。抜けるような青空だった。どうした訳か、急に理由もなく心がざわめいた。それ以外は、いつもと同じ一日が過ぎた。
 疲れた体を引きずりながら帰る途中、丘に立ち、西を見る。一瞬、沈もうとする強い光に両目を射られた。壮麗な夕陽が空を血の色に染め上げている。
 振り返ると、背後は既に薄闇に覆われていた。北の方角に目をやる。闇は更に濃い。詮無い溜息が洩れ出た。
 もう一度正面を向く。傾く陽に照らされ、顔に熱を感じた。それを熱、と意識した途端、抑え難い衝動が体を突き抜けた。
 が、人の気配を感じ、すぐにそれを治めた。− その笑い方は止めた方がいい −。 あれは、いつのことだっただろう。遙か遠い昔、彼に諫められたことを思い出しながら、麓の方を見る。案の定、道の途中で知人が硬直していた。
 軽く会釈すると、ほっとしたように知人が大声で呼んだ。今行きます、と叫び返すと、知人は手を上げてから立ち去った。
 ちらっと夕陽に目をくれ、歩き出した。ほとんど山の端に隠れ、辺りも背後同様、薄青い闇に覆われ始めている。
 普通の笑いがこみ上がり、また彼を思い出す。あれは、たしかに的を得た諫言だった( やるんじゃなかった。更に腹が減ったぜ )。絶え間ない飢餓感は食い物の所為だけではない、と思う。熾火であったそれを、今は熱と意識してしまった。もう引き返せない。
 丘を下った時、心は決まっていた。


※ ”A” ではなく、”Three” hundred だと思う。なんちて。

※ 「 The King Will Come 」,「 Warrior 」,「 Throw Down The Sword 」
WISHBONE ASH三部作は それぞれ、京都,斗南,新婚時代にマッチするように思えて、いやほんと、しようがない。誰の話?それは しみちゅ。

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