(C)Kodai Yamase.
アニソンの、隠れた名(迷?)フレーズについて頼まれてもいないのに語るコーナー
「重戦機エルガイム」は1984年2月から放映された日本サンライズ製作の作品。
「機動戦士ガンダム」でお馴染みの富野良幸が総監督を勤め、当時全くの新人だった永野護をキャラクターとメカ・デザインに配し、その他にも声優陣に若手を起用する等「アニメ界の今後」を見据えての実験作的意味合いも含んでいた。
特に永野護によるキャラクターのファッションや、「ヘビー・メタル」と称され後の「ファイブ・スタ−物語」における「モーターヘッド」の礎ともなったロボットのデザインは斬新なもので、作品としては必ずとも「名作」と言い切れない本作で抜群のインパクトを残している。
軽くスト−リ−について。
二重太陽サンズを取り巻く5つの惑星…ペンタゴナ・ワールド。その星のひとつコアムは、ヤーマン王朝によって治められていた。
しかし独裁を目論んだポセイダルによって滅ぼされてしまう。
ヤーマン王朝の後継者ダバ・マイロードは、ミラウー・キャオら仲間とともに打倒ポセイダルののろしをあげる。
いわば青雲の志を抱いた亡国の王子による、立身出世の物語と言えるかもしれない。
前作品にあたる「ザブングル」「ダンバイン」同様、「エルガイム」でも作品中に主人公が乗るメカが途中交代するのだが(エルガイムMK-2は主人公メカとは思えない程の悪魔ヅラだが、抜群にカッコイイ!)今作品ではオ−プニングまでもが途中で変更されている。
今回は第1期オ−プニング・テ−マである「Time For L-GAIM」を取り上げてみようと思う。
「エルガイム−Time For L-GAIM」
作曲 筒美京平 作詞 売野雅勇
誰か背中抱いててくれ
ひとりきりじゃ悲しすぎるから
他人(ひと)が見てる夢のようさ
確かなものがなんにもないね
どうして僕はここに・・・tell me why
Show me the way to you(heavy metal)
Lead me now where you are(heavy metal)
いま いま 駆け抜けろ
Show me the way to you(heavy metal)
Lead me now where you are(heavy metal)
いま 愛 胸に抱いて L-GAIM
作曲は何とあの「筒美京平」。意外とアニメの仕事は多く「サザエさん」なんかも手掛けていたりする。
歌うのは前番組「聖戦士ダンバイン」に引き続きMIO。
ハスキーでパワフルなヴォーカルがカッコイイ。
さて、番組名の「重戦機エルガイム」は英語表記されると「HEAVY METAL L-GAIM」となる。
前述の通り、作品世界でのロボットは「ヘビー・メタル」と総称されているからなのだが、このオープニングテーマは、というと...。
少なくともイカしたギター・リフや早弾きフレーズ、2バス・ドラム等は影も形も無い。
それどころか、どちらかと言うとギタ−よりもシンセの方が多く使用されているし、ドラムに至ってはシンセ・ドラム!!C-C-Bかよ!というツッコミが聞こえて来そうだが、まあ、84年当時はハヤってたしねぇ。
それこそアイドルから北島三郎のバック・バンドまで、ネコも杓子もあのシモンズ製6角形ドラムパッドがセットに入ってたもんだ。
とは言うものの、ドラマチックなイントロやパワフルかつメロディックなサビ等、そこはかとな〜くメタルの「エッセンス」を感じてしまうのは俺だけだろうか?
なんか、ハロウィンとかがカヴァ−しそうな雰囲気と言おうか...。
と、まあ曲全体の感じはこのくらいにして、ベ−スの方に目を向けるとしよう。
ベ−ス的にこの曲で一番のキモはイントロ。
キーはF#mでシンセによるフレーズを主体として、コ−ド・チェンジ時にギタ−やドラム等がアクセント的に入ってくる。
肝心のベ−スだが主に4弦2フレットのF#と、そのオクターブ上の音を8分で弾き続けるいわば「ペダル・ベース」で進行している(EX-1)。

ベ−ス譜下のキーボード・パートは[F#-A-C#-C#m(-D-E-F#)]という感じで移動しているのだがベースはカッコで括った辺り以外は、同じフレ−ズをキープしている。
これはベースではよく「分数コード」と言われていたりする物の中の一種で、Onコードのフレ−ズの時に他の楽器がコードチェンジしてもベースのフレーズは変わらない物を差して言う時に使われたりする。
DEEP PURPLEの「Smoke On The Water」のイントロやBON JOVIの「Livin' On A Prayer」のAメロなどがポピュラーなOnコ−ドの例と言えるだろう。
Onコードを使用するメリットは、音の厚みや曲のスケ−ル感・ハ−モニ−感が広がる、という点だ。主にはイントロや、ドラマチックな展開の有る場所に使用される事が多い。
試しに、「Smoke On The Water」のあのイントロをベースもギターと同じ様に弾いてみると、その違いと効果が分かってもらえると思う。
もちろん、ただやみくもにベ−ス音を固定していれば良いわけでは無く、コ−ドを構成する音の中、叉はそれを代理する事ができる音を利用する事が大切だ。
例えばギター等がA-D-A-F#という動きの時、ベースはA-A-A-F#という風に弾く事ができる。
これはギターの弾いているDのコードを構成している音の中にAが含まれているため、ベースがAでステイしていてもミスト−ンとはならず、かえって同じ様に進行するよりもひとヒネリ効いたものになっているのだ。
もちろん、逆にベ−スや他の楽器がコ−ド・チェンジする中で、ある楽器がワン・ノ−トを弾き続ける、というパタ−ンも有る。
分かりやすく、有名なものでは「太陽にほえろ!」のオープニング・テーマでのイントロがある。
こちらの方も、狙う効果や使い所は変わらない。
また、見逃せないのが4小節めのフレ−ズ。
4弦2フレットのF#を押さえつつ、C#-D-E-F#と上昇する弦とびピッキングが必要になっている。
このくらいのテンポならあまり難しくは無いが、こうした弦とびのフレ−ズは結構使えるフレ−ズが多いので、練習しておくにこした事は無いと思う。
さて、今回はこんな所で。