熱苦しく語れ!

LET THE MOVIE DO THE TALKIN'!

SIN CITY(2005年作品)

ハードボイルドである。

原作コミックのテイストを極限まで再現させるために最新のCG技術を駆使し、斬新かつスタイリッシュな映像を作り上げていても、作品を流れる空気は、時代錯誤も甚だしいまでにハードボイルド以外の何ものでもない。

元々は「バットマン/ダークナイト・リターンズ」をはじめ、「デアデビル」「エレクトラ」等アメコミで活躍していたフランク・ミラーが、93年に発表した作品の映画化。 白と黒を基本に、血や唇の赤等、印象的な所に鮮やかな色彩がのっていく映像は、コミックの持つ世界観を忠実に再現するのに重要な役割を担っている。

この作品の原作者であるフランク・ミラーと、恋人を殺されたギター弾きの復讐を描いた作品でデビューしたロバート・ロドリゲス。
1シークエンスで協力するのは、血の池の中で男の仁義と友情を通そうとした男を描いた作品でデビューしたクエンティン・タランティーノ。
この3人が監督するのだ、ハードボイルドとして「正しくない」ワケがない。

では、「正しいハードボイルド」とは何か?

まあ、これは人によって様々な条件があったりするだろうけれども、個人的な意見として述べさせていただくとすると・・・。
主人公はタフでワイルド、腕っ節と度胸はピカ一。
しかし完全無欠なスーパーマンなどではなく、バツ一だったり普段の生活が強烈にだらしなかったり、いわゆる負け犬の部類に属する人間だったりする。ヘタすると犯罪者だったり、犯罪と隣り合わせの生活を送っていたり。

が、いざ自分と自分の大切なものが危険に晒された時には、たとえ相手が強大なものであっても、敢然と立ち向かっていく。 その行動や思想には独自の美学と知的さがなくてはならない。
ロマンチストである、というのも重要な要素だ。
よくハードボイルドものにおいて重要な小道具として登場する「タバコ」と「酒」は、口ベタで純情な男のテレ隠しのための道具なのではないか、と思う。
とにもかくにも、いくら腕っ節が良かろうが、酒が強かろうが、単なるバカではイカンのだ。

それに関わる女も、単なるセクシーで綺麗なだけではいけない。
男に守られるだけのか弱い存在ではなくて、いざとなれば危険に立ち向かっていくだけのタフさも持つ。
「ダイナマイト・バディーだけど、おツムは弱いの」なんてのは、ま〜序盤に出てくる死体役にしかならない。

男は男が、女は同じ様に女が惚れ惚れする様なキャラクターじゃなきゃ、イカンのだ。
古くはハンフリーボガードであったり、「探偵物語」の工藤ちゃん然り、「エンゼル・ハート」「バーフライ」のミッキー・ローク然り。

そういう意味では、本作は「パーフェクト」だ。

ミッキー・ローク、 クライヴ・オーウェン、ブルース・ウィリスがそれぞれのストーリーの主人公に扮している。
ある者は殺された女のために、ある者は今愛している女とかつて愛した女のために、ある者はかつて助けた少女を再び助けるために、絶望的に見える戦いに身を投げ出す。
いくらスタイリッシュ・ムービーとして宣伝を打とうが、まごう事なきパーフェクトなハード・ボイルド映画であろう。

バイオレンス描写も、白黒映像によってカモフラージュされているが、実はかなりえげつない。
ベニチオ・デル・トロにしろ、イライジャ・ウッドにしろ、「良くもまあ、こんなオファーを受けたもんだ」と思うくらいのヤラレっぷり。
ブルース・ウィリスのエピソードに登場する醜悪なキャラクター、イエローバスタードは最初レオナルド・ディカプリオにオファーが行ったらしいが、さすがにエージェントが断ったそう。
そりゃ無理もないか・・・と思ってしまうくらいに、こいつのヤラレっぷりも凄い。 特に男性であるなら、思わす身が縮む思いで彼の断末魔を聞く事になるだろう。

デヴォン青木扮するアサシン、ミホがまた秀逸。 キャラの立ち具合は、「キル・ビル」の栗山千明扮するゴーゴー夕張を遥かに凌ぐんではなかろうか。 ミホだけで、スピンオフ作品が撮れそうだ。
ジェシカ・アルバも良い。 「ダークエンジェル」の頃は、なんか所在なげな迷子の子犬みたいな顔が印象的だったけど、今作では荒くれ野郎の集う酒場で踊るストリッパー役。しかし自分をかつて助けてくれたブルース・ウィリス扮する刑事には純真な少女の様な表情を見せる。そりゃぁブルース・ウィリスも頑張るっての!な感じである。
父親の反対にあったとかで、最初に予定されていたおヌードのシーンが無くなったのは残念だ。

ちなみに、ブルース・ウィリス扮するキャラクター、ハーティガン。原作者のフランク・ミラーによると「ダーティーハリ−5」を観て幻滅したため、自分なりの「ダーティーハリー」最終作を作ろうと思って創作したものらしい。このエピソードで主人公が手にする銃はS&W44マグナムだし、ジェシカ・アルバ扮する少女の名前はナンシー・「キャラハン」なのだ。

監督: フランク・ミラー、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ
出演: ブルース・ウィリス/ミッキー・ローク/クライヴ・オーウェン /ジェシカ・アルバ/ベニチオ・デル・トロ 他

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