熱苦しく語れ!

LET THE MOVIE DO THE TALKIN'!

サスペリア(1977年作品)

俺はホラー映画が好きである。

子供の頃から、今では名作扱いされているもんからテレ東で昼にひっそりとやってる様なB〜C級、はてはZ級のものまで、何かに付けては観ていたものである。
ガキはガキなりに、超常的なもの、禍々しいもの、タブーとされるものに対して、説明し難い魅力を感じていたのかも知れない。

そんな中で個人的に「最恐だ」と思う作品がある。
「エクソシスト」「女優霊」そして今回取り上げる「サスペリア」だ。

俺がちょうど小学校低学年位の頃、日本では「オカルトブーム」なるもんが巻き起こっていた。やれUFOだ、ネッシーだ、超能力だのと共に心霊写真やら怪談が小学生〜中高生の若者を中心に、日常の中で欠かせない話題となっていた。
「エクソシスト」「サスペリア」の大ヒットもそうしたブームの起爆剤のひとつとなっていたものであり、亜流の作品が次々と劇場公開されるのはもちろん、テレビやマンガでもそうした「オカルト」を扱った作品が数多く発表されていた。

この時期のオカルトブームの背景には、好景気が打ち止めとなり、激化し始めた受験戦争や公害等、現実世界での息苦しさや不安がある、なんて言われていたりする。
最近の、占いやら前世がど〜のと言う番組が視聴率を稼いだりするのが、「勝ち組」「負け組」にみられるような、何かと人をランク付けしてしまう様な現実に対して満足できない、ふつふつと抱えている不満やコンプレックスに対する埋め合わせを求めたい心情の現れなのと同じ様なもんじゃなかろうか。

で、本題に戻って「サスペリア」である。

予告編では「決して一人では観ないでください」なんて秀逸なキャッチコピーが流れ、「アメリカでは一人で観ててショックししたヤツがいる!」なんてありえないウワサがガキの間で流れたものだった。

本作の主人公であるスージーは、アメリカから一人、ドイツにある全寮制のバレエ学校にやってくる。
空港に着くなり、雷鳴轟く豪雨。
ずぶ濡れになりながらもやっと捕まえたタクシーの運ちゃんには上手く言葉が通じず、やっと寮に着いたら何故か門前払い。

もう不安の固まりである。

翌日からようやく始まった寮生活でも、自分が前夜に見かけた少女が惨殺される事件が起きていたり、異様な使用人をはじめクセのある人物だらけだったり、授業でピアノを弾いていた盲目のピアニストが自分の盲導犬にかみ殺されたり・・・。

さらに不安が坂道をジェットエンジン背負って転がるかのごとく加速していく。

次から次に起こる不可思議且つ不気味なイベント続発におののくヒロイン。
小型犬の様なルックスのジェシカ・ハーパーが、ドンズバにはまっている。

監督のダリオ・アルジェントは今作をはじめ、「美少女がこれでもかといたぶられる」作品を撮るのが大好きな変態・・・いやサディスティック描写が特徴のひとつとして挙げられる人である。
「フェノミナ」では少女時代のジェニファー・コネリーをこれでもか、といたぶり、挙げ句の果てに「スタンダール・シンドローム」で自分の娘であるアーシア・アルジェントまでいたぶるほど。
よくもまあ、こんな手口を思いつくもんだ・・・という手段で、続々と殺されていくのは、やはり美しい少女達。
おそらくこの作品でも、ノリノリで撮影に臨んでいたのではなかろうか・・・と勝手に想像してしまう。

ストーリーとしては、極端な話、大どんでん返しであるとか、絶妙な伏線であるとかは無いに等しいシンプルなものである。
「エクソシスト」の様な、哲学的要素を含んだ深みはない。
あえて言うなれば、「全寮制バレエ学校の寄宿舎」という、一般社会から隔絶した環境の内部で、実は現代に秘かに生きながらえてきた魔女のソサエティが存在していたというプロットの妙だろうか。
まあ、今となっては色々な作品に模倣されて珍しくとも何ともなくなってしまったかもしれないけれど。
でも、ショックシーンの強烈さ、赤、黒、白を基調とした独特のライティングによるビジュアルの美しさ、イタリアのプログレ・バンドであるゴブリンが奏でる音楽との絶妙なマッチング。
残酷極まりないシーンなのに、何故か「美しさ」を感じてしまうのは俺だけだろうか。

ちなみに本作は、脚本をダリオと共に手がけたダリア・ニコロディのおばあちゃんから聞いた話が元になっている。
なんでも、おばあちゃんが若かりし頃、スイスにあるルドルフ・シュタイナー(シェンカーではない)・コミュニティーという寄宿制の学校に舞踏を習うためにその学校に入学したが、実はそこで教えていたのは魔術だったので逃げる様に退学してきたのだそうだ 。
アルジェントはニコロディと一緒に現地へロケハンに向かった際、2人が帰ろうとすると、戸口に奇妙な飾りの付いたステッキを持った高齢の女性が出てきて、ニコロディに「あなたの祖母は元気ですか?」と尋ねたのだという。
もちろん二人は身分も名前も一切明かしていなかったのに・・・。

監督: ダリオ・アルジェント
出演: ジェシカ・ハーパー、アリダ・ヴァリ、ジョーン・ベネット、ウド・キアー他

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