BASS MANIMAL

by Kodai Yamase

「スラップについて2:親指のアップ・ピッキング」

さて、今回はリクエストの中から特に多かった「スラップ」の第2弾「ダウン&アップ」について。

最初にお断りしておくが、この私、スラップを多用するベ−ス弾きでは有りません。

ベ−スを弾き始めた頃に、「どうせなら一通り出来る方がカッコ良いべ」などと思い、また弾き始めに好きだったベ−シストが2フィンガー&スラップ(当時はチョッパーだが)少々のジョン・テイラー(DURAN DURAN 詳しくは『我が心のベ−シスト様』にて)だったため、サム&プルの基本プラスアルファくらいはできる、と言った程度。

であるからして、エラソーにウェブ上でウンチク垂れる資格が有るかどうかはかなり疑わしいものだと我ながら思うのだが、周りに親指でのアップが出来る人間、高速スラップが出来る人間がいて、そのやり方を「この目で」みているからには、「どうやりゃぁいいのかサッパリですわ!!」というスラッパ−志望の方々にほんの少しでもヒントになれば、と今回このテーマを取り上げた次第。

先程書いたがベースのテクに限らず、「百聞は一見にしかず」とは良く言ったもので、ガタガタ口で説明するよりもまず自分の目と耳で聴いた方が手っ取り早いケースはたくさんある。
俺がベ−スを弾き始めた時には「ハンマリングは何とか分かるが、プリングってどうやるんだ!!!?」と今から思えばなんて事ないもので凄く頭を悩ましたものだ。
あちこちの楽器屋に行ってベ−スの教則本に書いてある「プリングのやり方」を見ては、ああだこうだとやってみたのだが、文章やヘボいイラストだけではイマイチこつが分からない。
結局、インギー狂のギタリストであった友人に教わって、何となく分かったのだ。

そんな訳で、今から書く文章でどれだけ「親指のアップ&ダウン」のやり方が伝わるかはかなり不安が残るのだが、いちいち気にしてもいられないので本題に入ろう。

そもそも、親指のダウンはともかく、アップが何故必要になったか?
まあ、テクニックと言うのは突き詰めていくと「スピ−ドとの勝負」というか「1小節の中でどんだけ音符を弾き倒せるか」という、演奏と言うよりは競技に近いノリになってくる部分がなきにしもあらず(ハッキリ言って、インギーもどきのアホさ加減を見れば、こうした行為のみに専念する事がバカバカしいのはお分かりいただけると思うが)だが、サスガにそれだけではない。

まず演奏可能な音数のバリエ−ションが増える事で、フレ−ズの幅が出る事。
また、ミュ−トと組み合わせる事で、よりパ−カッシヴに、よりリズムを強調した、ファンキーなフレーズが作れる事。
ビックや2フィンガーでしか弾く事の出来なかったフレ−ズを、スラップの音色で演奏できる事。
さらにライヴにおいては、観ている者を取りあえず「なんかスゲ〜!!」と圧倒できる事。

なんといっても親指でアップ・ピッキングが出来得ると言う事は、2フィンガーにおいて2本の指を使い交互にピッキングする、またピック弾きにおいてオルタネイト・ピッキングが出来る事で、はじめて演奏可能なフレ−ズが存在する、と言う事に等しい。
だが、実際に2フィンガーやピック弾きでのそれと比べて、圧倒的に難易度が高いのも事実だ。
手首の柔軟さ等に加えて、先天的要因、つまりもって生まれた肉体的要因にも左右されるからだ。

まず、親指でのダウン・ピッキングがどうにかできる、と言う事を前提に話を進めていこう。
通常、親指で弦をヒットした際、手首の回転運動で親指はまたピッキングする前の位置の戻っているのが通常だったりする。
こうする事で、音のヌケを良くするのと、次のピッキングに備える為だ。

だがそこからアップに移る場合、親指を元に位置に戻していてはピッキング出来ない。ではどうするか、と言うと弦をヒットした後、親指をそのまま弦の下に潜り込ませるのだ。
アップのみのピッキングではアタックと同時に元の位置に戻していた親指を、ちょうどバットでボ−ルを打った後のバッターのように、振り切ってしまう訳だ。
この時、親指全部ではなく、アップする時に弦をヒットする部分のみを潜り込ませるのがコツだ。

さて、弦の下に潜り込ませた親指、ちょうどツメの左側第一関節辺りまでが、一般的にピッキングするポイントと言える。
ダウンでピッキングするのと、ちょうど裏表になるような位置であるのが、アップ&ダウンをやるには都合が良いだろう。 しかし厳密にこの辺、と言うのはもう血の滲むような練習の末に自分なりのポイントを見つけてもらうしかない。
さらには、先程述べた「先天的要因」もある。
親指の第一関節がどの程度反り返るかで、ピッキングし易さが段違いに変わってくるのだ。

かく言う俺も、第一関節はハッキリ言ってそれほど反り返ってくれない。
だから、アップをやろうにも、なかなか上手い具合に親指が弦の下に入らないのだ。
対照的に、アップに限らずスラップがウマイ奴と言うのは、大抵逆さL字位に反り返っていたもので、親指がその位だと、さぞかしピッキングさせるのも楽だろうに、と思ったものだ。

さて、実際のアップ・ピッキングのやり方だが、ダウンが弦をそのまま上から叩く、と言うものであったのに対して、アップは人指し指でのプルと同様に弦を下から持ち上げて、フレットに叩き付ける、と言った感じになる。
大抵親指でのアップとなると、通常の4弦ベ−スなら4弦か3弦で行う事となるだろうが、ダウンの時とはまた別の筋力を必要とする為、なかなか最初は戸惑う事だろう。

もちろん、不要に力が入ると逆に上手く行かなくなるのだが、アタックの際には有る程度親指と手首に力が入っていないと、スム−ズにピッキング出来なかったり、ヌケの悪い音になってしまう。

さて、実際にベ−スを手にとってもらい、親指でのアップをやってみると分かると思うが、ダウンの時とくらべると音のニュアンスがだいぶ違う事に気がつく事だろう。
ダウンの時と、全く同じ部分でピッキングしている訳ではないので、当たり前と言えば当たり前なのだが、2フィンガーやピック弾きでの音ムラと同様に、練習である程度解消する事は出来得る。
どちらかというとアップ&ダウンの音質やニュアンスの違いを積極的にフレ−ズに盛り込んだ、マーカス・ミラーの様なベーシストや、アップはあくまでもミュ−ト・ピッキングの際に使う、と言う人も多いのでそれほど神経質になる必要もないとは思う。

まずは、開放弦のみ4分音符くらいでゆっくりとアップ&ダウンの練習を行う。
だんだん慣れて来たら、テンポを上げたり、左手が移動するフレーズをアップ&ダウンのみで弾いてみるのも良いだろう。
一般的には2フィンガーやピックで弾く、とされているようなフレ−ズを、あえてスラップで弾いてみる事も練習になるはずだ。
以前元爆風スランプの江川ほーじんが、親指のアップ&ダウンのみでディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」を弾いていたのにはタマげたものだ。

これはスラップに限った事ではないが、「これは2フィンガーで」「これはピック弾きで」と言うのはあくまでも作品としての最終段階で決める事であって、練習に於いてはあらゆるフレーズを様々なピッキングで弾いてみる事で物凄く役に立つ事が有ると思う。そこから新しいフレ−ズや奏法だけでなく、ベ−シストとしての個性も出てくるかも知れない訳だしね。

さて、アップとくれば、最近は「ロ−タリ−・ピッキング」とか言ってアップのついでに一緒にプルもやっちまえ!!なんて物が有る様ですが、さすがにこれはまだチャレンジしてないです。
よって、今の所、これについては割愛!
成人式にやるのは割礼!

それでは、また、次回、失礼!!

そんなわけで、今回はこんな所で。

リクエスト、御意見御感想などお待ちしてます。

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