BASS MANIMAL

by Kodai Yamase

「ネック」について

現在世に出ているエレクトリック・ベースにおいて、ネックはそのベ−スの種類の数だけ存在していると言っても良いかもしれない。

ネックの材質、太さ、長さはもちろん、握った時の感触、ネックにつけられた握りの角度等様々なバリエ−ションが存在する。
さらにはボディへの取り付け方法など、考察しようものならキリが無いくらいなのだ。

そもそもエレクトリック・ベースが世に出た当初はボディにネックを接着剤で固定する「セット・ネック」方式が主流だった。
その後50年代初頭にレオ・フェンダーがプレシジョン・ベースを開発、販売する際に取り入れたのがネジでネックをボディに固定する「デタッチャブル・ネック」方式。
この方式のメリットは、ネック叉はボディに致命的障害が発生した時にスム−ズに交換作業が行える事と製作行程での作業のしやすさ、それに伴いコストを下げる事ができる点だろう。
セットネックだとそうした場合、一度接着剤をはく離してからネックを取り外し修理作業が終わってからさらに再接着、接着部分の再塗装となり手間もコストもかかる事となる。
万が一ネック交換となってしまった場合はメ−カ−純正のものが有ればそれに交換、無かったりメ−カ−がそこまでフォロ−していない製品の場合はイチからネックを作るしかない。
スル−ネックに至っては、ネック材がボディ・エンドまで伸びていたりしているのでもう諦めるほか無い。
一方のデメリットは、ネックとボディが完全に一体化していないため他の方式に比べてボディの振動がやや劣ってしまいがちになる点が有る。

60年代後半から70年代に掛けてロックを初めとして様々な音学が多様性を帯びて来た時代になり、楽器にも工場で大量生産されるファクトリ−・メイドの物では不可能なスペックをもった要素が求められる様になる。
そうした流れから生まれたのが「スル−ネック」方式である。
これはネック材がボディ・エンドまで伸びそれを両方からボディ材を挟み込む様に接着固定する物で、ネックとボディの振動がより理想的な状態となる。結果ローエンドの豊かさとサスティンの向上が特徴的となる。

ただ日本の様に楽器にとってトラブルの元になりやすい湿度と季節の変化が有る環境では、デタッチャブル・ネックが一番適しているのではなかろうか、と思う。
もちろんセットネックの物やスル−ネックの物は、よりトラブルが起きにくい様にトラスロッドが2本になっていたり複数の材を張り合わせて強度を高めたりと対策が講じられているものが多い。
デタッチャブル・ネックでもやはりどんなにトラス・ロッドを廻してもネックの反りが直らなかったり、ネジレたりとハズレと言えるものが有るのも事実だし、サンダーバードの様にマホガニーなんて非常に柔らかい部類に入る材でクソ重いヘッドにジャズベ−ス並みにナット部分が細いなんていう、折れたりしない方がおかしい物も存在しているので注意が必要だ。

ちなみにデタッチャブル・ネックはフェンダーやミュージックマンを初め国内外を問わず多くのベ−スに採用されている。
セット・ネックだとギブソンやリッケンバッカー等が、スルーネックだと古くはギブソンのサンダーバードやBC.リッチの製品やアレンビックをはじめワーウィックやトバイアス等ハンドメイドに近いメ−カ−での製品に多い。

さて、そんなネックだがトラブルが起きやすいパーツでも有る。
なんせ4本とは言えあの太さの弦があのテンションで張られているだけでなく、叩いたり引っ張ったりされるのだ。ネックに掛かる負担は物凄いものが有る。
さらには日本特有の温度と湿度の季節による変化。
6〜8月頃の高温・高湿度では木材が水分を含む事で、また冬の乾燥期では逆にネックの水分が抜けていく事でネックが反りやすくなる。
これはカ−ボングラファイトやアルミ製のネックでない木製の物である限り、大なり小なり必ず起こる現象である。
ベ−スを弾いていて5〜9フレット辺りがいつもより弾きにくくなっていたり、音がビビリ出したり、どうも音程が合わない、なんて時はネックの反りを疑ってみた方が良いだろう。
ネックが後ろ側に反ってしまうのが「順反り」、逆に弦側に反ってしまうのが「逆反り」と言う。
不幸なのは反りが1弦側と4弦側均等に起こるのではなく、どちらか片方に片寄って起こる「ネジレ」。
それと、反りどころではなくネックがもっと凄い角度で反ってしまう「ネック起き」。
こうなると個人でどうこうと言うレベルではなくリペア・ショップ行き。
間接的にアイロンを当てて矯正したり、指板を削る事で対処している。


ネックの反りを判断する方法はいくつか有って、ベースをゴルゴ13がライフルを構えるがごとく持ちネックが真直ぐかどうか見てみたり、ベ−スを足元に立ててヘッド方向からネックを見てみる等が有る。

個人的にはド近眼な事も有るので4弦1フレットを左手で4弦最終フレットを右手で押さえて7フレット付近を見てみる。その時弦とフレットの山の部分との間隔が1〜2ミリ程度なら問題無し。
間隔がそれ以上ならネックが順反り、逆に間隔がほとんどないようなら逆反りと言える。
俺の場合は弦とフレットの山との間隔にピックが一枚入るかどうかを目安にしている。
この方法だと弦高の高さに関わらずにネックの状態がチェックできる、と言うメリットが有る。

さて、ネックが反ってしまった場合はトラスロッドを廻す事で解決する。
「順反り」の場合は時計周りに「逆反り」の場合は反時計周りに廻す事になる。
この時ネックによってプラス・ドライバーや六角レンチを使用するのだがドライバーにしろレンチにしろ、適格なサイズで廻さないとネジ山を壊してしまう事になる。特にレンチはベ−スに付属していたものならば大丈夫だが、そうで無い場合「センチ規格」と「インチ規格」で若干の違いが有るので注意が必要だ。
弦は緩めておき、45度ほど廻してチュ−ニング。しばらくしてからネックをチェックしてみる。
これで直っていればOK。そうでなければもう一度ロッドを廻すのだが、それこそ90度以上廻しても直らない場合は楽器店やリペア・ショップで見てもらう事をお勧めする。

また通常時のケアだが「弾かない時は弦は緩める」と言うものと「弦を緩めたり張ったりしているとかえってネックに良くない。張りっぱなしで反るくらいならそんなネックはダ〜メ!」の2つの論が有る。
もし「月にいっぺんいじくるかどうか」と言うのならそりゃちょっと緩めておいた方が良いだろうが、スタジオやライヴにしろ家にしろそこそこ弾くのであれば張りっぱなしでも良いと思う。
現在主に使っているのはスティングレイで、譲り受けた時にリペアに出した時点ではアイロンで反りとネジレを直したいわば「前科者」なのだが、今の所それでとくに問題はない。
自動車もそうだが夏はク−ラーを掛けている時といない時の温度差が極端なので長時間直射日光に当たる所に放置したりしない、と言うのは大前提である。
もっとも俺の部屋は「夏暑く、冬涼しすぎ」な天然ク−ラ−装備なボロアパートなのであんまり関係ないっちゃぁないのだが。
あと弦交換の時もいっぺんにすべての弦を外すのではなく、1弦から順番に交換していった方がネックへの負担が少なくなるのでオススメだ。
もちろん、弾いた後に弦だけでなくネックも拭いて汗等をそのままにしないことも大切。

随分長〜くなってしまいましたが、ネックに関してはまだまだ語らなければいけない所がたくさん有ります。

しかしそれはまた後日と言う事で、今回はこの辺で。

リクエスト、御意見御感想などお待ちしてます。

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