by Kodai Yamase
まず初めに「スラップ」とはなんぞや?という所から語ってみようと思う。
ベ−ス弾きなら知らない者はいないだろうが「主に親指と人さし指を使い、弦を叩く、叉ははじく事で出る独特の音を用いた奏法」というのが乱暴ながら一言でまとめたものだ。
今現在でこそ「スラップ」と言う呼び名が一般的だが、筆者がベ−スを弾き始めた高校生の頃は「チョッパー」という言い方をしていた。
まあ、昔は「タッピング」の事を「ライトハンド」、「ヘクトパスカル」を「ミリバール」(これはベ−スとは何の関係もないが)なんて言ってたようなものだ。
70年代にSLY&THE FAMILY STONEでベ−スを弾いていたラリー・グラハムが母親とクラブで演奏していた時に思い付いた、と言うのがその起源らしい。
当時彼はオルガンをプレイし、ドラマーとシンガーを勤める母親とのトリオで演奏していたが、ドラマ−が脱退し、「ドラマーの様にパ−カッシヴな音を取り入れるため」ベースでスラップをする様になったとか。
その後グラハムだけでなくルイス・ジョンソンやマーカス・ミラー、マーク・キングなどスラップを多用し脚光を浴びたベ−シスト達が出てくる様になる。
当時はファンクやディスコなど、リズムを主体とした音楽が全盛であり、そうした音楽にスラップは絶大な効果をもたらしたのだ。
またこれによって何かに付けてバンドの裏方的な役割に甘んじていたベ−シストが一躍フロントに出る事となり、それこそ「どいつもこいつもスラップ野郎」状態になった程であった。
しかし、70年代のディスコ・ブ−ムが去り、80年代もなかばを過ぎると「スラップ(当時はチョッパーね)」はダサイという風潮が蔓延し始めた。
日本でも80年代はBOOWYやらBLUE HEARTSなど、パンクビートを主体としたバンドが隆盛を極めていて所謂スタジオ・ミュ−ジシャン的テクニカルさが軽視されていた時代でもあった。
それを覆したのは何といってもRED HOT CHILLI PEPPERSだろう。
デビュ−当初こそイロモノ扱いされていたが、フリーの高速スラップにド胆を抜かれたベ−シストは多かったはずだ。
その証拠に彼が当時メインで使用していたミュ−ジックマン・スティングレイは突如バカ売れし出すわLINBO MANIACSやFISH BONEなど「ファンキーでいて、パンキッシュ」なバンドが注目を集め出したのだ。
かつて「チョッパ−」と共に忘れかけられていた「ファンク」を現代にまた蘇らせた功績は偉大なものではないかと思う。
さて、実際に「スラップ」をやるにはどうすればいいか。
まず右手の親指を立て、人さし指をのばしてみよう。他の指は握った状態でよし。
所謂「バキュ〜ン!」とやるときによくやる手の形になったと思う。
この人さし指を軸にするような感じで手首を回転させ、親指で弦を弾いてみてほしい。
左手は別に押弦しなくても良い。
コツとしては手首のスナップで親指を弦に叩き付けるような感じ。
ブルース・リーがよくやる、「相手の顔面を『スパーン!』とヒットしたと同時に手を引く」アレのようなものだと思ってもらいたい。
力が入り過ぎるとちゃんとした音にならないのでヒジも肩もリラックスしながらやった方がいい。
これを最初は4分音符くらいで弾いてみて慣れてきたら徐々にスピ−ドアップしてみると良い。
こうした親指でスラップする事を「サムピング」という。
そしてもうひとつ、主に人さし指で弦を引っ張るような感じでスラップする事を「プル」という。
こちらは人さし指をやや丸め、弦の下にくぐらせてちょうど指で弦を引っ張り上げるような感じでピッキングする。こちらも手首の回転を利用して行う。
「サムピング」と「プル」、それぞれ別々に弾く事は大して難しくはないのだが両方を合わせたコンビネ−ションとなると、難易度がグンと上がる。
大抵スラップのフレ−ズはこの両方を使用しているので避けて通れないものではあるのだが、まずは簡単なフレ−ズをゆっくり弾き、徐々にスピ−ドを上げたり複雑なコンビネ−ションにしていく事が大切だ。
その時に、ついつい肩に力が入ってリズムがぎこちなくなったりするのでくれぐれも注意が必要だ。
いざ曲に合わせて弾いてみても、ついついスラップのフレ−ズが近付くに連れてだんだん力が入り、いざスラップ!というときにはヨレヨレになってしまったりする。
これはベ−スに限らずギタリストがソロを弾いたりドラマ−がオカズを入れる時にも起こる事だが、ハッキリいってそれまでの流れを台無しにしかねないミスといえよう。
対策としては、無駄な力を抜きながらメトロノ−ムなどを使って練習するのが良い。
スラップの基本中の基本、といか王道フレ−ズはサムピングでルート、プルでオクタ−ブ上のルートを弾き、7度の音を合間に挟んだりして「ファンクっぽさ」を出す、というものやコ−ド・チェンジの時に経過音を「ル−トとオクタ−ブ上」で弾くというもの等がある(EX-1)。

リズムにおいての基本は「サムピング」をドラムのベードラ、「プル」をスネアに見立てて、ドラマーの作るリズムを強調したりアクセントを入れたりする点にあると思う。
いわばベ−シストが「もう1人のドラマ−(パ−カッショニスト)」になったつもりでやってみると良いだろう。
またスラッピングのフレ−ズに欠く事が出来ないものに「ミュ−ト」がある。
不要な弦を押さえて余計な音が出ない様にするミュ−ト本来の役割ももちろん必要だが、ここでは俗に言う「空ピック」の事である。
右手ではスラップ(大抵サムピング)しつつ左手では押弦せずに実音が出ない様にする。
これを巧みに取り入れる事で、フレーズがさらにリズミックに、パーカッシヴになる。
たまにこれが入りまくった16分音符だらけの譜面があり、「なんじゃぁこりゃぁ!」とジ−パン刑事のような雄叫びを上げたくなる事があるが、始めは音程無視でリズムの流れだけを追い掛けていくと理解しやすい(と思う)。
最後に、見掛けはハデで難しそうだが実は意外と簡単なスラップ・フレ−ズを(EX-2)。

譜面のXはミュート。ゆっくりやってみて、慣れてから高速でやってみてほしい。結構なこけ脅しになります。
ところで、皆さんの親指を外側に向かって反らせてみてほしい。
親指第一間接はどの様になっているだろうか?
もし第一間接が90度近く曲がっているならば、今すぐベ−スをもってスラップの練習をしましょう。
もう既に貴方は肉体的にスラップ向きの体を手に入れているだ。
全然曲がっていなかった貴方、今すぐにベ−スをもってスラップの練習をしましょう。
肉体的ハンデは、本人のやる気の前にはホクロに生えた毛程の意味しか持たないのだから。
今回はこんな所で。
「スラップ」といってもまだまだ書き足りない所(親指のアップ&ダウンとか)。
まあ、今回は初級編ちゅうことで!
次回はこれまたリクエストの多かった「エフェクタ−」について。
なるべく早く原稿書ける事を自らも祈りつつ...。
リクエスト、御意見御感想などお待ちしてます。