強盗

これは昔俺がラーメン屋のバイトをしていた頃の話です。

飲食店というものは、特に平日には昼のピークを過ぎると客があまり入らなくなるものです。11:30〜14:00くらいまでは忙しかったりするんですが、それ以降は暇になってくるので従業員の人数も少なくなり、仕込みや掃除をしたりします。

この日も俺はいつもどおり、仕込みをしたり昼のピークで少なくなった箸を補充したりしていました。店がそんなに流行ってなかったのもあり、その時間には俺ともう一人バイトの女の子がいるだけでした。

箸の補充をしていると一人お客さんが入ってきました。

(反射的に、顔を上げながら)
俺 「いらっしゃいませー!」

しかし、その男の姿を見た俺は驚きました。
その男はあるものをかぶっていたのです。

…それは…

フルフェイスのヘルメットでした。

店の中に入ってもヘルメットを外そうとしない…

これは…もしかして…

強盗ってやつ!?

や、やばッ…

いや、とりあえず落ち着いて対応するんや!

俺 「こちらの席のほうにどうぞー。」

しかし男はレジの前から動こうとしない。

やっぱり強盗や!

どうする?今日は店長も社員もおらん。

裏にある金庫の開け方なんて知らんし。

だからと言って、もう一人のバイトの子を置いて逃げるなんてできんし、

レジに入ってる10万足らずの金で許してくれるかどうか…

いや、待てよ…

こいつがキレて光り物でも出したらどうする?

俺は高校の授業で柔道やってたことはあるけど…

しょせん白帯や。

いや、それ以前に間合いをはかられたら柔道がナイフに勝てるわけないやん…

どうすれば…

俺は一体どうすればいいんや!


ヘルメットの男 「お…」

きたー!

いくらや?いくらの金を要求されるんや!!






「お持ち帰りの餃子、一人前ください。」

− 完 −

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