The map of a treasure island (24K)

ロニーの絵

第一話・獲得


 10月8日(水)、いつもの時間にいつものようにメール・チェックを行うと、ヤフー・オークションのアラート・メールが、ロニーの絵が出品されていることを知らせてくれたので、ぼくは早速そのオークション会場(?)に向かいました。
オークションの題名と、コメントの全文を書き出します。

     ”人物画、49×86×2.5、額縁入り、Ronie?60/600”

     ご覧頂きありがとうございます。
     作者不明(サインはありますが、当方素人のため、わかりません。)、結構大きなサイズの額縁入りの絵です。
     二枚の絵が並んでいます。写真では片方しかアップできなかったので、ご覧になりたい方にはメールでお送りします。 49×86×2.5センチ。
     人から譲り受けましたが、我が家には飾る場所がないため、出品いたします。
     額縁の裏には、ロンウッド スライドオンディスV 60/600 とあります。
     ガラスおよびアクリルを使用した額縁です。
     当方、絵に関して、まったく知識がございません。
     水彩画のカテゴリにいたしましたが、油絵にも見えませんでしたので、実際はわかりません。
     そのへんをなにとぞ、ご理解いただきまして、ノークレームノーリターンでお願いいたします。

     システム手数料、消費税等は必要ありません。
     <落札額>と<送料+振り込み手数料>だけ落札者様方でご負担下さい。
     また、発送方法はゆうパックを予定しております。
     重さは、箱込みで4キロ前後ですので、六キロ以下の区分の金額になると思います。
     東京からの発送です。発送金額は750円から1350円の間です。
     場所により異なりますので、詳しくは郵便局のホームページで金額をお調べいただけたらと思います。
     http://www.post.japanpost.jp/fee/kenbetu/13.htm
     落札後すみやかにご連絡を取れる方のご入札をお待ちしております。

 このような内容でした。
コメントにもあるように、ロン・ウッドに関して全く知らない方で、更にこの絵を人から譲り受けたところが、あまりの大きさに飾ることはおろか、置き場所にも困っているようでした。

 ぼくは4日間ほど、このオークションの様子を見ていましたが、全く動きが見られなかったので、10月12日に最初の入札を、このオークションの開始価格で行いました。あわよくば、最も安い価格で、落札できるかもしれないと思ったからです。
13日は他の参加者からの入札がなかったのですが、14日午後6時39分、他の参加者からの入札により、高値を更新されてしまいました。このオークションの終了日時は、10月15日午後9時46分で、ぼくはオークションの終了15分前まで、アクションをかけずに、また様子を見ることにしました。

 15日午後4時11分、このオークションに動きが見られました。3人目の参加者が、高値を更新したのです。
一気に金額がつり上がるかと思いきや!それが大したことはなかったのです。
オークションの終了まで、まだ5時間30分ほどあります。その日の仕事をとっとと終わらせて、家路を急ぎました。入浴して、食事を済ませて、しばらくテレビを見ていると、9時30分に合わせた目覚まし時計が、けたたましく鳴りました。
オークション終了15分前に、アラームの時間を合わせていたのです。
パソコンを立ち上げ、そしてブラウザを立ち上げて、オークション会場(?)へ急いで向かいました。ここでほっとしたことがありました。
それは、あれから誰も入札していなかったことです。
ぼくは気持ちを落ち着かせて、予算いっぱいの金額を入力しました。3人目の参加者が、ぼくの予算以上で入札していないことを願いながら。
直後、ぼくはまたほっとしました。3人目の参加者が、ぼくの予算以上で入札していなかったどころか、いとも簡単に、ぼくが最高額入札者になったのです。
オークションの残り時間は、10分を切っています。もうこれ以上の金額を、入札することはできません。他の誰かが、ぼくの予算以上の入札をして、まざまざと負けるさまを見ていられないので、ぼくは一旦ブラウザを終わらせました。うまくいきますようにと、パソコンに合掌をしながら・・・。

 午後10時、ぼくは再びオークション会場を訪れました。そしてすぐに、ぼくは笑みを浮かべました。もうお分かりのように、ぼくがロニーの絵を落札したのです。
メーラーを起動して、メールのチェックをすると、ヤフー・オークションから、ロニーの絵の落札に関する内容のメールが届いていました。
そのメールにざっと目を通し、そのあと再度メールのチェックを行うと、出品者からのメールが届きました。
落札に対するお礼文と、取引に関しての指示が書かれていて、ぼくはその指示に従う旨のメールを返信しました。

さあそこから眠りにつくまで、さっきとは違うドキドキ感がぼくに襲いかかってきたのです。それは、「とうとう、ロニーの絵の所有者になった」という思いからです。その日は「おやすみ10秒」を誇っているぼくが、眠りにつくまで、約3分の時間を要しました。

 翌朝、ぼくは取引先の神戸市役所に出向き、打ち合わせ等々の業務を済ませて、庁舎の中にある銀行ATMの端末に急ぎました。
出品者の指定口座にお金を振り込み、その瞬間、ぼくはロニーの絵の所有者になったのです。

第二話・所有


 16日の朝、お金を振り込み、その日の午後、出品者から振り込みの確認と、発送を行った旨のメールが送られてきました。
待ちわびるとはこのことで、16日の発送から17日の午後に、ロニーの絵が到着するまでの24時間が、途方もなく長い時間に感じられました。
17日午後2時30分ごろ家内から、ぼくの携帯電話に連絡が入りました。

 ヨメ「来たで!来たきた!!」
 ぼく「わーっ!開けてあけて!!」
 ヨメ「しっかりと梱包してるので、片手では開封出来ひんわ。いっぺん電話を切るから、ちょっと待っといてな」
電話を切って5分間ほど待つと、電話がかかってきました。
 ぼく「ニセモンやないやろな?絵のタイトルとサイン、エンピツで書いてある?」
 ヨメ「エンピツ書いてるで、これってロニーが書いたサインなん?」
 ぼく「描いた人がサインするのんって、当たり前のことやんけ]
 ヨメ「わっ!そんなら直筆やん!」
 ぼく「当たり前やって!もおええ!確認が済んだら片付けなさい」
 ヨメ「ケチッ!もうちょっと眺めさせてえな」
 ぼく「あかん、減る!オレが帰ってから、みんなでゆっくり眺めよ」
 ヨメ「はいはい、ホンマかなんなぁ・・・」

 ぼくが家に帰ると、壁に絵を立てかけていたのですが、まるでロニーがそこに立っているような、そんな変な錯覚を覚えました。
各部屋の電気を点け、家の中を出来るだけ明るくして、絵をしげしげと眺めました。
この大きな額に飾られた絵を手に取った瞬間、念願が叶ったときに感じる独特の満足感がぼくを包み込んでいます。
絵を壁に立てかけた状態で、写真撮影をしました。少しでも早く、この絵をみなさんもご一緒にご覧になってもらいたかったためです。

画家とミュージシャンを類まれな才能を発揮して、共にプロフェッショナとして両立しているロン・ウッド。
それらの活動は、明らかに静と動に分けられますが、彼のアルバムを聴きながら、彼が描いた絵を同時に鑑賞していると、その音楽もその絵も、さすがに創作した人物が同じなのだなと感じられました。
カラフルでポップ、そしてポジティブな、ロン・ウッドという男の人間性が、音楽と絵画の共にあふれ出しているのです。

ロン・ウッドの絵と暮らす贅沢を、1枚分のCDとほぼ同じ金額で手に入れたぼくは、ラッキーで幸せ者以外の何者でもありません。