自分の意思に反して巨大なモンスターに変身してしまハルクの苦悩を描く、アクション・ムービー。
『ターミネータ3』に対抗する夏の大作というから、またアクションとバイオレンス満載のお子様ランチかと思いきや、これが見ごたえのある本格的なエンターテインメントに仕上がっているのに驚かされた。さすがは、台湾出身のハリウッドでも注目のアン・リー監督である。特撮を巧みに取り入れた手に汗握るアクション・シーン、複雑な人間模様、そして、科学と人間の関係に鋭いメスを入れる文明論的なテーマ。原作のコミックとはひと味違う「超人ハルク」なのだ。
主人公の遺伝子学者「エリック・バナ」が、実験中の事故で大量のガンマ線を浴びたことから悲劇が始まる。自分の中に他人がいる違和感を覚え始めた彼は、ある時突然、<怒り>の感情とともに緑色をした巨大なモンスター「ハルク」へと変身してしまう。ものすごい跳躍力に戦車の砲弾さえ跳ね飛ばすパワー。それにしても、なぜ<変身>が起こるのか。元恋人で同僚の学者(ジェニファー・コネリー)の愛と、幼いころに別れた父親で科学者(ニック・ノルティ)らとの確執をからめて、次第に真相が明らかになっていく。
自分が望まないのに、怒ると自然に変身してしまうハルクの苦悩。そこには遺伝子問題に代表される科学と人間のいびつな関係や、傲慢な人間を問い直す姿勢が垣間見える。
とはいえ、見せ場は特撮工房−LM御用達の特撮シーン。サンフランシスコの街を破壊しつくすハルクは、まさに「ゴジラ」並みの迫力だ。