によって早起きした私は、昨夜の残りのパンとヨーグルトを朝食にして、出発した。
今日もいい天気だ。今日の予定はずばりヴェルサイユ宮殿である。
パリの朝の風景を横目にメトロの駅へ向かう。
ヴェルサイユはパリの郊外に在り、電車では20〜30分かかると地球の歩き方に書いてある。
Luxembourg駅の窓口で切符を買う。「アン・ビエ・プール・ヴェルサイユ・シルブプレ?」
不安そうに見ていると、どうも様子がおかしい。よく聞いてみると
英語で”ベルサイユには行けない。・・・・・モンパルナス・・・・”と言っている。
「どうしてだ。どうしてだ!」と食い下がると、さすがに会話での意思疎通に限界を感じたのか
「あのポスターを見ろ」改札の真ん前に大きく貼ってあるポスターを教えてくれた。
「なになに?」良く見てみると、どうやらヴェルサイユまで行っているメトロの一部が運行していない
らしい。なるほどそれで窓口のお兄さんは、色々言ってたわけだ。では、どうやって行けばいいのだ?。
まさか、行けないのか?。
再び窓口に戻り、ポスターの意味はわかったが他に行き方はないか?と聞いてみると、
「モンパルナスで国鉄を使え」といっているらしい。なるほどそれでさっきモンパルナスと言っていたのか。
時間はかかったが、やっと彼の言いたいことがわかった。
予定変更でまずモンパルナスへ向かうことにした。
それにしても、この観光シーズンにヴェルサイユに行ってる電車が休みとはねえ。
モンパルナスまではメトロで移動。メトロももうかなり慣れてきた。
電車に乗っても周りをきょろきょろしなくなってきたし、座席にも座れる、もちろんドアも開けれる。
(電車が止まる少し前からボタンを押したり、ハンドルを廻して、ドアを開けるようにしておくと、
完全に止まる前、少し電車が動きながらドアが開く。これがちょっとメトロ慣れしている人のようでかっこよさげ)
しかし、国鉄は初めてである。モンパルナスに着くと国鉄の表示を探す。
するとあったあった。というより「ヴェルサイユこちら!」みたいな表示が黄色で出ている。
その表示にそって歩いて行くとかなり長い移動の末、駅に出た。どうやらここが国鉄のモンパルナスらしい。
自動販売機が無造作に立っているので、今度はこれで!と挑戦してみる。
もちろん表示はフランス語なので、ガイドブックの使えるフランス語欄を見ながらやってみる。
しかし、いまいち良く分からない。「これで金入れるの?」不安でしょうがない。で、時間が経つとクリアされてしまう。
「うむ、窓口で買うか」と諦めた時、下に【英語表示】のボタンを見つけた。
押してみると、当たり前だが英語表示になる。こういう時、本当に英語の偉大さを知る。
「英語サマありがとう」私は2等の往復切符を買い電車へ向かう。
列車の発車時刻と到着駅を確認し、ホームへ行くとすでに電車は来ている。2等を確認(電車に書いてある)
して乗り込む。2階建てになっており上の席に座る。ボックスシートの私の前にはフランス人おばさん二人。
隣のボックスシートには英語圏からの夫婦(英語のガイドブックを読んでる)が乗っている。
程なくして出発である。小旅行が始まるようでうれしい。
窓から見えるパリ郊外の町並みがきれいだ。
と、二つ目の駅を過ぎた頃、1人の少年がバッチを空席に置いてまわっている。
「なんだ?これ、くれるの?」そう思って近くの席のバッチを取ってみてみると紙が付いていて
「私は耳が聞こえません。このバッチを5Fで買ってください」と書いてある。
「へー」と思って周りを見てみると、誰一人バッチには興味を示してない。
バッチを元に戻すと、次の駅あたりでバッチを回収に来た。
案の定だれも買ってくれてないみたいだ。「本当に耳が聞こえないならバッチ買っても良いのになぁ」
と思うけれど、ただの小遣い稼ぎかもしれないし。
旅に出てから人を疑ってかかるようにしているのが悲しい。
10ぐらい駅を経てヴェルサイユに到着する。
乗客の70%ぐらいは観光客だったらしくみんな降りる。
たくさん降りるのでそれに従っていけば迷わない。
駅を出て宮殿まではバスやタクシーがあったが、
ガイドにも歩けると書いてあるし、町を観察してみたいの歩いて行くことにする。
10分ぐらいすると大きな通りにでる。そしてその大きな通りの正面にぼんやりと大きな建物が見えてくる。
「あれがヴェルサイユか」まだ小さくしか見えないが、かなりの大きさであることがわかる。
近づくにつれ、たくさんの観光バス、そして何よりたくさんの人が、きらびやかな建物の前で群がっているのが
わかってくる。「これすごそー」と思わせる。金ぴかの門を通って中に入ると広場が広がる。
右手の方に長ーい行列ができている(約200メートル)。「これ並ぶのー、えー、まじー」
と思いたくなるが、しょうが無い。ここで帰るわけにもゆかず行列に加わることにした。
並んでみると、列の進みは意外と早い。30分もすると入場できた。
カルトミュゼを見せ、いざ宮殿へ。中はさすがヴェルサイユ宮殿といった感じで、きらびやかな廊下、部屋が続く。
「ゴージャスやねーー。」「高い天井!」「天井にもすばらしい絵が!。」
世界中からの観光客がそんな風にして、半分口を開けながら回っているので、廊下が細い間などはそこそこ混雑する。
ガイド付きのグループが止まって解説をしているところなんか、後ろがつかえてしまう。
ヴェルサイユはそんな日本人グループが以上に多い。ガイド付きのグループの4つに3つは日本人グループ。
私も解説を密かに盗み聞きしてみたが、「この柱の中ほどにあるつなぎ目をご覧ください。これはルイ?世が・・・」
こんなの聴きながら一回りしたら日が暮れるし、説明されてもよく分かんねーやと思ったのですがどうなんでしょう。
とにかく日本人が多かった。
私は自由見学で、鏡の間、戦闘・17世紀の歴史的回廊なんかを見たけど、もう少しお金を出せばルイ14・15世
の居室なんかも見られたらしい。でも自由見学だけでも結構疲れたし、十分だった。
さて、一通り宮殿を見終わると庭に出る。花のきれいな庭園と、何といっても圧巻なのは一直線に広がる大運河だ。
青い大きな空に緑と運河、これが自分の家にあるなんてすごい贅沢だ。
広ーい庭にはグラン・トリアノン、プチ・トリアノンといった”離れ”が在るらしく、そこを目指すことにする。
馬車や電気式の自動車などで送ってくれるらしいが、有料なので歩きでGO!。
天気が良すぎて眩しい。やはりサングラスは必需品。
しかし、歩き出してすぐに目的地が想像以上に遠いことが分かる。宮殿一回りしてすでに結構疲れているので足にこたえる。
途中でアイスを買ったりしながら、やっとグラン・トリアノンへ到着。それにしても遠い。
「庭広すぎるぞ!」とやつあたりしたくなってくる。
花のきれいなグラン・トリアノンも豪華な部屋がたくさんである。あまり人がいないのでゆっくりと見学する。
そろそろ豪華賢覧にも飽きてきたので帰ることにする。さすがに、返りは電気自動車を使った。
そうしたら、これ、一度乗ったら何回も乗り降りできる料金システムらしく「行きも使えば良かった!」であった。
すっかり昼も過ぎ、行と同じように国鉄でモンパルナスまで行ってメトロで宿まで帰った。
今日は帰国の3日前なので、リコンファームをしなくてはいけないのだ。
宿の部屋の電話から、エールフランス(日本語用)に電話してリコンファームを済ませる。
さて、もう3時近い。腹も減った。
近くにあるリュックサンブール公園を通ってサンジェルマン・デ・プレ方面へ抜けて何処かのカフェで昼飯を取ろう。
ということで出発。リュックサンブール公園は、ほんとに宿のすぐそば。きれいな公園で人々が日光浴している。
他にもバスケットをしている少年や二人の世界真っ只中のカップルを見ながら公園を横切る。
サンジェルマン・デ・プレの裏通りは人も少なく静か。地元の人相手のお店が並び、店先にはうまそうな野菜なんかが並ぶ。
まず、私が向かうのは”ボン・マルシェ”。今日の晩御飯はここで買って部屋で食べようと思うのだ。それと明日の朝食も。
大きなデパートのような店内には、色んな物が所狭しと置いてある。
私が買ったのは、サーモンの真空パックされたやつとオレンジジュース、ビスケット、クロワッサン、カヌレ、である。
こういう所で買い物してると、自分がまるでパリに住んでいるかのようでいい気分になる。
よさげなカフェを探しつつ、サンジェルマン・デ・プレでチェックしていた店へ行く。おみやげを買う。
サンジェルマン・デ・プレの町はすごく混雑しているわけでもなく、色んな店があるので、
ウィンドウショッピングをしながらのぶらぶら散歩にはもってこいの町だと思った。
結局、これといったカフェが見つからないまま宿の近くまで来てしまったので、しょうがなくいつもメトロの駅に行く途中に見える
近場のカフェに入った。
席に着くと、さすがに足の疲れと空腹を感じる。コーラとチーズ・オムレツ、チキンサラダを注文する。
空腹のせいか、チーズオムレツが異常にうまい。こんなうまいオムレツは初めてだ。
うまい物を食べながら、道を行く人を眺め、「俺はパリにいるんだなぁ」と実感するとすごく幸福である。
パリに来て良かった!素直にそう思う瞬間である。
オムレツを平らげ、しばらくボケーーーっとした後、宿に戻った。
ベッドに寝転がって、疲れた足を投げ出しながらテレビを見ていると、内容がよく解からないのも手伝ってかうとうととしてくる。
知らぬ間に眠りに落ちて、静かに三日目も過ぎて行った。