2. 出発
とうとう、出発の日。遠足の前日には眠れなくなる私は例にもれず寝不足。
でもあんまり眠くない。かなり浮かれてるのが自分でもよーく分かる。
出発便は成田12時発だから10時には成田に来てくださいとH.I.Sのチケットには書いてあるので、
日暮里8時15分ぐらいの京成スカイライナーのチケットを購入しました。
大きな荷物を持ったほかの海外旅行者とともにスカイライナーに乗り込み、いよいよパリツアースタートって感じ。
天気は快晴。窓の外を眺めながら「日本よ、しばしさらばじゃ!」などと思いながら、これからの事をあれこれ考えていると
あっという間に成田空港に到着です。
成田空港はピーク前とはいえ、かなりの混雑で、あっち見てもこっち見てもサングラスなんて頭にかけちゃったりして
「これから海外で楽しんできまーす」的な雰囲気で旅の気分が盛り上がる。
早速、航空券をもらって(個人旅行だけど、航空券はツアーの中の1人という事で空港でもらうらしい)手荷物以外を預け
いざチェックイン。でも、中に入ってみるとまだ2時間ぐらいあって、すんげー暇。「はやくパリに行かせろ!行かせろ!!」
と思っても、やっぱり飛行機は2時間後。
「ちきしょー、しょうがねー。来たる12時間の長いフライトに向けて時間潰しグッズでも購入するか」と思って店を覗いても
めぼしいものは無い。仕方なく本屋で雑誌2冊を購入する。
やる事無いので出国手続きに向かうと、ここで、すごい行列。長さ30メートルぐらいの列が20列ぐらいできている。
紙を記入して私も行列に参加。意外と列は進む。だんだん自分の番が迫るちつれて緊張が高まる。
「俺、別に悪いことしてないよなー」としばし自分の半生をかえりみながら、でもちょっと不安。
「何かの手違いで別室に連れて行かれて、あれこれ聞かれてうまく答えられなくて、パリ行けなくなったらどうしよう。
いや、そんな事はない。俺は、国外に出しても安全な人間なんだー!神様たのむーー!!!」などと訳の分からん
苦悩を展開していると順番がやってきた。さっき記入した紙とパスポートと航空券を見せると中のおじさんは、
ちらっとこっちを見て何やらごそごそとパスポートをいじくって、返してくれた。
「えっ、これで終わり?」ってぐらい簡単。
逆に「ほんとこんなに簡単でいいのかー。国際社会の平和はこれで守れるのかーー。こんにゃろー。」と再び訳の分からん思いがよぎる。
でもまあ無事終了でほっとひといき。
![[搭乗ゲート]](toujou2.jpg)
出発ロビーにむかう。どこからこんなにと思う位たくさん人が集まっている。しばらくしてやっと搭乗が始まる。
私の席は左の窓側。私は体が大きいので通路側が良かったけどまあいいや、景色見れるし。
言われてもいないのに早くもシートベルトをがっちり締め、”出発いつでも来いっ!”体勢を取る。
でもなかなか出発しない。放送では空港が混雑しているらしい。結局20分ぐらいのろのろと走った後やっとこ離陸となった。
広い滑走路に出て、エンジンが今までとちょっと違う音を出し始めたなあと思ったら、ゆっくりと加速を始め、だんだんと速度がついてくる。
シートに押し付けられる力がどんどん強くなって、かなりのスピードになった頃、タイヤを伝わって感じられていた振動がふっと
なくなり、下方向にも力がかかり出す。シートに押し付けられた頭を横にして斜めの窓から外を眺めると機体がどんどん上昇しているのが分かる。
離陸したのだ。機体はそのままゆっくりと旋回しながら上昇を続け、10分もするとかなりの高度にまできた。
「やっぱ飛行機はすげーなー。何でこんなんが空飛ぶんだ?」なんて改めて思いながら外を見ると、眼下には一直線に伸びる海岸が見える。
九十九里の辺だと思われる。「おーっすんげーっすんげーっ」とはしゃぎながら、九十九里でこんなに興奮している自分に
「俺はパリ行ったらどうなるんじゃ?」と変な不安を感じていた。
放送では機長が「ボンジュールー。¥%$#!&#%$−−−。メルシー」と訳の分からん事を言っている。
全く分からない。「やっぱ機長はフランス人か。フランス語もうまいし(当たり前だ!)
きっと、えらくかっちょいいんだろな。声からかなりのベテランと見た。よし、この機長に俺の命預けた!」と流暢なフランス語から
この人に任しておけば大丈夫だろうという、まったく根拠のない安心感を得たのだった。確かに機長が頼りない声でアナウンスしてたら
それだけで血圧上がっちゃう乗客もいるんじゃないかなあ実際、と思う。飛行機は本当に速い。30分ぐらいで早くも本州を横断し
新潟あたりまで来ている。日本て小せーなと思う。高度もかなり上がり、シートベルトランプも消え、窓の外は空と雲だけになると
いよいよ一回目の機内食タイムがやってきた。

シュチュワーデスさんは日本人、フランス人半々ぐらいだったけど私のブロックは
日本人の方だった。「肉と魚どちらにしますか」と聞かれ迷わず「肉」飲み物は「オレンジジュース」。
恥ずかしながらあんまりお酒飲めないのだ。飲めれば”ワイン三昧”という楽しみがあったのだが。
機内食はなかなかの味。うまいといって良いと思う。舌が肥えてる方ではないから、グルメに言わせたらまだまだなのかもしれないけど、
私には十分に楽しめる味であった。機内食を食べ終わり、コーヒーも飲んで購入した雑誌を一通り見てしまうと、段々退屈してくる。
機内の照明も落とされ、大半の人が眠り始める。しかし、寝不足のはずの私は、まるで、今長い眠りから覚めたばかりのように全く眠くない。
目、冴えまくりである。仕方ないので、ちょうど良く始まった映画を鑑賞することに。
映画はジョン・トラボルタ主演で日本では公開してないんじゃないかと思われる映画だった。
小さな弁護士事務所の弁護士トラボルタが、環境破壊を続けた企業を相手に私財をなげうって裁判を闘っていく話。
映画はそこそこ面白かったので2時間は結構すぐに経ってくれた。しかしそれでもまだ出発して5時間ぐらい。
「こりゃーフランス遠いわ」と実感ひとしおって感じだ。何とか寝てみようとするけど無理無理。
考えてみりゃ日本時間で5時だよ。寝れるかっつーの。みんな良く寝るよな。ガーガー寝てる回りのおばさんが恨めしいのだ。
そのうちやっとこ2回目の機内食。これも結構うまかった。ただ、ずっと座ってるんであんまり食欲が無い。
ちょびっと食べてごちそうさま。もうこの頃から「しょうがねー。こうなったらフランスまで不休不眠で頑張ってやる!!」
と開き直ってきた。「映画も、2本目もしっかり見てやるからな!」てな勢いで二本目の映画「東京日和」が始まる。
主人公の竹中直人が、亡くなった妻(中山美穂)の思い出をつづるというストーリー。この映画、映画自体はほのぼのした感じで
良いのだけど、東京の中でものんびりした風景の中で撮られていて、「これから日本を離れフランス人になるぞ!」
って言う私には「東京はもういいよ!!」というのが正直な感想だった。
しかし、この映画、結構長かったらしく気づくと時間は出発から9時間ぐらいになった。
さすがに体を頻繁に動かしたくなったが、あと3時間なら大丈夫な気がする。
モニターには飛行機がどこら辺を飛んでるかが地図の上に表示される。
もうロシアの西、ヨーロッパに入ろうとしている。「かなり遠くまで飛んできたもんだなあ俺達」と感慨深い。
「もうすぐヨーロッパ!」それだけでテンション上昇なのである。買った雑誌や、機内の雑誌をぺらぺら読み、
トイレにいったりしながら時間は過ぎていった。

電気がつき、機内放送が流れる。どうやら着陸に向けて高度を下げていくみたいだ。いよいよフランスも近い。
入国のための紙が配られる。「これ間違ったらとんでもねー事になるぜぃ」とガイドブックを見ながら抜かりなく記入終了。
窓の外はもう建物が分かるぐらいまでになっている。
「やはり建物がかわいい」それが第一印象だった。赤茶色の屋根に白〜アイボリーの壁で統一されている。
「これがフランスかー、おーーすげー」きっと大口開けて窓にへばりついていたに違いない。
いくら見ていても飽きない感じ。だんだん飛行機は高度を降ろす。機内放送でそろそろ着陸態勢に入るらしい事をいっている。
シートベルトをしっかりして私も着陸態勢オッケー。
飛行機はパリ郊外(と思われる)町並みを窓の外に見ながら降下し、しばらくして軽くバウンドしながらアスファルトの滑走路に着陸した。
着陸成功である。12時間40分の長旅の末とうとうパリへやって来たのである。
出口で見送ってくれる搭乗員の方々に挨拶しながらフランスへの第一歩を踏み出す。結構、ここから乗り継いでニースとかロンドンとかほかのヨーロッパの都市へ行く人がおおいみたいだが、私はもうこれ以上は飛行機、勘弁してくり
って感じだったので「パリでよかった」とひと安心。
パリは晴天。
かなり暑そう。すでに日本語は無い(当たり前!)。あんまり読めない(もちろん意味も分からない)フランス語で表示がいろいろ書いてある。
「コリャまじでパリだ!」といまさら変な事に驚き、パリを実感する。
だいたい英語がいっしょに書いてあるからなんとか分かるけどフランス語だけだとちときつい。
表示より地球の歩き方の説明のとおりに進み入国審査にたどり着いた。審査のカウンターは2つあり白人と黒人のお兄さんが座っている。
私は比較的人のよさそうな白人の人のカウンターを選らんで並んだ。
「こりゃトラブルになったら相当大変だぞぃ」といつものように悪い方へ進む想像力を押さえつつ、緊張がばれないように
「俺って結構、旅慣れててこんなの平気だもんね」的ないい恰好しようとがんばる。
順番はすぐに回ってきた。パスポートと機内で書いた紙を出すと、またパスポートをいじくって返してくれた。
その時中でなんか行ったような気がしたけど良くわかんなかったので「メルシー」って言って出た。
どうやら審査官同士で大声でしゃべってたみたいだ。
どうやら無事フランス入国を果たしたみたいである。めでたしめでたし。
1日目
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