このページでは、J-POPに対する意見をあげて、それについて考えていきます。
ベストアルバム
| 「売れているからって、ファンでもない奴がベストアルバムを買うのは許せない」と友人に言われたことがあります。確かに、私は特にファンではありません。(中略)「ファンじゃなきゃ、そのアーティストの真の良さは解らない」というのは解ります。しかし、より多くの人が聴いてくれるのは、むしろ喜ぶべきことだと思うのですが。今では、本当にこういう買い方は良かったのかどうか考えがまとまらず、思考回路は麻痺状態です。 (オリコンウィーク ザ・1番 6月28日号より抜粋) |
私は、「アーティストの真の良さ」などというものがあるとは思っていません。リスナーによって
アーティストの価値は様々です。そこには優劣関係は存在しません。どの曲が自分にとって
大切なのか、私はなぜこのアーティストが自分にとってかけがえがないのか、それによって
アーティストの価値は変わってきます。当然、アーティスト本人が全く気づかなかった作品の
価値をリスナーが見ていることもあります。逆にアーティストがある作品にリスナーが知らない
愛着を持っていることもあります。ファンがアーティストにとって好ましくない価値観を持っている
ということもよくあるのです。
ある学問の専門家には、一般の人とはちがう世界が広がっています。ただそのことだけで
「自分は他の人とは違うんだ」という気持ちになりがちです。それは事実なのですが、そこから
「自分は他の人より偉いんだ」という結論に達するのは容易なことです。そこに「他の人」を
けなす理由を見いだし、無礼な振る舞いを始める人が専門家には多いのです。
オリジナルアルバムやシングルを何枚かかって聴いている人はそのアーティストの世界に
関しては専門家といってもいいでしょう。そういう人にとっては「ベストアルバムだけで世界を
把握しようなんて無理だよ。オリジナルアルバムも聴かないと。」という忠告(非専門家にとっては
罵倒になりかねない)をすることが義務のようになっています。また、私にはよくわからない理由で
誠実な人はなぜか皮肉屋になってしまうので、非専門家により厳しく当たる傾向があります。
しかし、私のようにヒットした曲だけ手元に置いておきたい人や、ある一曲にだけ宝物のような価値を
認めているのだがそのシングルがもう流通していないというような事情を持つ人にとっては、
ベストアルバムがアーティストの世界への入門書のような役割を担っています。
ベストアルバムを聴くことで、いままで見えていなかった世界をかいま見て、そして音楽的冒険を
始めることもあるのです(オリジナルアルバムを買ったりシングルを探したりすることです)。
もし音楽的冒険をしなくても、ベストアルバムをもっていれば非専門家にとっては十分なのです。
ちょうどJ-POPを批評するために「純粋理性批判」などを読む必要がないのと同じ事なのです。
私にとっては、哲学本は「自分を知るための哲学入門」や「文学部唯野教授」や「ソフィーの世界」
で十分なのです。
ファンであれば、最低一枚はオリジナルアルバムを聴いておくべきでしょう。しかし、特にファンでも
ないのであれば、ベストアルバムだけで十分なのではないでしょうか。
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