3月31日、一般的な発売日とは違った金曜日に椎名林檎『勝訴ストリップ』が発売され
ました。オリコンアルバムランキング初登場1位(4月10日付)、現在すでにダブル
ミリオンを視野に入れているという驚異的な売り上げを記録しています。また、すでに
『無罪モラトリアム』の売り上げをも上回っています。
私も予約を入れたんですが、4月5日まで見ることもできない状態でして、聞き込むまでに
かなり間が空いてしまいました。
このアルバム、一般的なアルバムと違って「通しで聞かないといけない」アルバムです。
つまり、無音状態がなく、曲の間のつながりが「これ以外にないほど考え抜かれた」繋がり
を見せているので、例えば『ギブス』を1曲だけ聴くという用途には全く向いていません。
また、『罪と罰』を境に対照的な作りであることはすでに有名です。実際、それ以前と
以後とでは全く違う世界がみえてきます。
ここで大胆に決めつけると、前半を「自分がどういう人間か分からないままに奇妙な行動
を繰り返す椎名林檎を”現在の林檎”が再現している部分(患者としての林檎)」、後半を
「自分の中の”雌”的な部分に依存していかないと人としてダメになってしまいそうな人で
あることを自覚している林檎を”現在の林檎”が診断している部分(医者としての林檎)」
と位置づけることができます。
つまり彼女は『罪と罰』で描いたような体験を得て、「自分とは何か」という問いに対する
答えを文字通り「勝ち取った」のです。
”世間”が与える答えに満足できず、”世間”とは違う生き方を志向することは誰にでも
できます。しかし、まさにその事により”世間”から落ちこぼれたまま不幸になっていく
事に気づかないまま幸せを追い求めていく「単に変な人」をよく見かけます。彼女は、
「単に変な人」が決してやらない人生への割り切りを大胆に行っています。そしてその事で
まれにみる「奇人変人」とでもいえるような境地に達したのです。
彼女は自分の立場を勝ち取って、そしてどこへ行くのでしょう。私はその先を見てみたい気
がしてきました。