90.02.10
山路一秀(DIP the Flag)
掲載誌:CHROTUM-P Vol.9



阿佐ヶ谷

─それでは、阿佐ヶ谷について。阿佐ヶ谷は和菓子屋が多い。
山路くん(以下、山)─多いねえ、『うさぎや』ね。
─それでね、9号のクロPで『阿佐ヶ谷練歩』ってゆうページがあって、和菓子屋チェックしたら10軒もあった。
山:だって阿佐ヶ谷、ジジイとババアの街だもん。
─(爆笑)あと、タイ料理店があったりとか…中国料理店があったりとか。ラーメン屋とかじゃなくて、ちゃんとした中国料理。
山:阿佐ヶ谷はねー、あそこがいいんだよ、『あるぽらん』。
─おー、おー、おー。あの2階にあるフォークのライブハウスでしょ。
山:あと、『ギャングスター』。リッキーのもっと先。なんか、ブルースとレゲエみたいなとこ。
(阿佐ヶ谷にアントニオ猪木や石原軍団(神田正輝や渡哲也)が来た話をしていて…)
山:三上寛によく会う。
─三上寛が阿佐ヶ谷に住んでるの?
山:多分。よく練習で朝帰る事があった時、毎週会ってたよ。俺んちの、もっと向こうの早稲田通りの方から歩いてくるの。阿佐ヶ谷で会った有名人はそれくらいかなぁ。あと、ボウイのファンクラブの事務所みたいなのもあったな…。
─私は、阿佐ヶ谷で会ったのは岸くんぐらいかな。(実はレピッシュのタツにも会った事がある)
山:岸くん、有名人じゃん。…阿佐ヶ谷の話、終わり?
─何もないね。
山:阿佐ヶ谷だめだね。話すような事は何もない。住む所にはいい所だよ。やっぱり。でも、特に話題はない。話題なんてある所は住みたくないもんね。話題がなくて、地味な所だから住みやすいんだよ。
─阿佐ヶ谷に『ビービーババァ』ってのがいるの
山:なにそれ、『ゆっくりじじぃ』の事?(笑)いるんだよ、『ゆっくりじじぃ』っつーのが。5年位前だっけ、久師が見たんだっけ?銭湯に行ったら、まだパンツ脱いでたんだっけ?
─山路くんの友達(以下友) 風呂場からあがってきたら、まだパンツ脱いでたってゆう。
(一同爆笑)
山:あとさ、公衆電話で電話してたらさ、スキーを履いた人がいたって言う…
(一同大爆笑)
─高円寺にいたの?
山:そう、高円寺。誰も信じないよね。(笑)
─雪が降ってたんじゃないの?
山:そんな、雪が降ってたってそんな人がいたら…。(笑)雪が降ってたからって納得しちゃうわけ?『ある、ある、ある』とかって。(笑)
─(笑)
山:だって、雨が降ってたからって、スキューバダイビングのやってたってゆうのと同じ事だよ。(笑)


コトバ

─コトバってどんなものでしょうか?
山:具体的にするものじゃないの?
─自分の思っていることを?
山:まっ、半分ぐらいかな…。
─もう半分は?
山:えっ…、具体化しきれない。
─コトバの長所は。
山:わかんない…、だってそこまで考えて詞とか書いてないもん。
─やっぱり難しいでしょ…
山:そうゆう事ってのは、ある日ふと思う事だからな。
(質問を考え直す)
─私が考えたのは、コトバってゆうのは口から出てくるものと、書いたりして(目に見える)形に残るものものとがあると思うんですよ…
友:思うんですけどね、コトバっていうのは記号だと思うの。頭の中ではメチャクチャじゃない、考えていることが。それを記号化して、出るとコトバになる。
山:うん。
友:だから、抽象作用を持つ、っつーの?
山:なに、『ちゅうしょう』って抽象画の『ちゅうしょう』でしょ?
友:そうそう、抽象画もそうだけど、抽象っていうのは、物事のエッセンスみたいなものを取り出して表したものの事を言うの。そうじゃない?
山:なるほどね、思っている事をかいつまんでるって事ですね。(笑)
友:そうそう、全部は言い表せないじゃん。
山:一言で言い切りましたか。(笑)…なるほどね。
友:でも簡単に言うと、記号って円(まる)とかそうゆうのがあるけれど、円にも色々あるじゃない?楕円とか、ちょっと曲がっているのとか…。だから、同じような事だと思うの。
山:あぁ…、記号がもっと複雑になったようなもんだな。
…やっぱり、この質問は難しかったわ。
山:よくそんな事聞こうと思ったね。俺がそんなこと喋れると思った?
─じゃないかと。
山:哲学科だから。(笑)
─とか言って、本読まないし。(笑)
山:だから、大江健三郎の本2冊読んだって言ったじゃん。最近は中原中也も読んだよ。それで、一曲詞が出来た。今度新しくできた静かな方の曲が。


沈黙…


山:ちゃんと紙に(質問を)書いてきたんじゃない。全部言いなよ。
─じゃあ…(と、紙に書いてあることを言う)コトバは誤解を招きやすい。言った事っていうのは、その場限りのものじゃない?形になっていれば、後から確認することが出来る。
山:なるほど。
─だから、証拠みたいに残るから…
山:なるほど、困るよね。
─『こんなの書いてないよ』とか言っても、『書いてあるじゃない』って…
山:俺は逃げるよ。『俺の字じゃない』とか言って。(笑)だから、手紙とかほとんど書かないよ、最近は。高校生の時とか、すごくよく書いてたけど。中学生の時は、交換日記とかしてた。
─そうゆうのって、後で読み返してみたりすると、『バカだなあ』とか思っちゃったりする。
山:俺は、今でも残っているのは、自分で書いた詞があるね。
─それは正直に書いてる?
山:全然。嘘って言うか、思ってない事書いてる。
─どうして思ってない事が書けるの?
山:物語だから。だから、あんまり説得力がないんだよ。ツメが甘いから。別に、経験したことじゃない。
─そうなんだ。
山:その頃憧れてた詞ってのがあって、そうゆうの作りたくてさあ。(笑)で、似たようなのを書いてたの。でも、俺はいろんな事に対して怒ったりしないからさ。
─ホントに?…そうか。
山:うん。むっとしたりしても、結局は『どうでもいいや』と思ってるからさ。詞を書くには至らないんだよ、あんまり。
─だから、詞はなかなか書けない…
山:うん。詞はめったに書けない。書けても月に1コ書ければいいほう。
─すごく強く思う事があると、いくつも書ける事がある?
山:わりとね。思う事があると書けるな。
─一つの思う事に対して、いくつも書けたりする…
山:うん。そうゆう時もある。いろんな一つの体験みたいのを、いろんな所から見ればね。いろんな詞が書けるよ。
─上から見たり、下から見たり…
山:女の子のことだって、つきあう前とかつきあった後とか、別れていく時とか、なんでも書けるじゃん。…でも最近は、一つのテーマに対して1コしか書かないかなあ…
─書けないんじゃなくて?
山:たくさん書いて全部決めなくて、テーマごとにねぇ、全部ページが分かれてるの。1行しか書いてないテーマのページもあるしね、20行位書いてあったりとかして、後から曲を付けたりする時に自分の気に入ってるやつだけ取り出して、それで形にするって感じ。


悩み

─例えば、自分一人じゃ解決できないような悩みを持っているとするでしょ。で、誰かに相談して『あー、すっきりした』って思う人と、反対に『言わなきゃよかった』とか言ってまた悩み始めちゃったりする人がいると思うんだけど、どうでしょう。
山:俺は言わない、人には。
─(悩みを)かかえきれなくなっちゃったりとかは?
山:かかえない。(笑)
─考えないようにするとか…
山:考えてない。実際考えてないんだよ。意識しないで、実際考えてないんだよ。俺って。直面するまで何も考えないの。基本的に楽観的だからさぁ。あと人に言うのは嫌いだから。昔は人によく相談してたけど、人に相談してもあんまり解決にならないんじゃない?余計にゴチャゴチャしちゃったりするしさ。あんまり言わないね、人には。自分でなんでもやっちゃうのがはやってたからさ。…みんな相談するかなぁ、しないよねぇ。
友:相談?するんじゃない?でも、相談してもしょうがないと思うようになった。人に言ってくと、自分がさめてくのがわかるの。
山:言う時ったら、電話で話してて、話が尽きた時ぐらいかなぁ。
友:でも相談した場合にさぁ、人の意見は為にはならないんだけど、自分の中で考えがまとまったぞ、っていう時はあるな。
山:しゃべりながらわかってゆくっていうのはあるね。
友:あと、対した事じゃないような事で、『こんな事があっちゃったんだよぅ』とか言って、で、向こうはとりあえず『平気だよ』
山:そうだな、軽い悩みぐらいはいいかもな。でも、もっと深い悩みになっちゃうと言えなくなっちゃったりとかするなぁ。
─そうゆう時って考えないようにするの?(また同じ事聞いてる…)
山:考えないんじゃなくって、実際考えてないんだってば、俺は!(笑)
─そうゆう性格ってやつ。
山:だから、俺は『虫』とか『鶏』って言われてるんだよ。3歩歩くと忘れるってやつ。(笑)
友:私も、『何でこんな事言われて怒んないんだろう』とか思って、『怒れる人になりたいな』って思った事もあった。
山:俺も、『悩む人になりたい』って思った時もあった。神経性胃炎なんて、俺には考えられないんだよ。(笑)
                         at.吉祥寺