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Cambridge 1 - Upper Class

ケンブリッジの町自体はまたいつか改めて書きますが、
今回はケンブリッジ大学を絡めた筆者と上流階級の人々との交流を紹介します。
(*筆者は別の三流大学在学です)
というか暴露です。
まあといってもバイトにまつわる小ネタ中心ですが。


ケンブリッジという町を聞いて大多数の人がまず思い浮かべるのが“大学”でしょうが、
筆者はこっちに来てから約半年間、ケンブリッジ大学がいったいどこにあるのかまったく知らなかった(オイ)。
まあ半年間知らなかったというのはちょっとダメ過ぎだと思うが、
実際ここで留学始めたばかりの多くの外国人留学生(C大学生除く)などはその“場所”を把握してないことが多い。
それもそのはず、だってケンブリッジ大学なんて場所、無いのである(ええ〜)。

というのも、ケンブリッジ大学というのは基本的に〜カレッジと呼ばれる学部の寄せ集まりであり、
実際に “ケンブリッジ大学のキャンパス” というものが存在しないことになるのだ。
(キングス・カレッジなど有名だがこれもケンブリッジ大学の一部になる)

基本的にカレッジごと(学部別)に校舎・宿舎・教会を持つため、
ケンブリッジ大学はシティ・センターに点在しているともいえる。
しかし実際シティセンターの敷地の多くは大学が所持してるため、
“大学の中に街がある” という表現が一番分かりやすくてしっくりするだろう。

マクドナルドがシティセンターにできたときに、店の外観に関して大学側の許可が出ず、
マックとは絶対分からない “古風” な入り口(今でも)になったというエピソードなんかもあったりする。
いわばケンブリッジ大学というのはケンブリッジで一番権力をもった団体なのである。

そして大学関係者の多くが、上流階級である。
大学自体は上流階級じゃないと入学できないとかそういうことは無いが、
それでも普通の大学に比べたら、かなりその割合は多い。

しかしこれも普通に生活しているだけでは、そんなこと全く分からない。
ケンブリッジなんて学生が多いということを除けばいたって普通の町。
なぜか。 彼らは住む世界が違うのである。
筆者も去年ある学部でウェイターのバイトを始めなければ、一生上流階級に会わなかったかもしれない。

で、ウチのバイトである。
インパクトのある特徴をざっとのべると、
校舎が14世紀の建物。
食堂は宮殿の一室みたい。
客はFellowと呼ばれる大学に属する名のある教授達。
食器等が銀製で高価なので、でかい金庫に保管されている。
食事は全て事前オーダーのフルコース
場合によって食事前に立ちワイン・シャンペンがある。

基本的に筆者を含むバイトは教授達のレギュラーな食事(ブレクファスト・ディナー)とは別の、
プライベートな食事会(それでも週に数回ある)で給仕するのがほとんどなのだが、
これがとにかく凄まじい。

食事会の内容をざっと説明すると、
立ちワイン(プリプレンデ)から始まって、席に着き、ラテン語でお祈りし、
スターターを食べ(白ワイン)、魚料理を食べ(白ワイン)、メインコースを食べ(赤ワイン)、デザートを食べ、
コーヒーを飲み、別室に移動して果物食べながら最高級の赤ワインを飲みつづけるのである。
また食事会によっては間にスピーチがあったり聖歌隊の歌などがあったりする。

()内のワインはその食事のときに飲むワインで、グラスが空になる度にうちらが随時注いでいくんである。
スターターとデザート以外のディッシュは、大抵皿に乗って出てくるのではなく、
うちらが順番に回ってよそうのである。
冷たい料理じゃない限り、皿は事前に温めたものが配られるのである(筆者は数回火傷済み)。

客も著名人が多く、中には世界的な有名人もいたりする。
宇宙学でかなり有名なあの車椅子のスティーブン・ホーキング博士なども来る。
(筆者は3回会ったが、死ぬほど緊張した)

またこのバイトを紹介してくれた友人などは、
現エリザベス女王の夫(フィリップだっけか?)を給仕したことがあるくらいである。
ちなみにこの友人は事前に彼が来るから “身だしなみをいつもの百倍きちんとして来い” といわれて
冗談だと思ったそうだ。

筆者はある立ちワインで給仕した時、一回シャンペンを空けるのに蓋を押さえるのを忘れて、
コークが何百万するか分からないような絵に思いっきり直撃して、
それこそ本気で自分の命を心配したのものだ。

百人以上の客が来る食事会もある。
こういうときは一番大きな普段学生用の食堂(ホール)を使うのだが、
たいそうなマントを着てハイテーブルで食事する教授達と、
これまたマント着て集う学生たちの姿はさながらハリー・ポターの食事シーンまんまである。
(ローソクは浮いてないけど(笑))

筆者は彼らが食事している間、後ろに立っていることもあるわけで、
故意ではないにしろ会話を耳にはさんだりするのだが、
会話の内容以前にしゃべっている言葉が違うのである。
もう、なんというか普通Isn’t It? なんか“イズニット”“イニット”とか省略するところを
“イズントイット”とかちゃんと発音しちゃっているのである。
こういう言葉はTVの時代劇のなかだけではないということである。

大学とは関係ない企業が食事会をやることもあるのだが、
そういった場合ナイフ・フォークの使い方や取り方でなんかもう大体分かってしまうのである。
その人が上流階級かどうか。

また一緒に働くバトラー(執事)の長は、大抵の食事会で
うちらを仕切るのだが、何かを指令するときはスティック使用である。
食事がはじまるのを知らせるのに銅鑼を鳴らしたりもするんである。

また12月のある日。 マスター(校長)が主催する大きな食事会で立ちワインを給仕することになったのだが、
バトラーのおじいちゃんに連れて行かれた場所がマスターの家だった。
いや、家じゃなくて正確には “ロッジ” なのだが、これがなんと大学の校舎内にあったのである。
そう。 隠し扉の向こうにである。 
しかもそこはとんでもなく高級なマンションの一室といった感じで、
廊下などは図書室状態である。 

マスターの奥さんがおじいちゃんと話していたが、横に居る筆者に対しては完全無視である。
筆者のような一般人は、まずこの方々としゃべることがゆるされる種の人間ではないのである。

またこのような食事会をするにはそのレベル相応のお金も払わなければならないのだが、
去年のクリスマスパーティーなど一人頭5万円くらいである。
(それでも出されるワインの高さを考えると割安らしい)
しかも招待された人間はもちろんお金など払わないので、
基本的には主催した人間が全部払っているのである。

この様なことが月に数十回行われていて、しかも他のカレッジでも行われているとなると、、、、、
なぜこんな所で筆者のようなバリバリのアジア人が働くことになったのか永遠の謎である。

ちなみにちょっと大げさに書いけど
教授の方たちもバトラーの人達もいたっていい人達です。 
あと筆者が給料いたって普通、チップほとんど無し、不定期と
あんまり利点のないここで働き続ける唯一にして最大の理由は “まかない” です。  
何万もするコースが働くたびに食べられるというのは、先進国1ご飯が不味いイギリスに居る筆者には
とても助かります。


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