●南海電気鉄道50000系「ラピート」
 ~ 関空特急、デザイン系? ~




博士:・・・・・。(唖然)
助手:・・・・・。(閉口)
博士:・・・と、とりあえず資料を読んでもらおうかの。
助手:ハイ、南海電気鉄道50000系「ラピート」、1994年の関西国際空港の開港にあわせて導入された南海電鉄のフラッグシップとなる特急列車です。1995年にブルーリボン賞を受賞しています。
最高時速は120km/h、ノンストップ運行の「ラピートα」は南海なんば駅から関西国際空港駅間を29分で結んでいます。
博士:なんと言葉にすればいいのか・・・とにかく奇抜なデザインじゃのう。
助手:鉄道マニアの間では鉄人28号って呼ばれてるそうです。けど、内装は豪華ですよ。




博士:ほう、確かにシートも照明も素晴らしいのう。ここまでやった列車は見たことがない。ましてやライバルであるJR西日本の関空特急「はるか」とは比べものにならないのう。
助手:さらに「はるか」のグリーン車代より安いお値段で「スーパーシート」が選べます。
博士:しかし、この内装、どことなくケバケバしいな。モケットは豹柄か・・・。
助手:ヒョウですからねぇ。
博士:窓が楕円形なのは何か意味があるのかな?
助手:資料によりますと、「航空機のイメージから生まれた楕円窓のデザイン」だそうです。
博士:やはり機能的な意味はないのじゃな・・・。
助手:デザイン面の他のキーワードは、「レトロフューチャー」、「ダンディ&エレガンス」、「空港へのアクセスロビー」、「力強さと速さを融合させた先頭形状と人間味ある曲線」、「海をイメージした車体色」だそうです。
博士:デザインのためのデザインじゃのう。
助手:そこが評価の別れるところでしょうか?
博士:そうじゃな。東海道山陽新幹線500系「のぞみ」も十分奇抜なデザインだが必然性を感じるからのう。わしの主観で言わせてもらえばラピートの外観は子供のおもちゃみたいじゃ。いわゆる「レトロフューチャー」的アール・デコといえば聞こえはいいかもしれんがの。
助手:確かに遊園地にあっても不思議に思いませんね。それにしても南海も思いきったことをしたものです。
博士:なぜそういう思い切った手段に出たか、ということを考えるとき、ラピートの運行区間が「難波-関空」であることが重要なポイントとなってくるじゃろうな。南海は難波が終・起点なのでな。
助手:は?運行区間とデザインに関係があるのですか?
博士:この場合の関連性は景観や環境云々より純粋に商売での計算じゃ。
ライバルであるJRの「はるか」は「京都-関空」じゃからの。梅田や新大阪も通過する。はじめから利便性でラピートに勝ち目はない。
助手:その圧倒的不利な条件を覆すためのデザインであると?
博士:そうじゃ。だから、話題性の獲得のために奇抜な外装を、そして地元客のハートをがっちり掴むために豪華な内装を、この関空特急に与えたのじゃろう。しかも女性客室乗務員とフリードリンクサービスまであったというじゃないか(現在は廃止)。たった30分足らずの旅にだぞ?
これがいわゆる「コテコテ」というものかのう?
助手:・・・確かに。視点は世界ではなくあくまで大阪に向いているわけですね。
博士:運賃やスーパーシートの価格設定も「お得感」がバッチリじゃしの。
ゴージャスでお得、それは、商人の街、浪速の人々の心の琴線に触れるところじゃろうて。
しかし、デザインの是非は別として、既成概念をぶち壊すようなデザインと過剰サービスで不利な条件をはね除けようとした南海に、ワシは熱い男のロマンを感じて来たぞ。
助手:それは結構なことで・・・。あ、そうだ、そういえばラピートのデザイナーは京都の建築家だそうです。
博士:えっ、建築家!? しかもやはり関西にこだわっているとな! しかし残念なことだが建築家ならば我々の範疇ではないな。君、あそこに連絡してくれたまえ。
助手:アイアイサー。




関空の開港を起爆剤にしようと肝煎りで登場したラピートでしたが、南海の発表によると2002年度上半期の空港線の利用客は402万人で、前年同期に比べ7.6%の減少、またラピートは同8.1%減少の91万人で、平均乗車率は損益分岐点の40%を割り込む31.6%と赤字になってしまったそうです。
頑張れ、ラピート!




ON SET : 4/MAR/2003
LAST MODIFIED : 9/MAY/2005