| ローター船、ターボセイル…近代帆装船列伝 | |
~ 帆いっぱいに風を受け進もう諸君 ~ |
【序章】 |
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うららかな北ヨーロッパの浜辺。新婚の二人が砂浜に寝そべっている。
その夜、夫は興奮で眠れなかった。
待ってよ、アントンさん。
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【第1章 ローター船】 |
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情熱に溢れるアントンさんは、この推進システムについて「いける!」と思った。 |
【バーデンバーデン号】 |
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アントンさんが建造したローター船 | |
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一見、「ちょっと煙突が大きいだけ」の普通の船に見えなくもない。 |
【マグヌス効果について】 |
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アハインリッヒ・グスタフ・マグヌス(ドイツ:1802~1870)によって1852年に発見された流体の特性で、帆船が進む原理も同じ。後に航空機の翼に応用された。 | |
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バーデンバーデン号は1925年に処女航海に出発。見事成功を収め、さらに1926年には大西洋横断に成功する。 しかし、アントンさんも軍も「いける!」と思われたローター船もここまでだった。 アントンさんのフルネームはアントン・フレットナー (ドイツ:1885-1961)。 蛇足であるが、ヘリコプター開発史におけるフォッケ博士の評価と比べるとアントンさんが霞んでいるように感じる。その理由はフォッケ博士の研究が先行していたこともあるが、もうひとつの理由として、彼の妻がユダヤ人だったからという話を聞いたことがある。彼はナチスの親衛隊全国指導者ハインリッヒ・ヒムラー(ドイツ:1900-1945)の援護の元、妻をアメリカへ脱出させたらしい。ヒムラーが望む見返りは彼の技術力だったのだろう。 戦争の2年後になる1947年、彼は妻を追ってアメリカの市民権を得ている。そしてアメリカにおいてもヘリコプターの発展に寄与したのである。 |
【第2章 ターボ・セイル船】 |
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さて、その後、歴史に埋もれすっかり人々から忘れ去られていたローター船であるが、“それらしきもの”が1985年に再び現れることになる。 |
【ターボ・セイル船 アルシオーネ号】 |
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ターボ・セイル、すんごい騒音があるとかどこかで読んだことがあります。 | |
【第3章 日本の近代帆装商船】 |
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そして忘れてならない船が日本にもある。ターボ・セイルと登場時期が前後するが、1980年にディーゼルエンジン推進の補機としてコンピューター制御の硬質な帆を持つタンカーが現れたことがあるのだ。 |
【近代帆装タンカー 新愛徳丸】 |
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就航時には結構話題になりました。他にも同じような帆走システムをもった船が数隻建造されたようです。 | |
【最終章】 |
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以上、人類は、かつての帆船の代わりなるような風を受けて推進するシステムを、いまだ手に入れていない。いまのところ男たちのロマンの上でだけ成り立つシステムであると言えよう。 |
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