●小田急電鉄ロマンスカー 
3000形SuperExpress/3100形NewSuperExpress
 ~ 流線形60' ~

助手:博士、この前箱根に旅行へ行ってきたんでお土産です。
博士:おぉ、すまんな。温泉か、わしも昔行ったよ。ところで交通手段は何を使ったのかね?
助手:友達の車ですけど。
博士: わしはロマンスカーじゃったな。
助手:なんですか、それ?
博士: なんと不勉強な!、小田急電鉄の現役の特急の名称じゃぞ。
昔は他の鉄道会社でも特急を「ロマンスカー」っていったりしたのだけれど、小田急はその元祖で、やっぱり「ロマンスカー」といえば小田急じゃな。
助手:へぇ、しっかし「ロマンスカー」ってなんか時代を感じるネーミンスセンスですね~。
博士: 時代じゃな。しかし、小田急電鉄の当時のロマンスカー、3000形SE車と3100形NSE車の人気は恐らく君の想像を超えている。実際、シーズン時には予約が取れない状態だったし、鉄道友の会の第一回ブルーリボン賞を受賞したのじゃ。
助手:へぇ、すごかったんですねぇ(どうでもいい)。一般客もマニアも惹き付けた理由はどこにあったんですか?
博士: なんといってもその後、東海道新幹線車両のデザインに影響を与えたとも言われている流線形の未来感溢れるスマートなデザインじゃね。シルバーの車体に鮮やかなオレンジのラインも実に美しかった。
さらに見た目もさることながら、駅で駅員さんが開閉する手動のドア(乗降口で改札!)や、豪華な内装、特に3100形NSE車は運転席が2階にあり、先頭と最後尾が展望席になっていた。
子供の頃、電車に乗ると運転席のところから前を眺めたじゃろ? あれができるわけだ。
とにかくサービスが悪く味気のない国鉄(当時)の特急にはない鉄道旅行の優雅さがあったよ。実に良い経験だった。

【小田急電鉄ロマンスカー3000形SE】

後にSSE車に改造され、顔も変わりましたが、元はこんな顔をしていました。こっちの方がシンプルでハンサムだと思います。
曲面ガラスの採用、連結器の排除など、当時としては斬新なものでした。
また、外見だけでなく、メカニズム的にも長編成(8両)連接構造、ディスクブレーキの装備など、あらゆる「日本初」が盛り込まれています。


助手:手動のドア!?、いつの時代ですか、それ?
博士:結構最近まで走っておったぞ。
助手:しかしなんのために手動なんですか? 当時既に自動ドアありましたよね?
博士: 軽量化のためじゃろうな。そのために、ボディだけでなく電気機器の鋳造部品までアルミ製にしたり、連接構造にして台車の数を減らしたり、シートの構造まで気を使っている。塗装を抑えてあるのもそのせいかもしれん。
助手:そこまで軽量化を徹底するなんて、何のためだったんでしょう?
博士:SE3000形は世界を目指したのじゃよ。
助手:はぁ?小田原や江ノ島ではなくて世界を目指す・・・ですか?
博士: わかっとらんな。世界最高速度への挑戦じゃよ。男のロマンじゃ。
助手:世界最高速度!?小田急が!?本気ですか?
博士:なにをいう!!ちゃーんと狭軌鉄道では当時世界一の145km/hというスピード記録を樹立しとるわい。
1967年の国鉄東海道本線におけるテスト走行でな。
助手:う~む、いまの時代の感覚からみると私鉄のやることとは思えませんね。
博士:彼等は本気だったのだよ。
小田急の技術陣は1940年代後半から新宿-小田原間60分運転を目標に研究・実験をしていた。3000形の記録と業績はその結果なのじゃ。
SE3000形、NSE3100形の優雅さは決して見た目だけではなく、快適性と高速性能を追求し、軽量・低重心・保安設備の徹底等による機能美から醸し出されるものなのじゃ。
助手:ちょ、ちょっとまってくださいよ。東海道線での記録樹立ってことは、小田急の路線ではその性能をフルに生かせないってことではないのですか?
博士:うっ、ぬぬぅ。・・・いいところに気付いたな。
助手:それに、小田急は通勤路線ですよ。今なんか過密ダイヤで特急もトロトロ走っていて遅そうじゃないですか。いくら車両の性能がよくても意味がないんじゃないですか?
博士:・・・その通りじゃ。速さの追求はとうの昔に限界に達してしまった。
最新型ロマンスカー30000形「EXE」も通勤電車みたいなデザインだな。内装はそりゃ豪華だろうが。
助手:なにが彼等をそこまでかりたてたのでしょう?
博士:昔は実際に意味が無くても「もっと速く」「もっと強く」「もっと高く」がいいものとされたのじゃ。技術の進歩に誰もが単純に夢を見られた時代じゃった。
しかし、実際に意味がなくても本気で最高の技術を確立しようという気持ちがあったからこそ、3000形と3100形は廃れないデザインに成り得たとも思うのじゃよ。




on set : 20/SEP/2002
last modified : 5/MAY/2005