| 東武鉄道100系「スペーシア」 | |
| ~ 滅びゆくゴージャス ~ |
| 日本の民間鉄道の起源についてのレポートは終わったかね? | |
| まあだいたいは。意外と観光目的が多いのに驚きました。例えば、 京成=成田(帝釈天のある柴又への支線もあり) 小田急=箱根、小田原(江ノ島への支線あり) 東武=日光、鬼怒川 近鉄=伊勢志摩、吉野山 南海=高野山 です。 | |
| 鉄道が一般的でないうちから通勤のための需要があるわけでもなし、阪急の小林一三による鉄道沿線開発という私鉄経営思想の普及もまだだったろうしの。 | |
| だから路線の末端に名の通った宗教施設(神宮やお寺など)や観光地がある大手私鉄が少なくないんですね。 | |
| 江戸時代の大衆文化は表面上ではあるが禁欲的な倫理の下にあったので、娯楽目的の旅は許されなかった。なので観光旅行にも「お宮参り」という口実が必要だったわけじゃ。その名残じゃな。 | |
| そういや「東海道中膝栗毛」の弥次喜多さんの旅も名目は「お伊勢参り」でした。 |
| というわけで観光旅客という観点から、かつては各社が競って豪華な特急列車を走らせていたのじゃ。 | |
| 僕のようなナウなヤングにはいまいちぱっとしない感覚です。JRならともかく私鉄って通勤というイメージだし、観光レジャーも海外旅行が当たり前の時代ですから。 | |
| ナウなヤングって・・・、まあそれはさておき、マイカーの普及や航空運賃の低価格化までは私鉄による鉄道旅行も観光レジャーの花形じゃった。なので豪華な特急列車たちは各社の象徴とも言える存在だったのじゃ。 | |
| しかし小田急ロマンスカーの現行30000形EXEや京成のスカイライナーを見るとそういう印象は持てませんが。 | |
| その通り。西武NRA(New Red Arrow)、小田急ロマンスカーEXE、京成スカイライナー、かろうじて残っている関東の私鉄のフラッグシップたる特急列車達はいまやビジネス客や沿線通勤客を狙ったビジネス/通勤特急、そして空港連絡特急などになっている。
EXEはシートピッチがイマイチ(スペーシア1,100mmに対し、EXEは1,000mm)でエクステリアデザインが通勤列車みたいだし、NRAは制御機器が廃車流用だったり、トイレの数も少なかったり・・・、とかつて目指していたゴージャスな旅行を演出しようという気概がないのじゃ。 | |
| 時代の流れですね。 | |
| しかし、そんな風潮の関東私鉄で1つだけ観光特急の気風をいまだに貫いている列車がある! | |
| えっとまだ名前が出てない特急は・・・ | |
| それは、東武鉄道「スペーシア」じゃ~!! | |
| あ、いま言おうと思ったのに~!! |
| 【 写真:東武100系「スペーシア」 】 | |
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東武鉄道のフラッグシップとなる100系。日光/鬼怒川への特急「けごん」「きぬ」として使われています。 デビューは1990年で、バブル景気と呼ばれた時代背景を反映した豪華なつくりとなっています。 シートピッチ1,100mmは立派。 NRA:1,070mm ロマンスカーEXE:1,000mm スカイライナー:1,040mm 700系新幹線(普通車):1,040mm |
| というわけで、今回紹介するのは「関東最後の豪華観光私鉄特急『スペーシア』」なわけじゃ。 どうかね?東武ホテル等を手がけるアメリカ人インテリアデザイナー、ロバート・マーチャントによるバブリーな内装は? | |
| どこもキラキラしています。端っこの一両まるごとがコンパートメント(個室)専用ですよ、すごいな・・・このはっちゃけぶり。 | |
| それだけではない。軽量化のためのアルミニウム製のボディ。栃木の山々を登ったときも室内の静粛性を保つために6両全てに配置された強力なモーター、それを集中制御する当時最新式のVVVFインバーター回路。見た目や内装だけではない、本質的にこの列車は「スペシャル」なのじゃ。 | |
| 確かにデビューから大分経っているとはいえ関東にこんな私鉄特急もうないですね。なんで東武だけなんですか? | |
| 「けごん」「きぬ」ともに昭和初期から伝統がある観光列車である上に、ビジネス特急としての200系「りょうもう」があるからの。しかしなにより東武グループは鬼怒川や日光に莫大な投資をしていて、それらの観光地としての魅力を高めるために観光特急が未だ東武のフラッグシップとして君臨しているのじゃろう。 | |
| 莫大な投資って、例えば「ワール●スクエア」とか? | |
| そう、「ワール●スクエア」とか。 | |
| あれは登場した時から子供心に観光施設として微妙な気がしていましたが・・・。ましてや、今の鬼怒川温泉の衰退ときたら涙ものですし・・・。 | |
| だからこそじゃ。そこのところを噛み締め、滅んでいった豪華観光私鉄特急たちを忍びつつ、関東でこのような列車に乗れる喜びをぜひとも感じてもらいたいのじゃ。 | |
| そんなこと考えて列車に乗るのは我々だけじゃないですかね~。 | |
| 悲しいこと言うなよぅ。 |
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