「白銀(しろがね)」by sayaka kimura


おそれるものなどなにもなく あなたの進む水たまり

愛の愛や 胸の悪は 極まれり


わたしを捨てたその腕で あなたは今夜も猫を抱く

抜かれた牙や 燻る想いは やり場なく


歌声はかすれて 消えいりそうでも

切り裂くような断末魔だとしても

届くような耳もない から


いつか 行き場をなくして飛び降りるあなたを

微笑んでみているでしょう


なぜに その空は蒼くて あたたかい日差しも

悲鳴に変える 白銀い羽根


あなただけでいいのに


*****


汚れる領域も残りなく わたしの狂う片乳房

関する水や ただれる下肢は 濁る黒


薄れゆく意識を振り絞り あなたに宛てた言霊は

薄っぺらな善や 崩れ去る爆音に かき消され


歌声はかすれて 消え入りそうだとしても

瓦礫のなかで見えないとしても

誰かを救う腕ならない から


だけど 跡形のないあなたにひからびた月夜に

伝えるべきをなくすの


なぜに あの空は蒼くて あたたかい日差しが

悲鳴に変わる 白銀い羽根


あなただけでいいのに

わたしだけでいいのに

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(C)sayaka kimura 2002 shirogane



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