TOM WAITS




ウェイツ



私にとって、大人の音楽と言えばやはりトム・ウェイツ。
1993年以来ごぶさただったオリジナルアルバム(写真上)が、昨年やっと発売されました。
ここ数作のオルタナティブ臭さが薄れて、昔からのファンにはちょっと嬉しい一枚です。


DISCOGRAPHY

Closing Time 1973 Asylum 衝撃のデビュー作。シンガーソングライター・ブームの中で発表されたせいか、アコースティックサウンド中心の、フォーキーなつくり。しかし、トム・ウェイツ独特のうさん臭さはすでに感じられる。ちなみにこのアルバムに収録されているOL'55は、その後あのイーグルスがカヴァーしている。
The Heart of Saturday Night 1974 Asylum ジャズとブルースを基本にしたサウンド。歌詞にも「夜」「酒」「場末のバー」「欲求不満を抱えた男」などトム・ウェイツならではの世界が展開している。
Nighthawks at the Diner 1975 Asylum ジャズバンドをバックにしたライブアルバム。商業的には大失敗だったらしい。
Small Change 1976 Asylum Asylumレコード時代の最高傑作との呼び声も高い。スタジオ録音ながら、ほぼ一発録りでレコーディングされたせいか、緊張感にあふれた作品である。
Foreign Affairs 1977 Asylum まるでハードボイルド小説のようなアルバム。前作の延長線上にありながら、完成度はさらに高い。名作Burma Shaveを収録。
Blue Valentine 1978 Asylum 前作までのピアノ中心のサウンドから、ギター中心のよりハードな方向へと進んだ。
Heartattack and Vine 1980 Asylum Asylumでの最後の作品。この後、音楽的方向性の違いによりIslandレコードへ移籍することとなる。ブルース・スプリングスティーンで有名なJersey Girlは、このアルバムに収録されたトムのオリジナル曲。
Sordfishtronbones 1983 Island いわゆるオルタネイティブへのアプローチを強めた作品。トム・ウェイツのビデオクリップとして初めて見ることになったIn the Neighborhoodは、なかなか無気味でした。Soldier's Thingsは後にポール・ヤングがカヴァー。
Rain Dogs 1985 Island キース・リチャーズ、ジョン・ルーリー、マーク・リボー、G・E・スミスなど多彩なゲストと多様な楽曲を詰め込んだ、なかなかお得な一枚。名曲Downtown Trainはロッド・スチュワートでヒットした。
Franks Wild Years 1987 Island 後に同名のミュージカルへとつながる、フランクという名の男を主人公にしたトータルアルバム。ロス・ロボスのアコーディオン奏者デビッド・イルダルゴも参加している。
Big Time 1988 Island 同名のミュージカル映画のサントラでもある(ただし一部の曲は別バージョン)。映画ではトムが1人4役?を演じている。中でも、いかにもインチキ臭いエンターテナー役がはまっている。
Night on Earth 1992 Island ジム・ジャームッシュ監督の映画「ナイト・オン・ザ・プラネット(邦題)」のサントラ。映画同様いかにもエキセントリックな作品に仕上がっている。タクシードライバーを主人公にした4話オムニバスの映画の方では、イタリアの名優・名監督ロベルト・ベニーニも活躍している。
Bone Machine 1992 Island 個人的にはあまり好きな作品ではありませんが、実験的精神にあふれたものではある。
The Black Rider 1993 Island こちらもサントラ版。ただし映画ではなく、舞台のものではあるが。基本的には前作の延長線上にありながら、今や忘れ去られて顧みるものもいないような奇怪な楽器を多用することで、さらに混迷の度をましているかのようである。
Mule Variations 1999 Epic 最新作。Islandレコード時代の3部作に通じるようなフィーリングがある。ソングライター&パフォーマーとしてのトムが本領を発揮している。

その他の作品としては、デビュー前のデモテープをまとめたEarly YearsEarly Years vol.2。フランシス・フォード・コッポラ監督作のサントラOne from the Heart。Asylumレコード時代のベスト版Asylum Yearsなどがある。特にクリスタル・ゲイルとの「美女と野獣」的デュエットが収められたOne from the Heartはアカデミー賞にノミネートされたほどの佳作である。


FILMOGRAPHY

Paradise Alley 1978 シルベスター・スタローン 映画デビュー作。シルベスター・スタローンの初監督作品でもある。
The Outsiders 1983 フランシス・コッポラ マット・ディロン、ダイアン・レイン、トム・クルーズ、エミリオ・エステベスほかの出演者の多くが、のちにビッグになったことで知られる青春もの。コッポラも前2作で抱えてしまった借金の利息ぐらいは、この映画のヒットで返せるようになったらしい。
Rumble Fish 1983 フランシス・コッポラ The Outsidersと同じ監督・原作者・主演(マット・ディロン、ダイアン・レイン)で作られた柳の下の2匹目のドジョウ。若き日のミッキー・ローク、ニコラス・ケイジも出演。
Down by Law 1986 ジム・ジャームッシュ DJのトム・ウェイツ、ポン引きのジョン・ルーリー、イタリア人旅行者で殺人犯のロベルト・ベニーニ3人による脱走劇。奇妙な友情が面白い。
Ironweed 1987 ヘクトール・バベンコ ジャック・ニコルソンとメリル・ストリーブ。オスカー俳優2人を相手に、1930年時代のホーボー(浮浪者)役を熱演。
Mystery Train 1989 ジム・ジャームッシュ メンフィスを舞台にした3話オムニバス。永瀬正俊や工藤夕貴も好演。
Bearskin 1990 アン&エドゥアルド・ゲデス イギリス=ポルトガル合作映画。初めてトムの名前がタイトルロールの一番上に出た。イアン・デューリーもちょい役で出演。
Night on Earth 1991 ジム・ジャームッシュ 個人的には、ヘルシンキを舞台にした第5話が一番好きです。
Bram Stoker's Dracula 1992 フランシス・コッポラ この映画の狂人役もまさにトムのはまり役。
Short Cuts 1993 ロバート・アルトマン 老け役をやっているせいもあるとは思うのだが、この作品を見るとトムも年をとったものだとつくづく感じられる。今年でまだ49才のはずなのだが・・・。

その他の作品としては、ホラーのWolfen。コッポラのThe Cotton Club。ジョー・ストラマーも出演しているCandy Mountain。キース・キャラディン主演による現代の西部劇Cold Feet。ジャック・ニコルソン主演。名作Chinatownの続編The Two Jakesなどがある。ミュージシャントム・ウェイツは、個性派俳優としてもなかなかの実力を持っているのである。


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