青い春






僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しい時だなんて誰にもいわせない。

( ポール・ニザン 『アデン・アラビア』 )






僕は「青春」というキーワードにすごく弱い。

僕がすごく好きになる本や音楽、映画、漫画には、なんらかの「青春」のフレーバーが漂っている。


僕は、地下鉄に毒ガスが撒かれた年に大学に入学し、世界が滅亡するはずの年に卒業した。


変容と革命の60年代。サブカルチャーの70年代。バブルの80年代。

それらのどの時代とも違う、「世紀末の90年代」の半ばに、二十歳の僕は立っていた。

決して「美しい時」とはいえないが、「美しい時でなかった」ともいえない時代・・・・・・



そんなことを考えながら、青春をテーマに本や音楽を集めてみた。


二十歳のときのあなたはどこにいますか?






     「 69  sixty nine 」   村上龍


青春小説の大傑作。数ある村上龍の著作のなかで、僕はこの小説が一番好きだ。

青春のまばゆいばかりの輝きと、すこしの不安と哀しみ。

青春というものを「コトバ」にしたら、この小説になったのだろう。

僕はこの小説を高3のときに読んだが、「中学生のときによんでいたらなあ」と後悔している。




「青い春」    松本大洋


松本大洋の漫画の短編集。

いわゆる「不良」たちの青春が描かれているが、僕はここに描かれている物語から、

「青春って結局なにもないんだよ。でもそれが青春なんだよ」というメッセージを受け取った。

物語のなかにでてくる、「リボルバー」のように青春とはいつも 「不発」 なのかもしれない。




「LIFE」    小沢健二


オザケンの大ヒットアルバム。前作「犬は吠えるがキャラバンは進む」はひたすら暗く、

ひねくれていたが、ひねくれて、ひねくれて、ひとまわりして元に戻ったのがこの「LIFE」である。

青春の、恥ずかしいくらい明るい部分だけを抽出して、エッセンスにした本作であるが、

「暗い部分」を執拗なまでに排除した姿勢により、かえって「暗い部分」を感じさせるという

裏読みをさせてしまう傑作である。




「FLOURISH」   SPIRAL LIFE


裏読みの必要なし。ただひたすら気持ちよく、大陽の下で

恋人や友達と走り回りたいという気分にさせてくれるアルバム。

3曲目「MAYBE TRUE」は、僕のなかでベスト5に入るくらいの大好きな曲である。

晴れた日に車を港の方に走らせながら聴くことを、おすすめする。




「恋する惑星」   監督・脚本 ウオン・カーウアイ


いろいろ感じることの多かった映画ではあるが、一番感じたことは、

「やっぱり、美男、美女は得なのかなあ」ということ。

不細工カップルが、セーヌ川のほとりで愛をささやきあっても「コメデイ」にしか見えないが、

美男、美女は、道に落ちているバナナで転んでもサマになる。

青春とは結局、美男、美女の為にあるのか?




「十九、二十」    原田宗典


青春小説を読んでいて感じることは、大きくわけて2種類だ。

ひとつは「僕にもこんなことがあったなあ」ということ。

もうひとつは「僕もこんなことができたら(できていたら)なあ」ということ。

この小説には、そんな僕の心をひっかける「フック」があちらこちらについていた。

酒。音楽。煙草。恋愛。思想。夢。

背伸びしていたあの頃が、恥ずかしくもあり、懐かしくもある。




「リバーズ・エッジ」   岡崎京子


この物語のなかに何度もでてくる「死体」

「緩やかに死んでいく」僕たちは、やがて死体になる。

だらだらと続く「腐っていく過程」よりも、

エンドマークでくくられた、ストップモーションの「死」のほうが美しいのだろうか。

「青春漫画」というよりも「哲学書」といえる一冊である。




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