ヰタ・セクスアリス
いままでたくさんの恋をしてきた
恋愛というものをほんの数十行の文章で説明することは不可能だ
しかし、吉行淳之介がその著書のなかで書いた以下の話は恋愛というものの本質を見事な
までについているようにおもえる
ある女が、毎週末にでかけるダンスパーテイーで、いつもみかける名前も知らない、
口をきいたこともない男性を好きになってしまった。
女はいつもこの男性に対していろいろな思いをめぐらせる
その男性はいつもダンスホールのテーブルの片隅に腰掛け、そこから立ち上がろうともせず、
いつも独りきりで酒をのんでいる。
女のこの男性に対する思いは日に日に増していくばかりだった。
そして、ある日女は偶然その男性と隣り合わせのテーブルに坐ることになった
ふたりはやがて、ぽつぽつと会話をはじめた。
そして女は男に止められるくらいシャンパンを飲んだ
ホールはだんだん人気がなくなっていく
そして、女はついに長かった恋の告白をしてしまう
男性は「あなたの気持ちには答えられません」という
女は「何故?」と
「本当にききたいのですね」と男性
「ええ」と女
「ではお教えしましょう」といいつつ男性は女に激しく接吻をする
「あなたは私を愛してくださるのですか」と男
「愛しています」と女
そういうと男性はゆっくりと椅子からたちあがった。
そのとき女性は初めて気がついた。
その男は立つと女性の肩まで届かない背丈だったのだ
女性はその男性の方を振り向かずにダンスホールから出て行く。
そして、外へでてからも駆けつづけた。
「こんなにも愛しているのに、あの人はふりむいてくれない」
「あの娘を幸せにできるのは自分しかいないのに」
「あいつは彼女をおもちゃにしている。僕は彼女のことをこんなに真剣にかんがえているのに、
なぜあの娘はあいつのところへいくんだ」
全部しかたのないことなのだ
恋愛というものは非常に脆弱な足場のうえになりたっている
1+1が必ず「2」になるのが数学だが、恋愛はその対極にあるといえる
恋愛が数学ならば、ダンスホールの女は立ち上がった男に
「それでも私はあなたを愛します」というだろうし、あなたの「こんなにも愛しているあの人」は
「おもちゃにしているあいつ」のところなんかにいかず、あなたのところへ来るだろう
でも、実際は違う
「だからこそ恋愛はおもしろい」というひとも多いだろうけど
僕には、とてもじゃないが面白がれない
恋愛は素晴らしいけど、割り切れないものだなあとおもう
NO LOVE IS NO LIFE
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