山崎まさよし・char・奥田民生 「三人の侍」 
02.10.12(土)  START20:00 END 22:30



奥田民生、Char、そして山崎まさよし

 

「三人の侍」と名付けられたライブがもうすぐ始まる…

 

私は今、北海道のライブ会場にいる。南国から来た私にとって、今日の札幌は思いのほか暖かい。どうやら昨日から、運良く晴天が続いているようだ

ライブ会場である「ゼップ」入り口は、多くの女性の黄色い声で盛り上がっている。

私の心臓がドキドキしているのは、飲めないビールを、無理に飲んだからと思っていたが、どうやらそれだけではないと感じていた。

今から始まろうとしている「凄い事」の想像がつかず、手足にしっかり力が入らないのでビールでも飲めば何とかなるだろうと思っていたが、今日はなんだか私自身、様子が変だ。


そう。私にとってこのライブは、生まれて始めてのライブ。山崎まさよしを生で見るのも初めて。そして北海道も初めて。何もかもが始めて…

会場内に入ると、ステージの左右に配置された大きなスピーカーから、古い時代劇の侍同士の会話がボソボソと流れていた。

天井からは120個ほどのスポットライトが静かにぶら下がっている。

椅子に座る。

会場から押し寄せる独特の雰囲気は、就職試験の面接のようだ。

ふと顔を上げると目の前の舞台には、「三人の侍」用にそれぞれ別々の椅子が用意されていた。

ステージ向かって右。「奥田民生」が座るだろう椅子は、学校の職員室で先生達が座っていた、あのグレーのコロ付きのやつ。

ウケ狙いなのかと思っていたがどうやらそうでもないらしい。しかもかなり座る位置が低い。(笑)

ステージ中央。「Char」のはごく普通の椅子?高さもちょうど良さそうだ。どうやらピアノの椅子らしい。

ステージ向かって左。「山崎まさよし」は?というと、これがまたちょっとお洒落なバーにでもありそうな、座る位置が少し高めのやつ。

それぞれが渋いっ!というより三人の侍達それぞれの個性が、椅子にそのまま出ているような気がした。

 

椅子の後ろには、大きな白い垂れ幕が3枚。その垂れ幕にはギターのヘッドをモチーフにした、真っ赤な「侍マーク?」がプリントされている。

我に返り、周りを見渡すと、かなり会場の中が煙でかすんできていた。

 

照明がフッと落ちて、ほんの一瞬、沈黙がおとずれた。

 

すごい拍手と歓声がいきなり私の背中を、「どかんっ!」と押した。つられて私も拍手!

前を見ると薄暗いステージ上には奥田民生が恥ずかしそうに例の椅子に、つこうとしていた。

片手にはなんと「カタナ」。頭には白いタオルをはちまきのように巻いている。そしてちょっと小難しそうな顔を見せた。

ストンと椅子に着席。ステージ右側のダウンライトがふわりと民生を照らす。

突然ギターが「どどどどっか〜〜ん!」(←なんと言っていいのか解らない)

とにかくすごい迫力だ。こんなに音がでかいとは思わなかった。

ステージの両側にある、ものすごい大きなスピーカーが、こっちに倒れてきそうだ。

 

奥田民生が歌いだした。

力強くて、がむしゃらで、ほんとに情熱的な歌声だ。

私は今まで、奥田民生というと、かなりほのぼの的で、のんびりチックなミュージシャンだと思っていたのだが、完全に勘違いだ。マイクが無くても会場の端まで歌声は聞こえるだろう、と想像できる。それほど大迫力だ!

 

何曲か歌っただろうか。民生はおもむろに机の上の缶ビールに手を伸ばす。「プシュ!」…「ゴクリ」。

アサヒのスーパードライを見て「超、乾燥ですな!」(←無理やり和訳)とつぶやくと、会場からどっと笑いが…

しかしステージに上がる前から、一杯引っ掛けてやってきたのは、バレバレだったので、これでもう2〜3杯目だろう。飲めば飲むほど奥田民生は加速が増してゆく。酔拳でも会得しているのだろうか?

ここで民生が左の裾へ手を伸ばし一人招き入れる。

 

なんと山崎まさよし様の登場〜〜♪O(≧▽≦)O

すっと左の裾から現れた時、私には全てがスローモーションで見えた。

一瞬声が出なくて、しかも周りの拍手が聞こえない。始めて見る「生まさよし」は薄い色のサングラスを掛け、紺色でワンポイントのTシャツ。いつものようにGパンで、茶色の靴。トレードマークの頭は相変わらずのボサボサヘア〜。

私はこんなにも感動のあまり、フリーズしてしまっているのに、まさよしさんは、なんでそんなにリラックスしているの!?(あたりまえか…)しかも手を伸ばせば届きそうなくらいで、こんなに近くで見れるなんて「夢」か「奇跡」に違いない!心臓が…o(;-_-;)oドキドキ.バクバク。

どうやら民生とまさよしさんのセッションが始まったようで、私は周りの皆さんに合わせて手拍子をしたような記憶はあるが、ほとんど覚えていない。あっという間に、まさよしさんはステージの外へ消えていった。「あぁ〜まさよしぃ様〜〜」

 

そして大御所。チャ−の登場。

町娘の格好をした女性を連れ、やや腰をかがめながら「や〜や〜どうもどうも」と言った感じで登場。やはり手には「刀」。頭には洒落たハットをかぶっている。一緒に登場した町娘「さくらちゃん」に火打石を「カンッ!カンッ!」と打ってもらっていた。大笑いの会場!

このライブは「侍」がコンセプトなのでこういった、細かい設定が面白い。

現に、今までの会話はすべてが時代劇風。「〜でござる」とか「拙者は〜」みたいな感じ。

ジョークの効いたライブは、どんどん観客を「侍ワールド」に引き込んで行く。

 

奥田民生とチャ−のセッションが始まった。

またもや凄い音の嵐。しかしチャ−のギターは民生を立てるように、やや控えめのようだ。

一曲終わり、チャ−と交代。今度はチャ−がメインの番だ。「奥田民生でした〜」みたいな感じで、チャ−が民生を見送った。会場からは盛大な拍手。私も奥田民生に「ナイス切り込み隊長!」「ブラボー!」と感謝の意を込めて、拍手。いや、ホントに冗談じゃなく凄かった。

 

少ししてチャ−がギターを静かに弾き始めた。しかし、それからが凄かった。正確には凄いというより、信じられない早弾き。本当に指がフレットを押さえているの??自動演奏ピアノのように正確にストリングを弾(はじ)いている。指の残像がずっと見えた。

ギター一本で演奏しているのに、ドラムもベースも一緒に聞こえるようだ。チャ−の心の中身が、ギターという楽器を通して全てに訴えかけていく。喜びや、悲しみが音の中に含まれている感じがして、信じられなかった。曲が物語のようだった。チャーは流れる時間に目を閉じて漂っていた。その時私は、ちょっと意識が遠のきそうになっていた。こんな感覚は初めてだった。最後「ジャン!」と弾き終わると、今日最高の拍手!拍手!すんごい拍手!背中からスポットを浴びたチャ−はまるで神様!ものすごく大きく見えた。

その後、一曲演奏。聞いた事がある、すごく暖かいけどちょっと悲しそうな歌(英語の曲)。これも会場がシーンとなるほどいい歌だった。

 

そのあと、チャーが今日のライブのために作ってきた曲。なんと曲名は「涙ぽろぽろ札幌」。

演歌風にこぶしを効かせて大熱唱。会場は大盛り上がり。大きな手拍子で会場は最高潮に…。

 

今度はチャ−が奥田民生を呼び込む。

民生はかなり酔っ払いモード。顔が赤い!(笑)「だははっ!」ってな感じで二人でセッション。

チャ−がギターで民生をあおる、あおる!苦笑いで民生は一生懸命!

セッション終了後、チャ−に叱られながら民生は退場。いやはや楽しかった。

 

そして、ついに!ついに!

まさよしさんが登場!

きた!きた!きた!きた!ついに来ました。うぉ〜〜〜。私は両手がグーに。

まさよしさんは、首にキラリと光るハーモニカをセット!ギターから音が出た。「じゃら〜ん」

始まった!と思いきや机の上のミネラルウォーターをちょっと飲むフェイントを…

o(><)o”くう〜!やってくれます。まさよしさん!会場もやや苦笑。

 

まずは「セロリ」という曲。これはスマップも歌ってる歌。でも本家本元はやっぱり違う。

曲の雰囲気が最高に楽しい。楽しすぎる!思わず一緒に歌っちゃう!あ〜幸せ!

「つまりは単純に君の事、好きなのさ~」って最後の歌詞で、あ〜生セロリって最高って思ってしまった。

ん?チャ−はずっと座ったまま…。まさよしさんが「チャー殿。さくら殿と待ち合わせではなかったでござるか?」と…。会場一同大笑い!

まさよしさんに見送られ、チャーは「じゃーねー」みたいな感じで消えていった。

 

次は「名前の無い鳥」という曲。いきなり始まった。山崎まさよしの顔がすっと変わった。

いつもCDで聞いているギターの音。勝手に想像していた空気。どれとも違う。

山崎まさよしが目の前でギターと一緒に歌っている。

聞いたことも無い、すごく深いギターの音も、くるおしいほどの「山崎まさよし」の声も、なにもかもが初めてだ。すこし悲しいこの曲は、気持ちが「ぎゅ〜」っとなって伴奏から思わず泣いてしまった。ビブラートのかかった、山崎まさよしの歌声がいろんな思い出や、今日までの事を思い出させた。

 

次はあのPassage」。私にとって、とても思い出深い曲だ。この曲は私が病気で入院していたときに、よく聞いていた曲。病室の窓から見えるいつも同じ風景を、この「Passage」を聞きながら眺めていたっけ...。

この曲を聴くと、すごく懐かしい匂いと言うか、遠い昔の記憶がセピア色で蘇ってくるような、そんな感じがする。

目の前でゆっくり流れるPassage」で会場は、す〜っと静まり返った。

誰もが、山崎まさよしの語りかける歌声に、酔いしれていたようだった。

 

そして「コイン」。

これもまた、感動で泣きそうだった。どうして山崎まさよしという男は、こんなにも感動できる歌を作れるのだろう。目を閉じて聞くと、まるで自分が曲の中の主人公と同化してしまうような、錯覚を起こす。

この歌の中に「沈んだコインは誰の願いだろう。気付いたら君の名前を呼んでいる」という歌詞がある。誰もが愛する事のために、何かに願いを託す。孤独の中でしか見ることの出来ない自分自身が、本当に必要としているものは何なのか…?

3分半ほどの短い曲に、すごく大切な事がたくさん込められていて、何度聞いても感動する。

今日の「コイン」は本当に素晴らしすぎて、言葉が見つからなかった。

歌っている途中、山崎まさよしは時折、サングラス越しに遠くを見つめながら何かを思い出しているようでもあった。

 

次は「根無し草ラプソディー」。

どうやら私は、「みんな元気かーい!」「イエ~イ!!」とノリノリだったらしいが、なぜか記憶が全く無い!

申し訳ないでござる。あれっ?

 

ここで、またまたチャーが登場。

興奮したのか、私の五列?ほど後ろのお兄さんが「たけなかっ〜〜!」と大声でいきなり叫ぶと「おぉうっ!」と返事をするチャー。そのやり取りを見て、まさよしさんが刀片手に立ち上がり「無礼なっ!叩っき切る!」と言ったもんだから会場はまたまた大爆笑!!

 

そして二人がこの曲をセッションするなんて信じられない!曲はなんと「水のない水槽」。

ゆらゆら揺れる感じの、不思議なこの曲に、チャーの沁み込むようなギターが合わさって、ますます漂ってしまう私。会場すべての人が、二人が作った不思議な空間に、すーっと引き込まれていくような気がした。またもやここで、私は意識が遠のきそうになった。脳があまりの癒しに、休もうとしているのか?うお〜!しっかりしなければ!

 

例によって交代で、奥田民生登場!

歌は「アレルギーの特効薬」というノリノリの曲。始まるや否や、手を上にあげ会場一斉に手拍子の嵐!一気に意識がはっきりした。上目ずかいでがむしゃらにギターをかき鳴らす、山崎まさよし。首をたてに振る奥田民生。しびれるぐらいかっこいい!ハーモニカの音がガンガン響く。自然にこぶしが上に上がる私。いやはや最高に興奮した。

 

ここでライブは終了。二人は会場の大歓声と、割れんばかりの拍手を背にステージを後にする。

もちろんこれで終わりのはずが無い!会場はアンコールの手拍子がずっと止まない。

手の感覚がなくなるほど、手拍子を続けた。

 

しばらくして…

やっぱり出てきた!三人揃ってきました!きました!「お願いだからもう少し〜!」と祈る私。

三人の侍が着席すると、「うおおおおお〜!」と感謝感激、雨アラレ。

興奮の渦の中、始まったのはザ・ビートルズの「Come Together」

嗚呼、なんて幸せ。ビートルズが聴けるとは思ってもいなかった。

 

そしてラスト。イントロでまさかと思っていたら、なんと「上を向いて歩こう」だ。三人のコーラスが綺麗にハモッて、ほんとにかっこよく演奏してくれた。最後の最後は「一人ぼっちの夜〜」のところを「三人の侍の夜〜三人の侍の夜〜」と替え歌。そして、だんだんとギターを弾くのをやめ、三人とも立ち上がり、マイクから徐々に声が拾えなくなるまで小さくフェードアウトしながら、足並みを揃えステージから消えていった。

 

 

会場内の照明がフワッとついた。

これで本当に終わりなんだと…

夢のような時間はあっという間に過ぎてしまったのか…

 

アナウンスがライブの終了を告げていた。

係員が「出口はむこうだ」と指さしている。

 

しばらく椅子から立ち上がれない…

そうだ…

さっきまで山崎まさよしが弾いていたギターを見ておこう。

さっきまで山崎まさよしが吹いていたハーモニカを見ておこう。

 

そう思ってゆっくり、ゆっくりステージに近づいた。

 

私の横をいろんな人が、通りすぎていった…

 

P,S 

これは私が、生まれて初めて見たライブ。「MIX2002 三人の侍」です。

本当に一生忘れられない最高のライブでした。素晴らしかったです。

私の為に、こんなに素晴らしいライブを見せてくださった、管理人様と、ご協力や激励をくださった全ての方に、深く感謝いたします。ありがとうございました。



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