Thank You
1995年発表。セルフカヴァー1曲を含む、14曲(日本盤)すべてがカヴァーという、思い
切ったアルバム。ジョン、ニック、ウォーレン、サイモンの4人がそれぞれお気に入りの曲を
持ちよったというだけあって、思い入れが伝わる。デビッド・ボウイ、ドアーズ、ルー・リード、
ボブ・ディラン、エルヴィス・コステロなど、幅広い楽曲がデュラン・ヴァージョンで聴ける。
―― カヴァーアルバムのアイディアについて
ジョン・テイラー
「 僕らに音楽作りのインスピレーションを与えてくれたアーティストたちに賛辞を贈ると
.ともに、慣れ親しんだ歌に新しいエネルギーを加えたかった。」「 “Thank You” を作ったことは、自分たちを見つめ直し、何がやりたいのかはっきり
..させるいいきっかけになった。それは常に僕らの背中を押すんだ。」
ニック・ローズ
「 カヴァーアルバムの構想はバンドを始めた頃からあったんだ。デビッド・ボウイの
.“Pin Ups” 、ブライアン・フェリーの“These Foolish Things” 、僕らがまだ子どもだった
.. 1970年代初期のカヴァーアルバムが大好きで、本当にかっこよかったからね。
.. カヴァーというのは、そのアーティストがどこからインスピレーションを得たとか、
.. どんな影響を受けたとか分かるし、同時に独自の味付けがされているから、
.. そのアーティストのオリジナル曲のようにとらえることもできるんだ。」「 “The Wedding Album” が完成した後、楽しみでいくつかカヴァー曲を作った。
.. そのうちのひとつが “Femme Fatale” で、“The Wedding Album” がまだプレス前
.. だったんで収録した。その後ツアーに出てからもカヴァーを作りつづけた。
.. 当初半年の予定だったツアーが結局1年半かかり、その間あちこち(LA、NY、
.. ミネアポリス、ロンドンなど)のスタジオで収録したカヴァーをストックしていったら
.. アルバムの半分以上が出来上がった。そして最後はフランスで仕上げた。」
―― 曲選びについて
ニック・ローズ
「 例えばビートルズばかり、あるいはストーンズばかり集めるとか、誰もが知っている
.. 曲を選んでファンに懐かしんでもらう、というやり方もあるんだけど、僕らの意図とは
.. 違っていた。僕らはどれくらいオリジナル曲が好きで、どれほど自分たちにとって
.. 重要か、ということにこだわった。」「 重要な基準は2つあった。ひとつは、オリジナルに近いアレンジかどうかに関わらず、
.. 何か新しい味付けができるか、ということ。その曲を説得力のあるものにできるのか、
.. 1990年代のデュランデュランヴァージョンに仕上げることができるのか。僕らのファンを
.. その曲に引き込むことができるのか。そして二つ目は、サイモンが歌いこなせると
.. いうこと。音域の問題もあるし、ラップやボブ・ディランが大丈夫なのか。
.・・・どうこなすか考えるのはたいへんな作業で、ボツにした曲もたくさんあるよ。」「 本当に僕らが新しい光を射すことができたと思う曲もあるよ。例えば“White Lines”
.. は、オリジナルは全体がエレクトロニック・サウンドなんだけど、僕らは正真正銘の
.. エレクトリック・ヴァージョンを作ろうということを真っ先に決めて、ギター・リフでラインを
.. 作った。オリジナルではベースでやってるんだ。」
――バンド脱退後、8年ぶりに参加したロジャー・テイラーについて
ニック・ローズ
「 脱退してからも、アルバムを作るときはいつも、ロジャーに参加しないか、と声を
.. かけてきたけど、「うん」と言わなかった。今回は、本当にばったり彼に会ったんで、
.. 「これからパリへ行って来週には仕上げるけど、一緒に来て2曲やらないか?
.. すごくいい曲を残してるんだ」と言ったんだ。それでロジャーが参加したのが
. “Perfect Day” 、“Watching The Detectives” 。彼が来る、って言ったのは
.. 驚きだったよ。ロジャーがスタジオに戻るなんて、嬉しかったな。練習は続けてた
.. そうで、実際、彼の演奏は素晴らしかった。ロジャーは創造的なドラマーで、
.この2曲に関して僕らが持っていた色んなアイディアを、よくこなしてくれたよ。」
――曲について
サイモン・ル・ボン
「 “911 Is A Joke” をやるのには、かなり試行錯誤したよ。僕らみたいなホワイトの
.. 中堅バンドがブラックの抗議的な歌をどういうふうにできるのか。例えばハーレムの
.. ような地区では、“911”(日本では119番)をダイアルしても、到着するのは君が
.. とっくに“黒パン”になった後。とんでもないよ。ブラックだからという理由で、この
.. オリジナル曲を聴こうとしない人も大勢いる。そういう人たちこそ本当は聴かなくちゃ
.. いけないんだ。僕らはその橋渡しをしたんだ。僕らのヴァージョンがきっかけで、
.. パブリック・エナミーを聴くようになった人も多いよ。やった甲斐があるよ。」
ニック・ローズ
「 “Perfect Day” は、1985年にアーケイディアのプロジェクトをやったときから、
.. 演りたいね、ってサイモンと話してたんだ。本当に美しい曲なんだ。ルー・リードと
.. いえば、誰もが「ワイルドサイドを歩け」(“Walk On The Wild Side” )を思い浮かべる
.. だろうけど、“Perfect Day” がそれほど知られていないなんて、僕にとっては悲劇
.. だった。 こんな美しい曲をみんなに知ってもらいたいという気持ちも、カヴァーした
.. 動機のひとつ。」「 ルー・リードは、僕らの“Perfect Day” が彼の曲の色んなカヴァーの中でいちばん
.. いい、って言ってくれた。ボブ・ディランは、デュラン・ヴァージョンの“Lay Lady Lay”
.. の方がオリジナルに “1マイル差” で勝っている、と言ってくれた。」
Interview: Thank you Nick (CLIVE) 1995.5.22“THANKS FROM DURAN DURAN”
Larry Flick, Billboard 1995.4.3Music365 / Internet Chat Transcript
Online Interview with Simon Le Bon 1999.12.7