11日〜20日


-11日-
アタマ痛い。
起きたくない。
こんなところで幾ら五月蝿いって言っても、どうにもならない。
だからって、誰かに言ってもどうにもならない。

「待ってて下さいね」
「もう少しの辛抱ですよ」
「楽しみは後にとっておいた方がいいですからね」

そんな言葉ばかり、繰り返し繰り返し。

楽しみなんていらない。

今の僕にとっての楽しみなんて何もない。
ある訳がないじゃないか

あの音を止めてよっ!!!
止めろよっ!!!!!!!!!

トメロ



-14日-
日記を見ると
あれから二日しかたってないや。

何をしようとしても、頭の中でず〜っとあの音が響いていた。
この日記が書けなかった二日間、僕はず〜っと
音と戦っていた

でも気がつくと、頭の中全部あの音でいっぱいで
気がつくと涎がいっぱい出てたような気がするなァ

自分が何をしてたかなんて、あんまり憶えてないや。


音はもう止んだみたい。
今日は凄く気分がいい。

たっぷり寝たい。




-15日-
本当に音はあれからしなくなった。
今日は目覚めが凄くいい。
なんとなく鼻に涼しく香ってくる匂いで、自然と目が覚めた。
こういう感じで目が覚めるのは、凄く久し振りなような気がする。

そうそう、僕が凄く楽しみにしてた薔薇のつぼみ。
とっくに花開いちゃって、もう花びらが落ちちゃってた。
何か無惨な感じ。
寂しい・・・・・
あの音の所為で、開花も見れなかった。

もう少しだけでいいから、早く音がやんでくれればよかった。
でも何だか今の僕は、薔薇が一番綺麗なとこを見れなかったという怒りは
あんまりない。
どっちかって言うと、音がやんだ事が嬉しい。
そして、ゆっくり眠れたっていう安心感みたいな感じかな。

今日は天気もいいし、また新しい薔薇を切ってこようと思う。
いつもの僕のはじまり。
これでいい


薔薇を切って来た。
綺麗
いい匂い

まだつぼみなのに、こんなにいい匂いがする。
開いたらもっといい匂いなんだろうな



-16日-
今日は面白い事を聞いた。

新しいメイドが来るのだ
久し振りに僕専用のメイドを親父が雇ったらしい。
最近全然そういうことしなかったのに、どういう風の吹き回しかな?
またボロボロにしちゃってもいいって事な訳?

何はともあれ、今日から僕に玩具が出来ました。
嬉しいな。
何して遊ぼう、僕の玩具。

明日が楽しみだ



-17日-
朝早く目が覚めた。
だって今日は僕の玩具が来る日なんだよねっ

どんなメスかな?
どんな弄り方が好きかな?
アッハハハハハハハハハハハハ
僕が好きなようにしていいんだよね
いやいや、楽しみだよ、本当にね。
日記はまた後で書く事にする。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メイドは今傍らにいる。
僕の部屋の掃除をおぼつかない手でやっている。

珍しいタイプのメイドに僕は少なからず、動揺してしまった。
仕事振りは何をどう見たって、今までのヤツよりは数段劣っている。
そんなコイツが雇われた理由なんて、絶対一つしかないと思う。

親父に囲われてんだ。

ま、それはコイツを見れば一目瞭然だし、親父の気持ちもわからなくない。

目はパッチリした大きな漆黒の瞳
鼻筋はスーッと通って
唇は赤くしっとり、肉付きがいい
長い髪の毛はつややかで、サラサラと気持ちがよさそうだった。
年は僕と同じくらいかな

おっさん達には、飛びつきたいくらいの美少女っていう感じだよね。
親父もまだ若いなァと思うよ

でもそんなヤツをどうして僕専用のメイドにすんのかがわかんないけどね。
僕が今までメイドをどういう風に扱って来たのか、知っているくせにね

親父が大事にしていれば、している程、僕の楽しみも増えるってもんだけどさ

楽しみ楽しみだね〜




-18日-
アツシ。
アイツの名前はアツシ。




-19日-
今日の目覚めはあんまりいいものじゃなかった。
アツシが寝ている僕の部屋に入ってきて、やらかしたのだ。
僕の薔薇、床に叩き付けられた。

割れた花瓶の下敷きになって、蕾みは砕けてしまった。

まるで何もしらなかった僕、飛び起きて落ちた花瓶の破片を見たよ。
でも不思議と怒りはあまりなかったんだけどね。
どっちかと言うと、何か哀しくなったかな。

アツシが僕にこう言った。
「薔薇を壊してしまったので、取りに行ってきます」って。
その前に謝れよ。
僕はその事の方が頭に来たから、シカトしてやった。
アツシはトタトタ歩きながら僕の部屋を出て行こうとたから、僕は急いで呼び止めた。
アツシは不思議そうな顔して、僕の方を身ながらただ立ち尽くしていた。
「謝れ」
それでもアツシは困った顔をしながら、ボケっと立ったままだった。
謝る事すら出来ないのか?
どういう教育うけてんだか

僕はベッドに座ったまま、アツシの事を睨んでいた。
アツシはずっと困った貸す緒をしたまま、立ち尽くしているだけだった。
益々頭に来た僕は、ベッドの横に置いてあった松葉づえをアツシに向かって投げ付けた。
松葉づえは鈍い音と共に、アツシの腹辺りにぶつかった。
悲痛の表情でアツシはその場にしゃがみこんだ。
僕はそれでも腹の虫がおさまらず、水差しをアツシになげつけた。

しゃがんだアツシの頭に、水差しはぶつかった。
割れる事すらなかったが、「ううう」というアツシの声を聞く限り、かなりの
痛さがあったモノだと思う。
でも謝らないアツシがいけないのだ。
僕は薔薇の為にやっているんだから、僕は全然悪くない。
誰だって、僕が悪いなんて言う筈ない。
僕は悪くない。
アツシの頭部から血が流れていても、僕は悪く無い。

「床が汚れたから、ちゃんとふけよ」

頭から水と血をたらしながら、アツシの顔が僕の方を向いた。
僕に睨みできかせるつもりなのか、一言言うつもりなのか?
負けじと僕もじっとアツシを見た。
でもアツシは・・・・・

ニコリとひとつ笑みを置いて「雑巾を持ってきます」と部屋を後にした。

それから数分してもアツシは僕の部屋にはこなかった。
途中でぶっ倒れたんだと思う
僕の部屋を出てからすぐ、外の方が騒がしかったから、きっと倒れたんだろ。
ま、死なない程度にぶつけたからほっといても大丈夫だと思うんだけどね。

どうでもいいけど、誰か僕の部屋の床フキに来いよな。



-20日-
今日は朝から雨。
雨だと足が痛むから、ヤダな。
雨自体は嫌いじゃないんだけど、この痛みさえなければイイノニなァ。

アツシはどうしたかなァ〜

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