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IOWA/SLIPKNOT
アルバムたった一枚でヘヴィミュージック界の一番人気になってしまった感のある覆面軍団の2nd。
いきなり炸裂するブラストビートには正直驚いたが、デス/ブラックの要素も含めて様々な音楽からの影響の
ゴッタ煮的音楽性は前作よりも更に増しており、文字通り“ミクスチャー“なアルバム。
キャッチ−なメロディ全開の「Wait and Bleed」式のラジオ向きチューンこそないものの、ヴォーカルパートの
歌メロはしっかり“歌って“いるし、何よりけたたましいリズムの中にも何千といるただうるさいだけのへヴィロッカー
達とは明らかに異なる緻密さと巧さが存在し、そうした狡猾な面と、粗野で衝動的な性質との微妙な同居こそが、
このバンドの凄さの肝であると思う。
とはいえ、このハイテンションさとアルバムの長さゆえに、通して聴くと食傷気味になってしまう、というのも正直な
ところであり、個人的にはもうちょっとコンパクト(40〜50分くらい)に絞った方がよかったんじゃないかと思うが、
だったらどの曲を削ったらよかったのかと言われると、確かに困る。
すでに日本でもものすごいヒットとなっているが、この手の音楽の中でも相当へヴィな部類に入るこのアルバムを、
そんなにたくさんの人が金出して買うなんて、クールな国だ。世間がなんと言おうと、これってメタルだし。

感受性応答セヨ/eastern youth
日本が世界に誇れる“叫ぶ詩人”吉野寿(vo.,g.)の織り成す叙情的なメロディ、日本語にこだわりぬいた
内面をえぐりだすような歌詞、いつ血管がブチ切れてもおかしくない熱い歌唱が一体となった、「海に向かって
(夕日のが合ってるか?)バカヤロー」的なeastern youth節は相変わらず冴え渡っている。
個人的にはジャニスやカート=コバーン並にエモ−ショナルだと思う吉野であり、それが日本語詞とあいまって、
説得力もカッコ良さも日本のロックシーンの中で特別な存在だと言い切れる。
パンク/ハードコアと一括りにされていた初期と比較すると、アレンジの多彩さや音の整合感がずいぶん増して、
聴き易くなった分、鋭さや勢いというか、激しさという点では若干弱くなったのかもしれない(歳?)。
今作では好きじゃない曲は一つもないし、C、D、E、の流れはたまらなく好きだ。
歌詞ではGが、シンプルだけど、一番好きかな。(9/20)

GOD HATES US ALL/SLAYER
METALLICAは変わった。MEGADETHも変わった。
かつての”スラッシュの英雄”は順応か、淘汰かを選ばざるを得ない。90年代というのはそういう時代だった。
順応に成功した一握りの勝者は、新たな大衆の支持と引き換えに、”裏切り者”呼ばわりもされた。
SLAYERは違った。彼らは英雄であり続けながら生き抜いた、より邪悪で、凶悪に成長しながら・・・
彼らがなぜ、90年代を生き抜くことができたか、それは21世紀最初のアルバムである本作に込められている。
虚偽も、媚びも、小細工も、そこにはない。あるのは狂おしいほどの破壊願望だけだ。
あえて歌わず、叫ぶようなVo.、シンプルになったものの一聴してそれとわかるリフ、轟音Dr.。
その攻撃的な世界は、氷河期に逆ギレして生き抜いた肉食恐竜がすべてを食い散らかすある意味残虐で、
またある意味で痛快な光景さながらである。
初期のファンに言わせれば、スピードは確かにダウン(いくらかね)してるし、リフは前述のようにシンプルなので
極右のSLAYER信者は否定するかもしれない。グルーブ感も同様であろう。
そんな奴はどうでもいい。素直にカッコイイ。楽曲の完成度という点では、過去最高クラスだと思う。
捨て曲なし、収録時間も短いのでこれだけ高密度なのにあっさり聴けるし、ジャンキーみたいに何度もリピート
してしまう。ってことは紛れもなく名盤である。
へヴィで、ラウドな音楽が好きな人なら一度は聴いておくべき一枚だ。
SLAYERPANTERAも聴かないで、へヴィネスとかラウドネスを語る若者もいるだろうが、それは非常に
不幸な出来事だと私は思う。

DELUXE/FIREBIRD
ブルーズベースの60〜70年代風ブリティッシュ・へヴィ・ロック・トリオの2nd。
大健闘、と言っても差し支えないだろう。実績あるミュージシャンが集まって、期待通りのプレイをしている、
なんてレベルをはるかに超えている。
生々しい、という表現が一番しっくり来るのだろうか、音の一つ一つをじかにぶつけられているような感覚に
鳥肌が立つ。すぐそばでアンプが鳴っているかのような迫力が、そこにはある。
Bill Steer(G.,Vo.)のギター・プレイは絶品で、へヴィでアグレッシブに弾いていても、そこではしっかりと
叙情的なメロディがつまびかれている。アドリブっぽいソロでも同様である。
リズム隊が生み出すグル−ヴもハンパではなく、そのタイトな演奏は聞き手に最後まで心地よい緊張感を
与えつづける。
唯一Billの歌に限ってはあまり誉められるものではないが、しかし何度も聴いてるうちに、味があるように思えて
来てしまうのは、自分がすでにこのバンドの世界に引きずりこまれて抜けられないってことなのだろうか。
ギターなしでハーモニカを吹き倒すI”Slow Blues”も強烈だ。

PSYCHO-NARCO/THE ALMIGHTY
活動を再開して二枚目。
シンプルなビート、独自のグルーヴィなリフ、耳なじみの良いメロディとそしてRicky Warwick(Vo.)
男気あふれる歌いっぷり。
彼らの魅力はいつも通り発揮されているが、最近はポップな雰囲気が加味されて、かつての勢い一辺倒の
頃と比べ、良くも悪くも聴きやすくなったように思える。
その辺の変化でオーソドックスなパンクやメロコア好きにもアピールし得るであろうが、逆に「血気盛んなアンチャン
の集まり」そのものだった彼らを知る人は、丸くなったのかな、と寂しい気持ちになるかも。
今まで聴いた事ない人でも楽しめると思うが、昔のファンはがっかりさせられることもあるだろう、強烈に耳も身体も
惹きつけられるような、かつての彼らの作品が持っていたパワーは薄れている。
速球派のピッチャーが、変化球主体にカラーを変えるようなことが、THE ALMIGHTYにもできるか?
再び真価を問われる時が来たのかもしれない。

NO NAME FACE/LIFEHOUSE
@”Hanging By A Moment”のヒットでいきなり売れまくっているデビュー作。
砂ぼこりと、その向こうの岩山しか見えない、カリフォルニア辺りのハイウェイで、動かなくなったポンコツの
オープンカーに蹴りをいれ、天を仰いだ後タバコを一服して、荷袋かついで歩き出す若者。
そんな状況が思い浮かぶような渋い楽曲のオンパレードだ。
まだメンバーは二十歳そこそこなのに、「男の哀愁」を恐ろしいほどに漂わせている。
キャッチーで、テンポが良くても、なぜか胸が締めつけられるような気持ちにさせる歌メロからは、
メイン=ソングライターであるJason Wade(Vo.,G.)の非凡な才能が窺がえる。
こういう音が流行るのはすごくうれしいが、願わくば彼らが大成功に酔って、その才能を鈍らせる、
なんて無残なことには絶対ならないで欲しい。

KUDU/KUDU
フューチャー・ソウル・カルテットと呼ばれる4人組の1st。
Dr.B.の二人はあのバークリー出身とのことで、その経歴に劣らない強力なプレイを披露している。
B.Silvia GodonVo.も兼任しているのだが、これがまたすごい。
声質は非常にクリアで、艶やかであり、”ソウルフル”というよりは、どこか冷たい雰囲気の奥で、
底知れぬ威厳のようなものを感じさせる。
Key.奏者二人が中心となって楽曲を作っているようだが、ソウル・R&B・ジャズ・テクノ等様々な要素が
美しいメロディで包まれたその一曲一曲は、クールさと暖かさ、激しさと繊細さ、機械的なのにどこか
人間臭い、不思議なKUDUワールドが形成されている。
やれソウルだ、R&Bだと騒いでいながら、こんなすごい奴らがあまり知られていないようじゃ、やっぱり
ファッションで音楽聴いてる人がほとんどなんだと思わずにはいられない。

ACTUAL SIZE/MR.BIG
g.Paul GilbertからRichie Kotzenに替わった前作「GET OVER IT」はそのRichieのR&B好き
もあってかブルーズ・ロック色が強く、地味ではあったがバンドの底力を感じさせる会心のできだった。
今回はバンドのポップな面を前面に出した、爽快なアルバムで、A,BではRichieが前任者Paul
勝るとも劣らないポップセンスを発揮している。
またPat Torpey(dr.)の作曲面での貢献ぶりも特筆すべきものがあり、今回目立たない
Billy Sheehan(b.)のオデコは後退するばかりである。
Billyが演りたいようなブチ切れHRが収録されてないのは若干さびしいものの、これだけ良質な
アルバムが出来てしまった以上、その手の曲があったらあったで蛇足になるかもとすら思える。
後半だれるという意見もちらほら見かけるが僕はそうでもない。
K,Lなんかもよい曲だと思う。

GLOBAL A GO_GO/
JOE STRUMMER & THE MESCALEROS

ロック好きなら知らぬものはいないJoe Strummer(vo.)率いる”なんでもあり”的なジャンル
不特定バンドの2nd.
Joeが影響を受けたあらゆる音楽のスパイスを混ぜ合わせたような、タイトルどおりの、とびきり
globalな作品である。
Joeのヴォーカルは相変わらずヘタクソだが情感がこもりまくっていて非常に魅力的で、
サルサやレゲエ調の曲にもしっかりマッチしている。何よりカッコイイ。
LiveではTHE CLASHの曲を演奏する事も多いようだが、それも不要なのではと思えるほどに
完成度の高いアルバムだ。

TIMELESS DEPARTURE/SKYFIRE

スウェーデン出身のブラックメタルバンドのデビュー作。
key.奏者が二人(g.も兼任)という編成による、シンセを大々的に用いた、北欧バンドらしい
メランコリックなメロディに満ちたサウンドが売り。
デス・ブラックの持ち味である凶暴さ、激しさは他のバンドと比較するとだいぶ見劣りするが、
物悲しいメロディからは時折やりきれない怒りのような感情も想起され、新人ながらその
叙情性は抜きん出ている。
この手のバンドは音質が劣悪というイメージが僕の中では根強く残っていたが、最近は
そんな事もないようで、非常にクリアな音質であり、そこらへんもプラス査定。

THE ORACLE/RING OF FIRE

Mark Boals(vo.)ARTENSIONVitalij Kuprij(key.)を中心としたぷロジェクトの1st.
二人の経歴から誰しもが想像する通りの、期待を120%裏切らないネオ・クラシカルな作品。
メンバーの体格もわりとネオ・クラシカル色が濃い。
Markは相変わらず見事な歌唱を披露しているが、終始弾きたおすVitalijが完全に主役を
食っている感がある。
George Bellas(g.)ら他のメンバーも気合の入ったプレイを聴かせているが、キーボードを
際立たせるプロダクションのせいなのか、全体的に音に重みがないと言うか、ひゃかひゃかした
感じ(ごめんなさい。コトバでうまく説明できない)がメタル小僧としては少々不満ではあるが、
パーマネントなバンドとして、次作以降を作るなら、日本でのYngwieの立場を脅かすような
面白い存在になるかも。

DEMOLITION/JUDAS PRIEST
HM界の大御所の14th。Vo.”Ripper”Owensに替わった前作「JAGULATOR」に引き続き、
モダンでへヴィだが、Vo.G.共にメロディアスになった良作である。
彼らは新しいJ.PRIESTを目指すという姿勢を貫き、いつも新しい要素を取り入れ、自らの
伝統的な要素と融合させ、時代ごとの”らしさ”を見せてきたのだと思う。
そう言った意味合いから本作は良作ではあるが充分満足させる内容とは言えないと思う。
本作や前作が「PAINKILLER」程の支持を得ることができないのは、モダンへヴィネスがクソ
だからではなく、「PAINKILLER」がスラッシュの要素を完全に消化しきった結果生まれたのに
対し、「JAGULATOR」も「DEMOLITION」も試行錯誤の状態から抜け出してないのだと思う。
いずれにせよここまで来たら伝統的なHMはIRON MAIDENHALFORDに任せて、
彼らにはひたすら信念を貫いてもらいたい。
そしてなによりせめて2年に1度くらいは来日公演をしてもらいたい。マジで・・・

Shangri−LA DEE DA/STONE TEMPLE PILOTS
90年代の、いわゆるグランジ・オルタナティブの生き残りであるバンドの5th。
1曲目の重くて、太いサウンドに一瞬「ぉ?」と思うが、以降はどれでもシングルカットして使える
ぐらいの、抜群にポップな楽曲が満載である。
その楽曲も非常にメロディアスで、サウンドも骨太、1曲1曲がとても印象的である為、
ポップさゆえの淡白さとはかけ離れたアルバムに仕上がっている。
Vo.Scott Weilandのエモーショナルな歌唱に加え、バックの、LED ZEPPELINCREAM
などの古き良きブリティッシュHRを想起させるフレーズや音づくりも楽曲の魅力を引き出すのに
一役買っている。

SILENCE/SONATA ARCTICA
20世紀末に彗星の如く現れたメロディックパワーメタル界の若きホープの2nd。
これでもかと続くスピード・チューンの嵐,迷いの感じられないハイトーンヴォーカル,加えて
専任キーボード奏者の加入でアレンジに厚みも加わり,彼らが目指しているであろう世界の
完成に着実に近づいている。
あえて難癖をつければ,そのKey.にオリジナリティが感じられず,Vo.も勢いはいいがどこ
かのっぺりしていて表現力に乏しく,曲もメロディ展開が容易に読めてしまうなど、まだまだ
不満に感じる点も多いが,1時間を越えるのにスッキリと聴かせてしまうのは、このバンドが
力押しだけでないという証明ではないだろうか。
なにより次作以降が楽しみな存在である。

A FORLORN HOPE/BRAHMAN
Vo.
TOSHI-LOW
のキャラクターと,彼の書く詩的な歌詞から,多くの熱狂的な“信者“と、
それに反比例するかのように多数のアンチを持つ日本のハードコアバンドのフル・アルバム
としてはおよそ3年ぶりとなる新作。
彼らの特徴のひとつであったエスニックな雰囲気は多少減退しているが,何処か民謡を
思わせるようなメロディは健在である。
このバンドはG.のフレーズに簡単だけども独自のセンスが感じられるので気に入っているが,
本作はVo.の歌唱が雑に感じられるのと,低音が目立たないサウンド・プロダクションは違和感
以外に何も与えない。前作が良かっただけに残念。