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2002 vol.1

BYO SPLIT SERIES VOLUME V
NOFX / RANCID
BYO RECORDSのスプリットCDシリーズの第3弾。
キャッチーなメロディとスピード感が一体となった独自のポップさが人気のNOFXと、奇抜なファッションとトラディショナル・パンク所縁の勢いとサイコビリー的カッコ良さに溢れるサウンドでカリスマ的存在のRANCIDがお互いの楽曲をカヴァーし合うという両バンドのファンにはとってもおいしいこの企画は発売前からちょっとした話題になっていた。
それぞれが6曲ずつ収録されており、色違いでNOFXから始まるものとRANCIDから始まるのがあって、僕が買った緑はNOFXから始まる方。

NOFXによるRANCIDのカヴァーは、「LET'S GO」から3曲と個人的には嬉しい偏りを見せている。
基本的には原曲を忠実にしっかり再現しているが、2.Olympia WA ではNOFXらしいギターサウンドをイントロで聴かせるなど、心憎い演出も見せたり、何よりRANCID独特のグルーヴ感をうまく損なわずにNOFXお得意のドライヴィングなビートに持って行くなど、地味に力を見せ付けてくれる。
6.Radio でのマッタリ感も心地よい。
と、ここで終われば単なる良くできた企画盤で済んだのかもしれないが、この後のRANCIDによる痛快ロックンロールは強烈。どちらのバンドにも思い入れのない方は、僕と同じ緑盤を聴いて、この曲順ならではのインパクトを味わってもらいたい。

普通はカヴァーというと骨組みは原曲で、肉付けの部分で個性を見せるのがセオリーであると思っていたのだが、ここで聴けるのは骨の髄までRANCID、心の底からRANCID、ほとんどオリジナルみたいな雰囲気すら漂わせている。もちろん、原曲のイメージは皆無ではないのだが・・・
7.Maron Bros. のベースがうねりを上げるイントロに続く”Let's go!!”の雄叫び以降はRANCIDワールドに知らぬ間に引きずりこまれていく。歌メロの良さが光るNOFXナンバーがブチ切れたカッコ良さを加味されて新たな輝きに満ちている。
中でも圧倒的な存在感を放つのはMatt Freeman(b,vo)で、忙しいことこの上ないベース・ラインはそれすなわちRANCIDと言えるほどサウンドの核となっているのはオリジナルではなくカヴァーであるからこそ顕著に見受けられるし、彼がとる10.Don't Call Me White でのハイ・テンションなリード・ヴォーカルは強烈の一言。

おふざけかマジかなんて問題は聴いてみりゃ答えが出る。それが楽しめりゃそんなこたどうでもいい事だって。そんなCDです。 (3/14)


A NIGHT AT THE OPERA
BLIND GUARDIAN (2002)
もはやジャーマン・メタルの領域を越え、ドラマティックなヘヴィメタルの代表格ともいえるヴェテランのおよそ3年半ぶりとなる7th。ちなみにKai Hansenはゲスト参加していない。

凝ったアレンジと分厚いクワイア、良質のメロディたっぷりの楽曲は、一方でラフなリード・ヴォーカルと、ある意味極右的とも言えるゴリゴリのメタルを体現した演奏陣に表現される力強さも持ち合わせており、
それらの異なる要素が生み出すギリギリのアウフヘーベンこそBLIND GUARDIANサウンドの魅力であり、何か一つでも欠けてしまえばただのイモ臭いメタルなのかも知れないが、彼ら自身もそれをよくわかっているのだろう、練りに練られた楽曲の数々には迷いも妥協も見受けられない。

このアルバムの全てがBLIND GUARDIANの世界であり、彼らにしかできないものであると同時に、彼らにはこれしかできないのだと思う。故にどの曲もおおまかに言えば同じような曲であることは否めないし、一曲一曲が"濃い"ので食傷気味に感じるリスナーもいるだろう。
それでも僕に言わせれば、音がたくさん詰まって長い曲ではあるけれど、完璧なまでに纏まったアレンジとメロディの良さ、そして何より楽曲がもたらす気持ちの昂りに助けられて聴いてて辛いと感じる部分はほとんど皆無。

HELLOWEENの成功後、星の数ほど現れた独産バンドの歩兵たちの中で、「と」に成ってからも頑なに一歩ずつ前に進む事しかないこのバンドの、偉大なる不器用さ、その奥に垣間見える己を知り、己を楽しむ恍惚とした表情。彼らはあまりにも「メタル」過ぎるのかも知れない。  (3/14)


SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE
DREAM THEATER  (2002)
2枚組で、しかもDISC-2は40分超の一曲になっているというプログレなスタンスを感じさせるアルバム。
DISC-1の方も10分とかの曲ばかりで、露骨なとっつきにくさを醸し出しているが、実際聴いてみれば冗長だと感じることはあまりない、DREAM THEATERらしい巧い聴かせ方が発揮されている。
DISC-1 1.The Glass Prisonでは「いかにも」なパートの後突然訪れるへヴィな展開が僕好みで、ちょっとした期待をしてしまったが、以降の曲でも時折ダークでヘヴィなパートがあって、このバンドのそういうところに魅力を感じる者としては嬉しい感じ。
とはいってもその根底には歌メロはおろかインスト・パートに至るまで確固たるメロディが存在するからであって、演奏技術ばかりが賞賛されているがそんなレベルじゃないんだぞ、と言うのを知らしめる楽曲が並ぶ。唯一大曲への箸休め的なDISC-1 5.Disappearだけが僕には退屈なバラードにしか聴こえないのが残念ではあるが。

そしてDISC-2のSix Degrees Of Inner Turbulenceであるが、オーケストレーション部分がやけにショボい音なのに一瞬よぎる不安は取り越し苦労で済んで良かった。こちらではDISC-1よりもさらにメロディの比重がアップしていて、良い意味で大変キャッチーという印象だ。
ポップチューンのDISC-2 6.Solitary Shell は曲そのものも良いし、これまたキャッチーなソロ・パートの後再び主題で盛り上げ、感動的なフィナーレへと持って行く。

元来このバンドって凄くキャッチーで、そこがたくさんの人から愛される所以なのだと思うし、メタルとしてのへヴィネスとかラウドネスもしっかり判ってるしでホント大したバンドだと改めて認識した。
最初は正座こそしないものの、何となく肩肘張って聴いてしまったのであまりピンと来なかったけれど、普通に聴き直したら良いアルバムだった。
芸術でもあり、最高のエンタテイメントでもある。そんな感じ。  (3/6)

1919★ETERNAL
BLACK LABEL SOCIETY (2002)
我等が暴拳王こと Zakk Wylde による激烈へヴィ・ロック集団BLSの3rd。
『DEATHCORE WAR MACHINE ETERNAL』なるタイトルを予定していたが、例のテロや戦争の影響を考慮して改めたそうだが、元のタイトルから想像できる通りの音ではある。
根本的なサウンドはBLSのこれまでの作品と同じで、Zakk のチューニング下げまくりのEMG付きレスポールが奏でる重く太いリフと「生涯一ペンタ弾き」なリードを中心としたへヴィ・ロックではあるが、前作では全パートが一体となってプレスしてくるようなハードコア的なアプローチを用いていたのに対し、本作ではZakk のヴォーカルが大きくフィーチャーされている。ドラムス以外はほぼ全曲を通してZakk がプレイしているのも関係があるのかも知れないが。
そのZakk の歌であるが、味はあるものの達者と言うほどではないという域を超えてはいないがそれでも表現力(殊怒りなどの感情に関しては)は豊かであり、戦争や死などアルバムを通じてコンセプチュアルな歌詞を威勢良く吐き出している。この辺りはオジーと仕事をした成果なのかも。

3.Demise Of Sanity みたいなBLSの定番パターンや6.Battering Ram でのドラムスと絡んでの絶妙なアグレッションもいいけど、バラードなんかもいい雰囲気出てるしイカツイルックスとは裏腹に器用で多様的なミュージシャンZakk Wylde の真価が発揮されたアルバムと言えるのではないだろうか。
だからオジーの『DOWN TO EARTH』Zakk に曲書かせりゃ良かったのにさ。

ちなみに帯にある「ザック初のトータル・コンセプト・アルバムがこれだ!」とかいうのはどう考えてもウソだけれどアルバムはいいので気にしないでください。
 (2/28)


WEIGHT OF THE WORLD
HAREM SCAREM (2002)
RUBBERから再びHAREM SCAREMに名前を戻しての一発目となるアルバム。
前々から超名盤の2ndっぽくなるという評判があって期待していたのだがその期待ってのは「あの名盤の再現を!」みたいのではなくって、彼ららしいポップで泣けるよろしく哀愁HRがいっぱい詰まったものであれば上々という感じだったけど、あんまり期待するとかえって良い所聴き逃したりするから丁度良かったかもと聴き終わってから思った。
序盤は触れ込み通り『MOOD SWINGS』っぽいと言えばそれらしい曲調で、ギターも活躍していて躍動感もあり、バラードとインスト(このインストすげー好き)を挟んだ後のポップな(RUBBER的らしいがコンドームのアルバム持ってないのでよくわからない)楽曲も耳に良く馴染むし、アルバム通してあっという間に聴き終わってしまう。
2.Killing Me とかはいいな、と思えるんだけど多くの曲はサビまではすごくいいんだけどサビが狙ってると言うか意外性のない歌メロだなと感じることもある。悪いメロディと言う意味でもなくそれが完全に悪いとは言えないしそれが聴き易さに繋がってるとも言えるかも知れないけどどうも。
とはいえこの聴き易さは狙っててもそうそう出来るもんではないし、辺鄙な歌謡曲聴くくらいならこっちの方がずっと良い、なんてヒネた言い方してるけどやっぱりこのアルバム好きです。
個人的にはHAREM SCAREMには全曲シングル候補だけど名曲って言えるのはないかな、ってアルバムよりも売れ線狙いじゃない古臭いHRをやって欲しいし、きっとこっちの方がいいと思うんだけどな。
ひたすらポップな曲もすごい好きなんだけどジョーダンが野球やってたみたいな勿体無さを贅沢なファンとしては感じてしまう。
それにHRの方が売れるだろうし、日本では。BIG IN JAPANで何が悪い。
 (2/22)


HUGHES TURNER PROJECT
HUGHES TURNER PROJECT (2002)
Glenn Hughes(vo,b)とJoe Lynn Turner(vo)、「ふたりのビッグ・ショー」とも言える夢の共演が実現した強力プロジェクト。この2人のコラボというと嫌でも想起されてしまうDEEP PURPLEとRAINBOWの再現への期待はエッセンス的な部分で叶えられているが、そういうノスタルジックな感情抜きで聴いても充分魅力的なアルバムである。

有無を言わせぬ巧い両シンガーの歌声だけでも聴く価値はあるが、ソウル、ファンク、ブルーズとオールド・スタイルのHRの要素が昇華した優れた楽曲の数々はGlennの長いキャリアの中でも珠玉の完成度と言えるだろう。べーシストとしての働きももちろん素晴らしい。

メインのギタリストであるJJ Marshの他に、3人のゲスト・ギタリストが参加しており、Paul Gilbert2.You can’t stop Rock n’RollでMR.BIGの1st時代を彷彿させるプレイを、梶山 章はリッチー節炸裂HRの9.Ride the stormと彼のブルージーなテイストが如何なく発揮されている11.Against the wallの2曲に参加、John Sykesは彼の作品と言ってもいいくらいのバラード7.Heaven's missing an angelで存在感主張しまくりのギター&コーラスを聴かせており、それぞれが適材適所の見事な働きで貢献している。

なんだかんだ言って一番DEEP PURPLE&RAINBOWの香りを放っているのはVince Dicolaの弾く鍵盤だったりして、シンガーのご両人は伸び伸び楽しげに歌っている。

今のところ問題は2人の拠点の距離とGlennのファッションセンスぐらいで、1回限りのお祭りで終わらせてしまうにはあまりにも魅力的すぎるプロジェクトだ。 (2/7)


煌神羅刹
陰陽座 (2002)
晴れてメジャー・デビューを果たした、と言っても既に結構な人気を博する日本の妖怪へヴィ・メタル・バンドの3rd。着物にメイクというヴィジュアル系ルックスと黒猫(vo)の個人的な人気のせいで色モノ視は避けられないが、やってる音楽は極めてシンプルなHR/HMであり、タイトなリズム隊と流暢なツイン・リード、男女のツイン・ヴォーカルという特徴を活かした陰陽座サウンドはこの3rdで一つの完成形を見せている。

このバンドの一番の魅力はメロディの良さと怪しげなムードのまさに”陰陽”のコントラストであると思うのだが、それがリーダー瞬火(b,vo)を中心としたメンバーの優れたセンスによって築き上げられた独自のものであるというのは特筆すべきである。

絶品の歌唱力で多彩な歌声を披露する黒猫は相変わらず凄いが、それとの比較で前作まではショボさが際立ってしまっていた瞬火のヴォーカルの技術や表現力がここに来てかなりの勢いで向上しており、ヴォーカリストが二人いる強みを改めて提示している点にも目を向けたい。


ANGEL’S TEARS
GOLDEN FARM (2002)
スパニッシュ・メタルのニュー・カマーにして、メロディアス・ハード・メイニア期待の新星。
そのアメリカン・テイスト溢れるハード・ロック(産業ロックより)サウンドはスペインから連想される情熱のイメージよりも爽快感の方が強いものの、そこはやはり欧州のバンドだけあって、叙情的なメロディに充ち満ちており、スペイン男児らしくロック本来の魅力である骨太なカッコ良さもしっかり持っている。

メンバー個々の力量も相当なもので、耳に残って離れない上質のメロディを甘くそして情感たっぷりに歌い上げるToni Menguiano(vo)は声質もこのテの音楽に最適なシンガーである。
バンドの中心人物であるLoren(g)のソロやリードはやたらと弾きまくっているが、曲の雰囲気をブチ壊すようなものではなく、きちんと曲を盛り上げる素晴らしいギタリストだ。

好きな曲を挙げていくとキリがないが、イントロだけで白旗モノの3.Fire and iceを筆頭に、バラードもハード・チューンも叙情的なメロディでいっぱいの強力なアルバムだ。
「〜っぽい」という事を言われればそうだが、それがつまらないか面白いかはやはり作り手の腕に左右されるわけで、このアルバムが素晴らしいものであることに何の瑕疵も与えない。
 (2/6)


CRAVING THEO
CRAVING THEO (2002)
ネット上で試聴した1.Stompが気に入ったので買ってみたポートランド出身若手バンドのデビュー作。
その1曲目こそモダンな雰囲気があるものの、全体的には普遍的なロックを重めのサウンドで継承しているという印象が強く感じられる。
無駄なパートを省いたコンパクトな楽曲(平均3分台)の中で、独特の翳りを感じさせる歌メロとエッジの利いたリフが光る。特にアルバム後半は極めてシンプルな曲をメロディの良さで盛りたてている。
スピーディな曲、スローな曲とそれぞれ異なった魅力を持っていて、よく言えば多彩、悪く言えば統一性がない感じは否めないが個人的には不満はまったくない。

短い曲の中でやはり短いギター・ソロもそうだが、ギターも効果的なフレーズで巧さを感じる。
時折ZEPあたりを想起させるフレーズがあったり、きっと同じような音楽聴いて育ったんだろうなという親近感も沸いてしまう。

ほぼ全曲シングルでも良いってくらいメロディが良いので日本でもうける要素は多いにある。
1stながら、その完成度の高さには荒削りさよりも貫禄すら感じさせ、今後に期待される。
 (2/6)


INWARDS
DEW-SCENTED (2002)
来日の経験も持つドイツ産スラッシャーの4th。

デスラッシュとは実に便利な言葉でスラッシュともデスとも言い切れないものは大概そう言い表されるわけで、結局どんなデスラッシュなのかわからないと話にならないきらいがあるが、このDEW-SCENTEDもまさしくデスラッシュとカテゴライズされるであろうバンドの一つなわけだが、そんなことはどうでも良くなるほど、極上のスラッシュ・アルバムである。

シャープでスピーディーなリフで畳み掛けるスタイルはSLAYERを彷彿させるが、リフがすごく良いためそれだけで及第点というところだが、加えて後進であるが故の強みでもある引出しの多さも見られる。
ブラスト・ビートも導入してみたりヴォーカルがデスっぽいところもあったりと、デスからの影響を効果的に取り入れたまさに”デスラッシュな”部分が彼らの魅力であり、武器でもある。
小細工抜きの生々しいサウンドには小洒落た最近のメタル・シーン(それはそれで好きなんだけども)の尻を蹴り上げるような痛快さを感じずにはいられない。

重ねて言うが、とにかくリフが優れたもので各メンバーの演奏も達者で、サウンド・プロダクションも良好とお買い得ポイント満載の要注目作。
スラッシュが過去の遺物ではない事を証明できるのはなにもヴェテランに限られたものではない事を教えてくれたDEW-SCENTEDと神に感謝します。
 (2/4)


HUMANIMAL
HUMANIMAL (2002)
Pontus Norgren(g)を中心に結成されたという現実とはうらはらに世間はJeff Scott Soto(vo)とMarcel Jacob(b)の新バンド、あるいはTALISMAN改名したんだ、と思うのも無理はない。
で、実際聴いてみればやっぱり期待に違わないTALISMAN節が堪能できる。

TALISMANは過去の仕事のせいもあって様式美のカテゴリに入れられることが多いように思うけれど、どちらかというとその中では異質なもので、オーソドックスなHRが根っこにあって、これまた特異な太いヴォーカルが乗っかるという“様式美“という語から連想されにくい魅力を持っているため、実は損してる部分もあるんではないかと思う。常にTALISMAN中心という訳じゃないのもあるし。

そういった意味でもHUMANIMALはTALISMANの延長であると考えると、昔自分で使ったタイトルをバンド名に使うセンスはともかくとして、これはこれで続けちゃいなさいと言いたくなる。
それだけ充実した作品であり、全ての曲にバンドの良さが漲っている。
Jeffのヴォーカルに焦点を偏らせないPontusの曲に彩りを加えるギターワークも素晴らしい。

3.Licence 2 kill 7.I が僕のお気に入り。
 (2/4)