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2002 vol.2


DARK DAYS
COAL CHAMBER
直進的リズムが魅力のへヴィ・ロック・バンドの3rd。かつては多くのKORN フォロワーの一つという微妙な冠を付けられていたものの、KORN の影響はあろうが結局はこのバンドもSLIPKNOT 等と同様に幾多のヘヴィ・ミュージックの要素を吸収しているのは至極当然のことであり、それも踏まえてのCOAL CHAMBER らしさというのがいよいよ本作で見えてきている。

ダンサブルなビートに歪んだ弦楽器、わめき散らすようなアグレッシヴなヴォーカルというゾンビ巨匠やマンソン様をさらに突き進めたようなノリノリな楽曲はダークな雰囲気を損なわぬまま非常にキャッチーに仕上がっており、アタマでなく身体全体で感じて心地よく楽しめる。
1.Fiend のサビでの「フィンフォダファンヂファダフォダブウェ〜」って雄叫びが好きか嫌いかというのが分岐点であろうか、やはりDez Fafara(vo.)に焦点が集まるのだろう。実に個性的なシンガーだ。

ゴスとして語られているけれどこれって思いっきりエンタテインメントです。勿論良い意味で。 (5/16)


'TWAS HELL SAID FORMER CHILD
BELVEDERE
地道なライヴ活動によりすでにその界隈ではけっこうな支持を得ているスピード超重視、メロコア界のSLAYER、カナディアン最速バンドBELVEDERE。3rdたる本作もそのスピードは誰にも止められないかのごとく爆走チューンで彩られた快作となっている。

メロコアっちゅうと勢いだけのパワーコード一辺倒ヘタクソバンドばっかりだと言われた時代も今は昔。質の良いバンドは続々と現れ、その洗練された音楽性を稚拙と語る者には純粋な音楽フリークとしては同意しかねるのだが、このバンドも演奏力もそれなりにしっかりしていて、この手の音楽のキモである疾走感を無理なく提供している。

とは言えただ速くて巧いだけでは何の感動もないのは僕だって世の条理と同じ。BELVEDERE のもう一つの武器はフック満載のメロディメイカーとしての才であり、バドレリ等の先人達に通じる男の哀愁的メロディが各所に散りばめられ、ヴォーカリストの酒ヤケ気味の性質も僕のフェイヴァリットMILLENCOLIN みたいで好感触。2.Excuse Me,Can I Use This Chair? のサビなんてMILLENCOLIN みたいだし。

他との類似性の指摘をクオリティの高さで払いのけ得る力を感じるし、流行のエモよりも飛んで暴れての体育会系パンクよりの音楽を求めている方には是非オススメの一枚。 (5/16)


ECHOBRAIN
ECHOBRAIN
METALLICA に見切りを付けたJason Newsted(b.) がMETALLICA 在籍中からすでにインタヴューなどで匂わせていたバンド。Jason はここでもベースを担当。
前々からメタルとはまったく異なる音楽性であることが報じられていたのでむしろ期待していたというか、METALLICA では終始雇われ的な位置づけだったJason というミュージシャンの本質に対する興味というのもあり、密かに注目していた。

後期BEATLES にも似た様々な音楽のスパイスを調合したかのような音楽性にまず耳を惹かれる。1.Colder World こそキャッチーでツカミにぴったりな歌謡オルタナ的で、「曲は良いけど、結局はこういうのがやりたかったのか」と感じざるを得ない(重ねて言うが曲は良い。変化球待ってたらストレートが来た、みたいな感じ。)ものの、アルバム通して聴くと色々な表情を見せながらそれでいて根はNothing But 純粋なロックという地味で骨太な素晴らしい内容だ。

Dylan Donkin(vo.,g.)なる人物もなかなかの使い手で、声質はもちろん、曲によって器用に唱法を変えるテクニックも持っており、ECHOBRAIN の懐の広さの一翼を担っている。

さすがにメタルを期待して買う人はいないだろうけど、クラブ・ギグ御用達みたいなロックを好んで聴くリスナーにこそピッタリなわけで、ロキノンもECHOBRAIN を10ページくらい使って大々的にプッシュしなけりゃいかんわけで、要するに僕はとってもこのアルバムが好きなわけで。 (5/16)


LIVING WELL IS THE BEST REVENGE
MIDTOWN
安心してレーベル買いしても良い、という域に達しつつあるdrive-thru RECORDSからまたしても魅力的なバンドが。系統としては速いチューンではBLINK-182なんかに通ずるところがあるが、パンクだのコアだのと言うよりは、「メロディアスなアメリカン・ロック・バンド」と言った方がしっくりくる感じ。
テンポがゆっくりな6.Perfect8.One Last Time はもう王道と言えるくらい類型的な曲だし、アルバム中の楽曲すべてがオリジナリティっつう点ではヨワヨワだけれど、どこか温もりのようなものを感じさせるメロディが各所に盛り込まれており、30分ちょっとでは物足りないと思わせるくらいの良盤だ。

やりたい事がいろいろあるのはわかるけど、メロディの良さで聴かされてしまうものの、散漫な印象がないとは言えない。シメの11.Find Comfort In Yourself なんかは凄くガッツを感じられて良い曲なんだけど、次はこういう系統の曲増やしてくれないもんかな、と思う。
  (4/26)


GUTTERFLOWER
THE GOO GOO DOLLS
このバンドの音を聴くと大抵の人は懐かしさに似た感情に浸れたり、ちょっぴり人に優しくなれるという効能を持つ素朴な大物。今作に限らず、アルバムの全ての曲が向こうのラジオのスイッチひねれば聴こえてきそうなポップでキャッチーでコマーシャルなアメリカン・ロックの王道を行くサウンドなのだが、一体何処がこのバンドを特別な存在に押し上げたのかと言うと、欧州的なそれとは違うけど、とってもメランコリックなメロディ使い(前述の懐かしさっつーのはここに因果があるんでしょうね)が、いかにもアメリカって感じのカラッとした曲調とプロダクションに見事にハマるっていう事実に尽きる。

かつてはAORも、歌謡ロックも、LAメタルだってこの定石に従って素晴らしい曲をたくさん生み出してきたのに、ダークで中にはウエットなものまでがアメリカで人気になってからは、こういうロックはカッコ良くないのかもしれない。それでもこのバンドが支持されるってのは、単純に曲が良いってだけが理由なんだろうか。

そんなウンチク語りをあざ笑うかのような、普遍的なロック・アルバム。オススメ曲は全部。
7.It's Over を聴いて、故郷の大きな空を思い出しながら、都会での生活を頑張って行こうってノリが必要な人も多いんじゃないのかな。  (4/26)


CRAWLING IN THE DARK
HOOBASTANK
巷でけっこう評判だったHOOBASTANK、今流行のへヴィ・ロック・バンド達との一番の違いは「爽快感」ではないだろうか。チューニング下げ下げのぶっといギターサウンドとは対照的なエッジ重視のギター。ライムに頼らず、常に歌うヴォーカル。グルーヴ感を保ちつつも、駆け抜けるようなドライヴ感で漲る曲調。聴いていて実に心地よいストレートなロック・サウンドがそこにはある。

緩急を巧く効かせたあたりと、哀感漂う上質のメロディは、今はなきDIZZY MIZZ LIZZY なんかを思い出させるものがあり、HM/HRリスナーにもとっつき易いのではないだろうか。

試聴機でこの曲を聴いただけで購入を即決した1.Crawling In The Dark 、アルバム中でも随一の疾走感とキャッチーな歌メロが絶妙な4.Pieces 、イントロからしてINCUBUSさながらの浮遊感を醸し出している5.Let You Know など、序盤から中盤にかけて強力な楽曲が続くせいか、終盤は若干インパクトが劣る気もするが、決して悪くはないし、曲がコンパクトなのでサラッと聴ける。

普段暑っ苦しい音楽ばっか好んで聴いているせいか、ちょっと淡白に感じるところもあったり、意図的であるのかもしれないけどリズム隊が迫力不足気味のようなところもあるが、ヴォーカル・オリエンテッドなロックとしては申し分なく素晴らしい。キーボードとかいれたらもっと面白いかも。  (4/26)


HOW TO RUIN EVERYTHING
FACE TO FACE
DROPKICK MURPHYSとのスプリットが出たばっかりなので、たて続きな印象もあるが、二年弱ぶりの6th。このところメランコリックな面を強く打ち出していたのが何処へやら。極めて陽気で男気溢れる楽曲が目白押しのガッツ&ファイトなアルバムになっている。
この変化の原因がDROPKICK MURPHYS と仕事した直後だからかどうかはわからないが、結果として初期のサウンドに近い勢い重視のFACE TO FACE が再び聴けるのは嬉しいのだが、何故だか手放しで喜べないのは、やはり自分が好きだった初期とは決定的な違いがあるからで、それは何と言っても音のシャープさであると思う。ヴォーカル、ギターともにナイフみたいに尖っては触る者みな傷つけたかつてのFACE TO FACE とは異なる感触になってしまったのは少し残念だ。

という超個人的に不満な点はあるものの、その分こちらも持ち味であるダイナミズムと男臭さが増しているし、今までもメロディアスであったけれど、キャッチーさという点では飛びぬけた作品かと思う。
何よりTrever Keith(vo.)の書くマジメに読むと感心と共感を呼び起こされる歌詞が健在な限りはこのバンドを応援して行こうと思う。
FACE TO FACE って名前で出してなければ褒めちぎっていただろう佳作。  (4/26)


COUP DE GRACE
ORANGE GOBLIN
プロデューサーがストーナーの偉い人であるScott Reeder であってもバンド側は自分たちがやってるのはストーナーではないと言ってるし、そもそも僕はストーナーなんてよく知らないので超カッコイイ英国ロックバンドとして紹介させてもらいます。

どの辺が超カッコイイかと言うと、とにかく男臭い。Ben Ward(vo.)の豪放な歌いまわしに顕著に現れているけど、それ以外にも音の一つ一つがワイルドで太く、ロックンロールの持つプリミティブな魅力を存分に聴かせてくれる。
で、英国的な部分がやっぱりこのバンドサウンドの核にあって、大音量で聴いてると脊髄ごとねじ上げられそうに感じるグルーヴはいかにもサバス・バッジー所縁のものだろう。もっとも、その根底にはブルーズの要素が多分に含まれているわけであるからロックの原点に立ち返ると自然とこうなってしまうのだろう。サザン・ロックっぽい部分ってのは恐らくそういうことなんではないかと思う。

スピーディーなのにスペイシーなリズム隊は酔いどれて聴くとたまらんです。  (4/19)


POWER OF THE DRAGONFLAME
RHAPSODY
今やイタリアを、そしてクサメタル界を代表するバンドの5th(前作と併せて4thかも)。1st『LEGENDARY TALES』より足掛け5年ほどに及んだ剣と魔獣、愛と感動、笑いと涙の物語の完結編。

シンフォニックでメロディアスでスピーディでドラマティックなメタルと言う、ガードのゆるくなる部分ばかりを攻めてくるサウンドながら、前作まではイマイチ好きになれないバンドの一つだった。何でかって言うと歌メロが(僕にとって)非常につまらなく感じられるものだし、ヴァリエーションも少ないからであって、それはFebio Lione(vo.)が優れたシンガーであるだけに余計に気になったのかもしれない。

で、今作。その歌メロもLuca Turilli(g.)のギタープレイもオケもいつも通りのRHAPSODY節が全開に炸裂しているのだが、これまで感じたようなかったるさみたいなのは皆無に等しい。こちらに免疫ができたのか、はたまた細かな味付けが勝ったのかはわからないが、余裕で最後まで聴ける。
長編物語のシメだけあって、ドラマティックな展開は過去最高の盛り上がりを帯びているし、特に壮大なバラード7.Lamento Eroico から19分もある10.Gargoyles,Angels of Darkness までの終盤のスリリングな展開には映画や芝居を観ている時に似た昂揚感を感じる。

何つってもしっかりメタルなとこがこの手のバンドの一番よい所なのかもしれない、と改めて実感させるところにSascha Paeth の凄さを感じる。大仰しい音に酔いしれるのもたまにはいいかも。  (4/19)


NATURAL BORN CHAOS
SOILWORK
メロデスバンドと言うよりは、HMバンドと言った方がしっくりくる傾向にありながら、プロデュースにDevin Townsend を迎えるという何とも興味深い制作状況に、発売前から多くの注目を集めた4th。

前作「A Predator's Portrait」で見せたヴォーカル面での彩りは、このジャンルの中でも革新的なものであったと思う。自分が聴いている限りでは、デス・ヴォイスとクリーン・ヴォイスを使い分けるシンガーは今までにも多くいたけれど、かつデス声でいろいろな表現が可能なのは殆どいないし、Bjorn”Speed”Strid の存在、それだけでこのバンドが突出していると言い切ってもいいのではないか、とヴォーカル偏重主義者としては考えていた。
したがって、クワイアがバシバシ出てきて、キーボードが目立っている音の方が僕のようなデスはツマミ食い程度にしか聴かない人間にとっては聴き易いというのはある。この聴き易さはレコーディング・ホリックなDevin と組んだ事によって重ねに重ねられたコーラスがもたらした良質の変化ではあるが、もとの楽曲もそれだけ優れたものだという事なのだろう。前作より僕はこっちの方が好きだな。
捨て曲はないし、ジャケもいい感じ。 (4/11)


WHAT IT IS TO BURN
FINCH
drive-thru RECORDSが送り出す期待のニュー・カマー、昨年のEPからけっこう経ってしまってようやく発売のフルレンス。コアもニュー・メタルも何でもいいから良いトコ取りしたかのような無節操なサウンドをいぶかしく思う向きもあるだろうが、個人的にはこういうスタンスは大好きだ。
いかにも「こいつらリンプとかBLINK-182好きなんだろうな」というサウンド。

しかし単なるモノマネやフォロワーの群れとは一味違うポテンシャルを感じさせる部分も多々あり、時にアグレッシヴ極まりないシャウトも交えながら(叫んでるのはコーラスの誰かかも?)、飛び切りキャッチーな歌メロをエモエモに歌い上げるNate Barcalow(vo.)は非常に表現力豊かなヴォーカリストだと言えるし、特に気持ちいいくらいの叫び声は持ち味と言っても申し分ないだろう。歌メロもギターのフレーズ一つ一つも、良質のメロディを伴っている点も見逃せない。
このギター、往年の室姫 深を思い起こさせることがしばしばあって凄いツボにはまってます。

まったりとして、それでいてしつこくない絶妙なサジ加減のアルバムだ。 (4/11)


B.R.M.C.
BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB
英国でまずその人気に火がつき、OASISのノエルもファンであることを公言しているというサンフランシスコ出身の3人組。サイケデリックな雰囲気で満ち満ちたシンプルでストレートなR&Rを身上としているが、ブルージーなリフを繰り返し奏でる歪みきったギター・サウンドと、どことなく不気味で無機質なヴォーカルが形成する暗く耽美的な世界は、非常に生々しく、わざとらしさを微塵も感じさせない。

メディアがこぞって”ロック復興の旗手”としてカリスマ・アーティスト化させたくなるであろうキャラクターを持っているものの、それほど深読みしながら聴くような音楽ではなく、それどころかこれって物凄く分かりやすい、60’s、70’sの中でもポップな部類のロックの再現だと思う。そもそもやりたい事をやりたいようにやるって姿勢がロックなわけで、あぁでもそれをどう解釈するかも自由でいいのか。

このアルバムの中では特異な曲であると思われる3.Whatever Happened To My Rock N' Roll(punk song) で見せるパンキッシュなかっこよさも素晴らしいが、やはりこのバンドの最大の魅力はユルさだと思う。これぞオルタナティヴ。 (4/11)


WAKING THE FURY
ANNIHILATOR
鬼才Jeff Waters(g.)率いる一期一会バンドの9th。Joe Comeau(vo.)にとっては2作目となり、新体制の(まぁ例によってまたメンツは替わってはいるけど)真価が問われる今作は、歴代シンガーの中でもアグレッションに於いて抜群に秀でるJoeの歌唱力が活きるメタリックな楽曲で塗り固められた意欲作となっている。

元来いろんな方向性の楽曲をソツ無くこなすバンド(というかギタリスト)という印象があったが、この硬質なリフまたリフの炸裂ぶりには正直驚かされた。音作りはモダンなのにフレーズはスラッシュ、もっと言えば正統HMのベーシックなそれであり、ゴリゴリのリフと並行して奏でられるメロウなリード・ギターと”聴かせる”巧さを持ったシンガー。ここに来て他バンドと明確な差別化が可能な独自のANNIHILATORサウンドを確立したと言えるのではないか。単純に聴いてて心地よいという重要なポイントもしっかり押さえているし。

すでにスペシウム光線並みの認知を得ている伝家の宝刀アルペジオで幕を開ける8.Nothing To Me なんかはちょっと前のMEGADETHが作りたくて作れなかったって感じの曲でツボです。

それにしてもいいシンガー見つけたもんだ。Rob よか巧いと思う。 (4/4)


DISC-CONNECTED
LOUD&CLEAR
歌心に溢れたメロディアスな米国ハードロックの伝統を今に伝える孤高のシンガーJess Harnell 率いるバンドの2nd。現在はトリオ編成となっている。
実はこのバンド、名前こそデビュー作の時に知っていたものの実際音を聴いた事がなく、頂き物のCDに入っていた11.Tell Me Why をはじめて聴いた時にとっても好きになった次第。故にこの一曲のイメージである”メロディックなサビを綺麗なハーモニーで盛り上げるバンドで、かつシンガーがうまい”という部分に期待していたのだけれど、蓋を開けてみれば期待以上の爽快なHRを思う存分堪能できる良盤。

まず1.Disc-Connected を聴いてNIGHT RANGERを思い出すうれしい驚きを味わってから先は、緩急静動織り交ぜたLOUD&CLEARサウンドにグイグイ引きこまれてしまう。Jess の声質はまさにこの手の音楽を歌い聴かすために生まれてきたかのようなものであり、Chuck Duran(g.)のギターワークは派手さこそないものの、歌メロを存分に引き立てるオブリや歯切れの良いバッキングなどで非常に貢献度が高いプレイヤーだ。

確かに目新しいものはないオールドスクールなHRではあるが、目指す処をしっかり見据えているうえに、各メンバーが非常にハイ・スタンダードなものを持っており、こういうの嫌いじゃなければきっと気に入ると思う。 (4/4)


SYSTEM X
IMPELLITTERI
批判も多い割にはなんだかんだ言ってコンスタントにアルバム出し続けて生き残っているスピード・メタル界永遠の中堅、節目の7th。

1st『STAND IN LINE』以来の復帰となるGraham Bonnet がヴォーカルをとっているのだが、そのマッチングにまず驚かされる。Graham の年齢を感じさせないパワフルでエモーショナルな歌声と、1stでは確立されていなかったソリッドなIMPELLITTERIサウンドとが融合することでこれまで欠如していた迫力・凄みが生まれている。
前任者Rob Rock は歌メロのヴァリエーションが少ないシンガーだった為にマンネリ化が顕著だったことを考えても(もちろんその一番の原因はChris Impellitteri なんだろうけど)、ここでのメンバー・チェンジは理に適っているわけだが、そんな背景をヌキにしてこの歌唱は素晴らしい。
Graham はガナることで曲の雰囲気を破壊してしまうこともあるのだが、今作はそのアグレッシヴなスタイルを存分に活かせるヘヴィ・チューンばかりで構成されている為万事うまくいっている。

とにかく一体何がこのオッサンをここまで熱くさせちまったんだと問いたくなるようなヴォーカルはIMPELLITTERI だからって理由だけで聴き逃してしまうにはあまりにも強烈すぎる。このアルバムを聴かずして彼を過去の人と呼ぶなかれ。これはもはや"GRAHAM BONNET with his band "状態。

以上は一Grahamファンによる感想。客観的に言えば、このバンドはChrisRob がずっと一緒にやり過ぎて停滞していたきらいがあるので、今後はシンガーを定期的に取っ替える”YNGWIE方式”を提案したい。聴き覚えあるフレーズ云々に関しては、特に気にはならないし、リッチーリスペクトっぷり全開の曲もアリだと思う。憧れや目標は欧州なのにその方法論にアメリカンな要素が詰まってるところがこのバンド、と言うかChris というギタリストの最大の個性なのかもとふと思った。

ウンチクたれながらツッコミ入れるにもポイントいっぱいだけれど、今作はそんな理屈を抜きにして聴けるメタルでありロックなアルバムだ。 (3/25)


HOME FROM HOME
MILLENCOLIN 
大雑把に言えばメロコア/スケーター一派に属するのだろうが、スウェーデン出身でこのバンド名ということから万民が想像するであろう域を超えた泣きのメロディと爽快なスピード感から生み出される独自のMILLENCOLINサウンドで人気を博す4人組の5th。

”泣き”部分に限定するのであれば前作『PENNYBRIDGE PIONEERS』で既に完成されている感があり、楽曲の質はそれこそ1stから高い水準を保っているバンドであるから大方の予想はしていたのだが、今までとは若干スタイルの異なるシンプルなR&R寄りな曲がいくつかあり、これはこれで悪くはないのだけれど、持ち味が活かしきれてないと言うか、「MILLENCOLINでなけりゃできないような曲」では全くないレベルで、今後開き直って旧来のバンドの音に戻すか、逆に新しい路線でも独自性を強められるまで煮詰めて行かないと、残念だが未来はあまり開けてこないのではないかと思う。

しかしながら、やはり彼らの最大の魅力であるどこか切ないメロディと軽快なビートを伴ったパンク・ソングは依然として健在であって、2.Fingers Crossed8.Happiness For Dogs 11.Afghan といったところはこれまでのこのバンドのファンなら身体の内に熱いものを感じずにはいられないような強力な曲であるが、正直それ以外の曲に関しては3.Black Eye をはじめとして、何か物足りないというか、どうもおとなし過ぎに感じられてしょうがない。特にギターが。

気づけば否定的な意見が結構出てきてしまったのはこのバンドへの期待が並々ならぬせいもあっての事で、実際には曲順もうまい具合に並んでいるので楽しんで聴けるのではないかと思う。
ちなみにこのバンドとの相性の悪さを感じていたスカからは手を引いたと思われる。 (3/25)