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-2002 vol.4-

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DEF LEPPARD
DEF LEPPARD らしさって何なのだろう、と考えさせる10th。
ポップでキャッチーでコマーシャルな曲作りに徹したのであろう、ボーナス・トラックに至るまで一曲一曲が上質のポップソングという充実ぶり。美しく、分厚いコーラス・ワークがこれでもかと光を放っている。

そんなコーラスとJoe Elliot(vo.)の絶品の歌唱が際立つのは今回のコマーシャルでヴォーカル・オリエンテッドな作風においては必然的とも言えるが、一方でこの路線がPhil CollenVivian Campbell の2人のギタリストがいかにDEF LEPPARD サウンドに貢献しているかも浮き上がらせている。
亡きSteve Clark っぽいギタープレイが問答無用で印象に残る13.Scar や、これまた定番とも言えるリフの3.You're So Beautiful 以外にも、バッキングのちょっとしたプレイの中でも2人の個性が主張されるフレーズが散りばめられているのはさすがと言ったところ。

個人的にはVivian のザクザクしたバッキングが好きなのでハードなロック・チューンもたくさん聴きたいという思いがあるが、やはりDEF LEPPARD はこういうポップな歌モノをやらせたら天下一品なのはデヴュー以来変わらぬわけで、何よりその長い活動の中で良い曲ばっかりたくさん残してるっていうのは実に立派な事である。世界は再びDEF LEPPARD を愛すべきだ。 (8/23)


STICKS AND STONES
NEW FOUND GLORY
すでに出るものは出尽くし、頑張ってるのはむしろベテラン勢みたいな気がしなくもないメロコア・シーン。その中でも良質のバンドを続々と世に送り出すことで定評のあるDrive-thru レーベルの代表格的存在であるこのNEW FOUND GLORY。軽快なリズムと陽性メロディたっぷりのギター、レーベルの特徴とも言える甘酸っぱいヴォーカルと元気の良いコーラスが織り成す青春メロディ。
ある意味では売れる要素を押さえているとも言えるし、すごく歌謡曲的な感じが強いけれど、その分メロディなり楽曲なりはしっかりしているので別にどうこう言う事もない。

むしろ5.Never Give Up みたいなスピード・チューンに於いてもイカツさが感じられないって程のポップさは凄い事なんじゃないかなとすら思えるし、これだけポップであることに徹底してるのは日和ってると言うよりもむしろ強気であると言える。
それで出来上がったこのサウンドは能天気なお子チャマ向けえせパンクかもしれないけれど、それでも気持ちよく聴ける自分の好みは否定しようがない。彼らの思うツボなのだろうか。 (8/23)


VIEW FROM THE TOP
GRAND ILLUSION
1st『THE BOOK OF HOW TO MAKE IT』で全国数十万の美旋律HRファンを歓喜させたスウェーデンの実力派集団、GRAND ILLUSION。早々のリリースが嬉しいこの2ndであるが、専門誌のアルバム評でかのTNT の名盤『INTUITION』が引き合いに出されたのも何処となく頷けるような、見事に充実した内容に思わず顔もほころぶ。

北欧ハードポップの叙情性と、アメリカンHRのキレを兼備した、なんて表現は今までいくつものバンド・サウンドを表現するのに用いられてきたけれど(ハズレも含めて)、その中でも最もクオリティの高い部類に入るのは間違いない、とにかくソツのないバンドだ。

それでもやっぱり文字通り"息を呑む"アルバムであった『INTUITION』と比べると、角がないとでも言うのだろうか、良く言えば安心して聴けるって事なんだけど、意外性のある展開みたいなものがTNTにはあって、このGRAND ILLUSION にはないんですわ。
それと個人的な好みの問題になるんだろうけど、Anders Rydholm のギターは巧いしスリリングではあるけど淡白と言うか、もっと泣いてくれ、みたいな煮え切らなさを時折感じる。
逆にシンガーの方は何もそこまでって位のハイ・トーンにはちょっと引いてしまうものの、声がすごく好みなのでこちらも個人的な話だけど100点満点くらいの仕事をしていると思う。 (8/23)


JINX
QUARASHI
アイスランドから現われた新進気鋭のミクスチャー・グループ。

アイスランドのミュージック・シーンがどうなっているのかも全然知らなければ、ラップとかこの手の音楽はあまり詳しくもないけれど、BEASTIE BOYS に似た感じもあるし、それ以外にも何か斬新なところがあるかと言えばそうでもない。それはある意味ここ日本のヒップ・ホップ・シーンにも共通するところなのかもしれないが、まぁ結局のところわざわざ買ってまで聴いたのはこのQUARASHI ぐらいなわけで、そういう意味ではロックを主食とする人でもとっつき易いんでしょう、きっと。

やっぱり初めは1.Stick'em Up6.Copycat のようなロック寄りのアプローチがこちらのガードを崩したのは間違いないんだけど、それ以上にアルバムを通しての押したり引いたりな緊張感の波が聴いててなかなか楽しい。
MCもそれぞれキャラが立っているし、楽曲をまとめるセンスの方も、時折出てくる耽美的とすら感じられるダメちゃんな雰囲気は個人的に好きだったりで面白味があるし、中々聴き応えのある一枚。 (8/23)


WE WILL BE DEAD TOMORROW
RAGING SPEEDHORN
「英国のPANTERA」との誉れも高き轟音バンドの2nd。

ギターなんかが聴かせるダルッとした雰囲気なんかがPANTERA を始めとする米国産のサウンドとは趣を異にしており(ごくごく大雑把に言ってしまえばサザン・ロック的なブルージーな音楽と、サバスなんかのブリティッシュ・ロックのどちらの血が濃いか、みたいな感じ)、4.Scaramanga7.Heartbreaker みたいな楽曲を聴くと「英国のPANTERA」というよりは「肉体派なCATHEDRAL」みたいな気がしなくもないが、アルバムの大半を占めるのはヴァイタリティとかタフネスとかが凝縮された突進力とグルーヴ感にこの身を委ねずにはいられない轟音ロックであり、その本能に訴えかけるようなノリの良さは、メロディアスである事と同等の、あるいはそれ以上の「肉感的キャッチーさ」みたいなものであると言えよう。

とにもかくにもこんなに気持ち良いくらいロックな奴らがまだ英国から出てきた、というのはなにか感慨深いものがあるなぁ。何気に音楽としてよく纏まっている辺りもあるものの、基本的には体育会系なノリが肌に馴染む。 (8/23)


ALIVE OR JUST BREATHING
KILLSWITCH ENGAGE
AFTeRSHOCK、OVERCAST の元メンバーらからなる新鋭の2nd。
ハードコアとデス・メタルのハイブリッドだそうだが、基本的にはスカンジナビアのメロデスバンドが飽和状態を向えて様々な羽化を試みた中の一つのスタイルと言われればすっかりダマされてしまいそうな音造り。従って別に目新しい事をやっているわけではなく、しかもハードコアの要素はほとんど目立っているとは言えないし、残念ながら際立った個性を持ったバンドではない。

しかしながら裏を返せば"北欧のポスト・メロデス"に聴こえてしまうのはその叙情的なメロディが他の要素をかき消してしまうほどに強いからであるとも言えるし、逆にハイ・エナジーな面が際立つ7.To The Sons Of Man に顕著なように、未だそのハイブリッド・サウンドなるものに至るほどには自身の多様性をまとめきれていない感もある。そういう意味では今後超重要なバンドになる可能性も高いが、今のところはそこまでは、といったところ。

でもただのポスト・メロデスバンドとして聴いたとしても、4.My Last Serenade12.Rise Inside は文句ナシにカッコ良い曲なので聴いておいた方が吉。 (8/9)


CRUCIBLE
HALFORD
僕はヘヴィメタルが大好きだし、JUDAS PRIEST が大好きだ。そして勿論"Metal God"と称されるRob Halford の唯一無二のハイトーンを尊敬している。

そんな僕にとって、今Rob がヘヴィメタルに真正面から取り組んでいるというのは喜ばしい事であるし、同じ思いの人は数多いのではないだろうか。
Rob はこのアルバムにおいてその年齢をちっとも感じさせない力強い歌声を聴かせているし、バックの演奏(特にドラムのBobby Jarzombek )もミキシングも高い水準にあると言えるだろう。それは前作『RESURRECTION』にも言える事だけれど、前作ではやけに「メタルメタルしている」点がむしろ鼻に付くと言うか、好きになれなかったし、世間(狭い世界ですがね)が言うほど気合の入ったモノだとは思っていなかった。商業的な思惑云々はともかく、この人が「さぁ、メタルをやるぞ」ってわざわざ身構えているような感じがするのはどうなのよ、という不満があった。

そこ行くと今作はRob も含めた全員が自然に体現するヘヴィメタルというのを垣間見れるアルバムなのではないだろうか。明らかにJUDAS PRIEST 的なヘヴィメタルをやっているという点では全く持って共通しているが、アルバムとしての完成度に関しては絶対今作の方が勝っていると思える。

現時点でRob とJUDAS PRIEST のヴォーカリストである"Ripper"Owens の二人を比べたら後者の方がシンガーとしては上だと思うし、HALFORD の二人のギタリストは良いリフを作るがリードは並に聴こえる。でも今のHALFORD のサウンドは、紛れもなく良いものだ。だから僕は、今のJUDAS PRIEST とHALFORD の2バンドがある状態で良いじゃないか、と考えるし、Rob が今の状態に至るまでに様々な経験を経たのと同じように、JUDAS PRIEST も色々試行錯誤するのは良いことだとも思う。 (8/9)


3
SOULFLY
へヴィ・ロック界随一の原始人、Max Cavallera (vo.,g.)率いるSOULFLY の3rd。
前任者も十分素晴らしいドラマーだったと記憶しているが、オリジナル・メンバーでファンにも人気の高いRoy Mayorga(dr.)が復帰という事で安心して聴ける事に変わりはない。

本作でも不変のSOULFLY サウンドであるトライヴァルなリズムとヘヴィなギター、そしてMax の野蛮ヴォーカルという強力アンサンブルは健在。メロディラインを歌唱するシンガーや女性ヴォーカルをフィーチャーした楽曲もアルバムに彩を添えているが、ヴァラエティの豊富さというよりも、従来の"SOULFLYらしい楽曲"の凄絶さを際立たせていると言える。
4.One5.L.O.T.M.6.Brasil の流れは圧巻。もはや"怒り"という単一ベクトルの感情を通り越して、スーパーサイヤ人並に闘気を放出するような音と音のぶつかり合いがもたらす興奮と感動は芸術の域に達していると言っても過言ではないだろう。

続く7.Tree Of Pain も安らかなオープニングから一転して激しく攻め立てるパートに(それが自然に)移行し、また優しいパートに戻って終わる。という言葉で説明しただけでは極めてありきたりに感じるであろう曲ではあるが、この曲が与える印象は生半可なものではない。

でもなんだかんだ言って11.Four Elaments みたいな曲があってこそMax Cavallera という男は光り輝くんだよね、という僕みたいなスラッシャーでも文句なく聴けるアルバム。Beast Feast にて来日することを祈願。 (8/9)

ハイヌミカゼ
元ちとせ
山崎まさよしスガシカオらが「すごい子がいる」と言ってたので名前は知っていたが、大ヒット・シングルとなった2.ワダツミの木 を聴いてその声が本格的に気に入ってしまった元ちとせの1st。

ファルセットが印象的な民謡仕込みの独特な歌いまわしとインパクトだけではない巧さを兼ね備えた大したシンガーではあるが、それだけじゃなく楽曲も彼女の声と南国のイメージを巧みに活かした見事なもの(勿論商業的にも)が多い。
のっけから軽快なリズムにヴォーカルメインで、凝ったプロダクションでもったりした癒し系だと思ってたのに意表を突かれる1.サンゴ十五夜 は嬉しい誤算。
言わずもがなな名曲2.ワダツミの木 と、聴き終わったあと不思議な余韻をもたらす8.ハイヌミカゼ はよく聴いてみれば歌メロからアレンジまで作者上田現の作風が滲み出ているのだけど、それがの歌声と驚くほどにマッチしているというのは偶然ではなく必然なのだろう。ここまで何度聴いても平気な曲というのは日本のアーティストでは久しぶりな気がする。
旅行や帰省した先での夜みたいな昂りと安らぎが同居した不思議な感覚こそが彼女の歌声を聴いた事ない人に説明する際使ってみたくなる表現であるが、3.夏の宴 はまさにそんなノリに溢れる曲だ。
山崎まさよし の作った4.ひかる・かいがら まで聴いて歌声だけで十分オリジナリティたっぷりになってしまうんだと確信が持てる。優しさと力強さの微妙なコントラストが心地よい。
続く5.心神雷火 は個人的にはこのアルバムで一番好きな曲。サビの叙情性にはちょっと参ってしまう。
子どもの頃を歌う6.37.6 や文芸的な7.初恋9.君ヲ想フ などでは顕著であるが、日本語の表現の美しさや語感にまで気を配った(であろう)歌詞もまた独自の世界観を形成するのに重要な役割を果たしていると言えるだろう。変な語呂合わせと和製英語やありふれた愛情表現ばかりの日本のミュージックシーンにおいて、このアルバムに限らず魅力ある歌詞のCDが売れるというのは乳飲み子の教育にもよろしい事だと思う。
DEEP FOREST のEric Mouquet のプロデュースによる10.凛とする はサビの浮遊感で骨抜きにされてしまう良さはあるんだけど、他の曲と比べると変にソフィスティケイテッドな感じがして違和感あるです。

いずれにしろ、ここまで気になるシンガーが(ちなみに女性シンガーのCDって10枚くらいしか持ってないです)日本から登場した、というのは嬉しい事だ。 (8/2)


USE ONCE AND DESTROY
SUPERJOINT RITUAL
轟音番長Philip Anselmo(vo.,g.)率いる轟音プロジェクトSUPERJOINT RITUALの轟音1st。彼の今までの轟音仕事っぷりや轟音メンツからしてアングラ臭たっぷりでパワフルな轟音アルバムを期待するのは轟音ファンとしては自然な心理であるし、当然その期待に200%応える秀作が出てきた。

正直、鳥肌立った。この力強さとカッコ良さこそがPhilip Anselmo という人物を語る上でハズせない最重要事項であるのは何万発ブン殴られたって忘れはしないが、その漢の魅力がPANTERA の作品以上に垣間見えるのでは、とすら思える。勿論PANTERA とどっちが好きかとかそういう問題ではないわけだが、一つだけ言えるのはこのSUPERJOINT RITUAL、すごく判りやすいのである。
ハードコア、メタル、そして何よりロックの本質とも言うべき衝動的な部分を余すところなく、かつダイレクトに表現した楽曲であり演奏が心底気持ち良い。アンダー・グラウンドなおどろおどろしさは想像していたよりもやや希薄だが、勿論これでもかってくらいに音と音がぶつかり合ってえらい事になっている。

へヴィでラウドでタフなロックが好きならば、迷わず買うべき一枚。
ちなみにJimmy Bower のギターが超超クールなのでこちらも要チェック。 (8/2)


THE COLD STONE LIGHT
SENTENCED
フィンランドが誇る元メロデス・現泣きメタルバンドの7th。

何はともあれVille Laihiala(vo.)の胸に染み入るような男っぽい歌唱が存分に堪能できる点で文句のつけようがない。強烈なまでに感情を剥き出しにしてむせび泣くように歌い上げるVille の歌声は、ドラマティックというよりもテレビで戦争や災害のドキュメンタリーをみている時のような内面からこみ上げてどうしようもないみたいな強い感動をもたらしてくれる。

寒気すら感じる小曲の後、2.Cross My Heart And Hope To Die という強烈なタイトルと歌詞の曲からアルバムはスタートするが、この後追い自殺願望を綴った曲がまた凄い。イントロのギターの音色からして悲壮感に満ち満ちているこの曲はあらゆる面で胸を締め付けるようなトラウマソングと認定。
その他にもダイナミズムに溢れる曲調に乗って放たれる強烈な辞世の句6.Excuse Me While I Kill Myself 、メロディはキャッチーなのに堪らないほど悲しい8.You Are The One をはじめ、全ての楽曲が暗く冷たいメランコリックなメロディを伴った素晴らしいものばかりで、それでいてヴォーカル・ギターとそれぞれの持つ強みを活かしきったものなので扁平な印象は一切感じず、最高傑作と呼んでも差し支えのない強力なアルバムに仕上がっている。
随所でメタリックさを轟かせつつも、キーボードなどもとても効果的に用いられており、アレンジも完璧。絶望で身を包みながらも、禍々しさゼロで潔白なイメージすら与える不思議な連中だ。 (8/2)