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-2002 vol.6-

AIRLESS
AIRLESS
近年ここ日本でもにわかに注目されつつあるスペインのメロディアスHRシーンの注目株。快活でキャッチーなメロディ溢れるハード・ロックサウンドは古き良きアメリカンHR のそれを受け継ぐかのようなものであり、非常に心地よい。

中心人物のRobert R. Rodrigo(g.)は既に3枚のソロ・アルバムを出しているそうでそれなりのキャリアの持ち主であろうことが浮かび上がってくるような卓越したテクニックを至るところで発揮している。というか、もの凄い勢いで弾き倒している。こんなに弾いてるにもかかわらず楽曲を壊さないのはややクセのあるInaki Lazcano(vo.)の声質との相性の良さと、メロディ作りも含めたRobert のセンスのお蔭だろうか。

中でもイントロからメロディアスなギター・プレイが光る2.Autumn Leaves は素晴らしい出来で、スリリングでドラマティック、しかし抜群にポップでキャッチーなメロディアスHR の教科書的な一曲だ。
また、この曲を筆頭にめっちゃパワフルなドラミングで曲の盛り上がりをさらに際立たせるGas(dr.)も気骨あるプレイヤーで、非常に好感が持てるし、ベーシストはもう辞めてしまったようだがかなり印象的なベースラインがちらほら聴かれたりと演奏力においても優れたバンドと言えるだろう。

個人的にはこの手のバンドには必殺バラードが一曲はなくてはならないと思うのだが、スパニッシュ印のアコギが堪らない10.When I Look Into Your Eyes はまさにそれ。でも何だかあっさり曲が終わってしまうのは明らかにマイナスで、もっとしつこいぐらいに盛り上がって貰いたいもの。 (2/7/2003)


ROYAL STRAIGHT FLESH
DEFLESHED
スウェーデンが生んだ超絶デスラッシュ・トリオの4th。

こりゃハッキリ言ってヤヴァい。デスラッシュの持つ疾走感・暴虐性・禍々しさ全てひっくるめた極上のクールネスをトリオ編成ならではのタイトなサウンドでもって熱く叩きつけるそのカッコ良さと言ったらもういかんともし難い。
あの曲がどうとかこの曲が云々の前に、全ての曲がスピード・チューンというところにも彼らの自信と気合が漲っている様子が窺い知れ、リフは良いわドラムは凄いわ歌は暑苦しいわで聴き終わった後の首の痛みという副作用も忘れて中毒気味に聴きまくって首振ってしまう、デスラッシュの歴史に未来永劫その名を轟かすヴァイキングたちの超々傑作を聴いて感想もクソもない、始まったと思ったら何も考えないで狂喜してる間に終わってしまうんだもの。

激しくて喧しい音楽を愛する全ての人に聴いて欲しい、熱き漢のヘヴィ・メタル。 (2/7/2003)


THE ALTAR
MVP
メタリックなハイ・トーンを駆使してまんまメタリックなナンバーはもちろん、バラードなどでしっとり歌い上げてもクサいメロディをカッコ良く歌えるので根強い人気のMichael Vescera(vo.)を中心に、何人かのミュージシャンが曲毎に作曲・演奏で手助けをするというその名の通りのソロ・プロジェクトの第3弾。

あくまでもソロでなく、ソロ・プロジェクトというのがミソであり、普通にMats Olausson(key.)の世界、な1.Intro で始まり、Jimi Bell(g.)を筆頭にMike Chlasciak(g.)との共作曲もある。その辺が功を奏してか、ソロでありがちな独りよがりでオーヴァー・プロダクションなアルバムとは一味も二味も違う面白味のある内容に仕上がっている。
勿論、召集したメンツがメンツなだけにヴァラエティを感じさせながらもどこを切っても"メロディックでパワフルなメタル"を力一杯歌うMichael がいるわけで、期待を決して裏切らないわけさ。実はこの人は歌メロのレパートリーがかなり乏しいんだけど、どっかで聴いたようでもムムッと振り向かずにはいられない良いメロだし、声の好みという点でも気持ちのよいヴィヴラートを聴かせてくれるという点でも、かなり贔屓にしているシンガーなわけです。とりあえず2.Crucified の歌いだしから悶絶でしょう。

王道スピードメタル・チューンの7.On Our Way(To Hell) は歌以外の部分はプリーストみたい、9.Peace Of Mind はメイデン式で非常に爽快、こういうお楽しみはもちろん、緩急交えた粒揃いの楽曲で最後まで飽きさせない。
意識してメタリックにしていると見受けられるし、それに見合ったバックを揃えているんだからもっとラフな音質の方がハマるんじゃないかと個人的には思うけれど、そんなことよりこんなに優れたシンガーを渋い仕事で終わらせるのは勿体無いなと。複数年契約じゃなくても良いからインペリ辺りと組んでもらえないでしょうか。 (2/6/2003)


PRISM
JEFF SCOTT SOTO
アサヒスーパードライのCM に起用されてもおかしくない珠玉のメロディアス・ハード・チューン1.Eyes Of Love で幕を開ける実力派シンガーJeff Scott Soto 2枚目のソロはYNGWIE MALMSTEEN に始まる彼の素晴らしい歌唱人生が導き出した一つの結論と受け止めて良いのだろうか、彼の持つ抜群の歌唱力を大きくフュ−チャーした歌謡HRがズラズラズラッと並び、普段メタルを聴いている人にとっては"軽い"サウンドなのだろうけど、Jeff のハスキーで力強い歌声を堪能するにはもってこいのアルバムとなっており、個人的にはかなり満足できる内容となった。

驚いたというか、感心したのは曲がどれもこれも良いって事で、先述の1曲目は所謂メロハーの中でも爽快感と叙情性とを併せ持った名曲クラスだし、その後しっとり系が3曲続くという並みのアーティストのアルバムでやられたらかなり困る展開に持っていかれるんだけどそれでも退屈とは感じない。
全体を通じて歌メロ以外の部分でも無難すぎる印象がなくもないというのも正直感じるが、ソングライティングもプロデュースも自分一人でやってこれだけのクオリティに達する事ができる(しかも方向性が散漫にならずに)巧いヴォーカリストというのは貴重な存在なんじゃなかろうか。脇を固めるミュージシャン連中も皆非常に良い仕事をしていて、特に10.By Your Side のギターソロのなんと美しい事。シンガーのソロってよく名うてのバンドマンをゲストに集めて作られたりするけど、歌を立てて曲を盛り上げるという点においてはスタジオ・ミュージシャンて最高だなと思わせるものがある。

バラード系が多いのでもったりした感触がどうしてもあって、何度も何度も繰り返して聴くような代物ではないけれど、ふとした拍子に聴きたくなるんだろうと思う。思わず首も動くノリの良い9.How Long 、アメリカ的土臭さと雄大なスケール感に溢れた11.Good Love の路線もこの人ならではな良い曲だけになおさらその思いは強い。
Glenn Hughes との価値ある競演5.I Want To Take You Higher も敢えてこの位置に持ってきて正解。 (2/6/2003)


DISPOSABLE INCOME
SNUFF
日本の楽曲をカヴァーするのが趣味なオジサンたちと思わせておきながら実は腐りきった英国ミュージックシーンに小便をブッかけるために結成されたという逸話を持つ漢の中の漢がこのSNUFF である。
アンパンマンだろうが岡本真夜だろうがオリジナルのように聴かせてしまう並外れたセンスとおバカなまでに高めたテンションが生み出すSNUFF サウンドは健在、どころかここに来て往年を思わせる哀愁を帯びたメロディを大幅に取り戻していてかなりインパクトの強いアルバムとなっている。

SNUFF がメロコアで括れるか否か、という議題はとりあえず置いといて、このバンドは非常に歌心に富んだ人たちなのだと思う。キーボード、管楽器をパーマネントなメンバーに並べている点でも所謂メロコア界隈のバンド群とは趣を異にしているが、彼らのサウンドを特徴付ける最たる要素はユニゾン、ハーモニー織り交ぜて多用されるコーラスであり、俗に言う"男の哀愁"を感じさせる歌メロなのだと思う。
彼らが日本の童謡に目をつけたのもそこにある親しみ易いが何処か愁いのあるマイナー調のメロディあっての事であろう。

そんな独自の歌メロとコーラス・ワークがいつになく満載な本作はまさに改心の出来。SNUFF のカッコ良さ総てが2分半の中に凝縮されたかのような3.Chocks Away 、イントロからAメロへの流れに感涙の4.Once Upon A Time Far Far Away 、ギターがとってもクールな14.Coming Through といったパンク・ロック・チューンだけでなくハードコア・スタイルのリフがハマってる5.Dehumanised 、エンディングにふさわしく荘厳な15.Emoticon と型にはまらない多彩さを見せつけ、それでいてどれも"らしさ"に溢れた楽曲を並べて来るあたり貫禄すら窺える。
これはもはや英国オルタナティブ・ロックの一つの理想郷と言えるだろう。さぁ皆で一緒に歌いましょう。 (1/30/2003)


KILL YOUR TELEVISION
THE REUNION SHOW
大きなCDショップに行けば試聴機が連なっていてそこで未知のお気に入りと出会う、そんなシチュエーションが珍しくなくなってはや数年。
このアルバムを見つけたのもその経路でなんだけどよく見りゃ闘犬レーベルことVICTORY RECORDS が出してるんですね。と言っても中身はブリブリのパワー・ポップ。パワー・ポップのレヴューともなるとWEEZER の名前を出すのが便利なトコですがこのTHE REUNION SHOW は楽しいパワー・ポップ。WEEZER みたいな切な系のメロディはなく、曲調も突っ込んだ感じのノリの良さが目立つタイプ(つまるところパワー・ポップらしい音楽)で、やたらと後ろでミョンミョン鳴ってるムーグシンセが良い味付けとなってどこか懐かしく、それでいて愉快→聴くとしみじみしてしまう。という袋小路に追い込む勝利の方程式が確立されている。

ヴォーカルが結構熱い(暑い)感じで歌えるところもあって芯にはちゃんとロックの太さがあるのもとっつき易かった一因かと。泣いちゃいないけどメロディはとことんポップでキャッチー、すこぶる上質です。
同じメタルっ子でも去年鼻血ブーをリピートしまくったアナタとワタシ、お次はこんなパーリー・ロックは如何でしょうか。 (1/30/2003)


SCHOOL OF LIBERTY
NICOTINE
NICOTINE のいいところ。えもいわれぬ疾走感と、キャッチーなメロディ、そしてメタルムーヴメント以降ならではの刻むようなリフ。およそ90年代パンクの魅力というか、大事なところをひたすら強調したようなサウンドがそりゃ日本はもとより本場でもウケるわけである。

でもって彼らがとりたてて凄いな、と思えるのは上で挙げた要素を"楽しく"仕上げるトコにあるんだと思う。実際、彼らのCD を聴くとなんだか元気になるわけで、どこかおバカで、底抜けに明るい気のいいアンチャンたちにしか出せないクールネスというのが最高に発揮されているのが本作であると思う。アルバム初っ端から炸裂さしてくれる。
モッシュにサーフ、サビではシンガロング、1時間でお腹イッパイという楽しみ方を敬遠する人も多いけど、ここまでポップなロックに血が騒がずにはいられないわな。oi コーラスの多用が勢いをさらに助長している。

ポジティヴでキャッチーな中で時折覗かせる哀感溢れるメロディラインも重要なアクセントとなっており、中でも16.In The Rising Sun はヴォーカル、ギター揃って泣かせる。日本のバンドだからどうこう言うのもなんだけどこの歌謡曲フレーヴァーに満ちた音使いはdrive-thru 系とはまた違った強みではないだろうか。 (1/24/2003)


SACRED HILLS
CHAR
今では息子が日本ラウドロック界のアイドル的存在となり、違った角度で知名度を上げたchar 。それはさておき今回のアルバムはその30年近いキャリアで初の全曲インストによる意欲作となった。

各所における本アルバムへの評価で必ずと言って良いほど目に付くのは「ロック」という表現であり、殊更フュージョン色が薄いかのような論旨であるが、ロック耳を持つ僕にとってははっきり言ってこれは所謂フュージョンであると思われる。
しかし、それがどうした。こいつはロックの人が奏でるフュージョン(実のところそもそもフュージョンとは具体的に何なのかよくわからないが)、そこにあるのはギタリストのマスターベイション的テクニカル路線でも眠気を誘う環境音楽みたいなヌルい音でもなく、歌入りの楽曲と何ら変わらぬ耳を惹きつけて止まない旋律の数々であり、そして何よりダイナミックで温かなストラトキャスターの音色である。

英国の美しき風景が写されたアルバム・ジャケット、そして"聖なる丘"というタイトルを唯一音という手段だけでもって見事に聴き手に伝える1.Sacred Hills は導入部のアコギからシンプルなエレキへと紡がれる音の一つ一つが壮大な自然とシンクロするかのようである。
時にスリリングに、時に優しく包み込むようにとギター・トーンを自在に操りながら曲ごとに(楽曲がコンパクトにまとめられているのも功を奏していると思う)様々な空気を提供されているうちに、本当にいつのまにかアルバム通して聴き終わってしまう。

昔世話になった人から不意に届いた絵ハガキのような、ちょっぴりノスタルジックな気持ちにさせる一枚。 (1/24/2003)


AUDIOSLAVE
AUDIOSLAVE
2002年一番の話題性を持ち、期待の目を向けられた新バンド。元SOUNDGARDEN の熱きシンガー、Chris Cornell とRAGE AGAINST THE MACHINE の演奏陣という興味深い組み合わせにはそれぞれの支持者のみならず、洋楽ファンの多くがそそられたであろう。

一旦は分裂まで行ったと報じられたが、何とかアルバムの完成までこじつけたというのが実際のところであろうか。好調なセールスを記録する一方で賛否両論飛び交う巷のアルバムに対する意見もまた、このAUDIOSLAVE への注目度の高さを示していると言えるのか。

さて、このAUDIOSLAVE の音楽性を評するに当たって極めて便利な言葉が「60-70年代」であり、「ハードロック」である。フロントマンのChris は歌心溢れるヴィヴラートを使いじゃくる、まさにオールド・ハードロックの世界から飛び出してきたかのようなシンガーであり、彼の存在感はAUDIOSLAVE においてもまったく萎縮することない。
一方でTom Morello(g.)のフレーズの組み立て方はかつてギター・キッズを魅了したペイジを髣髴させる、具体的に言うならば単音の使い方の巧さや耳を惹きつけるリフ作りなど目立つのが得意なギタリストであるが、彼の場合現在のへヴィ・ロック・シーンに多大な影響を及ぼしている事からもわかるように聴く人によっては「全然モダン」なアプローチと言えるのかもしれない。それは彼のリフとこのバンドの屈強なリズム隊が生み出す「うねり」こそが実際モダンなヘヴィ・ロックのそれであるという点にもかかってくる。

しかしながらこのAUDIOSLAVE は極めてオールドな匂いを発している。それはChris の歌声のみによるものでもなければ楽曲が非モダンだというものでもなく、結果としてできあがったAUDIOSLAVE サウンドがそうであったと言うに尽きる。ジミもベックもプラントもリッチーも、自分が一番目立とうとか一番デカイ音を出そうと言う気持ちのぶつけ合いの中で磨かれたわけで、まだ『型』のなかったロックの自由の中で面白い事をいっぱいやってみせたわけだ。AUDIOSLAVE の連中が同じ創作体制にあるのかは知らないが、思うに彼らはそれぞれができる音楽のレンジというのが意外と狭くて、統一性のないものなのだろう。その中で自分にできるものを出し惜しみなくやってみた結果こそがAUDIOSLAVE であり、その珍妙な拡散性こそがロックが最も輝いていた時代のそれと似通ったものであると言えるのではないだろうか。

イロイロ言われてるけど、Chris はデヴィカヴァ風情のあるいいシンガーだし、4.What You Are5.Like A Stone を筆頭にライヴで聴いてみたいと思わせる曲の多いアルバムだ。売れたのはいいけど2nd も出さずに分解、せっかく出来の良かった1st は中古盤屋を賑わす、というCOVERDALE・PAGE の悪いところまでは追随しないで欲しいもの。 (1/8/2003)

SIGN OF TRUTH
DIONYSUS
その素晴らしき音楽性ゆえに多くのファンを持ちながら自然消滅的な最期を遂げたスウェーデンの至宝NATION。その中心人物であったJohny Öhlin(g.)を中心に、同じくNATIONのメンバーだったNobby(b.)、元SINERGYでソングライティングにも定評のあるRonny Milianowicz(dr.)、STORMWINDなどで活躍する名手Kaspar Dahlqvist(key.)Luca Turilli のソロ・アルバムに参加して人気急上昇中のOlaf Hayer(vo.)という実力派ぞろいの新バンドがこのDIONYSUSである。

思えばNATION というバンドは北欧メタル界においても稀有な存在であった。個々の優れた演奏力、北欧のバンドらしい物悲しくも澄み切ったメロディ、いわゆるネオ・クラシカルのそれである楽曲の構築美、それらの”北欧では珍しいものではない”要素が絶妙のバランスで組み合わさった音楽性はわずかアルバム2枚で終わらせてしまうにはあまりにも惜しい逸材であったし、中でもJohny の卓越したギター・プレイとコンポーズ・センスの復活を私は長い事心待ちにしていた。
つまるところ私にとってDIONYSUS は「第二のNATION」として捉えざるを得ないバンドだったのであるわけだが、このアルバムを一聴してその態度は変わった。アルバム序盤はRonny のペンによる力強いメタルチューンが続くが、これはNATION にはなかった魅力的な部分であり、ともすればありがちなものに落ちてしまうシンプルなそれらの楽曲も、優雅とすら形容できるJohny のギターが乗っかることで独自の輝きに満ち満ちている。Olaf が書いたもので同じくシンプルなメタル・チューンである6.Holy War にも同様の事が言え、この曲の頭のギターには喜びのあまり天を仰いだ。

惜しむらくはJohny 作曲の9.Never Wait 、これはNATION にも当てはまる事で、Johny の書く曲は疾走曲であってもどこかアダルトな雰囲気が感じられる事が売りであり他の北欧メタルとの決定的な差異であると思うのだが、この曲においてはOlaf のストレートなスタイルがマッチしていない気がする。他の曲ではそんな事ないんだけど。
小さい事が気になるのもこのDIONYSUS に対する期待が高かったことと、良い意味でその期待してたのとは異なるタイプの優れたアルバムであるが故。また一つ大好きなバンドが増えて、後生大事に聴き続けるナイスなアルバムが一枚増えたという事実こそが全て。 (12/25)