-2003 vol.3-
| HONEYBURST TIM CHRISTENSEN |
| 2枚目のソロ・アルバム。ソングライター、プレイヤーとしての才能をまざまざと見せつけた前作からは3年も経っていたとは。D.M.L.が残した2枚のアルバムにも言える事だけれど、真に良いものは色褪せないというのを感じさせる人です。結構寡作だけど。 真冬でも日なたはそこそこ暖かい、そんなイメージを抱かせる楽曲・音造りは相変わらず。どうしてもTHE BEATLES を引き合いに出したくなってしまうが、かの天才たちと同様に若くして成功を手にした音楽バカの拘りが随所に見られる素晴らしいアルバムだ。歌にしても楽器にしても音色やコトバの一つ一つを大切にした素朴にして高貴、親しみがありながらどこか浮世離れしたアクの強い世界観が五臓六腑に響き、脳髄に染み渡る。うるさくはないけど決しておとなしくもない、正に音の自己主張。 そんな彼の作るアルバムだから当りくじのみ、捨て曲ナシなのは至極当たり前。目を閉じて、吸い込まれるように聴き入ってしまうので曲ごとに語るのは無意味な事かもしれないし、そもそも今の僕の分析力・表現力ではとっても難しい。成長していつの日か全ての曲の印象を言葉にしてみたいけど。 誰でも好きになるわけではないと十分わかった上で、皆に聴いて欲しい一枚。 (1/18/2004) |
| RABBIT DON'T COME EASY HELLOWEEN |
| ここ何作は悪くはないんだけど決定打とは言えないアルバムを連発していた大御所。その危機感はファンよりもバンドの方が強く感じていたのだろう、大胆なリストラを経ての10作目。 MASTERPLANの楽曲群の良さを聴くにつけ、コンポーザーとしても重要な役割を果たしていた2人を切った本家は大丈夫なんだろうかというお節介な心配もあったのだけど、大丈夫なのね。 今やバンドの頭脳の座にどっかりついてしまったAndy Deris(vo.)の書いた曲がとにかく素晴らしい。 口火を切る1.Just A Little Sign は「メロスピはガラクタじゃないぜ!」という気概に満ちた華やかなメロディを持っているし、すでに指輪でやってたような4.Never Be A Star の音運びなんてこれぞHELLOWEENなり、って感じじゃないっすか。自らの甘く切ない歌声を十二分に知っているからこその7.Don't Stop Being Crazy も良いです。 歌の方は相変わらずメタルよりも彼に合ったスタイルがあるのにと思ってしまいがちですが、無理してます感はだいぶ薄れてきたしまぁこれはアリかな、と。 新入りのSascha Gerstner(g.)はグラポウスキー先生よりソロは達者で、メロスパー受けしそうなエイジアンなメロディを織り交ぜるのも面白い。2.Open Your Life では早くもそのコンポーズ・センスにも光るものを見せており、今後のHELLOWEEN の行く末には明るい材料なのでは。 バイトで叩いているMikkey Dee(dr.)の、バンドそのものに対するイメージすら変容させそうなあまりの突進力に比べると今作ではおとなしくすら聴こえるMarkus Grosskopf(b.)だが、今様HELLOWEENとかつてのスタイルとどちらにも通じる9.Hell Was Made In Heaven という優れた楽曲を書いている。 で、各メンバーの活躍ぶりと比べるとあんまりな気もするMichael Weikath(g.)なんですが今回の彼の曲は物足りないにも程があり、まぁもともとそういうきらいのある人物だけにしょうがないか、っていう結論に至ってしまうのが不可思議です。12.Nothing To Say なんて露骨にアイディア纏めきれてないみたいなところが問題あり。シンセの音のショボさにも問題あり。 全体的に安心して聴ける良盤であることに間違いないんだけど、まだまだこんなもんじゃねーだろっていう期待みたいなものもあり、特にSaschaの活躍如何によっては凄い事になるかもしれない。二度ある事は三度ある、ってね。 (1/15/2004) |
| OCEAN AVENUE YELLOWCARD |
| 甘酸っぱ系青春メロパンク界で頭角を現してきた人気急上昇中のバンド、これが2作目のフルレンス。 メロディ・リフともに気持ちよすぎな疾走ナンバー1.Way Away 、2.Breathing からしてバリバリにキてるんだけど、その後に続く3.Ocean Avenue の海辺をドライヴするようなえもいわれぬ爽快さには参りました。音の運び方のひとつひとつが心に響いてくるっちゅうか痒いところに手が届くとはまさにこんな感じ。 シンガーも所謂"流行りの声"にほかならないんだけどしっかりと歌っていて、他の曲に比べてバックが平べったく感じる6.Only One が良いのは歌メロのおかげだけじゃなくて歌唱の説得力あってこそだと思う。12.One Year, Six Months で聴かせるしっとりした歌声もお見事。 他バンドとの決定的な差異はやっぱりパーマネントなメンバーとしてバイオリン奏者がいて、メロウな曲にさらなるアクセントをつけているってとこにあるんだろうけど、そのバイオリンの腕前に未熟な部分を感じるのは凄く惜しいなと思える。カントリー的な9.View From Heaven (女声コーラスを活かしたなかなか良い曲)ではこれでも悪くないんだけど、パンキッシュな楽曲でのギリギリなスタッカートぶりとかを聴くと無理しないでシンセでもいいんじゃないの、と無粋な考えも浮かんでくる。スタジオでこれじゃライヴはどうなるんだ、と。 楽曲や他の演奏があんまりにしっかりしているからこそ耳についてしまうんだろうし、そこは練習と経験を重ねれば解消される問題だろうし、何よりバンドとしての地力が随所に垣間見える非常に優れたアルバムである事は間違いなし。 (1/13/2004) |
| BLINK-182 BLINK-182 |
| 今さらバンド名をタイトルにもってきたのにはそれなりの理由があるのだろう。ここにきて「メロディック・パンクのワンオブゼム」から思いっきり飛躍した、アイデンティティの感じられる力作だ。 心地よくひねたビートとコーラスが印象的な1.Feeling This で幕を開ける本作は非常にカラフルで、ストレートで、エモーショナルなアルバムだ。 カラフル - 彼らに抱いていたパンキッシュに走り回る若々しく痛快なイメージ。しかし今回は緩急をつけ、それぞれのヴォーカルの色を見事に使いこなし、かつ様々なメロディ・パターンを配する事で、非常にヴァラエティ豊かな、それでいてどこを切ってもBLINK-182な楽曲だらけ。 ストレート - よく色んなバンドのディスコグラフィなんかで目にする「意欲作」って言葉。実際には売れてきてやっとこやりたいことをある程度好き勝手にできるようになったはじめてのアルバム、ってことが多いんだろうけど大抵うまくまとめ切れないで消化不良のままになっちゃうパターンばかり。 このアルバムは彼らにとってそんな「意欲作」に当たるんだろうけど、ここまでカッチリうまくいってるのは明確なヴィジョンっていうか、"こういうものが作りたい"じゃなくて"ものを作るときこうありたい"みたいなアティテュードありきなんじゃないかな。自由で真っ直ぐな感じ。 エモーショナル - 便利な言葉だけど、吠え叫ぶ怒号やむせび泣くように歌い上げる事にばかり特化されて使われてて、もちろんそういうのはエモーショナルであるに違いないんだけど、やっぱり人間の感情って喜怒哀楽がコロコロ変わるモノじゃないですか。そのそれぞれを演奏・歌唱で見事に表現しているのは大したものだと思います。 それと、感情表現はコントラスト(例えば楽しいパーティロックの後に悲しいバラードが来る、みたいな)で映えるってのもあるけども、このBLINK-182は平常心っていうのかなんというのかわからないけど喜怒哀楽のどれでもない状態(殆んどの人は殆んどの時間こうなハズ)をうまくはさみ込んでくるあたりが真にエモーショナル。 まぁなんですわ。こんなに褒めちぎるのは捨て曲ナシ、良質メロディてんこ盛りの快作だからです。正直ここまで凄いバンドだとは思ってなかったです。 (1/13/2004) |
| 君繁ファイブエム ASIAN KUNG-FU GENERATION |
| ちょこっと疑問符が残る国産パンク/メロコア・シーン。要は売り込み目的の無茶なジャンル分けに対する僕自身のオッサン特有な堅い思考あっての苛立ちなんだろうけど輸入盤の倍も払って聴こうって気にさせるバンドなんてそうそうないもんです。 このアジカンもそんな売り方と売れ方をしてるんですが彼らは良い意味で括り間違い、蓋を開けてみりゃ非常に良質なUK型パワーポップ、しかもメロディの本質は日本歌謡曲のそれ、っていうありがちなパターンながらソツがないっつうか達者にやってのけているので違和感どころか非常に気持ち良く聴く事ができる。 バンドのバックグラウンドとか全く知らないんだけど歌詞の感じとかからほとばしる若さとポジティブなオタク臭さが伝わってきて、スタイルでやってるんじゃなくて本当に好きで音楽やってるヤツってこんななんだよな〜と青春時代を思い出させる独特の世界観はバンプとかに近いかも。必要以上に熱くなく、力を抜いた自然体の歌いまわしがそういう雰囲気を増大させているんだろうけど。 陽でも陰でもないニュートラルな空気がもたらす切なさ、そういうのを僕や地元のツレは"ミュートマスタイル"と呼んでるんだけど。特に4.アンダースタンド や11.君という花 の歌メロにはそういう堪らなさがある。 日本的なやわらかいメロディラインがもたらす"音楽的な里帰り"感、日本のロックバンドで感じたのは久し振りです。 (1/13/2004) |