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「待ってるから・・・あの丘で待ってるから・・・」
僕を呼ぶ柔らかくて暖かい君の声。 あの頃の君が
目の前にいる。
「じゃあね。早く来てね。」
笑いながらそう言うと突然君がいなくなった。
「待ってくれ・・・どこに・・・」
君を追いかけようとした途端、辺りが真っ黒になった。
そこで目が覚めた。
いつもと変わらない薄暗い朝。
僕はベッドから抜け出しカーテンを開けた。
窓の外は辺り一面白く、あの日と同じ景色が
目の前に広がっている。
僕はさっきの夢を思い出した。
「あの丘で待ってる、か・・・」
僕の部屋からは一つの丘が見えた。
君と二人でよく行った丘。 今は君が眠っている丘。
あの日から全く行っていない。
君の事を思い出し、辛くなるから。
君を失ってから僕の体には傷が増えた。
君のいない世界には 存在する意味がないから。
君をなくした痛みに耐えられない僕は何度も
自分を傷つけた。
生きたかった君が逝き、逝きたい僕が生きている。
現実とは残酷だね・・・僕はそう思う。
「・・・行ってみるか」
僕は外に出る支度を始めた。
支度をしながら僕は急に思い立った。
あの花を持って行こうと。
生前、君の部屋によく飾ってあったあの花。
窓辺に一輪だけ飾ってあったのが今でも思い出せる。
そんな事を思い出しながら僕は外に出た。
続
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